一般講演会 - NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん https://jein.jp/networkofcs/information-list/lecture/195-networkofcs.html Sun, 28 Apr 2024 03:40:28 +0900 Joomla! - Open Source Content Management ja-jp トリチウム水海洋放出における生物影響 https://jein.jp/networkofcs/information-list/tritiated-water.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/tritiated-water.html

 

トリチウム水を海洋放出した場合の生物影響に関する根拠論文の検討 ~ 科学的視点から分かること ~


序文

1.はじめに

私たちが、放射線の影響について、議論を始めたのは、3・11以後です。科学者にとっても市民にとっても、この事件はたくさんの問題を投げかけました。なかでも、もっとも深刻だと感じたのは、世論が放射線の生体影響について真っ二つに割れたことでした。勿論、どんな災害時にも、いろいろな世論が飛び交うのが常ですが、少なくともこれほど意見が割れてしまうことは今までありませんでした。

あいんしゅたいんと理事長(坂東昌子)のこと

先入観や価値観にとらわれないで、みんなが疑問に思っている問題をしっかり「どこまでわかっているか、どこがわかっていないか」ということを見極めて判断することが大切だと思う気持ちが強くなりました。そしてそれは、これまでの専門家と協力しつつも、新鮮な目で分野の異なる科学者も、そして市民も同等な形で疑問を出し合い、そして一緒に考え、今までの規則や定説に惑わされず、しっかり見直すことが大切だと思うようになりました。しかもそれは、絶対に必要な条件として、市民と共に考え議論することが必要だと思っていました。

異なった分野の科学者を繋ぐ「のり」の役目を果たす市民

2.〜EBR(Evidence Based Radiobiology)

「CAS放射線ネット」を立ち上げたのは、もう4年前になります。「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーションのネットワーク構築」が科学技術振興財団(JST)の科学コミュニケーション推進事業”ネットワーク形成型”に採択されたことに基づいて「科学的事実情報発信ができる」科学者集団を作ろうという目標から始められたものでした。

JSTのサポートは2019年3月で終了しましたが、「科学的真実に基づいた情報発信EBR(Evidence Based Radiobiology)の視点を加え、主体はメール上での議論とはなりますが、引き続き取り組んでいこうとしています。

CAS放射線ネットの活動

3.トリチウム水問題を取り上げたきっかけ

こうして始まったメール上での議論はどんどん、仲間が増えてきました。

ここで、1つお礼を申し上げておかねばなりません。こうした中で、たくさんの問題提起をしていただいたのは、福島県二本松市在住の田口茂さんでした。そしてトリチウム水の問題も田口さんが口火を切って議論が始まったのです。

事故直後の講演会では、「原発に賛成なのか反対なのかまずは、そこを明らかにしてほしい」という声があったことがあります。私はその時司会をしていたのですが、「賛成・反対はひとまず脇に置いて、ちゃんと事実を確かめましょう。科学的にどこまでわかっているかを確かめることがここの目的です。」と言いました。おそらく、福島から逃避して来られた方には、原発が憎い、原発なんてまっぴらだ、という強い思いがあったには違いないのですが、物事を混同したまま議論を進めると、真実の姿を見られなくなると思ったからです。

トリチウム水問題は、2019年3月以降メールで議論しましたが、「ちゃんと事実を確かめる」ことに集中しました。率直で熱心な、しかも専門の中身まで質問してくださる市民の方、その質問に、専門的な知識を生かして答えてくれる科学者はもちろん、専門外のことも調べて答えてくださった科学者、宇宙線から自然環境中に生成されるトリチウムのシミュレーションをやり遂げてくださった水野さん、時には、田口さんの地元の社会情勢、そして国や行政の不実や不信感を嘆く言葉に、心情をわかりつつ、ここではそれをいったん脇に置いて事実をつかむことを考えましょうと書いてくださる市民の方もありました。

 

4.トリチウム水問題とは

最初は、いろいろな問題提起がいろいろな面から出てきました。こうしていろいろなコメントが出てくる中で、結局何が課題かの整理がつき始めました。メールでの議論が飛び交う中、次第に論点が見えてきました。専門の異なる皆さんからのご意見は次のような形に集約することができたと思います。

論点整理

1)トリチウムが地球上でどれくらい存在し、また新しく生成されているか
2)生成されたトリチウムがどのように拡散するか(人工的なものも含めて)
3)生物にどの程度取り込まれるか
4)どれくらい摂取したら,人に影響があるか

今回、論点の1)の一部と3)について、ようやくまとめを作成することができました。1)については、水野義之氏の「自然環境中のトリチウム生成のシミュレーションとその評価」を、参考論文として引用しました。  

 

5.まとめを公表するにあたって

トリチウムの海洋放出についての賛成・反対はひとまず脇に置いて、ちゃんと事実を確かめ、科学的にわかっていることをまとめて公表し、更なる議論をする為のたたき台とするのが目的です。

「トリチウムを取り込ませた化合物が研究のために工業生産されている」ということは、多くの方に知られていなかった事実であると思います。

まとめを公表するにあたって、二本松の静かなたたずまい、そしてのどかで豊かな風景が残る二本松を訪れて市民と意見交換する中で、このような形で被害を受けた人々の悲しみと怒りを肌に感じ、国や行政への不信を多く耳にしました。

「処理水」といいつつ、トリチウム以外の放射性物質がどれくらい含まれているのかが明確に示されていないのは、不信を招きます。安全な範囲だとしても、これだけの不信感が広まっている中、国は説明することで信頼を取り戻してほしいものです。そして、これからも、メール等でやり取りしながら、話し合う機会をできるだけ作っていきたいと希望しています。

このまとめはゴールでなく、「今の私たちが理解できているもの」です。これからも新しい知見が出れば更新していきたいと考えています。どうぞ、皆さまのお力をお貸しください。

坂東昌子


まとめダイジェスト版 (トリチウムの性質について図で解説) 作成者:河本恭子
まとめ詳細版(公開されている図表や論文の図の解説)  作成者:河本恭子・土田理恵子 助言者:山崎泰規

トリチウムの基礎知識 
トリチウムはどれぐらい溜まっているの 
トリチウムって環境にはどれくらいあるの 
トリチウムは生体内で有機物に結合するって本当 
トリチウムの多く含まれる海や湖にいる生物はどうなっているの 
OBTは濃縮されるって聞いたけど 
゙● トリチウム水を飲んだらどうなるの 
トリチウムがDNAに取り込まれたら 

作成者あとがき(河本恭子・土田理恵子)
▼ コメントと質問(田口茂)

 


あいんしゅたいんと理事長(坂東昌子)のこと

あいんしゅたいんは、物理学、中でも原子核・素粒子論という原子力エネルギーの基礎をなす分野の研究者が中心になって立ち上げたNPOです。東電福島第一原発の事故はその私達に沢山の課題を投げかけたのです。たくさんの議論を、生物の方々、放射線防護の方々、そして何よりも市民の皆さんと続けてきました。この記録は当ホームページの下ある関連URLに記録として残されています。

私自身は現在、素粒子論から放射線の生体影響の研究へとシフトしています。それは、放射線の生体影響を、本気で自分の手で検討することがどうしても必要だと感じたからです。市民の間で、これだけ世論が割れている原因は科学者側にかなりの責任があるのではないかという思いでした。物理学会では、初期に放射線の生体影響についてのシンポジウムも行われましたが、実は、その後、この問題に関して議論を物理学会は中止しています。それについては、ここで詳しくは述べませんが、別に意見をいつか公表しようと思っています。

それはさておいて、物理屋さんは、異なった見解を持っている者同士でも、一緒になって議論を戦わせ、お互いに食い違いはどこからきているか、どうしたら、その食い違いを解くことができるかを、徹底的に出し合って、詰めていきます。そう言う場を大切にしているからこそ、これまでの常識的な考え方を打ち破る新しい考えや発見へと導く道があるのではないかと思います。そこでは忌憚のない意見を出し合います。

この放射線生物に関係する科学者の世界に来てみると、この問題を対象としている学会も20をこえてあり、それぞれ、意見が違ったままあり、意見の異なるグループと議論することがなく、意見はいつも平行線なのです。

もう一つは物理と違って、相手は社会的影響が大きな問題ですので、背景にある考え方が異なっていると、純粋な科学の対象としての議論がやりにくいのです。特に、この課題は放射線防護と放射線利用(特に医療)という異なった視点からのアプローチがあり、それぞれ、目標とするところが違います。防護の世界では、どうやって最大多数の安全を守るための社会的規範を作り、法制化し、それを守るかということが大きな目標となりますし、医療の世界では、目の前の患者にとってリスクと効果をどのように勘案して治療を施すかということが最重要となります。こうして、放射線の正と負の部分を同時に評価することで、目前の課題につなげていくこと、その選択はシビアです。

坂東昌子

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異なった分野の科学者を繋ぐ「のり」の役目を果たす市民

今回、この議論の経緯を見直して以下のことが見えてきました。一つは、科学者の「そんなことは常識だよ」とか「そんなことは知っているよ」という態度の誤りです。もう一つは、結論に感情を移入しやすい人間の哀しい習性です。この2つが、しっかりした議論の妨げになっていることが、この議論を通じて得た一番素晴らしい教訓だと思っています。

もちろん、こうしたな複雑な流れの中でも、科学者は、正しい知見を得るために努力をして、たくさんの知見を蓄えていますが、それが個々バラバラのままでは、何が本当かわからなくなります。お互いに議論し合って1つの見解になかなか到達しにくい場合が多いことも確かです。それは1つには、今まで、自分の専門の科学を深めることに力を注いできたところから、今度は、他の専門の方々と突き合わせ、お互いに理解しあって、進める科学、いわゆる異分野連携の課題が増えてきたからでもあります。放射線の生体影響という課題も、生物・物理・化学・医学そして統計などたくさんの分野を統合して見解を出すことが必要になります。でも、科学者自身もこうした分野横断型の研究のやり方に慣れていません。ですので、具体的に1つずつ詰めていくしかないのです。専門が違うと、使う言葉も違います。持っている常識も違います。そういうところをお互いに補い合いながら、そして新しい目で課題を見つめなおすことも大切になってきます。人間というものは、目前の課題が明確であれば、そしてそれが緊急であればあるほど、こうした新しい挑戦にぶつかっていけるのではないでしょうか。

市民もよく勉強します。そして鋭い質問を投げかけてきます。専門家は、投げかけられる鋭い質問に、専門分野の障壁を超えてどこまでこたえることができるか、そこが問われていると思いました。

初期のころ、私は2つの異なった研究会に出ました。1つは防護の専門家が講演し、質疑応答するタイプ、もう一つは、現場の意見を持つ人が話してそれを科学者が質問するタイプ、前者では、私は「巷ではたくさん疑問が出ていますが、これらについてどう思っていますか」と聞きました。そしたら、「ああいうのは論文にもなってないし、レフリーも通っていない科学とは言えない「ガセネタ」だから無視すべき」という態度でした。後者の場合には、チェルノブイリの医者がいろいろなデータを紹介して、それに質問をするというもので、チェルノブイリ事故前と事故後の様々な疾病のデータを見せてくれました。「それって本当に放射線の影響なのか」と疑うようなデータもたくさん出ていました。しかし、粘り強く、1つずつ確かめ、判断するという方法をとっていました。ロシア側から来られた医師はお世辞にも明確に1つずつ答えたとは言い難いこともたくさんありました。面倒な手順を踏んで大方は、所謂「ガセネタ」である可能性もあるわけですから、しんどい仕事です。あとで、きいたら「100の内99が間違っていても、1つでも何かあればそれを見つけるのが科学の仕事だ」という話を聞き、この方(今中さん)はそのために、わざわざロシア語まで勉強したという話に、私は感銘を受けたものでした。科学者の謙虚さとやさしさはこういうところで見られるのではないでしょうか。

