2017年10月19日

「We love ふくしま プロジェクト」2013 レポート2

We love ふくしま プロジェクト in Kyoto & Hyogo

報告 宇野賀津子

2012年の6月に、南相馬から避難してこられた伊藤さんからの依頼に端を発した関西でのホールボディーカウンター検査をとの取り組みが実現し、2013年12月13日から19日まで京都府庁、つづいて21日から26日まで兵庫県庁に、検診車が福島から来て実施された。検診を受けられた方は、両方併せて約300人ぐらいである。この検診に併せて、「We love ふくしま プロジェクト」の実行委員会を組織した。実行委員会にはNPOあいんしゅたいんや東日本大震災復興サポート協会他11チームが参加した。

この間、京都で4日間、兵庫で3日間、「寄ってみっぺカフェ」の運営に係わった。そこでのアンケートや質問のまとめにはもう少し時間を頂くとして、その概要を紹介し、学んだこと、感じたことを紹介する。


We love 福島 プロジェクト in Kyoto

京都の検診会場は、京都府庁の職員福利厚生センター3階に受付・説明・着替え会場があり、福利センター前に止めた検診車で検診が行われた。受診者は、3階で受付、検診の概要の説明を受け、着替えをしてエレベーターで1階へ降りてセンター前に止めてある検診車でホールボディー検診を受けた。着てきたオーバーを皆様着ていかれたとはいえ、ジャージにコートだけではかなり寒い思いをされたようである。さらに、「寄ってみっぺカフェ」は、2号館を通り抜け、旧本館にある、NPOパートナーシップ会議室で行われていたため、受付で案内を渡していただいたとは言え、初日の午前中は知らずに帰られる人が多かった。誘導する案内板の掲示に府庁側からクレームが付き(担当関係者は板挟みで迷惑をかけたが、府庁全体として、もう少し柔軟に対応してほしいと思ったしだいである)検診会場からの誘導は困難と考え、午後からはスタッフがエレベーター下で待って、交代でお迎えに行くことにし、やっと誘導体制が整った。

カフェは、京都府立医大他の先生方による健康相談、東日本大震災避難者の会による生活相談、ナリス化粧品心人プロジェクトによる匂い袋作成とハンドマッサージ、チーム若者によるおもしろサイエンスと、各コーナーを作って実施した。暖かいおいしいコーヒーや飲み物はとても歓迎された。かなり緊張した顔でいらしてちょっとだけと言われた方が、ハンドマッサージを受けられるととてもよくお話されるようになり、生活相談、健康相談と1時間ぐらいゆっくりされていく方が何人もおられた。土、日は間浦さん率いるチーム若者のおもしろサイエンスコーナーは、光華高校生も参加して子供たちに大人気だった。子供は若者チームが相手をして、お母さんやお父さんは、ハンドマッサージを受けてリラックスという風景も見られた。

今回資料としては、「ホールボディーカウンター検査とは」「低線量放射線を超えて」「パストール通信」「フォローアップの集いの案内」「ベクレル→シーベルト換算表のクリアファイル」を用意した。特にチーム若者による「ベクレル→シーベルト換算表のクリアファイル」は中々の人気で、アイデアに皆様感心されていた。伊藤さんの紙芝居もその迫力と福島弁に皆様とても喜ばれた。

放射線影響については、平行線の議論もあったが、一方では、多様な人材による対応に、感謝されて帰られた方も多かったように思った。家族で来られた方は一定の情報をもっておられたが、お一人の人では、ほとんど情報が伝わっていない様子もうかがえた。

また、京都内でも汚染された腐葉土問題があって、以降体調不良が続いていて、相談に来られた方もいた。この件については、ハンドマッサージや医師や私たちと話される中で、かなりリラックスされ、さらに後日事実関係を確かめて関連資料やあったとしてもその被ばく量はわずかであることを計算しその資料をお送りし対応したところ、とても喜ばれて、かなり不安が解消されたようであった。不安を煽るだけでなく、その後のきちっとした対応の必要性を学んだ。

