2024年05月20日

キッチン革命・家事大革命(ブログ その184)

テレビでキッチン革命の話があるという。

第1夜:2023年3月25日(土)放送
第2夜:2023年3月26日(日)放送

 興味があったので、「最初の女性建築家の話が出てくるみたいだけど・・・」と娘に聞いてみた。

そしたら、「日本の話?だったら、浜口ミホさんのことですね。日本で最初の女性の一級建築士で、ステンレスの流し台を設計して公団住宅の2DKに入れた人です。」という返事が来た。

「おもしろそうですね」に対して、「多分大分まえに亡くなっておられます。テレビのサイトをみたら、ドラマの主人公は、浜口ミホではなく、浜崎マホになっていました。ステンレスの流し台だと、お茶碗を落としても割れない・・キッチンの使い易さは、家事をしない男性には分からなかった・・ということだね。」とのことだった。

女性研究者をたくさん育てた西山健の出身化と思っていたら、違っていたけれど・・・・。いろいろなところに、素晴らしい女性たちがいるのだなと思った。

確かに、建築で女性研究者をたくさん育てたのは、すまい・まちづくりで有名な西山夘三[1]で、「知識人」というタイプからもっとも遠い人だったという。
「常に論争を巻き起こしつつ、研究の第一線を走り続けた。」とあることからわかるように、大阪の下町で育った西山は、優れた研究者であると同時に、建築家、プランナー、運動家、はたまた画家、漫画家などと呼ぶにふさわしい多彩な仕事を残したそうである。

庶民住宅の住み方調査をもとに、「食寝分離論」を提唱しDK(ダイニングキッチン)の誕生にもつながったそうである。西山研究室は、男性はもちろんだが、工学部には珍しく女性研究者を多く育てた研究室として、1960年に保育所作りを中心に集まった婦人研究者の会(通称ふけんれん;当時は婦人研究者と呼んでいた!)でも注目していた。

田中恒子さんや野口道子さん等、活発な女性研究者が目立っていた。女性の生活を全面的に調査してこれからの女性研究者の未来像を描いてみようと、「女性と学問と生活[2]」の著書を、女性研究者の実態調査をもとに、みんなで書きだしたころである。この時、「家事をもっと軽減するにはどうしたらいいかというのが大論争になった。

田中恒子:家族みんなで家事を分担する。
野口美智子:給料全部はタイでもお手伝いさんにお願いして家事をお願いする、
坂東昌子:技術を発展させて家事の負担を軽くする自動装置を開発する。

と3人の意見は違っていた。わいわいと言い合ったのが思い出される。

「集合住宅でみんな一緒に子育ても家事も共同で行う」という提案が出て、集合住宅の設計案を議論したり、みんなで土地を見に行って実現の方法を模索した。しかし、いつどこに転居するかわからないのに、そんな渋滞く建てても後が大変だという話にもなった。こんな議論を一緒に聞いていたのが、当時高校生だった娘のあこで、活発なお姉さま方にあこがれて建築を目指したのだった。

その後、大学生となった娘は野口さんに誘われ、ドロレス・ハイデン著「家事大革命」[3]の翻訳(1986年)の一部をお姉さまたちと一緒にやらせてもらった。その本を今見てみると、「男性と女性の生き方を変える住宅、都市の建設へ向けたアメリカン女性たちの挑戦の歴史」とある。その中に、フェミニストの惑星、火星における「ビッグハウス」を描いている。私たちが昔夢見た共同住宅の設計図などの構想が大きな規模で描かれている。

あれから時代は急速に変化した。洗濯機、冷蔵庫の普及から始まり、冷凍食品を含め、今では百貨店でもコンビニにでも結構おいしいお惣菜が店頭に並んでいる。

こんな時代を迎えたのだなという思いの中で、「でも女性の感性が生かされる社会にはまだまだ遠いなあ」と思ってしまう。
政治の場面で、戦争に最も反対しているのはいつでも女性たちだった。軍拡競争のなかで。均衡状態を保っていれば戦争が起こらない、という主張がどんどん大きくなってきている。

湯川・朝永をはじめとする日本の科学者たちは、この均衡が保たれている世界は、不安定平衡状態なのである。何事か起きると吹っ飛んでしまう均衡だ。つまり不安定点であると科学者京都会議で議論していた。パグウォッシュ会議が、均衡論を主張しているのに満足できなかったそうである。

確かに、どんなきっかけで、戦争が起こるか、わからない不安定な平衡状態である。そのことを、今回のウクライナ進行で、目の当たりに見せつけられた。女性の感性がどういう形で、この世の中を変えていけるのか、愛国心や政治的イデオロギーを超えて、いま取り戻すべきではないかというのは甘い考えなのでそうか。

これまで、核兵器が使われなかったのは、そんな均衡状態の中でも、化学者にもならず世界中の市民たちの核兵器廃絶の世論が支えてきたのではないだろうか。湯川先生が生きておられたら、どういわれるかな、という意見があちこちで聞かれるようになった。

戦争を人類の進化の問題として考えたいという科学者としての思いは・・・・。でも、また、女性の感性が戦争を許さない大きな力にならないかな、いやいや女性だけではなく男性も含めてヒトはそもそもどうなのか、山極先生の趣向も含めていったいどうなのか、湯川精神は、いつ恐れを科学として考察すべきと教えている。


[1]弟子たちが作った西山文庫参照のこと:http://www.n-bunko.org/about.html
[2] https://www.keisoshobo.co.jp/book/b26266.html
[3]家事大革命