私たちは、ここでとりあげたトリチウム水の問題を解決していくにあたって、大変貴重な経験をしました。それは、異なった分野の科学者を繋ぐ、「のり」の役目を果たすのが、市民だということでした。市民は専門分野などお構いなしに、領域を超えて、いろいろな質問を投げかけます。そして、何より、問題が目前にあると強くなれます。このことを今回も強く認識しました。

この時、最も大切なことは、「たとえ、何か持ち掛けられた疑問が、今までの常識と異なることがあっても、それを丁寧に掘り起こし確かめる謙虚さが必要」だということです。これは実は科学精神の神髄にも通じるものです。このことが、今回のトリチウムという1つの問題を通して、しっかりお伝えすべき内容なのだと思います。

坂東昌子

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CAS放射線ネットの活動

若者とのネットワークはの角山さんの努力でうまく動き出したし、国際連携もうまく広がりを見せたものの、科学者グループの結成は困難を極めました。科学者といっても、皆さんご専門もあり、こういう複雑な問題に対して、何か言うとどちら側からも厳しい評価が突き付けられます。「とてもそんな大それたことはできない」と、いくら良心的な方でも、ちょっと身をひきます。まあ、物理学会の、消極的な姿勢もそんなところに原因があったのでしょうが・・・。

欧州連合(EU)や英国では、 科学界を代表して政府省庁に対して助言や政策立案を行う科学顧問という制度があります。例えば、CSA(chief scientific adviser主席科学顧問)のアン・グローバーさんへのインタビューが高橋真理子さんによって行われています。しかし、それでもなかなか、簡単に科学者の意見がまとまるわけでもなく、アングローバーさんも遺伝子組み換え食品の問題で批判を浴び退いたと聞いています。さて、うまくいったのでしょうか?例えば次のような意見も出ました。

英国には「自分はインディペンデント・サイエンティスト」だという人が時々いますね。私は数人の英国人の口から実際にその言葉を聞いたことがあります。
 
ファラデーは様々な紆余曲折ののちに王立研究所の教授職についていますが、その生い立ち(小学校中退など)や終生ナイトの授与を固辞したこと、王立協会会長への就任を断ったこと、少年少女向けにクリスマスレクチャーを始めたことなど考えるとインディペンデント・サイエンティストなんでしょうね。
 
最もわかりやすいインディペンデント・サイエンティストは、ひも付きの給与をもらっていない自活している人でしょうかねえ。ガイア理論のジェームス・ラブロックは、特許で莫大な収入があるので活動資金は自分で賄える、だから自分はインディペンデント・サイエンティストだと言っていたと記憶します。
 
日本の科学者(サイエンティストではない)は明治以降になりますので、その元祖を強いて言えば、白虎隊から初代東大総長になった山川健次郎でしょうか。彼は、25人いる日本の博士第1号(5分野に各5人授与された)の一人でもあり、日本人初の物理学教授です。山川健次郎のもとに、長岡半太郎も寺田寅彦も地震学の元祖田中館愛橘も日本のノーベル賞第一号の湯川秀樹もあるわけですね。日本の科学者のルーツは国家のお抱えなのですね。江戸時代の林羅山のような幕府お抱えの御用学者とそう大差ないのではないでしょうか。そういう歴史の中で、なかなかインディペンデント・サイエンティストだと自他共に認める人は生まれてこないようですね。インディペンデント・サイエンティストの精神風土がない国で、3・11の混乱の中で、科学顧問を探すのは事実上不可能だったし、その状況は今も続いていると思います。そしてこれから育つのも、なかなか難しいかもしれません。
澤田哲生

しかし、こんな人頼みと、そんな人はいないといっていても始まりません。私たち自身がどのようにして、偏見やデオロギーや社会の風潮に影響されないで、真実を極めるという姿勢をとることができるか、資金を行政からもらったら、あるいは企業からもらったら途端にインディペンデントな科学者でなくなるとしたら、それはちょっとおかしいと思います。今の世の中で探求を続けようとしたら調べたり議論したり、たくさんの仕事が降りかかってきます。それをどこからもお金を貰わないでできるはずがありません。お金を貰ったら途端にそちら側の利益になるような結果しか発表できないというような風潮の方が問題であり、また科学者がそんなことで真実を曲げるとしてはほんとに科学者ではないということになります。陰謀説の多くはこうした、見識違いから出ていることがよくあります。例えばマラーは、LNTを主張しましたが、「あれは彼がロックフェラー財団からの基金を得ていたので、原子力発電に反対だった」などという話まで書いているのを見ると、科学者としてのマラーがLNTを主張した科学的な根拠がどこにあったかを見失ってしまうのです。そうではない、どこから資金を得たかではなくて、何を言ったか、それは正しかったかどういう根拠で主張したかを見極めないと、科学が見えなくなってしまうと思います。

いろいろな躊躇がある中でやはり、ここで、科学者の芯を通して情報発信をできる基盤を作りたいと、JST企画の中で科学者グループに参加していただく方々にお願いしたのでした。しかし、こうした難しい情勢の中で、代表になっていただける方はいませんでした。皆さん、良心的ですから、協力はしていただけるのですが、こうした情報発信をするための組織のトップに立つのは、躊躇されます。それも当然です。そういう中でどうするか困っていたところ、「市民と共に作る科学者のネットワークを目指さないとできないのでは、そしてその中でも女性研究者のエネルギーを基につくる科学者集団でないと、うまく運ばないのでは、という助言をいただいたのです。

そうだ!国際会議「BER2018」に先立って行われた市民フォーラム高校生セッションは、大成功だったではないか。

中でも、女性研究者が中心になって行った市民フォーラムを見てもらえばわかるが、そこには誰かが飛び出してリーダーになったというよりは、子育て最中の女性たちを中心に、忙しい中で、ささやかでも自分にできることは協力するという沢山のメンバーで支えられた会議だったと思います。

こうした積み重ねが、生きたのが、2018年夏の、第2回高校生スペシャルセッションでした。そこでは、まさに高校生たちとの連携、女性科学者たちとの連携が成立したのです。ここで発表した内容については、医療の立場から、そして疫学の立場からのお話や研究が国際性、公開性、医療倫理や科学的正確性が保証されていなければならないというような話がありました。福島県の健康調査がこうした視点から見ると不十分ではないかという話もありました。

ここで、河本さんがEBM(Evidence Based Medicine)の話をされたのです。医療の世界では、おびただしい数の論文が出る中で、実際の医療に向き合っている医者たちは、「本当にこの論文は正しいのだろうか」という疑問をしっかりクリアしないと、医療の現場に使えません。実に厳しい選択を迫られるのが医療の現場なのです。そして出来たのは、このEBMという概念です。図表のようなエビデンスレベルが想定されていると報告されました。これを見ると興味深いです。確からしさが最も低いのが「専門家の意見」となっているのに驚きました。勿論これは専門家個人の意見という意味ですね。なるほど、やっぱりちゃんと調べてみんなが納得できる評価がどうしても必要不可欠な医療の世界は違うなあ、そう思いました。それから医療の世界で、このような組織ができたいきさつも調べたりして、感銘を受けました。私の専門としてきた素粒子論の世界では、どんな突飛な理論を出しても、常識を破るものであっても、それがしっかり根拠を持って出されている限り、みんなが興味を持ちます。その中で評価がかなり率直に出され、誤っているものは否定され残ったものが、だんだん精錬されて確実な知見になっていくのですが、それですぐ社会に影響するわけでもないので、社会的な影響を気にすることはほぼありませんでした、例えば「ニュートリノが光速を超えた実験事実が見つかった」というスイスとイタリアを結ぶニュートリノ実験グループの論文は、最近では一番もめた論文です。本当だったら、アインシュタインの相対性原理を破る事象で、新聞には、「因果関係がおかしくなる」などと騒いだ節もありましたが、騒ぎは学問上に閉じていたので、市民は興味を持ったとしてもそれですぐ生活に響くわけではありません。ここでちょっと断っておきたいのですが、科学者の論文はいつも正しいとは限りません。勿論、論文として認められるには、それをレフリーが読み、おかしなところや、間違ったところがないかどうかチェックして著者と議論を戦わせ、それで、著者も自らの誤りを正したり、考えを発展させたり、視野を広げたりすることで科学的認識が深まるわけですから、とても大切なプロセスです。

しかし、また、それが世に出てから、「やっぱりおかしい」と否定されることもあります。実際、先のニュートリノの論文は、「一生懸命調べてみたけど今のところ、どうも測定に誤りはなさそうに見える。皆さんのご意見を待ちたい」みたいなあとがきで出されたものでした。そして数か月の間に追試が行われ、実際には測定器の誤りが発見されて、この騒ぎは終わりました。つまり、レフリーを通過しても、なお、間違った論文が点検を通過することもままあるし、本当はとても優れた論文なのに、レフリーが誤って没になることもあります。しかし、それでもなお、こうしたシステム(ピアレビューと言いますが)で、科学者仲間同士で、お互いに議論して論文が世に出るのです。

でも、医療の世界はそれだけでは満足できなくて、その論文をもう一度、他の論文と比較したり、間違いがないか、不十分なところはないか、などしっかり再点検するシステム(システマティックレビュー、エビデンスレベルI)を構築しているところに、私はこの分野の厳しさを痛感しました。

それだ!これが放射線生物学にも必要だ、という話が盛り上がり、私たちは、コクランのような著名なリーダーはいなくても、医療のような沢山の資金に恵まれてはいなくても、しっかりEBMに相当するEBR(Evidence Based Radiobiology)というものを打ちあげてみようではないかという話になりました。これはまさに正解でした。女性は率直な意見を出しやすい、市民は熱心に様々な情報を投げかけ、そして自ら調べて提案する、その推進力を背景にやっと動き出したのです。

坂東昌子

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作成者あとがき

1.河本恭子

私は、研究生活の最初の5年間は生物物理の研究室に、その後25年間は、植物科学の研究室に所属してきました。放射線の生体影響については、NPOあいんしゅたいんとのご縁をいただいた3年前から勉強し始めたところです。

放射線の生体影響は、福島原発事故後、非常に関心が高まった分野だと思います。そのため、何か1つ論文が発表されると、「やっぱり影響がある!」「心配だ」などと大きな話題になります。しかし、本当の研究というのは、1つの論文で結論が確定するものではなく、発表後に多くの人によって検証され、時には、最初の論文の考察が間違いだと指摘されることもあるかもしれませんが、同様の結果が積み重なることで、ようやく教科書に載るような「知見」となっていくという、非常に地道なものです。

福島原発事故後、科学者の意見が割れるため、市民の方は、どの科学者を信頼してよいのか迷われたと思います。そして、どちらかが正しいとすれば、どちらかが間違っていることになりますから、市民の方の中には、自分で真実を確かめなければと思われた方もおられたと思います。

まとめの作成のきっかけを与えてくださったのは、そういう市民のお一人である田口さまでした。そして、こうやってその成果を公表できるように、質問したり、ご自身でも調べたりして、支えてくださったのは、やはりそういう市民のお一人である土田さんでした。

科学者も、専門外の分野に関しては、専門家ではなく市民です。私自身、論文を読んで「だいたいわかった」と思った後、土田さんにご質問を受けて、「やっぱりわかっていなかった」と反省したことも多々あります。専門外のことを、専門家のふりをして解説している科学者の方には、自分は「だいたいわかった」レベルではないか、本当に「わかっている」のかを自問していただきたい、と思わずにはいられません。

序文にもありますように、このまとめはゴールでなく「今の私たちが理解できているもの」です。皆さまのご意見、ご質問をいただきながら、更新していきたいと考えています。

2.土田理恵子

トリチウムについて河本先生が調べて下さったことを公表してはどうかと、ご提案したのは、調べて下さった内容をもっと多くの方に知っていただかないともったいないという気持ちと、NPO法人あいんしゅたいんが田口さんのご質問に真摯に向き合って下さったこと自体も多くの方に伝えたいと思ったからでした。

この「まとめ」で、東電福島第一原発の処理水の海洋放出を容認するよう説得しようという気持ちは全くありません。また、処理水の扱いが科学的評価だけでは決められないということは、言うまでもないことと思います。