なお、今回の派遣されたホールボディーカウンター検査に当ったチームはペスコという会社で、ここでは所長の篠原氏他スタッフによるホールボディーカウンター検査についての、事前説明が行われていた。事前説明を実施しているのは、ペスコのチームだけと聞いて逆に、少し驚いた。東海村の研究所では事前の集合説明、測定後マンツーマンでの詳細な説明をしているとのこと、現実には多くの病院などではビデオ上映か簡単な説明のみで今回のような事前の詳しい説明、検査結果の見方についての説明はペスコのみというのが事実らしい。一緒に拝聴したが非常に丁寧で、何故、着替えが必要かも含めきちっとした説明がなされていた。


We love 福島 プロジェクト in Hyogo

兵庫県庁1号館前の検診車が陣取り、そのすぐ裏の1階の部屋で受付・説明、着替えが行われた。「寄ってみっぺカフェ」は受付会場のとなりで、京都の会場の1/3程度ではあったが、スタッフも少なかったのでちょうど良い大きさであった。21-23日まで休日開催したが、となりで開催分、殆どのかたが寄ってくださり、京都よりもスタッフの疲労感が少なかった。検診スタッフ、県庁職員との関係も場所が近い分スムーズであった。検診者のいないときには、ペスコの方々との意見交換もでき、おおいに勉強になった。健康相談は初日午前のみ兵庫医大の上紺屋先生が担当してくださったが、相談された方はとてもよろこんでおられやはり余裕があれば、健康相談の体制はほしいところである。ハンドマッサージもここでは宇野が紹介した。殆どのかたが、ハンドマッサージをお教えしましょうかと言うと、歓迎だった。特に、何故、ここでハンドマッサージを用意したか、2012年4月に福島県庁に行った際、学術振興会の講師によるお母さん向け講演会の提案をしたら、県会議員の長尾とも子氏に「今、福島に必要なのはえらい先生よりアロマです」と、言われた話をすると皆様そうですねととても共感されていた。

22日午後には長尾さんも福島から来られ、色々と避難者と話していかれた。おみやげの「ゆべし」と「薄皮まんじゅう」を皆さん懐かしがって、喜ばれた。


関西でのホールボディカウンター検査から学んだこと

今回の検査での申し込みは、休日はかなり一杯であったが、平日は十数件と少なく、少しもったいなかった。また兵庫では、検診が子供だけと思ってきて、親も受けられると聞いて急遽受けた方々がいた。受付の場での柔軟な対応は、とても良かった。ただ、県のほうの受付の電話が休日は対応していないなど、課題もある。なお効率から考えると、特に県外での検診は、土、日を中心に実施する方が効率的であろう。また1週間などという長期間でなくとも、3日程度でもこまめに回る方が、より多くのかたに受けてもらえるのではないかと思った。

事前説明を実施しているのは、ペスコのチームだけと聞いて少し驚いた。やはりホールボディー検診については、何度も説明をきちっとしていくことが必要と改めておもった。事前説明→測定→NPOによるフォローという体制は、今後の検診の一つのモデルとなると考える。アンケートの結果の整理が必要であるが、「寄ってみっぺカフェ」での色々な人による説明はかなり安心に繋がったように思う。県外避難者はとりわけ、不信感や不安感の強い方も多いだけに、多様な背景をもった人に対応してもらうことで、心がほぐれることも経験した。若者チームによる子供対応も威力を発揮した。子供を気にせずに話できる体制は、色々な説明を落ち着いて聞く環境に繋がる。ここでの経験を今後に繋げることが出来れば幸いである。また、関西での検診が、福島からの避難者の放射線に関する不安の段階的払拭あるいは部分的解消の一助になることを願っているし、多少ともその目的は達成されたのではないだろうか。

もう一つ感じた事は、原発事故初期の時に情報がなかったと言われた人が多かった。混乱する情報のなかで、判断され、今に至っている。事故直後もう少し、政府が、科学者が適切な情報発信が出来なかったのだろうかと思わずにはいられない。せめてSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータでももう少しきちっと届いていたらと思わないでもない。この経験をまとめて、次に繋げなければならないと改めて思った次第である。