2017年10月19日

行政刷新会議・・その1(ブログ その27)

とうとう今日になってしまいました。今週は、再び公開仕分作業が開催されますが、それに先立って、文科省に加えて内閣府もまた、意見募集をしています。締切りは、11月24日(火)です。
ただ、できるだけ早く意見を出したら大変有効とのこと。文科省に出された方も、重複してかまいませんので、投稿してください。

【科学技術関係施策の優先度判定等の実施に関する意見募集】

https://form.cao.go.jp/cstp/opinion-0005.html
(スクロールすると下の方に書き込み用の欄が出て来ます。

内閣府の意見公募の方は、出足が大変遅れているとのことです。何回も投稿できます。今朝のテレビのニュースでは、1万人もの方々が文科省に投稿しているということです。科学者自らが発信する動きを、さらに建設的な方向へと発展させたいものです。

この意見募集のうち、文部科学省関連で対象となる事業には、科学技術振興調整費の

○ 若手研究者養成システム改革:12,510百万円
○ 女性研究者支援システム改革:2,250百万円等も含まれます。

についての若手や女性研究者の動きが、特に目立ちます。また、学会も動き出しているのが特徴ですね。

今までの科学技術に対する予算配分について、必ずしも、科学者の間で意見が一致していないものもたくさんあります。また、政権交代に伴って、かなりの問題点を指摘されており、今回、今までの「垢」を落とす作業始めたという意味では、まさに画期的な出来事ともいえます。

しかし、特に科学技術予算については、専門的な判断や長期的視点に立った将来計画の先駆けといった意味合いのプロジェクトもあります。こうした意図を理解しないで、単に予算のひねりだしのための早急な判断が先行しているのは、あまりにも安易です。こんな荒い形で判断すると、かえって、将来へ大切な芽をつぶすことにもなりかねないですし、長期的な展望を欠いた結果になり、さらに事態を悪くすることになりかねません。民意といいながら実は、みんながきちんと判断しないまま、時流に流されているときは、危険です。

こういうとき、科学者だからこそ、冷静に世論を作っていく責任が重いと思います。民意に沿ってという場合も、実は、それは市民が十分に情報を与えられ、自ら、しっかり考える基礎を持っているからこそ、民主主義が貫徹できるのであって、そうでない場合はファシズムになりかねないことは、今までの歴史が物語っています。

この意味では、今回の仕分けに対しては、科学者側は大変危惧を感じています。そして、真に科学技術発展のために国の予算がどう使われるべきか、このことを真剣に今考え、今までの誤りは正していく方向を、みんながしっかり考え、世に発信することが必要です。

そこで、事業仕分けについて、今日は少し情報をお知らせしようと思います。佐藤名誉会長がブログを書かれたので、私は、とりあえず、皆さんから寄せられているご意見をご紹介いたします。

今回、学会や学術団体をはじめとして、いろいろなメーリングリストで、沢山の声が出てきています。特に、若手研究者のグループ、女性研究者支援のためのグループ、学会での将来計画を真剣に考えている下からの声が、多いのです。それらを、まとめてお伝えすることによって、より多くに皆さんが、この事態の中で、ご自分のご意見を発信していくことが大切、今必要になっています。それが、暴走を食い止める道でもあります。 

私のところにも、個人的、グループメールなど、いろいろな若手や科学者からご意見が届いています。特に、今回、若手が「何かしなければ」と思う心が伝わる動きをみていると、若い人も見捨てたものではない、自分のことだけ考えているのは、実はシニアな科学者たちではないかと、心配になるくらいです。それに、海外のポスドクからも声が届いています。私どものNPOのニュースにも出ていますし、素粒子論グループや若手グループのメーリングリストなどにも、ずいぶんいろいろな人が意見を出しています。

ただ、その先に、しっかりこの際考えて日本の将来を担う若い人たちと、良心的な科学者が、同じ気持ちで、日本の科学技術の発展とその社会への貢献の道をさぐるために、科学研究予算配分はどうあるべきか、一緒になって議論し合えればいいなと思います。それこそ、これからの行政に生かされる道も開けてくるでしょう。

これまでの研究費の配分に対しては、多くの問題点があることも確かです。その中で、積極面まで一緒にして、俎上にのせられ、こういう形で切り捨てるのもまずいと思います。

その中で、出ている意見を、若手に対する助成金等と女性研究者支援、さらに個々のプロジェクトについて、概観してみます。

若手への支援や科学研究費に関して

今回、若手が自ら意見を表明している動きの1つは、当NPOのホームページでも紹介した科学研究費補助金の一部執行停止に対する 反対署名 です。
企画者は、市川憲人さんで、5000人の署名目標を立て、現在時点で2290名のみなさんの署名が集まっています。ごく短期間にこれだけの世論を作りだした若手に敬意を表します。この文面は、「自分たち若手だけの問題ではない」として、「2010年度概算要求にある基礎科学への投資を十年間で倍増するとの努力目標が誠実に実現されることを求める」と全体像を示しつつ、「若手研究者の研究を下支えする科学研究費補助金における若手Sの募集停止や若手研究者海外派遣事業の大幅な執行停止に反対し、一刻も早いそれらの復活もしくはそれらに相当する制度の設立を希望いたします。」と訴えています。実際にも、このため、海外派遣の若手が帰国を余儀なくされているという事例が出ているということでした。