この「まとめ」は、ご質問に答える過程で解説していただいた内容をまとめたものです。そのため、取り上げた論文は必ずしもよい論文だからというわけではなく、論文の内容を全面的に支持しているわけでもありません。実験結果や測定値を絶対視しているのではなく、傾向としてどのようなことが見えるかを読み取るための値と捉えています。

心残りなのは、ラ・アーグ再処理施設関連のデータを詳しく調べきれなかったことです。実際の排水の濃度、排水されている時間、引用した測定値の詳しい地点など、ご存じでしたら、お知らせくださいますようお願い致します。

その他についてもお気づきの点は、お知らせいただけましたら幸いです。

なお、「漁協からの要望と東電の回答」については、科学的な内容ではないのですが、福島県外ではあまり知られていないのではないかと思い、事実だけをご紹介しました。

この場を借りて、NPO法人あいんしゅたいんの方々、二本松でお会いした方々に、心より御礼申し上げます。

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コメントと質問

この中間報告はあくまでも科学的な視点からの報告書であり、社会的、政治的、経済的(エネルギー政策も含め)、外交的視点からの検討はされておりません。多くの疑問やリファーした論文が、人体への影響にも取り入れていいものか等、検討すべき課題は残っています。特に以下の科学的課題について今後も継続的に検証する必要があると考えています。

論点整理

1)トリチウムが地球上でどれくらい存在し、また新しく生成されているか
2)生成されたトリチウムがどのように拡散するか(人工的なものも含めて)
3)生物にどの程度取り込まれるか
4)どれくらい摂取したら,人に影響があるか

1.論点整理の2)や4)についての更なる検証。

2.動物実験で得られた、放射線影響によって引き起こされるがんで死亡するまでの限界値を必ずしも人間に当てはめる事が可能なのか?人間には心も考える事もできる高等動物であり、がんに罹患した時点から心の不安等で精神的にも肉体的にも多くのストレスを受ける事になる。がんになるのではないかといった精神的な不安がストレスにもなる。この精神的ストレスががんの罹患を早める可能性がある為に、動物実験の結果を必ずしも人間に当てはめる事が可能なのかを更に検証する必要がある。

3.人間の場合は死亡ではなく、がんに罹患した場合のQOL(精神的な不安も含め)で議論すべきではないか?ICRPも罹患(QOL)ではなく死亡で規程しているが、これで本当に良いのか?

4.この論考内でリファーした論文での動物実験のサンプル数が少なすぎないか?この少ないサンプル数での動物実験を人間に当てはめるのは無謀すぎないか?

5.DNAに異常が生じても、生物は修復する力を保有している。濃度が低いトリチウムにより生じた異常は修復できても、濃度の高いトリチウムで起こる異常には修復は追いつかなくなる。この実態を更に検証する必要がある。

6.DNAの傷のつき方やDNAの修復について人間と動物間では差異はないか?

このまとめ(論考)は異分野の専門家や市民同士で更なる議論を深める為のたたき台といった中間報告の位置付けと捉えています。これからも上記検討課題等について新しい知見が出れば更新し、不備があれば修正していただきたいと考えています。是非みなさま方のご意見を頂ければ幸甚です。

田口茂

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Thu, 09 Jan 2020 10:31:58 +0900
TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017 https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome/debriefing2.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome/debriefing2.html

 

TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017

日  時:2017年8月11日(金) 13時~15時

場  所:福島県立安達高等学校 視聴覚室 
     〒964-0904 福島県二本松市郭内二丁目347

プログラム:

14:00~16:00
 ユリカモメ活動状況の報告 角山雄一(京都大学放射線同位元素総合センター)
 ユリカモメ京都メンバーの測定例紹介 洛南高等学校の生徒による報告
 兵庫県立北須磨高等学校の取組紹介 北須磨高等学校の生徒による報告
 福島県立福島高等学校の取組紹介 福島県立福島高等学校の生徒による報告
 福島県立安達高等学校の取組紹介 福島県立安達高等学校の生徒による報告
 質疑応答とディスカッション 司会:角山雄一 オブザーバー:吉田慎太郎・吉田裕介(京都大学)
 次回報告会に向けて 坂東昌子(NPO法人あいんしゅたいん理事長)
16:00~17:00
 次回の報告会についての打ち合わせ 角山雄一・坂東昌子、各校教諭、参加を希望する有志
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Mon, 31 Jul 2017 09:14:10 +0900
TEAM ゆりかもめ第1回報告会 https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome/debriefing1.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome/debriefing1.html

 

TEAM ゆりかもめ第1回報告会

日  時:2017年6月4日(日) 13時~15時

場  所:放射性同位元素総合センター分館 2階講義室

こちらにも地図及びアクセスが掲載されています( 19 の建物です)

プログラム:

 測定結果の検討:みなさんの測定結果を見ながら、放射線を測ることについて話し合ってみましょう
 新しい地図ソフトウェアの紹介:ギョロマン社が教育用に新たに開発したWindowsPC向けの測定結果地図化ソフトの紹介
 
申  込:こちらからお申し込みください
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Tue, 30 May 2017 07:15:15 +0900
TEAM ゆりかもめ結成会 https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome/formation.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome/formation.html

 

TEAM ゆりかもめ結成会

日  時:2017年2月12日(日) 13時~14時

場  所:放射性同位元素総合センター分館 2階講義室

こちらにも地図及びアクセスが掲載されています( 19 の建物です)

プログラム:

13:00~13:05  初めの挨拶 坂東昌子(NPO法人あいんしゅたいん理事長)
13:05~13:15  プロジェクト概要説明 角山雄一(京都大学環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 助教)
13:15~13:45  ギョロガイガー配布、iPhoneへの接続テスト・測定テスト
13:45~13:55  質疑応答
13:55~14:00  コメント:和田昭允(横浜サイエンスフロンティア高等学校常任スーパーアドバイザー)
 
申  込:こちらからお申し込みください
 
備  考: ギョロガイガーの数には限りがあります。本プロジェクトの実施趣旨に基づき、中高生を優先させていただきますので、予めご了承ください
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 18 Jan 2017 06:48:03 +0900
TEAM ゆりかもめ https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/yurikamome.html

 

TEAM ゆりかもめ

 

▼ プロジェクト実施趣旨 ▲

放射線が人体に及ぼす影響を真に理解するためには、線量と影響の大きさとの関係を見ることが重要になってきます。線量として出される数値がどのようなものなのか、どれぐらい正しいのかという事を知っておく必要があるといえるでしょう。そこで、今回、中学生・高校生が自らの手で自然環境放射線の測定を行ないマッピングしていく「ゆりかもめプロジェクト」を開始します。

▼ プロジェクト概要 ▲

● 自分たちの手で 自分たちの足で 自然環境中の放射線を 測定してみよう。
● 自分たちの歩いた 旅した 軌跡を 放射線地図にしてみよう。
● 日本の 世界の 自然環境中の放射線を知ろう。
● 放射線と 人間や生物との関係について 考えてみよう。

▼ 特設サイト ▲

 

※ プロジェクトの詳細については特設サイトをご覧下さい 


 

TEAM ゆりかもめ イベント

 2018年7月27日・28日  第2回高校生スペシャルセッション「おこしやす 京の夏」
 2018年3月20日・21日  BER2018高校生スペシャルセッション
 2017年8月11日  TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017
 2017年6月4日  TEAM ゆりかもめ第1回報告会
 2017年2月12日  TEAM ゆりかもめ結成会

 


 

<結果報告>

TEAM ゆりかもめ第1回報告会

● 記録:議事録 角山雄一(京都大学環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 助教)
    コメント 坂東昌子(NPO法人あいんしゅたいん理事長)

● 報告会参加者コメント:壷井宏泰様・矢田部直之様(兵庫県立北須磨高等学校) 
            中山知恵子様(神奈川大学附属中・高等学校 教諭) 

● ギョロガイガーを使用した測定記録 in 福島:福島 1Fの今(宇野賀津子)


TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017

報告会の記録と感想 角山雄一(京都大学環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 助教)

● 参加者の声:TEAMゆりかもめ測定報告会参加感想 福島高校スーパーサイエンス部放射線班
       TEAMゆりかもめ測定報告会参加感想 安達高校自然科学部
       TEAMゆりかもめ報告会に参加して  洛南高校 宮岡玲奈

● 新聞掲載記事:

朝日新聞
(8月12日掲載記事)
  福島民報
(8月15日掲載記事)
  福島民友
(8月16日掲載記事)
   

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放射線の生体影響に関する国際会議(BER2018)

高校生スペシャルセッション概要報告 角山雄一(京都大学環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 助教)


 

第2回高校生スペシャルセッション「おこしやす 京の夏」

概要報告 角山雄一(京都大学環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 助教)

 


TEAMゆりかもめが神戸新聞に掲載されました

※ クリックすると拡大してご覧いただけます 

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Mon, 16 Jan 2017 16:52:14 +0900
一般講演会 https://jein.jp/networkofcs/information-list/lecture/195-networkofcs/1458-lecture.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/lecture/195-networkofcs/1458-lecture.html

 

一般講演会

講 演 会 名 日  時 場   所 テ ー マ 申 込
福島県環境創造センター
開所半年記念講演会
 2017年1月21日(木)・22日
      9時~17時
 福島県環境創造センターコミュタン福島 これでわかる!放射線データ
~科学的に見る目を養おう~
 
 

 
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Mon, 16 Jan 2017 13:45:41 +0900
市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク https://jein.jp/networkofcs.html https://jein.jp/networkofcs.html
 

 

 

 
更 新 情 報
  ● 2021/09/27 市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワークページ内の新型コロナウイルス情報発信ページを、新たに開設した市民と科学者のCOVID-19コミュニケーションネットワーク(通称:コロナネット)のページに移設しました。  
  ● 2020/05/07 新たに新型コロナウイルス情報発信ページを開設しました。今後新型コロナウイルスに関連する有用情報を順次アップしていく予定です。  
  ● 2020/01/09 新たにトリチウム水問題のページを開設し、トリチウム水海洋放出に伴う生物影響に関する根拠論文の検討記事をアップしました。  
  ● 2019/04/12 定期勉強会のページに、放射線研究・・・今後の展望と異分野交流報告をアップしました  
  ● 2019/03/18 放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラムの開催情報及び報告を、一般講演会カテゴリから市民フォーラムカテゴリに移動しました。  
  ● 2019/02/25 定期勉強会のページに、以下の報告をアップしました。
 ◆ 2018年度第1回定期勉強会報告
 ◆ 科学者グループ会議 報告
 
  ● 2019/02/15 定期勉強会のページに、「原発事故 福島の野生生物への影響」研究会の開催情報をアップしました。
ミニシンポジウム「放射線研究・・今後の展望と異分野交流」の開催情報にリンクを張りました。
 
  ● 2018/12/26 一般講演会報告のページ内、『平成30年度「科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成型」報告会』の報告に、新たに情報を追加しました。  
  ● 2018/11/29 一般講演会報告のページに、『平成30年度「科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成型」報告会』の報告をアップしました。有馬朗人氏のビデオメッセージを掲載しています。  
  ● 2018/11/10 一般講演会報告のページ内、放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラム報告のページに「まとめ」(企画書・業務成果報告書・業務表・報告まとめ)を追加しました。  
  ● 2018/10/26 一般講演会のページに、『平成30年度「科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成型」報告会』の開催情報をアップしました。  
  ● 2018/09/12 TEAMゆりかもめのページ内に、第2回高校生スペシャルセッション「おこしやす。京の夏」概要報告をアップしました。  
       
  過去の更新情報を見る...  

