2024年03月29日

 

市民小フォーラム「知りたいこと、伝えたいこと 放射線被ばく影響の科学的考え方」開催に寄せて

1.市民社会フォーラムのご紹介

市民社会フォーラムは、思想信条や所属の多様性を前提に人権、民主主義、平和などを発展させる市民社会の創造のために、社会問題について学習し自由に発信する「社会学習ネットワーク」です。詳細は市民社会フォーラムHPをご笑覧ください。
全国から800人以上が登録し、双方向的に活発な発信があるメーリングリストを運営しておりますが、HPのイベント履歴にありますとおり、政治的問題も含めて市民運動の視点が強い傾向があります。それゆえに、原発に批判的な立場がほとんどですが、放射線の問題については、極端な主張をする学者の意見を鵜呑みにする傾向の人もいれば、もっと冷静に科学的知見を受け入れる人もいます。むしろ、市民運動界隈にはめずらしく、放射能デマや不正確な情報を問題にする人たちがかなりいらっしゃいます。市民社会フォーラムの中にデマや不正確な情報を問題にする人がいるというのは大変に重要で貴重なことだと私は考えております。多くの市民運動の場合、運動のためならばデマも許容するという「政治的な姿勢」がつきもので、議論が出来無い状態になってしまいがちです。

2.市民社会フォーラムができること

放射線をめぐる問題については、科学者のなかでも 両極端に割れているところもあるようですが、市民の中でもとても分かりにくく、原発問題に強い関心がある人たちは危険を煽る学者を信頼する傾向があり、危険を煽ることをいさめる学者を「御用学者」であるかのように目の敵にする傾向があります。自分たちの政治的な主張にあわないものは全て敵というわけです。これも「政治」です。 ? 私は原発の是非や政治的主張やイデオロギーに関係なく、これまでの科学的知見を前提にして事実や真理を大切にしなければ、市民運動は支持されないと主張しています。なぜなら、デマをもとにした運動は長い目で見れば廃れてしまうからです。しかし、残念ながら、そうした声はあまり大きくありません。 ? 放射線を巡る問題を解決していくためには、科学者が市民と実りあるコミュニケーションをするだけでなく、市民の側にも市民社会の教養として科学リテラシーを涵養させる姿勢が必要です。その媒介を促すコーディネーター的役割を私や市民社会フォーラムという媒体が果たすことができないかと考えています。

3.市民社会フォーラムからのご提案

科学者と市民との関係をネットワーク化するためには、科学だけに焦点をあてるのではなく、より刺激的に社会やそして政治も念頭に考えることも大事だと思います。例えば、最近よく見かける、科学だけに注目したサイエンスカフェのようなものではなく、「消費者問題」としてニセ科学問題を考えるといった社会的な視点を持ちつつ科学を議論するような学習会です。 ? もちろん、原発事故による放射線被曝の人体への影響についての学習会も必要なことです。とくに、福島県民調査で甲状腺がんが「多発」したと騒がれている件は重要です。このテーマは市民運動が風評しているだけではなく、マスメディアも煽っています。正確な情報を伝える学習会や、できれば不安を煽る「自称専門家」との討論会・シンポジウムを開催できないものか、と考えています。

共催 市民社会フォーラム代表 岡林信一


 

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