科学交流セミナー 「物理学とAIの出会い」 ー学習物理入門ー
2024年のノーベル物理学賞は、機械学習(AI)に関連した研究に与えられました。なぜ「AI×物理学」だったのか。このセミナーでは「物理学とAIの出会い」について学びます。
主な対象は理系の大学生・院生やAIと物理学に関心を持つ高校生以上とし、一般市民から科学者・物理研究者でも機械学習の非専門家を想定しています。
日 時:2024年12月25日(水) 10時~12時20分
場 所:京都大学 百周年時計台記念館 国際交流ホールⅡ (京都左京区吉田本町)
プログラム:10:00~10:05 はじめに
10:05~11:05 橋本幸士 (京都大学)「AIと物理学」
11:05~11:35 広野雄士 (大阪大学)「AI画像生成と量子力学」
11:35~12:20 総合討論
講 演 概 要: |
前 半 |
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今年のノーベル物理学賞と化学賞は、AIに関連する貢献に与えられました。近年のAIの革新的な進歩の主役は、機械学習です。層の深いニューラルネットワークを用い、機械(マシン)と呼ばれるコンピュータ上のプログラムに学習をさせます。じつは機械学習には、物理学の方法が多く用いられています。例えば、脳の記憶のメカニズムを模した理論は、磁石の理論から作られています。本講演では、AIと物理学がどう関係するのか、についてお話しします。また、日本で始まっている、機械学習と物理学の融合分野である「学習物理学」についても、活発化している最先端研究の現場をお話ししましょう。 |
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後 半 |
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最近、AIによる画像生成が話題になっ ています。写真のような画像を生み出したり、イラストを描いたりするAIの裏では「拡散モデル」という技術が使われています。この技術は、画像を徐々にぼかしていって、そこから逆の過程をたどって鮮明な画像を作り出すという仕組みです。 我々は最近の研究で、20世紀を代表する物理学者の一人、ファインマンが量子力学を理解するために考え出した「経路積分」という方法を使って、この画像生成の仕組みを定式化・理解できることを示しました。この研究は、最新のAI技術と量子物理学の理論が、抽象的なレベルで繋がっていることを示唆しています。このような繋がりは、将来のAI技術の発展に新しい可能性を開くかもしれません。本講演では、AIと物理学の興味深い結びつきについて、できるだけわかりやすくお話ししたいと思います。 |
参 加 費:無料
申 込:参加申込フォームよりお申込ください
主 催:日本物理学会 京都支部
共 催:NPO法人あいんしゅたいん