 


 

 
 
 
             
 
 
 
             
   
   
 

 
    <過去の活動情報>
 
 
        開催は中止となりました
 

 
 

 
 

 

<関連ページ>

東日本大震災情報発信ページ
 
ふくしまおひさまネット
 
低線量放射線検討会
         
   
JMELODI プロジェクト
   

 

 

「市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク」プロジェクト(通称:「CAS放射線ネット」)は、NPO法人あいんしゅたいんが提案・推進する「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーションのネットワーク構築」が科学技術振興財団(JST)の科学コミュニケーション推進事業”ネットワーク形成型”に採択されたことに基づきスタートしましたが、JST採択事業自体は、3年間の期間満了により2019年3月末日をもって終了しています。
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 16:03:23 +0900
活動情報一覧 https://jein.jp/networkofcs/information-list.html https://jein.jp/networkofcs/information-list.html

 

活動情報一覧

 
 
 
 
             
 
 
 
             
   
   

 


 

<特設サイトリンク>

特設サイトは、科学技術振興財団(JST)の科学コミュニケーション推進事業”ネットワーク形成型”採択事業が期間満了により終了したことに伴い閉鎖しました。

 
 
 
             
 
 
   
             
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 02:16:14 +0900
ご挨拶 https://jein.jp/networkofcs/information-list/greeting.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/greeting.html

 

ご挨拶

このたび、科学技術振興機構(JST)、科学技術コミュニケーション推進事業、問題解決型科学技術コミュニケーション支援「ネットワーク形成型」に、「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーションのネットワーク基盤構築」が採択されました。
これは、市民とともに作り上げた「放射線 必須データ32」の実績が認められたのだと思います。福島の原発事故は、低線量放射線の人体に対する影響がどの程度のものであるのか、情報が飛び交い、混乱した状況が続きました。そして今もなお、そのことが復興の妨げになっています。

私たちは、専門の異なる科学者の間で、市民と避難者と科学者の間で、率直にわからないことを出し合い、今どこまでわかっているのか、ちゃんと元の文献に戻って調べてみようと、専門の枠を超えていっしょになって議論しあい、勉強しあって、この本を仕上げました。これには私たちの思いが込められています。
5年がかりで出来上がったこの本をもとにして、さらに多くの方が後今一度勉強しあい調べなおして、今度は福島の問題にも迫りたいと思っています。 

そんな思いを込めた企画です。どうか皆さんも仲間になってください。そして楽しみつつ、たくさんのことをお互いに教え学びあう仲間を増やしていきたいと願っています。
ご遠慮なく、これから企画する「市民フォーラム」「連続勉強会」「白熱教室」などに参加いただきますよう、お待ちしております。

NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん 理事長 坂東 昌子

 

 

 

これまでの取組「放射線必須データ32」ができるまで

 

 

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 04:51:31 +0900
放射線 必須データ32 https://jein.jp/networkofcs/information-list/greeting/data32.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/greeting/data32.html

 

市民も科学者も一緒にサイエンスを! 市民と科学者で作った「放射線 必須データ32」

「みんなが、自ら考える為の資料、いったん、自分の希望や方向を捨てて、客観的に理解し、その上で、方針をたてるという姿勢を、貫いていくことの大切さが、今求められているのだ、ということを再認識いたしました。その方針で、データを整理するという方針を貫きたいと思いました。」

これはある日のメールのやり取りで、市民のおひとりである土田さんが書いてくださったメールです。彼女は「放射線 必須データ35」にファシリテータとして編集者の艸場さんとともに、疑問に思うこと、わからないことなどを市民の目から見つめて意見をぶっつける役目を果たしてくださった。最初のうちは質問が多かったが、だんだん中身を理解していくうちに、次第に本格的な議論も出てくるようになりました。中でも一番私たちの弱点であった疫学の部分について、新しく田中司朗先生が加わってくださり執筆にとりかかったころの議論を紹介しましょう。

● ファシリテータの質問

「疫学」とは、どこまでを指すのかをお伺いしたかったのですが、私のイメージとしては、「行政の責任は、社会の利益を考えたときに合理的な判断を行うことであり、科学的真実が分からなくても行動すべき状況があり得る。」という部分は、疫学の範囲ではなく、行政の範囲のように思い、削除してみました。田中先生にお伺いしたいのは、疫学とは、「対策を提案することまでを含む。」のですか?価値観(みたいなもの)を削ぎつつ、疫学の位置づけを客観的に語ることは、「可能」あるいは「是」でしょうか?

● 著者の答え

社会における疫学の位置付けを語る, という意味ならば不可能です. 例えば, 「コレラの感染源が井戸水という傾向が見られるが統計的に有意でない」ときに,科学的に正しいのは何も行動しないことですが, 社会的に正しいのはとりあえず井戸水を使用しないことですよね.

● ファシリテータの質問

私のイメージとしては、「コレラの感染源が井戸水という傾向が見られるが統 計的に有意でない」 というところまでが、疫学で、「この井戸水を使用しない。」と決めるのは、行政の範囲のように思っていました。疫学とは、「統計的に有意でないが、コレラの感染源が井戸水という傾向が見られるので、井戸水を使用しないことを提案する。」あるいは、「コレラの感染源が井戸水という傾向が見られるが 統計的に有意でないので、井戸水を使い続けるべきだと提案する。」ことなのですか?私は、この場合に「何もしないのが科学的に正しい。」とは、思いません。科学的に言えることは、「コレラの感染源が井戸水という傾向が見られるが 統計的に有意でない」ということまでで、その先、井戸水を使用するかどうかは、住民や行政が決めることだと思うのですが。疫学の捉え方を私が誤っているようでしたら、正しい範囲が分かるように書いていただきますよう、お願い致します。

こんな議論が飛び交った5年間でした。メールの数は3000をこえ、メール上ン議論で済まない時はファシリテーターが直接研究所に出かけたり、あるいはスカイプで直接議論することもたびたびで、けっこう厳しい意見に著者が何度もたじたじとなったものでした。
私の場合も、ショウジョウバエの実験を紹介するのに、そこに出てくる劣性致死とはどういうものか説明がややこしいので、ちょっとごまかして論理がつながらないけどまあいいか、と思っていたら、案の定、「この文章だけではつながりません」と指摘され、やっぱりごまかしてはダメだと書き直したり、と大変でした。
そういう議論がもとになって6年もかけて完成したのが、「データ32」です。5年も経つうちに、市民のほうも飛躍的にレベルが上がってしまい、ちょっと難しい本になったかもしれませんが、市民と科学者がこんなに綿密に議論して対等平等にやりあった経験は、世界でもちょっとないのではと誇りに思っています。

これはある時の逸話ですが、放射線生物学のある偉い先生の研究所でファシリテーターや編集者を交えて忌憚のない意見交換をしていたところ、それを見ていた秘書の方が、びっくりされたことがありました。秘書の方にとっては、市民と科学者が同じテーマを巡って、対等に意見交換をする場面を見ることは珍しかったのでしょう。

あいんしゅたいんの議論はいつもこんな調子で、市民も科学者も目の前にあるテーマを理解したいという共通の思いのもと、誰もが疑問に思うことをはっきりと口にします。市民であっても、若い人であっても、おかしいと思ったら、相手が偉い先生であろうが、年長者であろうが、正直にぶつけるのです。「正しいことを知るために議論する」ということを一番の目的として皆で共有する時には、大切なのは意見や疑問の内容そのものです。それを誰が発言したかという、発言者のいわゆる「社会的地位」は関係ないのです。この気風は、実は湯川秀樹先生をはじめとする素粒子論グループの研究室では常に支配していたもので、相手が湯川先生であろうが間違っていると思えば若手も意見を当たり前のようにしていました。真実を追求するのに、階層も性別も人種の違いもありませんでした。そういう中から、新しい知見が得られ、真実が明らかにされていくのです。「進取の気風」は、真実を求めるためにはみんな平等だという考えに基づいているのでした。新しく知の地平を切り開く科学者の集団には、どこでもこの気風が漂っているのではと思います。
しかし、これまでは、それはあくまで専門科学者集団のなかでの話でした。ところが、今回は、分野を超えた問題でもあり、それが社会に直接影響を与える課題についての議論です。私たちは、物理学・生物学・医学と、異分野の科学者が集まって議論を始めてみると、専門が異なると、考え方も判断の仕方も違うことを発見しました。その壁は市民と科学者の壁よりひょっとして厚いかもしれません。議論していると市民のほうが素直に分かり合える場面も何度も経験しました。いわば、市民は専門の異なる科学者の間をつなぐ素晴らしいネットワークを作る主人公なのだということを改めて痛感したのです。そして市民も科学者もお互いにたくさんのことを学ぶことができたのです。

こうした積み重ねの上にできたこの本はちょっとそこらの専門家の書いたものとは趣が違います。そんな関係をもっとたくさんの方々と共有できたら、みんながサイエンスを楽しめるし、生活の役に立てるところまで持っていけると思います。


「放射線 必須データ32」へ至る取り組み

● 2011年の勉強会や市民講座の様子

3.11の年に入学した学生たちとの勉強会が科学者も巻き込んでひろがっていきました。また、この年にはJSTの支援により、市民講座をはじめることができました。やがて、異分野の科学者が一堂に集まった研究会も開かれました。

● やがて活動は福島へ

2011年から始まった活動はやがて発展し、福島での活動にもつながりました。福島の高校生の取り組みを聞かせてもらうこともありました。

● 海外の研究者たちとの交流

市民と語らい、福島の現状を知った上で、ヨーロッパの放射線影響の研究に取り組むMELODI国際会議にも出席しました。2015年の秋にはUNSCEARのワイズ博士らが来日し、交流しました。

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 06:22:39 +0900
評価委員紹介 https://jein.jp/networkofcs/information-list/introduction.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/introduction.html

 

評価委員のご紹介

科学技術振興機構(JST)、科学技術コミュニケーション推進事業、問題解決型科学技術コミュニケーション支援「ネットワーク形成型」に採択された、「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーションのネットワーク基盤構築」を評価していただく3名の外部評価委員の先生方をご紹介いたします。

 

   
志水隆一 評価委員   滝順一 評価委員   米倉義晴 評価委員

 

{tab=志水隆一評価委員}

志水隆一(Ryuichi SHIMIZU)

日本学術振興会:産学協力会理事、総合研究連絡委会議・運営連絡委員会委員長、産学連携研究委員会委員長会議議長
大阪大学産学連携本部招聘教授
福島第一原発事故直後より日本学術振興会福島支援特別事業に従事

略 歴: 1964年 大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻修了(工学博士)
  1965年 大阪大学工学部助手
  1986年 大阪大学工学部教授(応用物性学講座)
  2000年 大阪大学定年退官(名誉教授)、大阪工業大学情報科学部 教授、リエゾンセンター長
  2011年 大阪大学産学連携本部特任・招聘教授
     
  この間、Tuebingen 大学客員研究員(1965)・フンボルト研究員(1966)・California大学(Berkeley)電気工学&コンピュータ科学科客員教授(1977)・フンボルト招聘教授(Max Planck Institute fuer Metall Forschung, Sttutgart、1995)
Surface&Interface Analysis Regional Editor(1998), ISO/TC201(Surface Chemical Analysis)国際議長(1998)
国際高等研究所シニアフェロー(2006))
 
一 言: 福島第一原発事故直後に、京都を舞台に坂東先生が展開された「放射線低線量被爆の人体への影響」についての市民講座は、市民(住民)と科学者が同じ目線でこの問題を直視しようという画期的なものでした。 私もその末席に連なり坂東先生の真摯な取り組みに深い感銘を受けた一人でもあります。 ? この度、JST科学技術コミュニケーション推進事業の一環として、「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーション基盤構築」(三年間)を推進されるに当たり、どのような新しい 展開を目指されるのか括目しております。近未来に想定される大災害への貴重な一石になることと期待してやみません。

{tab=滝順一評価委員}

滝順一(Junichi TAKI)

