2024年10月05日

ビキニ環礁核実験:第五福竜丸被曝事件 - このスライドを利用される方へ

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第5福竜丸の悲劇

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第5福竜丸の悲劇は、広島・長崎に加えて、日本人には忘れられない原爆の悲劇でもある。今回の福島の原発事故に関連して、広島・長崎の原爆に加え、ビキニ環礁での水爆実験について検証し、その中で新たに知ったことを紹介する。

第五福竜丸が被曝した同じ時、ビキニ環礁の住民達も被曝、28~50時間後に彼らは米軍により救出された。救出後取り立てての治療は行われず、放射能灰をあびた全身を洗う程度であった。
その後彼らの中から白血病1名、甲状腺がん10名が認められている。また、被曝後4年間は高頻度で流産・死産が認められたと報告されている。
しかしながら、島民からは、肝炎、肝がんの報告は特には成されていない。

一方、第5福竜丸の場合は、3ヶ月後に23名中17名に肝障害が認められたと報告されている。そして約半年後に1名が肝炎で死亡、さらに2004年までに12名が死亡しているが、内9名は肝炎・肝がんであった。

広島原爆患者とビキニ患者の白血球推移

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武谷三男の死の灰(岩波新書)に、主治医であった三好和夫医師の語りが記載されている。
部分的に広島長崎被爆者との経過との相違にとまどいつつ、広島長崎の時は治療法がなかったが、今は抗生物質もあるし、輸血もできると語っている。
図は、治療経過による白血球推移の図である。被曝後1ヶ月後で、白血球減少が認められその後回復、しかしながら、3ヶ月目になるとまた白血球数の低下が認められている。このころ黄疸も認められたと書かれている。
主治医は、なかなか回復しない被爆者の病状に、放射線病による肝臓障害と信じていたようである。

これは現在の知識に照らしてみれば、輸血後肝炎そのものであった可能性が高い。日本で国内献血体制が整ったのは1964年のことであり、1954年頃の輸血血液は高頻度で肝炎ウイルスに汚染されていた可能性がある。

この事実は、アメリカや諸外国の国外における原水爆実験の非道さを軽くするつもりではないが、今回の原発事故を機会に色々と調査するなかで、知り得た事実として明確にしておきたいと考え、参考資料としてスライドにした。

日本における大気中の放射性物質月間降下量

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この図は、1950年代後半からの、東京周辺でのCs,Stの月間降下量をあらわした図です。

1950年から70年にかけて世界中で原水爆実験が繰り返されました。その頃の放射線量は今より100〜10000倍の状態が長く続いていたのです。今、たとえ福島近辺でもこの時の量よりは少ないレベルです。1986年に一過的に上昇が認められますが、これはチェルノブイリの事故の影響があらわれているのです。放射性ヨウ素は半減期が8日と短いのでここには現れていません。

今後も原子炉からの放射性物質の大量飛散が生じなければ、環境や人体に及ぼす影響について今後注意が必要となるのが、半減期の長い放射性セシウムと放射性ストロンチウムです。
セシウムは、飲食物を通じて体内に取り込まれると、ほぼ100%が胃腸から吸収され、体全体に均一に分布します。
ストロンチウムは体内に取り込まれると、カルシウムと同様に骨に集まります。摂取が続く場合には、骨形成の盛んな成長期の子供で問題が大きくなります。

1950~60年代に育った子供の寿命が特に短いという報告はありませんので、現在の福島の多くの地域の放射線レベルが、長期的にみてもがんを始めとして健康に大きく影響するとは考えにくいです。
しかしながら、その他の健康への影響も含めて、低線量の放射線の影響はよく解っていないことも多いので、福島県では長期にわたる住民の健康管理体制と、それによりそう医療体制の確立が望まれます。

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東日本大震災、そして福島原発事故を目の当たりにして、幸い関西にいてこれらの影響をほとんど受けなかった私たちが「今何をすべきで、私たちに何ができるか」を議論した結果、研究者や科学教育に関心の高いNPO法人あいんしゅたいんの会員を中心に「情報発信グループ」を立ち上げました。

「日本大震災 ー 放射能の影響」シリーズは、同グループが発信する情報の1つです。急きょ作成したものですので、今後も皆様のご意見を取り入れつつ、よりよいものへと更新していく予定です。

従って、人にこの資料を紹介するときは、ダウンロードした資料を送るのでなく、リンク先を紹介するようにしてください。1週間もたてば、状況は変わります。私達も出来るだけ新しいデータをもとに適切な資料を作りたいと考えています。
http://jein.jp/ をチェックの上、最新版を使ってください。また、このファイルの一部を取り出して使用しないでください。本来の意図と違った形で、使われるのを懸念しています。


あいんしゅたいん情報発信グループ【担当責任者:宇野賀津子(常務理事)・坂東昌子(理事長)】