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世界征服計画 その1

1. 不思議な老人との出会い

それは九十四露(ことしろ)神社で起きた。僕はある日、東山山中を歩いていた。ふと思い立って昔行ったことがある九十四露神社に再び行こうと思ったのである。九十四露神社は東山山中にある秘密の神社である。哲学の道を鹿ヶ谷の所で東におれると霊鑑寺がある。その横に「此奥俊寛山荘地」という道しるべがある。

俊寛とは平安時代末期に、平家打倒の陰謀を企てたかどでとらわれて鬼界が島に流された僧都である。その道しるべから東に坂道を進むと右手に瑞光院があり、そこからさらに細い山道を登っていくと楼門の滝がある。ここには昔、三井寺の別院如意寺があったという。その石段を登ると俊寛山荘の碑がある。

しかし、そこに達する前に山道が分かれている場所があり、左手に細い道を上ると、木の根道になる。その先に九十四露神社があるのだ。観光案内にも載っていないし、ほとんどだれもしらないであろう、山の中の秘密神社なのだ。そこには一応、粗末だが社務所の建物がある。しかし人の気配はない。神社の本殿といっても、実に粗末な木の建物である。

そこに上りついてほっとしたときに、その老人はいきなり現れた。真っ白な衣服に身を包み、長いひげを蓄えていた。そして長い杖のようなものを手に持っていた。驚きで声も出ない僕に、その老人は言った。

「君を待っていたのだよ」

僕は始め声もでなかったが、ようやく言った。

「あなたは誰ですか?」

「わしは事代主命(ことしろぬしのみこと)じゃ、わっはっは」

と老人は愉快そうに言った。事代主命は大国主の子供とされる。しかしそんな人、いや神様が実際に現れるとは、想像もつかないので、僕はただただ唖然として、それ以上物もいえなかった。

「わはは、嘘じゃ、わしが事代主命というのは嘘じゃ。わしは実は女でな、ビーナスといいます」

と、急に女の言葉になって、白髪の老人は急にミロのビーナスの姿になった。もちろん僕はビーナスに会ったことがないのは当然だが、そこに現れた白人女性は、どうみても本で見慣れたミロのビーナスに違いないと思った。ビーナスは美しい裸体であった。彫刻と同様に、下半身は薄い布で覆われていた。しかし、彫刻とは違って、ちゃんと手はあった。その手にリンゴを握っていた。パリスの審判のときに得たリンゴであろう。それはビーナスの象徴である。僕はどぎまぎして、彼女を熟視することができなかった。僕が黙っていると、ビーナスは再び老人に戻った。

「あはは、びっくりしているな。実はわしは事代主命でもビーナスでもない。君たちの言うところの宇宙人なのじゃ。しかしわしの真の姿はこんな物ではない。君たちが想像するいわゆるETでもなければ、エイリアンでもない。実際、わしの真の姿などないのじゃ。それでは君も話しにくかろうから、仮の姿になってみただけじゃ。君の見ている姿は、現実ではない、幻想、そうイリュージョンなのじゃ」

「あなたは現実ではないのですか?」

ようやく僕は言葉を発した。

「現実?現実とはなんじゃ?現実とは君たち人間の頭脳に送り込まれた電気信号の作り出す幻影ではないか。わしは君の頭脳に幻影を送り込んでいるのだよ」

「映画マトリックスでモーフィアスがそんなことを言っていましたね」 

「そうそう、それが分かっていれば話が早い。わしが君を選んだのは、君ならこの事態を一番早く理解できると踏んだからじゃ。まずはわしの力を見せてやろう」

老人がそういうと、周りの景色が一変した。僕と老人は宇宙ステーションらしいところにいた。大きな窓があり、そこから大きな真っ青な地球が見えた。

「ここは地球を回る宇宙ステーションの上じゃ。というよりは、そんな仮想現実を君に見せているだけじゃがね。どんなところにでも行けるのじゃ」

老人がそういうと、我々はどこかの衛星にある、球形のガラス張りのドームの中にいた。窓を通して頭上には、巨大な土星があった。地平線を見ると、壮大な噴水が空高く上がっていた。

「どこか分かるかな?君なら分かるじゃろう。そう土星の衛星エンセラドスにある基地じゃよ。というより、その幻影じゃがね」

僕はただただ圧倒されて何も言えなかった。すると周りの景色は急に海になった。僕たちは海に浮かぶコテージのベランダに立っていた。老人は今度はビーナスになっていた。しかし今度のビーナスはギリシャ風の服を着ているので、目をそらせる必要はなかった。

「宇宙空間やエンセラドスでは話がしにくいでしょう。私たちは、今はモルディブ諸島にあるホテルにいるのですよ。海に突き出たコテージの一つにいます。さあ、座りましょうか」

ビーナスはそういって僕に椅子を勧めた。僕たちはテーブルを挟んで椅子に座った。ビーナスが日本語を話すのも奇妙なことだが、それもこれもどうせ幻影なのだから、あり得る話だろうと思った。

ビーナスはビーナスらしく、とてつもなく美しかったが、凝視するのもはばかられたので、僕は周りを見渡した。僕の背後にはコテージの寝室があった。前は大海原である。心地よい風が吹いてきた。ビーナスは海の泡から生まれたとされるから、ここはビーナスに似合った場所に思えた。僕は時々、ちらっとビーナスの美しい顔を見た。今は服を着ているのが少し残念であった。相手が老人よりは、ビーナスの方がずっといいが、でも相手が女神では話しにくいなと思った。

と思ったら、僕は急にある部屋の中に立っていた。部屋の周りの壁は、タイルドディスプレーで埋められていた。部屋の隅には、あの男が座っていた。そう、映画「マトリックス・リローディッド」に出てきたアーキテクトという紳士である。映画と違う点は、僕のためにもいすが用意されていたことだ。きっと長い話になるのだろうと思った。

<アーキテクト>

アーキテクトは英語で話し始めた。映画と同様にconcordantlyとかErgoとか難しい英語を使った。僕はもう少し易しい言葉でゆっくり話してくれと言った。するとアーキテクトは笑って、今度は日本語で話し始めた。アーキテクトが語り出したことは、驚くべき話であった。僕の人生を根底から変える話であり、それどころか世界を根底から変える話であった。

続く

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