日本経済新聞社 科学技術部編集局長付き編集委員

略 歴: 1979年 早稲田大学製時経済学部卒業
同年、日本経済新聞社入社 編集局産業部に配属
  1981年 日本経済新聞社新潟支局
  1984年 新潟支局科学技術部・同局国際部
  1989年 米州総局ワシントン支局
  1992年 編集局科学技術部
  1993年 大阪本社経済部編集委員 
  2002年 編集局科学技術部編集員
  2004年 編集局科学技術部長
  2007年 編集局科学技術部編集委員
  2009年 論説委員を兼務
  2016年 科学技術部編集局長付き編集委員

{tab=米倉義晴評価委員}

米倉義晴 (Yoshiharu YONEKURA)

医学博士(京都大学)
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)議長

略 歴: 京都大学医学部医学科卒業同大学院医学研究科博士課程単位修得退学
  1995年 福井医科大学高エネルギー医学研究センター・教授、同センター長
  2005年 「国際放射線防護委員会(ICRP)」第三専門委員会(医療放射線防護)委員
  2006年 独立行政法人放射線医学総合研究所・理事長
  2007年 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」日本代表
  2011年 日本学術会議会員
  2015年 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」議長
  2016年 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構・理事長顧問
 
専 門: 放射線医学、核医学、放射線防護。主な研究テーマは機能画像医学で、特に陽電子断層撮影(PET)による循環代謝画像法の開発、脳機能画像の研究
 
著 書: 『臨床医のための核医学検査 -脳-』(金芳堂 1991)、『脳のイメージング -脳のはたらきはどこまで画像化できるか-』(共立出版 1994)(共著)、『知っていますか? 医療と放射線』(丸善 2007)(共著)など。
日本核医学会賞(1985年)
 
一 言: 放射線は目に見えないし、それを感じることもできないので、普段の生活で私たちが放射線を意識することはありません。しかし、目に見えないからこそ、原子力事故や放射性物質の漏えいなどによってまき散らされた放射性物質が、私たちの身体にどのような影響を与えるのか、とても不安になります。
? 放射線の影響を科学的に明らかにするためには、これまでに報告された多くの論文や膨大な実験データを客観的に見直して、何がどこまで明らかになっているのかを取りまとめる作業が必要です。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、放射線のレベルと影響に関するデータや論文を科学的に取りまとめて毎年国連総会に報告しています。UNSCEARはあくまで科学的な評価を行う委員会で、その報告を参考にして他の国際機関や各国政府が防護の仕組みや施策を決めています。
? 放射線に関する科学的な知見を、専門外の方々にどのようにしてわかりやすく伝えるかが大きな課題だと思っています。放射線は目に見えなくても測ることができます。それに加えて、これまでの科学的な知見を正確に理解することが、本事業の達成に役立つものと期待します。
 
評 価: 科学技術振興機構(JST)の支援を受けてきた「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーションのネットワーク基盤構築」が事業の最終年度を迎え、これまでの活動の取りまとめの会議が開かれた。2019年3月8日に京都大学・東京オフィスにおいて開催された「放射線研究・・・今後の展望と異分野交流」の会議には、放射線の人体への影響に関心を寄せる一般市民から、ジャーナリスト、産業界、そして放射線科学を専門とする研究者まできわめて多様な背景を持つ参加者が集まり、それぞれの立場から活発な意見交換を行った。翌3月9日には、前日の議論を受けて「市民と科学者の共同作業を進めるために」と題する討論会が開催され、福島において問題となっている甲状腺がんの検査や個人線量評価など個別のテーマについて議論が進められた。
本事業では、低線量放射線の生体影響に関する様々な考え方や意見がある中で、低線量放射線の人体への影響について市民と科学者が共通の場で意見を交換できるネットワークの構築を目指してきた。市民と科学者の垣根を取り払い、さらに科学者がそれぞれの専門性の枠を超えて率直な意見交換と議論を進めてきた。その中で、現在の科学で明らかにできることの限界や、その情報を幅広く市民に向けて発信することの困難さといった課題が浮かび上がってきた。この2日間の会議においても、異なる考え方を持つ人々が激論を交わす中で、参加者の意識がお互いの立場や意見の相違を乗り越えて、科学的エビデンスに基づいて放射線の生体影響に関する共通の理解を深め、その情報を発信する方向へと意見が集約されていったことは興味深い。
本来、科学者もまた一市民としての立場があり、市民と科学者は対立する構造ではない。ところが、原子力発電所事故のような異常事態が発生すると、それによる被害を受けた立場の市民と、客観的な立場から科学的事実を説明しようとする科学者の間には、意識の点で大きな乖離が生じてしまう。単に安全であるという説明だけでは逆に不安を増大させ、科学者に対する不信感を招くことになる。科学者や研究者は、自分たちの専門領域の知識や情報には精通しているが、他の領域を幅広く見通すことは必ずしも得意ではない。異なる専門性を持つ研究者が分野を超えて協力することによって、科学技術の新たな展開が生まれるが、このような異分野交流が成功する鍵はお互いの専門的立場の相互理解から始まる。市民と科学者の垣根を超えた交流を進める上でも、お互いの立場を理解することが出発点となる。さらには、率直な市民感覚からの問題提起が新しい科学の礎となる。このような活動を進めることによって、低線量放射線の影響についての共通の理解を深めるための基盤が構築されつつあることを実感した。

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 04:32:15 +0900
年間スケジュール https://jein.jp/networkofcs/information-list/schedule.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/schedule.html

 

年間スケジュール

{tab=2016年}

日 程 イ ベ ン ト
 7月  21日(木)  定期勉強会 第1回
 8月  12日(金)  定期勉強会 第2回
 17日(水)  定期勉強会 第3回
 28日(日)  市民小フォーラム 「知りたいこと、伝えたいこと 〜放射線被ばく影響の科学的考え方〜」
 9月    2日(金)  疫学ゼミ 第1回
 16日(土)  疫学ゼミ 第2回
 10月    5日(水)  疫学ゼミ 第3回
 20日(木)  定期勉強会 第4回
 31日(月)  定期勉強会 第5回
 11月  28日(月)  定期勉強会 第6回
 12月  11日(日)  白熱教室2016 「基準値以下」をどう捉えるか? 福島産食材にまつわる問題を巡って

{tab=2017年}

日 程 イ ベ ン ト
 1月  21日(土)
 22日(日)
 福島県環境創造センター開所半年記念講演会
 2月  12日(日)  TEAMゆりかもめ 結成会
 4月  30日(日)  定期勉強会 2017年度第1回
 5月  21日(日)  放射線と計測に関する講習会
 6月    4日(日)  放射線と計測に関する講習会
 TEAMゆりかもめ 第1回報告会
 25日(日)  放射線と計測に関する講習会
 7月  23日(日)  放射線と計測に関する講習会
 8月    6日(日)  定期勉強会 2017年度第2回
 11日(金)  TEAMゆりかもめ 測定報告会 2017
 12日(土)  おもしろ科学教室 in 福島
 27日(日)  定期勉強会 2017年度第3回
 9月  6日~10日  第2回飯館村環境放射線研修セミナー
 10月  15日(日)  おもしろ算数塾 2017 第4回
 29日(日)  定期勉強会 2017年度第4回

{tab=2018年}

日 程 イ ベ ン ト
 1月     7日(日)  定期勉強会 2017年度第5回
 26日(日)  定期勉強会 2017年度特別企画
 2月    4日(日)  おもしろ算数塾 2018 第1回
 3月  18日(日)  放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラム
 4月  22日(日)  2018 おもしろ算数塾 Hop編 愛1回
 5月  13日(日)  2018 おもしろ算数塾 Hop編 愛2回
 19日・20日  福島県郡山市出張授業 ~京都・北海道から科学者達がやって来る
 6月  10日(日)  2018おもしろ算数塾 Step編 第1回 
 7月   8日(日)  2018おもしろ算数塾 Step編 第2回 
 28日(土)  TEAMゆりかもめ 夏の陣
 8月  18日・19日  2018おもしろ算数塾 Jump編

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 11:04:26 +0900
市民フォーラム https://jein.jp/networkofcs/information-list/lecture/195-networkofcs/1404-forum.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/lecture/195-networkofcs/1404-forum.html

 

市民小フォーラム
「知りたいこと、伝えたいこと ~ 放射線被ばく影響の科学的考え方 ~」

 

<開催趣旨>

「科学の信頼を取り戻すこと」、これか゛今回の福島事故の課題て゛す科学への信頼失墜は、人類 の歴史に長く影響するて゛しょう。そんな思いから私たちは、科学者・市民・福島県外避難者、学生か゛一緒になって放射線の影響についての知識を、噂て゛はなく、事実に基つ゛いて調へ゛てみようと 勉強会を始めました。その成果として5年か゛かりて゛出来上か゛ったのか゛「放射線 必須テ゛ータ32」 て゛す。世界初といってもいいこの共同作業を通し゛て完成したこの本を手掛かりに、これからさら にたくさんの「分かりたい」と思っている方々と議論し、知識を共有していきたいと願っています。 ? その第1弾として、この活動を始めるにあたって皆さんの率直なこ゛意見や「何か゛知りたい か」なと゛意見交換を行いたいと以下のような企画を立てました。放射線の影響について様々な立場から、意見を交換し今後の活動につなけ゛ていきたいと希望しています。これからみんなと手を つないて゛頑張ります! みなさんのこ゛参加を心からお待ちしています。

 

岡林信一氏(市民社会フォーラム代表)コメント


日  時:2016年8月28日(日) 15時~17時

場  所:大阪大学中之島センター10階佐治敬三メモリアルホール

参  加  費:無料(意見交換会参加者は3,000円)

対  象:放射線について科学的に理解したい方

プログラム:

講演会  司会:中島裕夫 (大阪大学助教)
15:00~15:05  初めの挨拶
    嶋田一義(科学技術振興機構科学コミュニケーションセンター調査役)
    中野貴志(大阪大学核物理研究センターセンター長)
15:05~15:25  「市民と科学者を結ぶ放射線コミュニケーションのネットワーク基盤構築」の趣旨と目的
    坂東昌子(NPO法人あいんしゅたいん理事長)
15:25~15:35  「だれに、なにを届けるのか」
    小出重幸(ジャーナリスト)
15:35~15:45  「今、知りたいこと、当時知りたかったこと」
    佐藤勝十志(東日本大震災滋賀県内避難者の会世話人代表)
    西本由美子(NPO法人ハッピーロードネット理事)
15:45~15:50

15:50~15:55
コメント:「今知りたいこと、当時知りたかったこと」
         土田理恵子(「放射線必須データ32」ファシリテーター)
     「『放射線必須データ32:被ばく影響の根拠』では不十分なこと」
         角山雄一(京都大学助教・「放射線必須データ32」編集委員)
 
会場との意見交換  司会:角山雄(京都大学助教)
16:00~17:00  会場から意見を募り、講演者や著者を交えて議論します
 
意見交換会  
17:30~19:30  会 費:3,000円(希望者のみ)
 場 所:9F交流サロン「サロン・ド・ラミカル」

申  込:http://networkofcs.xsrv.jp/citizenforum.html

問合わせ:application-ncs@jein.jp 

主  催:NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん
共  催:市民社会フォーラム


★ 市民小フォーラム参加者アンケート調査結果はこちら

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 06:35:06 +0900
疫学ゼミ https://jein.jp/networkofcs/information-list/epidemiology-seminar.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/epidemiology-seminar.html

 

京阪奈放射線疫学ゼミ
福島甲状腺癌疫学論文を読むための統計学

<スケジュール>

回 数 日  時 場   所 ポスター 内  容
第1回  2016年9月2日(金)  17時~19時  関西大学 千里山キャンパス第4学舎1階4102教室 当日資料 報告
第2回  2016年9月16日(金) 17時~19時  大阪大学 大阪大学医学系研究科共同研7階セミナー室 当日資料 報告
第3回  2016年10月5日(水) 17時~19時  京都大学 医学部キャンパスG棟3階311室 当日資料 報告

 

疫学ゼミに関する受講者のまとめ
 
  

 

解 説 論 文
     
Tsuda, et al. Thyroid cancer detection by ultrasound among residents ages 18 Years and younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014. Epidemiology 2016

Ohira Tet al. Comparison of childhood thyroid cancer prevalence among 3 areas based on external radiation dose after the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident: The Fukushima health management survey. ,Medicine (Baltimore). 2016 Aug;95(35):e4472.  

