懐かしの親子理科実験教室 ~電気と磁気と光懐かしの親子理科実験教室 ~電気と磁気と光(ブログ その199)
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作成日 2025年4月10日(木曜)16:48
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作者: 坂東昌子
「いいですねえ! 僕は小中学生のころ電気が大好きで、電子工作にはまっていたことから、友達から電撃くんと呼ばれていました。こういう話は今でもわくわくします。」
こういってくださったのは、杉本茂樹さん(京大理学部物理教室素粒子論教授)でした。
そうなのか、杉本さんも小さいときから電気興産に夢中になっていたのか、そういえば、インフレーション宇宙を最初に提唱した佐藤勝彦さん(東大名誉教授・宇宙物理学)もそんなこと言っていたっけ。
私たちが親子理科実験教室を始めたのは、あいんしゅたいんの創設とほぼ時期が同じころでした。
初めに取り組んだのが、電気と磁気、でした。電気と磁気という小学校から大学まで、それどころか大学院になっても研究者の道に進んでも、切っても切れない深い付き合いをする内容を持っています。
そして現実の成果の中でも切っても切れない大切な日常生活のエネルギーのおおもとの原滝をしています。
その時、小学校の教科書を久しぶりの眺めて、「なんで電磁石から始まるの?」と不思議に思いました。
電気も磁気も大昔からみんな知っていましたが、実は電気のままでは(静電気と言います)、それだけではあまり役に立たなかったのです。
それが電流というのが見つかってえらい働き者だとわかってきたのでした。そうするとそのもとになったのは、「電流が流れると周りで磁石が動く」というエルステッドの発見が大騒ぎになった事件がとても重要になります。
エルステッドという名前は小学校の教科書にも出てきますが、このあとのドラマはとても面白いのです。
このドラマの主人公は、電線の中の電気の流れが引き起こす周りの変化です。この周りの変化を表すので「場」という難しい言葉で史。
これをどうしてみんなに伝えられるか、わかってもらえるか、私たち自身どれだけちゃんと理解しているか、こんなことを伝えたいなと、毎日のように議論しました。
小学生でもわかるように工夫するために苦心していた時、板倉聖宣の子供向きの本に、電流のことを目に見えるように伝えたいと思っていたのです。
その時、思ったことは、普通の電流の強さでは、なかなか周りの変化が見えるようにはなりません。どうしても周りに磁石を置いて動かすには、強い電流が必要なのです。
何本も電線を重ねてぐるぐる巻くと、総電流がとても大きくなることをうまく使ってみたらどうかとも思いましたが、理論的には、何本もまいても、それだけ抵抗が大きくなるので、最終的には何本まいても、その長さ分だけ抵抗が大きくなり、電流は弱くなる。
従って、たくさんまいても総電流の強さは結局同じではないかと思われどうしたものかと思っていました。
こんな時、杉原和夫先生のお話を知りました。先生は中学校の先生をしておられましたが、京都市科学センターの重要なお仕事もしておられ、いつも子供たちのためにどんな教材を作るべきか考え工夫してこられたのです。
この先生が開発されたのがS電流です。杉原先生に来ていただき、実物を見せていただきました。どうやら電線700回まいたらあとはいくらまいても電流は強くならないらしいと知りました。
何でもやってみないとどの程度かはわからないですね。杉原先生の開発された装置はSケーブルと言います。
このSケーブルはいろいろな実験ができて実感できるので、大変すばらしいと、1992年度(平成4年度)の第24回東レ理科教育賞を受賞しています。さらに、2007年にはタイ王国に受賞者代表として招かれ、国際的な評価も得ています。海外でも有名です、
日本でも、1987年、東京大学の物理学者が「S-cable」を試用し、その効果を確認したそうで、これを受けて、大学の物理実験に使ったということです。
このSケーブルは、販売品でないのが残念です。あいんしゅたいんは、杉原先生からのご厚意で作っていただき、持っているのです。これを使った実験をしたいなあ、とずっと思っていました。
4月20日から始まる今度の親子理科実験教室(春コース)では、今回久しぶりに角山先生がこのSケーブルも使って、電気を中心に光の話をしてくださいます。もう何年も使われなかったSケーブル、私も楽しみたいとドキドキワクワクしています。
杉本さん曰く
僕は小学生のころ、自分で作ったラジオ(キット)が鳴った瞬間、人生を揺るがすくらい感動した思い出があるので、「ラジオを作ろう」というのあったら良いのに!とも思いましたが、はんだごてを使うと火傷などの危険があるので、なかなか難しいのでしょうね。 |
うーん いつかまたできないかな…まあ、今度の子供たちの反応を見て考えてみたいですね。確か角山先生が昔やってくれたような・・・