藤井太郎君のファラデー流のアイデア(ブログ その202)
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作成日 2025年5月29日(木曜)10:54
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作者: 坂東昌子
2025年 親子理科実験教室(春コース)が始まりました。
第1回目は電流を流すと磁石が動くことを発見したエルステッドの話を体験で確かめました。電流を流すと、電線のまわりに磁石があった時のように、まわりに方位磁石を置くと磁石が動くことを体験しました。
そして磁石のモーターが動くことを自分自身で確かめましたね。そしてエルステッドの実験を知ったファラデーが、逆に磁石を動かすと電流が流れるという逆の発想をして、電流を作ることに成功したというお話をしました。
今でもこの原理で磁石を動かして電流を作っているのですね。ファラデーって、このように面白いことを考える科学者でした。
こんな逆発想をしたファラデーは、私の一番好きな科学者ですが、それを超えてさらに思いついた太郎君、」すごいです。ますますファラデーのファンになりました。
実は、もうだいぶ前になりますが、ファラデーの伝記を劇にして、親子理科実験教室で若者たちがえんじてくれたこともありますが、この劇もう一度、やってみたいですねえ。
ところで、この実験教室の後、藤本太郎君が面白いレポートを送ってくれました。
2025.4.22 レポート 発電システムの着想について 藤本太郎
1 地磁気発電システム
① 仕組み
地球そのものを大きな磁石と考え、地球周辺の宇宙空間に巨大なコイルを設置して、コイルを回転させて発電する。
② 利点
コイルを人工衛星のように、等速直線運動と向心力を利用して地球の回りを回転させれば、燃料等を使わなくても回転させ続けることができる。
③ 考えられる問題点
スペースデブリが邪魔でコイルがうまく設置できなかったり、デブリと衝して回転軸が変わってしまうと発電量が減ったり、発電が止まる可能性がある。ポールシフトが起こると発電が止まってしまう。
2 養殖マグロ発電システム
① 仕組み
養殖マグロが生簀で発生させる渦(水流)を利用する。
生簀の外周に磁石とコイルを設置し、磁石を水流で回転させて発電する。
② 利点
マグロは回遊魚なので、止まることなく泳ぎ続けることから、円形の生簀では渦を発生させることができる。発生した電気を売却しマグロの養殖費用に充てれば、コストが下がり、養殖マグロが安くなる。
③ 考えられる問題点
発電する時の熱で、海水温が上昇する可能性がある。
3 着想のきっかけ等
親子教室で、坂東先生が「発電にはタービンを回している」と言っていたのでタービンを使わずに回転する(回転し続ける)にはどうしたらいいか。燃料を使わずに回転させるにはどうしたらいいかということを考えました。
地磁気発電システムは、角山先生の教室で見た地球と磁石の重なっているイラストから思いつきました。養殖マグロ発電システムは、発電の仕組みに加えて、マグロの生態についての生物学、マグロの値段の事についての経済学等の色々な学問を一緒 に考えるのが面白かったです。
僕はマグロが好物でもあるので、養殖マグロ発電システムが気に入っています。
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とてもうれしかったので、私はさっそく。このレポートを角山先生にお伝えしました。そしたら以下のようなメールが来ました。
角山先生のお返事
発想力のあるお子さんで感心しました。まさにと全く同じ発想をされています。天才ですね! 地球の磁場で発電してみました!(1831年のファラデーの実験) |
ファラデーのテムズ川の実験は本当に失敗だったのか? - うみほしのブログ - うみほしの部屋
ファラデーは地磁気の磁力線を横切る川を使って発電ができると考えてムズ川に銅線をはって実験をしたそうで、上記のサイトではそれを再現する実験を試みています。不安定ではありますが、ちゃんと起電力は確認できているので驚きです。
少し調べてみました。
● 衛星による地磁気発電
衛生で地磁気発電をしようとした例を見つけることはできませんでした。ですが、発電の逆ということであれば、「テザー推進」というものがあるとのことです。地球や他の惑星の磁場と電流との相互作用で推進力を得るのだとか。
● 養殖マグロ発電
近代の養殖生け簀の動画を見てみましたが、それほど大きな渦はできておらずマグロが回る向きも一定ではないようです。ですが、小型の潮汐発電だと思えば、うまくいくかもしれませんね。
素晴らしいアイデアで、こちらも勉強になりました。お礼をお伝えくださいませんでしょうか。また、太郎君のお父さんからは次のようなお手紙が添えられていました。
太郎が考えた発電システムについて送らせていただきます。子供らしく荒唐無稽ではあるかとも思いますが、ご一読いただけますと幸いです。親子教室や、先生方との会話、坂東先生からのメールが毎回良い刺激となるらしく、ATPとADP、原子核の構造(電子と陽子場合によっては中性子だそうです)等、楽しそうに話してくれ、また坂東先生と議論できる日を楽しみにしていると言っています。最近読んだ書籍では、超紐理論が興味深かったとのことで、いつか機会があればお話いただけたらと思います。またお会いできる日を親子共々楽しみにしています。 |
他にも、第1回の実験皇室で紹介しましたが、「サンタクロースの仮説」もおもしろいです。大人よりアイデアがたくさん詰まっている子供たちのお話がとても楽しみになっています。
例えば「植物の光合成を担っているクロマチンをキットにして体に埋め込んだら、野菜を食べなくてもいいかな」とか「ブラックホールはなんでお吸い込むので、地球にもってきてごみばこにしたらいいな」とか、すごい発想です。
大人の常識を超えてこんな風には圧送するのはすごいです。これが大きく実って本当にできる話になるかもしれませんね。実験教室で学んだりしたことでなくても、アイデアが浮かんだらどなたでも教えてくださいね。楽しいです。