D.B. Richardson et al. Risk of cancer from occupational exposure to ionising radiation: retrospective cohort study of workers in France, the United Kingdom, and the United States (INWORKS) BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h5359 (Published 20 October 2015) Cite this as: BMJ 2015;351:h5359  

Little. MP. Ionising radiation in the workplace.  

低線量放射線による人体影響への疫学的調査

津田氏の甲状腺癌の論文をメインに、同じデータを使用しているohira氏の論文や、低線量放射線の影響について欧米で行なわれているINWROKSの論文なども読み進めております

 

注  意  点 複数の方から、この論文への問題点をご指摘いただき、また、このゼミの開催趣旨についてご意見をいただきましたので、ご説明申し上げます。
今回のゼミの開催趣旨は「この論文の内容を鵜呑みにする」というものではございません。統計の専門家である田中が統計の観点から論文の内容を解説することで「論文を読み解く統計的手段を身につける」というものです。この論文を題材に選んだ理由は、まず査読を通った論文であること、そして現在の放射線関連の問題の中で社会的に関心の高いテーマであることの2点です。内容を統計学的にきちんと読み解いた上で、論文固有の問題点や、疫学や統計で明らかにできる範囲はどこまでなのか、といったことを議論できればと思っております。
よろしくお願いいたします。
   
概  要 放射線生体影響に関心のあるあらゆる分野の科学者を対象に、全3回のゼミを企画しました。福島原発事故後に、以下のような疫学研究の結果が報告されています(詳しくは以下の抄録をご覧ください)。理解に必要な統計学・疫学を補いつつ、京都大学医学研究科に所属する統計学・疫学の専門家がこの論文について解説します。医学以外の分野や学外の方も歓迎ですので、奮ってご参加ください。
   
論文鍾愛 背 景 2011年3月の東日本大震災と津波の後、福島第一原発から放射性物質が放出され た。これまで得られた知見から、その結果、被ばくした住民で甲状腺癌発生が増加するかどうかが懸念された。
  方 法 放出後、福島県は超音波甲状腺検診を18歳以下の全住民に行った。第一回検診参加者は298577であり、2014年4月に第二回検診が開始した。我々は、2014年12月31日までの第一回・第二回検診の県内の結果を解析し、日本の年間発生数と福島県の基準地域内の発生数と比較した。
  結 果 4年間の潜伏期間を用いると、日本の年間発生数と比べた最も高い発生率比は、県の中央地域でみられた(発生率比50倍、95%信頼区間25~90倍)、甲状腺癌の有病数は100万人あたり605人(95%信頼区間302~1082人)であり、福島県内の基準地域と比べた有病オッズ比は、2.6倍(95%信頼区間0.99~7.0)であった。第二回検診で、残りの参加者に疾患がなかったという仮定の下でも、12倍(5.1~23倍)の発生率比が既にみられた。
  結 論 福島県の子どもと青年では、放出の4年以内に甲状腺癌の増加が超音波により検出されており、これはスクリーニング効果によって説明できそうにない。
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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 12:44:55 +0900
受講者まとめ https://jein.jp/networkofcs/information-list/epidemiology-seminar/summary.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/epidemiology-seminar/summary.html

 

 

福島健康調査の論文を巡る現時点での結果についてまとめ ~ 疫学ゼミを通して ~

概要

市民と科学者のコミュニケーションネットワークの企画による勉強会は、キックオフミーティング(8月28日)のすぐあと9月頭から実行に移され、この疫学の勉強会が始まりました。 勉強会では、今、最も関心の高い福島県民健康調査に関する様々な意見について、科学的にどこまで結論を出すことができるのか理解するため、疫学の専門家である田中司朗先生の助けを借りて複数の論文を読むこととなりました。 福島県民健康調査に関する報告では、すでに本格調査の結果についても、この4月にその一部が発表されていますが、ここでは先行調査のデータを用いた福島での甲状腺癌のデータをまとめた論文を検討しました。代表的な論文のうち、増加が見られたと主張する論文と増加は見られなかったと主張する2本を詳細に読み、比較しました。その結果、どちらも解析手法や統計の処方で不十分にならざるを得ない部分があるため、それらの問題点をしっかり押さえ、今後の推移を見守ることが大切だということとなりました。勉強会としては、先行調査の結果からは確定的なことは言えず、本格調査との比較を待つ必要があるという結論に達したということです。

先行調査を分析した2つの論文は、前者が津田ほか2人の著者による論文、後者は大平ら16人に及ぶ著者による健康調査委グループによるものです。そもそも福島県民健康調査委員会は、「先行調査は本来、本格調査との比較をする目的で、放射線の影響が出る時期より以前と推定される期間に行われたもので、福島県民の被ばく前の状態を調べるべく行なわれたもの」という位置づけです。それによれば放射線の影響が出ていなくて当然という前提があったわけです。 以下に、二つの論文の大まかな内容と、問題となる点をまとめました。

内容1:甲状腺癌が増えているとする津田氏による論文の概要

先行調査の段階で、すでに甲状腺癌が増えているとする津田氏の論文では、二つの方法で甲状腺の増加の有無を検討しています。そのうち一つで統計的に有意に増え、もう一つでは、有意とは言えないものの増加の傾向が否定できないと結論づけています。 まず、はっきりと増加したと結論した解析方法について問題点を見て行きましょう。この方法では、先行調査によって福島県内で発見された甲状腺癌を持つ人の割合と、いくつかの県でのがん登録(病院でがんと診断されたときに登録するもの)されたがん患者の割合とを比較しています。今回行われた先行調査では、福島県に事故当時在住していた18歳以下の全員を対象にしており、これまで(実際にはがんの初期であったとしても)がんの自覚症状が無い人も含めてすべて検診しています。今回の超音波診断は、かなり微小なしこりや嚢胞も検出できる精密検診を執行しました。これに対し、比較対象として用いられたがん登録では患者本人ががんの自覚症状があって対象者が受診した結果登録されたものです。そのため、従来のがん登録ではがん患者はかなり少なくなってしまうことは推察されます。実際、すでに超音波検診の世界各国のデータからこの推察は確認されており、がん患者の数を数える方法が違うと簡単には数を比較できないことがわかっています。このことは、統計のテキストにも書かれていて、多くの検証結果があります。この特徴を抑えないと「多い」とか「少ない」とかいう判断はできないわけです。津田氏もこのような効果について考慮したことは論文で述べていますが、どのような比較でどの程度の数値になったかは示されていません。一方、先行調査では福島県以外(長崎県、山梨県、青森県という日本の中の3県)で同様の方法で検診が実施され、その結果が健康調査委員会の報告として発表されています。その結果をみると、データとしては少ないですが、そこでのがん発見者の割合は福島県での結果と比較しても「有為な差がなかった」ことが報告されていますが、津田氏はそれには触れていません。がんの検出方法の違いを考えた上で、放射線とは無縁の比較対象を設定する(このように全く関係のないところに比較対象を取ることを外部比較といいます)のなら、コントロールを「同じ検診方法で注意深く調査した3県のデータ」のほうが、従来の「がん登録」のデータよりはより正確ではないかとも思われます。ただ、3県のデータは数が少なく県ごとのがん患者の数は、かなりのばらつきがあるので、統計的には完全とは言い難いと言えます(しかしながら疫学的観点から言えば外部調査として3県のコントロールを取った県民調査実施団体の見識は評価できるのではないかと思われます)。  また、残念ながら、事故前の福島県でのデータが存在しないので、津田論文では、「先行調査で発見されたがんの比率(prevalence)、全て事故由来で事故後に発生したがんである」という仮定をしています。そして、事故後4年間のうちに、すべてのがんが発生したとしてがん発症率(incidence)(1年あたり新たに発症する割合:/年)を求めています。  先に述べた他県(長崎、山梨、青森)との比較において差が見られないことなどを考えるとこの仮定が正しいという保障はありません。また、今回の先行調査のように、ある時点の一回での調査では、いつの時点でがんが発生したかわからないため、疫学ではこういう形での発生率の算出は通常行ないません。もっとも、過去には、病気である期間が皆同じで、新たに病気になる人、病気から回復したり亡くなったりして患者数からは出て行く人の数が同じで、患者割合が常に一定になる(つまり定常状態)ときには、ある時点での調査での患者割合から発生率を出すことも行なわれてきましたが、この仮定を満たす状況が少ないため、最近ではあまり使わなくなり、標準的な疫学の教科書からもこの手法の解説は今では掲載されていないことが多くなりました。  もう一つの方法では福島県内の地域を線量の高低によって分け、被ばくがないと考えられる地域と線量が高いとされる地域で比較することによって線量による効果を見ようとする試みです。この解析手法での結果では、有意と言い切れるほどではないものの増加の傾向にあるとしています。ただ、この解析においては線量の高低というのが単に定性的に分類されているために、どの程度の線量でどの程度、発見割合が増えるかについては何も結論できません。がんの発生確率が数量的に線量とともにどう増加するかを見せないと納得できるものではありません。これに対しては、津田論文が発表された後、様々なコメントが寄せられ、レフリーの要請に従って津田氏が答えているものがあります。そこでは、津田氏は、「先行調査は3年かけて行なわれたため、調査が早かった地域では発見された数が少なく、調査の遅い地域では発見された数が多かったという効果のため、線量どおりの発見割合になっていないのだ」と述べています。もっともな主張ですが、それならその効果も入れて、丁寧に分析することが必要でしょう。そもそもチェルノブイリでも甲状腺癌の発生が増えたのは4年目からだと結論していますが、果たして、1年目~3年目という時間差がどれほどの影響をもたらすのかは検討して納得のいく説明がなければ単なる仮定に過ぎないと思われます。

内容2:甲状腺癌は増えていないとする大平氏による論文の概要

大平論文と津田氏の論文の違いは、線量推定にあります。津田氏がWHOによる地域ごとの線量推定結果をもとに、福島県を3つの地域にわけ、対象者の2011年の時点での住民票の位置から線量を決めているのに対し、大平論文では、調査対象者のうち3割の人から行動記録などのアンケートを回収し、それを元に線量を推定しています。また、それ以外の人についても、福島県をより詳細な線量推定結果により地域を区分し、比較を行なっています。その結果、増加の傾向は見られないとしています。 健康調査グループのほうが公表されているデータ以上の情報を持っていることで、このような詳細な分析ができたのだと思います。その意味では、線量推定については大平論文の方が津田論文より一見すぐれています。しかし、疫学的には、アンケート調査の回収率が3割と低いため、果たしてどこまで詳細に論じるに耐える正確な情報であるのかは不明です。また、その3割の人たちに何か共通する特徴があるかもしれない場合には解析結果に放射線以外の要因が紛れ込んでしまう可能性(交絡因子といいます)があることを否定することができません。 また、アンケート以外で出した結果については、地域ごとに分けて解析を行なっています。こちらでは「高線量の地域」での患者数が1となってしまっており、統計的には不十分になってしまっていることを否めません。やはりこちらも線量という数字との関連を定量的に示すに至っていないという意味では津田論文と同じ欠陥を持っています。

