この図は、1950年代後半からの、東京周辺でのCs,Stの月間降下量をあらわした図です。
1950年から70年にかけて世界中で原水爆実験が繰り返されました。その頃の放射線量は今より100〜10000倍の状態が長く続いていたのです。今、たとえ福島近辺でもこの時の量よりは少ないレベルです。1986年に一過的に上昇が認められますが、これはチェルノブイリの事故の影響があらわれているのです。放射性ヨウ素は半減期が8日と短いのでここには現れていません。
今後も原子炉からの放射性物質の大量飛散が生じなければ、環境や人体に及ぼす影響について今後注意が必要となるのが、半減期の長い放射性セシウムと放射性ストロンチウムです。
セシウムは、飲食物を通じて体内に取り込まれると、ほぼ100%が胃腸から吸収され、体全体に均一に分布します。
ストロンチウムは体内に取り込まれると、カルシウムと同様に骨に集まります。摂取が続く場合には、骨形成の盛んな成長期の子供で問題が大きくなります。
1950~60年代に育った子供の寿命が特に短いという報告はありませんので、現在の福島の多くの地域の放射線レベルが、長期的にみてもがんを始めとして健康に大きく影響するとは考えにくいです。
しかしながら、その他の健康への影響も含めて、低線量の放射線の影響はよく解っていないことも多いので、福島県では長期にわたる住民の健康管理体制と、それによりそう医療体制の確立が望まれます。