1.はじめに
FONは、京都在住の県外避難者の方々と、当あいんしゅたいんが、と一緒に、放射線や健康に関する勉強会をするために、立ち上げたネットワークです。
2012年の春、県外避難者の方々が当あいんしゅたいんを訪問されたときは、みなさん健康状況を知るために、ホールボディカウンター(WBC)で自分の内部被曝の状態を知りたい、と切望されていました。また、ヨウ素の影響も気にされており、特にお子様の甲状腺検査を望まれているということでした。
当時、県外避難者までは健康検査が実現していない状態だったのです。ホールボディカウンター(WBC)は、どこにもある測定機ではありません。そこで、京都近辺でいろいろと方途を探していました。そして結局、
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京都大学の熊取にある原子炉実験所(京都大学総長宛)にお願いの文書を送り、高橋千太郎教授の丁寧なお取り計らいで実現!それが2012年11月30日でした。 |
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関西電力の黒田茂樹氏のお世話で、関西電力美浜原子力発電所で実現しました。このときは、お子様もいっしょに測定することができました。2012年12月23日でした。 |
当時、避難者の皆さんは、ご自分や子供さんの健康状態を心配されていました。何も知らないと怖さは余計募ります。まずは、ホールボディカウンター(WBC)で測ったら何が分かるか、そして今、何を心配したらいいのか、そういうことをしっかり知ることこそ大切ということをお互いに話し合いました。そして、測定の日まで一緒に勉強しようということになったのです。結果、出来上がったのが、「ホールボディカウンターってなに?」というパンフレットです。
2.「ホールボディカウンターってなに?」というパンフレットを作製した経緯
ここから始まった避難者との交流は、避難者・市民・科学者が協力して、福島事故後の放射線被曝の現状やWBCに関する勉強、測れば何がわかるのか、などを手分けして勉強することにしました。この勉強会は、”ふくしまおひさまネット(FON)”という愛称で呼ばれており、集中的な勉強会が始まったのです。避難者の方々も、市民も猛勉強されました。放射線のこと、放射能物質の性質、WBCでは何が測れるか、そして出てきたガンマ線のスペクトルの読み方まで、すごいです。本当の勉強とはこういうことかと目を見張りました。まさに「正しく知ることはよりよく生きることだ」という言葉が身に染みました。ヘーゲルは「自由とは必然性の認識だ」と言ったといいますが、知らないこと、法則を知らないことは、怖いという気持ちだけが先行し、正しい処理ができないのです。中身の紹介を兼ねてパワーポイントにまとめてみましたのでご覧ください。
こうして始まった福島避難者支援プロジェクト、「ふくしまおひさまネットワーク(FON)」は、沢山のことを教えてくれました。自ら勉強したことで、みんな視野が広がり、次の方針が正しく出てきます。
おひさまは、あたりに光を与えます。周りに光を、そして自らおひさまになる方々を増やしていこう、免疫力を高めいつも明るい未来を切り開けるようにという願いを込めています。
この間、福島帰還支援事業に応募し、採択されました。
こうした経緯から、今私たちの取り組みや勉強の成果を情報発信するために、ホームページを開始することとなりました。
避難者が、自分たちのデータを取ることによって、過去・現在・未来をつなぐ時間的変化の比較、福島の方々や、福島以外の方々の測定値と比較することによって、空間的変化の比較をきちんと確認したいと願っています。そしてさらに、この勉強の成果をより多くの皆さんに伝えるネットワークを広げていきたいと願っています。