まとめ

以上のように、津田、大平両論文について学びましたが、どちらの論文においても、事故後のがんの発生割合と線量との関係を定量的に示すに至っておらず、がんの増加の有無についても、被ばくとの因果関係についても結論を出せているとは言えません。この4月より一部報告がはじまった本格調査の結果との比較をする必要があると考えられます。  また、この両論文ではどちらにおいても線量推定が不十分であることが明らかにされ、「線量をどのように評価していくか」という今後の本格調査の結果を解析する際の課題があぶり出されました。すでにUNSCEARの報告にも載せられていますが、事故のかなり早い時期に科学者の多くが参加して不十分ながら線量に対して緻密なデータを出しています。これは、かつて広島・長崎で自発的に線量測定を行ない、さらにはビキニ事件後の核実験において海洋での線量分布の精密な調査を率先して行ってきた日本の科学者らの伝統を受け継いだ素晴らしい仕事です。残念ながら、ごく初期の調査については、国の許可がなかなか取れず、時機を逸したために、半減期が8日程度のヨウ素の直接測定は限られています。しかしながら物理的考察から、のちのセシウム等の線量からヨウ素の量を推定した結果も報告されています。もちろん、健康調査における詳細な行動記録から内部被ばくの量を直接測定した数少ないデータもあります。また、上に述べたように十分な調査がなされない中で、あらゆる既存知識を使い、2回の水素爆発における核種の違いまで考慮しながら線量推定を行なった論文(谷畑ら)や、甲状腺に溜まった放射性ヨウ素を直接測定した数少ないデータ(床次ら)もあります。また調査対象者の行動記録としては、避難した人々の足取りを携帯GPSを用いて測定したデータ(早野ら)もあります。このように、苦労して得られた健康調査結果を解析する時には、フルに活用しない手はありません。これらは数量評価を支えるための貴重なデータとなり得ます。  しかし、ともあれ、このような中で結果をまとめ発表されたことは、この問題を多くの科学者が議論し検討していくためには重要であり、両論文とも評価されてもいいと思います。ただ、それは、科学的検討の材料として、科学論文として議論されるべきであり、甲状腺がんと放射線との関連を客観的に理解するためのあくまで「途中経過」であると考えます。また、確定的な結論を得るためには、今後の本格調査の結果を待つ必要があることを科学者は心得ておくべきです。残念なことに、これらの結果は、新聞紙上やツイッターなどで公表され、しかも、どちらも、結論が出たかのような形で発表されました。このような形の発表は、いったいどちらが本当の結論なのか、と市民らの混乱を招く結果にもなりかねません。あくまで、ここまでの分析でここまでわかったということをきちんと伝えるべきです。そうでないならば、市民の前で自己の主張を「科学的結論である」と声高に語るべきではないのではないでしょうか。「どちらもどちらやなあ」と勉強会でみんながため息をついたのは、このような状況を憂いての結果でもあります。私たちは、あくまで公平に「ここまではわかった」「ここからはまだ個人的な推測でしかない」「これからの課題は何か」を見極めるために3回もかけて、2つの論文を検討してきました。みなさんも思い込みや偏見にとらわれずご自分の目でしっかり読んでみてほしい、と願っています。私たちの報告がその一助になれば幸いです。 また、津田氏のように健康調査グループに属しない、いわば外部の科学者が正しい解析をできるためには、線量推定に関するデータも含めて調査結果のデータが公表され、誰もが疑問に感じた時にはアクセスして分析できるようにすべきです。もちろん、そのためには、個人の行動記録など個人のプライバシーに関わるデータに対して個人特定できないような加工が必要ですが、そういったノウハウについては、昨今ビッグデータを扱っている分野での手法が参考になるでしょう。こうした分野の異なった方々にも協力をあおぎ、研究に参入してもらうことも可能かもしれません。 健康調査の今後については、甲状腺がんの予後が比較的良いという性質と手術後のQOLの確保との兼ね合い(短時間で発症する種類の甲状腺がんを除いて、ほとんどの甲状腺がんでは死亡に至らないため、術後の生活の不便を考えたとき、調査による早期発見が幸せにつながるのかという議論があります)などから存続について議論が行なわれています。「誰のための調査か」「何のための調査か」。低線量放射線を長期的に理解して将来の人々の健康に役立てて行くためには、今後も調査を行う必要があるでしょう。そのためには調査を行う側にも調査をされる側にも「人類の健康のために調査を行う必要があるのだ」という目的意識の共有と覚悟も必要です。それと同時に、福島県の方々がより良い医療を受けられる体制を(早期発見後の治療方針を整理し、QOLを下げない医療のあり方を模索することも含めて)確立していくことも重要であり、両者は互いが互いの礎となりながら進められて行くものではないでしょうか。現在、国民健康調査を行なっている福島県立医大のみならず、様々な機関や人々からの協力体制が確立され、市民の理解を得て、健康調査実施がサポートされていくことが大変重要だということで、勉強会参加者らの意見は一致しました。

(文責 坂東昌子・廣田誠子)

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 09:32:53 +0900
定期勉強会 https://jein.jp/networkofcs/information-list/regularly-workshop.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/regularly-workshop.html

 

定期勉強会

{tab=2016年度}

回 数 日  時 場   所 テ ー マ 申 込 内  容
第1回  2016年7月21日 (木) 14時~19時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  放射線と免疫・ストレス・がん 終了   報告
第2回  2016年8月12日 (金) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  第1回担当講師への質問会 終了 当日資料 報告
第3回  2016年8月17日 (水) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  疫学・統計の基礎 終了 当日資料1
当日資料2
当日資料3
報告
第4回  2016年10月20日(木) 18時~20時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  福島国際会議報告会 終了 当日資料 報告
第5回  2016年10月31日(月) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  模擬白熱教室 終了   報告
第6回  2016年11月28日(月) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  チェルノブイリ原発事故 終了 当日資料 概要
報告

{tab=2017年度}

回 数 日  時 場   所 テ ー マ 申 込 内  容
第1回  2017年4月30日 (日) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  寿命の話・・どこまで伸び続けるか? 終了 当日資料 概要
報告
第2回  2017年8月6日 (日) 15時~17時30分  京都大学理学研究科セミナーハウス  福島原発事故6年
     市民と科学者が考えること
終了   概要
報告
第3回  2017年8月27日 (日) 13時~17時10分  京都大学理学研究科セミナーハウス  市民と科学者学習会
    ・・線量の測定でわかること・・
終了   概要
報告
第4回  2017年10月29日(日) 15時~18時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  「トリチウム水」をめぐる
        科学的社会的問題
終了 参考資料1
参考資料2

当日資料 
概要
報告
緊急企画  2017年12月10日(日) 14時~17時  ルイ・パストゥール医学研究センター  教育の未来像
  ・・技術的失業時代に生き残るには・・
終了   概要
報告
第5回  2018年1月7日  (日) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  21世紀科学の課題 終了 講演資料  概要
報告
特別企画  2018年1月26日 (金) 14時30分~17時  ルイ・パストゥール医学研究センター  南相馬の診療から見える
  福島原発事故の健康被害の本体
終了 講演資料  概要
報告

{tab=2018年度}

回 数 日  時 場   所 テ ー マ 申 込 内  容
第1回  2019年1月8日  (火) 14時~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  福島甲状腺検査の論文解説 終了 当日資料  報告
科学者
グループ会議
 2019年1月17日(木) 10時~17時  放射性同位元素総合センター分館  EBR構築に向けて 終了   報告
研究会  2019年2月9日  (土) 13時30分~17時  NPO法人あいんしゅたいん事務所  原発事故後の
   野生動物への影響をめぐって
終了   概要
研究会  2019年3月8日  (金) 10時30分~17時  京都大学東京オフィス  放射線研究 今後の展望と異分野交流 終了   概要
報告

{/tabs}

 

 

参加申込:CAS放射線ネット特設サイト内、お問い合わせフォームよりお申し込みください

備  考:参加申込人数が多数の場合、開催場所を変更する可能性がございます

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 09:45:55 +0900
白熱教室 https://jein.jp/networkofcs/information-list/hakunetsu.html https://jein.jp/networkofcs/information-list/hakunetsu.html

 

開催は諸事情により中止となりました

白熱教室2016
「基準値以下」をどう捉えるか? 福島産食材にまつわる問題を巡って

<開催趣旨>

原発事故当初より福島県産の食品を巡り、危ないか危なくないかの議論が巻き起こってきました。福島県産の農作物や魚介類はベクレル数が検査され、国が制定した基準値を下回ったものが出荷されています。事故当初に世間を賑わせたほどの顕著な風評被害は徐々に落ち着く傾向にあるようですが、未だに福島産の食品は事故前よりも消費者に避けられているという状況が続いています。
「国の定めた基準値をどう捉えるのか」「発表される測定値をどう思うのか」「拭いきれない食品への不安をどうすればいいのか」「食品を巡る問題で、誰がしわ寄せを受けてしまっているのか」「皆が福島県産を避けた結果、一体何が起こるのか」。生産者の事情、消費者の事情、行政の事情、科学の事情など様々なものが絡み合った結果、どのような問題が起きてしまっているのでしょうか。福島県産の食品を巡る問題を色々な立場から考え、この問題を乗り越えて行くためにはどのような方法があり得るのか、高校生たちが織りなす議論から共に考えてみませんか。

 


日  時:2016年12月11日(日) 13:30~16:00

場  所:東京工業大学蔵前会館1F ロイヤルブルーホール

交通アクセスについては、こちらをご覧ください

募集人数:先着30名

参  加  費:無料

プログラム:

13:30~13:50  はじめに(登壇者挨拶・白熱教室の進め方の説明)
13:50~14:50  白熱教室
14:50~15:00  終わりに(聴講者らの判断のとりまとめ・締めの挨拶)
15:00~16:00  自由な意見交換会(任意参加)
 
登  壇  者:坂東昌子(NPO法人あいんしゅたいん理事長)
     宇野賀津子(ルイパスツール医学研究センター主任研究員・NPO法人あいんしゅたいん常務理事)
     高校生代表(首都圏、京阪奈地区)5名程度

申  込:https://www.secure-cloud.jp/sf/1476359446zLcYPYMH

問合わせ:network.citizens.scientist@gmail.com

備  考: 高校生の方で一緒に議論したいという方は登壇者もしくは一般参加者としての募集を行なっております。ご希望の方は、こちらから募集要項ダウンロードし、記載内容をよくお読みの上、要項に付属したお申込用紙よりお申し込みください。

主  催:NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん
共  催:東京工業大学・学術フォーラム「多価値価の世紀と原子力」

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 14:59:16 +0900
参画団体紹介 https://jein.jp/networkofcs/participation.html https://jein.jp/networkofcs/participation.html

 

<参画団体ご紹介>

CAS放射線ネットの企画に参画する各団体のご紹介

市民社会フォーラム
市民社会フォーラムは、思想信条や所属の多様性を前提に人権、民主主義、平和などを発展させる市民社会の創造のために、社会問題について学習し自由に発信する「社会学習ネットワーク」です。
放射線教育研究会
京都放射線教育研究会は、放射線教育の研究と発展を目的として、京都府内の理科教諭や放射線教育担当教員の皆様を対象とした講演や勉強会、また小中高生や一般の皆様向けの講義や実習、教材の開発などを行っております。
東日本大震災滋賀県内避難者の会
東日本大震災滋賀県内避難者の会では「避難者交流会」の開催や様々な支援情報の提供や仲介を行っています。支援情報には表に出ていないものも数多くございます。滋賀県内に避難している方、避難を考えておられる方はご連絡ください。
NPO ハッピーロードネット
ハッピーロードネットは、福島県相双地区の人々が中心となって設立した団体です。子供たちの未来のため、活動を行っています。
学術フォーラム「多価値化の世紀と原子力」

社会科学的側面や宗教を中心に価値観のさらなる多様化がすでに進みつつある21世紀の初頭において、それらの価値観と科学技術そしてその象徴である原子力文明との相互関係を複眼的視点から見つめていく。9.11後の社会との共存から未来にむけて原子力文明は何ができるのか。

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Wed, 23 Nov 2016 07:46:22 +0900
過去の更新情報 https://jein.jp/networkofcs/old-updated-nformation.html https://jein.jp/networkofcs/old-updated-nformation.html

 

