2022年12月03日

うれしいお知らせ(ブログ その168)

この春のうれしいニュースです!草場哲さんと佐藤勇輝さんから、無事学位取得という嬉しいご報告を受け取りました。
草場さんと佐藤さんのお二人は、このあいんしゅたいんの親子理科実験教室に長く貢献頂き、教室を通じて子供たちとも仲良しになってくださっています。

草場さんは京大に入学した直後、あいんしゅたいんを訪ねて以来、ずっと心を込めて科学を楽しく教える行事に参加してくれて、時には光の話をしたり、時にはクリスマスにサンタクロースになってケンタッキーフライドチキンを配る役をしたり、過冷却の実験をしたり、それに若手の研究紹介の企画をしてくれたりしてくれました。

また、コロナ禍の中、対面の実験教室ができなくなった後も、いろいろ相談に乗ってくれ、初めてのオンライン理科実験教室petitの第1回目の講師を引き受けてくれました。
「光ならオンラインの特徴が生かせるね」といろいろ工夫して取り組みました。Zoomでの教室は初めての経験で、「これからは、遠い人も参加できるZoomの教室もやってみようよ」と始めたものでした。

正直、実験道具をそろえるといっても、受講者の自宅で準備してもらうので高価なものではなく、家庭にでもあるものを使うということで、ティッシュペーパーの空き箱を使うことを考えたりして、工夫を重ねました。このようにすれば、費用がかからないので、私たちの、特に草場さんがずっと気にしていて、願っていた「多くの子供たちにより気軽に科学を楽しんでもらいたい」という思いにも重なります。

ただ、実験条件をそろえるという意味では、用意するとき丁寧に設営しないと実験がはかどらないことがあるので、いいところもあるけど大変なところもありますね。この初めての試みは, 物理学会発行の雑誌「大学の物理教育」に掲載されました[1]
我があいんしゅたいんにとっては記念すべき論文で、草場さんは手早くまとめて下さり、私はそれに乗っかっただけで、なんといっても草場さんの功績です。勿論草場さんには、専門が光物性で、いつも私は教えてもらっていたのですが、これだけでなく、幅広い物理学の分野について広い知識をもっていて、その幅広い見識にはいつも感心して教えてもらいました。

これからもますますいいお仕事をされるものと楽しみにしています。オープンですので論文をここに紹介しておきます。

草場論文26_124

オンラインの教育活動を見越した未来のために経験を今まとめることはとても大切だと思います。いろいろな教訓を学びましたから。

この度博士論文が受理され、横浜国立大学に異動されることになりましたが、オンライン教室を始めたおかげでそのうちまた遠方からも、子供たちに科学の楽しさを教えてくれると思います。

一方、佐藤勇輝さんも、若者で取り組む親子理科実験教室で活躍してくれた1人で、鴨川で夏休みにプラナリアを採取したことで皆さん覚えているかもしれません。「切っても切ってもプラナリア」という割れる不思議な生物で佐藤さんの研究対象でもあります。

佐藤さんが大学院修士課程の頃から、このプラナリアの研究をされていて、ちょうど、私たちは、3・11以後放射線の生体影響についての研究を始めた頃だったので、分からない論文を佐藤さんに説明してもらったりといろいろ教えてもらいました。とても分かりやすく説明してくれて、頼りにしていました。

佐藤さんは修士課程から今に至るまでプラナリアという面白い生物を研究されています。「切っても切ってもプラナリア」と言われるように、このプラナリアはいつもちょん切れても元通り体全体を作る不思議な生物です。佐藤さんは放射線をプラナリアに当てた実験も行っていたので、私たちの提案で2012年に行われた研究会:生物・医学を物理する放射線と物理、医療を物理する、生命システムのモデリング(2015/11/05~2015/11/07 基礎物理学研究所 湯川記念館 パナソニック国際交流ホール)で、海外の有名なこの道のプロの研究者に交じって最も若い講演者として発表してもらいました。プログラムの2日目でした。

この研究会は、生物・医学と物理という分野の違う研究者や市民の集まる研究会でしたのですが、正直、プロのベテランの研究者よりずっと話が分かりやすく評判がよかったです。

立派な論文になるなあ、と思っていました。この度研究成果を論文という形で発表され無事博士号取得となりました。

若者が育っていくのは、ほんとにうれしいです。実は私も2人と一緒に1年前、論文をNatureに出すと張り切っていたので、「3人で競争ね!」と言っていたのですが、掲載に至りませんでした。いい論文だと思うのですがねえ!

というわけで、2人はゴールに行き着いたのに、私は負けてしまいました。でも、とにかく、佐藤さんと草場さんがともに博士号をいただくことになったことは、とてもうれしいです!お二人とも、これから、いろいろな場面で活躍してくれると思うとわくわくします。私も若者に負けないで頑張らなくちゃ!

付記:ついでに、臨床統計学の田中司朗さん(医学部ですが付き合いも長いので[さん]づけで・・・)からうれしいニュースが届きました。「臨床統計家育成コースで力になってもらった今井さんと廣田さんのお二人とも博士を取得しました。もしお時間があるようなら, あいんしゅたいんに遊びに行って近況報告したいです」と言われ、ほんとにクリスマスの日に来られました。T. 今井さんは素粒子研のドクター途中で、S. 廣田さんはドクター修了後、この分野に移られ腕を発揮したというべきですね。今井さんは、放射線の影響についてのシンポジウムで報告いただき、廣田さんは、あいんしゅたいんでの科学教育に貢献された方でした。縁あって、放射瀬ネットワークが繋いだご縁で、放射線防護の分野に物理系の皆さんが貢献される道へと挑戦されたのでした。ずっと親子理科実験教室に携わってくれた草場・佐藤のお二人に加え、うれしいクリスマスプレゼントでした。4人ともそれぞれ職場を得られたのですが、ドクター取得はいわば科学者としてのほんの入口です。これから大いに羽ばたいてほしいです。


[1]草場哲・坂東昌子「 Zoomを用いたオンライン理科実験教室の報告」物理教育2020年11月号(Vol.26 No.3)p. 124-127