もう一つは、事業番号3-21 若手研究者養成システム(テニュアトラック)、若手を対象にした科学研究費、特別研究員制度に関して、当事者が声をあげることが重要と、若手研究者養成システム養成システム(テニュアトラック)に採用されている、金沢大・准教授とお茶の水女子大学・特任助教の方が呼びかけ人となって、自ら意見表明しています。これも短期間に、国内および海外の133大学・研究所の1475人の若手研究者の方々の賛同を得て、文部科学省副大臣および政務官宛に届けられました。シニアな先生方からも多くの励ましの声が送られたということです。「これまで研究者、特に若手研究者は、公に意見を述べることが少なかったと思いますが、これを機会に、社会に対して建設的な意見を発信していくことができればと思っています」と結ばれた挨拶に心強いものを感じました。また、海外ポスドクからも、シニアな研究者が意見を表明してほしいという要望も来ています。

当NPO法人(知的人材ネットワーク あいんしゅたいん)のHPにも、署名の呼びかけや、佐藤文隆さんのブログやニュースという形で、この問題を取り上げています。

科学研究費配分については、物理学会でも、「中小規模研究室の抱える問題」について実態を把握する調査を行ってきました。年々減少する基礎的な研究活動を支える経常研究費が少なくなり、競争的資金に依存しないと研究が続けられないという悲鳴が、研究者の中からは聞こえていました。こうした目立たない研究活動が支えとなって、世界に誇る仕事が出てきている例は沢山あるのです。決して、日のあたる研究だけからイノベーションが起こるわけではないのです。しかも、トップダウンで、予算が決まるのです。科学者の中から出てきた計画を大切にしなければ、大きなプロジェクトも成功しません。

こういう状況でしたから、決して若手だけにしわ寄せがいいっているわけではないのですね。例えば、国立大学で年間研究費が15万円という状況のところもあるのです。学校の先生がきかれたら、「それだけあればいいなあ」という声もありましたが、論文を書いたら、「投稿費」がいるのです。論文も発表できない、成果の発表のための研究会や学会に行く費用を考えるとひどい話なのです。そういった状況も考えると、大学の基盤経費である「運営費交付金」(11月25日(水)に公開ヒアリング)も大変気になります。

女性研究者、スーパーコンピュータなど、まだまだ、まとめることがありますが、次々代わってくる状況に、とてもすべてをお知らせすることもできません。とりあえず、仕分け問題、第1弾をブログで上げることとしました。

なお、参考のために、女性研究者支援についてのパブリックコメントを提出しましたが、それをだけ、最後に付け加えておこうと思います。いろいろなところで、議論が巻き起こることを期待しています。

 パフリックコメント 3‐39 女性支援システム改革

坂東昌子

女性研究者支援システム改革の1/3予算縮減の再考をお願いします。このプロジェクト派始まって間もなく、その成果が少し出てきて、各大学で女性研究者が励まされています。科学技術分野は。これから女性の活躍できる大変重要な分野ですが、日本は、国際的にみて最も女性比率が少なく、韓国にも追い抜かれてしまいました。特に大学における女性研究者の比率が低いわけは、子育て支援が行われなかったからだとうデータを提出し、やっとそれがわかっていただけて、このプロジェクトが始まったのです。、それまで女性の有効子供数が平均1を下回っていたのが、支援事業に取り組んだところでは2人目の子供の出産も増えております。

もちろん、雇用情勢の厳しい中で男性研究者もポストがなく若手支援も急がれるところです。しかし、他の大きなプロジェクトに比べても、ごくささやかな資金で、各機関がよく工夫して、きめ細かい支援を行っている現状をしっかり見てほしいのです。女性研究者の支援は、今やめてしまうと、これまでのプラスの効果がゼロになります。学術政策は途切れると効果的ではありません。各地で女性研究者が支援を受けて、「だからこそ社会に還元できる仕事もしていこう。男性研究者と共に環境条件をよくしようと、涙ぐましい努力をしている女性研究者を見かけます。決して自分たちだけ良ければいいなどと考えてはいません。そういう資質を持った優秀な女性研究者が沢山います。「科学技術分野における女性の活躍促進」事業を継続することが、新政府にとって大きな力になるでしょう。 復活折衝での予算の復元を心から希望するものです。