過去の更新情報

 2021年9月27日 市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワークページ内の新型コロナウイルス情報発信ページを、新たに開設した市民と科学者のCOVID-19コミュニケーションネットワーク(通称:コロナネット)のページに移設しました。
 2020年5月7日 新たに新型コロナウイルス情報発信ページを開設しました。今後新型コロナウイルスに関連する有用情報を順次アップしていく予定です。
 2020年1月9日 新たにトリチウム水問題のページを開設し、トリチウム水海洋放出に伴う生物影響に関する根拠論文の検討記事をアップしました。
 2019年4月12日  定期勉強会のページに、放射線研究・・・今後の展望と異分野交流報告をアップしました
 2019年3月18日  放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラムの開催情報及び報告を、一般講演会カテゴリから市民フォーラムカテゴリに移動しました。
 2019年2月25日 定期勉強会のページに、以下の報告をアップしました。
 ◆ 2018年度第1回定期勉強会報告
 ◆ 科学者グループ会議 報告
 2019年2月15日 定期勉強会のページに、「原発事故 福島の野生生物への影響」研究会の開催情報をアップしました。
ミニシンポジウム「放射線研究・・今後の展望と異分野交流」の開催情報にリンクを張りました。
 2018年12月26日 一般講演会報告のページ内、『平成30年度「科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成型」報告会』の報告に、新たに情報を追加しました。
 2018年11月28日  一般講演会報告のページに、『平成30年度「科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成型」報告会』の報告をアップしました。有馬朗人氏のビデオメッセージを掲載しています。
 2018年11月10日  一般講演会報告のページ内、放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラム報告のページに「まとめ」(企画書・業務成果報告書・業務表・報告まとめ)を追加しました。
 2018年10月26日  一般講演会のページに、『平成30年度「科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成型」報告会』の開催情報をアップしました。
 2018年09月12日  TEAMゆりかもめのページ内に、第2回高校生スペシャルセッション「おこしやす。京の夏」概要報告をアップしました。
 2018年6月27日 TEAMゆりかもめのページ内で、第2回高校生スペシャルセッション「おこしやす。京の夏」の案内にリンクしました。
 2018年6月4日 一般講演会報告のページに、「福島県郡山市出張授業 ~京都・北海道から科学者達がやって来る」の報告をアップしました。
  2018年5月9日 一般講演会のページに、福島県郡山市出張授業 ~京都・北海道から科学者達がやって来るの開催情報をアップしました。
 2018年4月4日 一般講演会のページ内、放射線の生体影響に関する国際会議(BER2018)に、立ち合い者による書簡を追加しました。
TEAM ゆりかもめのページに、放射線の生体影響に関する国際会議(BER2018)に関する高校生スペシャルセッション概要報告を追加しました。
 2018年4月3日  一般講演会報告のページに、放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラム報告(講演・報告資料及び参加者感想)をアップしました。
 2018年2月19日  一般講演会のページ内、放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラム講演者に関する講演者紹介・講演抄録のページにリンクを張りました。各講演者の名前をクリックしていただくと、特設サイト内の該当ページに移動します。
 2018年1月31日 定期勉強会のページに、市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク勉強会報告をアップすると同時に、市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク勉強会概要のページに講演資料を追加しました。
 2018年1月24日  2017年度第5回定期勉強会の概要報告のページに講演資料を追加しました。
 2018年1月12日  定期勉強会のページに、2017年度第5回定期勉強会報告をアップしました。
 2017年12月15日  定期勉強会のページに、2017年度緊急勉強会の報告をアップしました。
 2017年12月1日  定期勉強会のページに以下の情報をアップしました。
 ◆ 2017年度第4回定期勉強会報告
 ◆ 2017年度第5回定期勉強会概要
 ◆ 市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク勉強会(特別企画)概要
関連情報のページに、「2016年度の活動を振り返る―ヒアリングを受けて」(理事長記述記事)をアップしました。
一般講演会のページに、放射線の生体影響に関する国際会議市民フォーラムの開催情報をアップしました。
 2017年10月5日  関連情報のページに、「福島子どもの未来を考える会」ベラルーシ派遣団同行日記をアップしました。
 2017年9月21日 新たに関連情報のページを開設し、第2回飯舘村環境放射線研修セミナー参加報告をアップしました。
 2017年9月20日 定期勉強会のページに、2017年度第4回定期勉強会の開催情報をアップしました。
TEAM ゆりかもめのページに、TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017参加者の声(洛南高校)を追加でアップしました。
 2017年9月11日  TEAM ゆりかもめのページに、TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017の記録と感想・参加者の声・掲載新聞記事をアップしました。
 2017年9月8日  定期勉強会のページに以下の報告をアップしました。
 ◆ 2017年度第2回定期勉強会報告
 ◆ 2017年度第3回定期勉強会報告
一般講演会のページに、おもしろ科学教室 in 福島の報告をアップしました(「お手軽実験工作タイム」の動画も閲覧できます)。
 2017年7月20日 TEAM ゆりかもめのページに、TEAM ゆりかもめ測定報告会 2017のお知らせをアップしました。
一般講演会のページに、おもしろ科学教室 in 福島の開催情報をアップしました。
 2017年7月9日 定期勉強会のページに以下の勉強会の開催情報をアップしました。
 ◆ 2017年度第2回定期勉強会
 ◆ 2017年度第3回定期勉強会
 2017年6月11日 TEAM ゆりかもめのページに、TEAM ゆりかもめ第1回報告会の議事録・コメントなどをアップしました。
 2017年5月30日 TEAM ゆりかもめのページに、第1回報告会のお知らせを掲載し、参加者募集を開始しました。
 2017年5月6日 定期勉強会のページに2017年度第1回定期勉強会の報告をアップしました。
 2017/4月16日 定期勉強会のページに2017年度第1回定期勉強会の開催情報をアップしました。
 2017年2月15日 福島県環境創造センター開所半年記念講演会参加報告に、参加学生による報告を追加しました。
 2017年2月10日 福島県環境創造センター開所半年記念講演会参加報告をアップしました。
 2017年1月16日 市民フォーラム疫学ゼミ白熱教室のページを過去の活動情報カテゴリに移動し、新たに一般講演会及びTEAM ゆりかもめのページを開設しました。
一般講演会のページに、福島県環境創造センター開所半年記念講演会のお知らせをアップしました。
TEAM ゆりかもめのページに、TEAMゆりかもめ結成会のお知らせを掲載し、参加者募集を開始しました。
市民フォーラムのページに、参加者アンケートの調査結果を掲載しました。
 2016年12月8日 開催中止となった白熱教室の元共催団体である、東工大澤田氏単体による白熱教室の情報をアップしました。
 2016年12月5日
白熱教室の開催が中止となりました。

本企画主催による白熱教室2016は諸事情により中止となりました。皆様には多大なるご迷惑をおかけすること、深くお詫び申し上げます。


中止に至る経緯

当初、白熱教室のテーマとして「福島甲状腺癌調査を続けるべきか否か」という話題を扱う予定をしておりました。しかし、内部より「福島県の県民の皆様や現地で医療にあたられている方、行政の方々の大変さを知らない私たちが、彼らという当事者を経由せずにこの問題を取り扱い、外野が勝手なことを議論するのは彼らへの敬意に欠ける行為ではないか」という指摘があり、一度は福島産の食材や、食材の基準値にまつわる問題へと、11月22日にテーマの変更をいたしました。
しかしながら、共催側において、10月の時点で登壇予定となる高校に「甲状腺癌の話題である」旨を周知していたことから、テーマの変更は受け入れられないとの申し入れが12月5日になってあり、JSTの企画から東京工業大学の学術フォーラム「多価値化の時代と原子力」の主催に変えて甲状腺癌のテーマで白熱教室を行なう旨の通達を受けました。
共催側で会場を抑えていただいていたこと、当事者の方々の気持ちを踏みにじるような可能性のある行為は本企画の主旨とは合わないことから、NPO法人あいんしゅたいん主催での白熱教室は中止とさせていただくこととなりました。


 
直前のキャンセルとなり、当企画の活動を見守っていただいている皆様の信頼を裏切るような形となったこと、誠に申し訳ございません。また、観覧申込をしていただいた方にはお詫びのしようもありませんが、共催側からイベントの詳細をいただき次第、ご案内させていただきます。
このたびの不手際について深くお詫び申し上げます。
 

 
開催中止となった白熱教室の元共催団体である東京工業大学学術フォーラム「多価値化の時代と原子力」主催による白熱教室2016の情報をお知らせします。ご興味のある方は、こちらをご覧の上、文書内の案内に従ってお申込みください。
なお、当法人では問い合わせ・申込対応は行っておりませんので、悪しからずご了承ください。
 2016年11月30日 定期勉強会のページに第6回定期勉強会の報告をアップしました。
 2016年11月24日 あいんしゅたいんホームページ内、CAS放射線ネットのページをリニューアルし、CAS放射線ネットに関する全ての記事を、あいんしゅたいんホームページ内にて閲覧できるようにしました(11月9日以前の下記更新情報は、特設サイトの各ページへのリンクとなっております)。
 2016年11月23日 定期勉強会のページに第5回定期勉強会の報告をアップしました。
 2016年11月22日 白熱教室のテーマを変更しました。

「福島県民健康調査を巡って」からのテーマ変更に関して

当初、私たちは福島県民健康調査をこの白熱教室のテーマとしておりました。
しかしながら、県民調査の当事者は、福島県民、並びにに県の医療関係者、行政関係者です。そのため、こういった当事者らを経由せずに、このテーマを東京開催の白熱教室で取り扱うことは、当事者への敬意に欠けるものではないかという問題提起が起こり、長い議論の末、急遽テーマを変更をいたしました。
福島県産の食品の問題やそれに関連する風評被害の問題は福島県に住む人のみならず、東京及び全国の消費者も関係のある問題といえ、社会全体で考えて行くことにふさわしいと考えております。
急遽テーマを変更し、皆様にはご迷惑をおかけしますことを深くお詫びいたします。また、以前のテーマにおいて不愉快になられた当事者の方ががいらっしゃれば、その方々にもお詫び申し上げます。
既に申し込まれた方には別途変更のお知らせ、及びその上での参加確認を送らせていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
 2016年11月9日 定期勉強会のページに第6回勉強会開催のお知らせを掲載し、参加者募集を開始しました。
 2016年11月3日 定期勉強会のページに第4回勉強会の議事録をアップしました。
 2016年10月24日 定期勉強会のページに第5回勉強会開催のお知らせを掲載し、参加者募集を開始しました。
 2016年10月17日 白熱教室のページにて、白熱教室の参加者募集を開始いたしました。
疫学ゼミのページに、疫学ゼミに関する受講者のまとめを掲載しました。
 2016年10月13日 定期勉強会のページに第4回勉強会開催のお知らせを掲載し、参加者募集を開始しました。
 2016年10月3日 疫学ゼミのページに、第3回疫学ゼミの議事録を掲載しました。
 2016年9月28日 疫学ゼミのページに、第2回疫学ゼミの議事録を掲載しました。
評価委員紹介ページに新規記事をアップしました。
 2016年9月26日 疫学ゼミのページに、第3回疫学ゼミの案内(概要)を掲載しました。
 2016年9月13日 CAS放射線ネットに参画する外部団体の紹介を掲載すると共に、特別サイト内にも外部参画団体リンクのページを開設しました。
 2016年9月6日 市民フォーラムのページに、共催団体である市民社会フォーラム代表、岡林氏からのコメントを追加しました。
疫学ゼミのページに、第1回疫学ゼミの当日資料及び議事録を掲載しました。
疫学ゼミのページに、第2回疫学ゼミの案内(アクセスマップ当日資料概要)を掲載しました。
 2016年8月25日 あいんしゅたいんホームページ内に、「市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク」(通称:「CAS放射線ネット」)のページを開設しました。
 2016年8月23日 ご挨拶のページ内に、これまでの取り組みを紹介するページを追加しました。
定期勉強会のページ内に、第2回勉強会第3回勉強会の資料と議事録をアップしました。
 2016年8月20日 疫学ゼミへの申込受付を開始しました。
市民フォーラムへの申込受付を開始しました。
 2016年8月18日 「市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク」(通称:「CAS放射線ネット」)の特別サイトを開設しました。

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市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク Mon, 21 Nov 2016 17:15:52 +0900