2024年11月06日

再び、フェルミ推定(ブログ その19)

コンテストいいなあ!

立て続けに、家富副理事長と、佐藤名誉会長が、フェルミ推定についてブログに書かれました。そして佐藤さんは、「『フェルミ問題』コンテストをやりましょうか。」と呼びかけられました。

実は、6月の理事懇談会で、私は西村和雄先生(『分数のできない大学生』等で、日本の理数力のなさを世に訴え、ショックを与えられたのは有名です)とお話したことを報告しました。
なかでも、皆さんの議論になったのが、ショックなデータでした。西村先生からいただいたショックなデータは、2009年5月号「ものづくり」に掲載されている特集「今なら間にあう人づくり」の中の記事でした。それは、大手自動車関連メーカーの幹部が、2006年~2008年度の技術系新入社員を対象に実施したテスト結果でした。基礎学力テストの平均点が55点(2006年)から3年間で41点と徐々に下がっているのです。しかも、その誤答が多かった問題例を見ると、「まさか」と思わせるものです。 

  1. 底辺が直角三角形(直角をはさむ2辺の長さが、2.5cm、3cm)の三角錐(高さ5cm)の体積を求めよ
  2. 市販の単三アルカリ乾電池の電圧として正しいものは、次のどれか
     
      2.0 m V,  1.5V,  42 V,  1000V,  10万V
     
  3. 10kgは何gか?。また1tは何gか?
  4. 一辺がaの正三角形の面積を求めよ。またa=5.2mのときの面積を小数点1ケタまで求めよ。
  5. はいくらか。小数点3ケタまで求めよ。 

これを報告して、理数教育を重視するための道筋を考えなければ、とか、基礎的な力をつける教育が必要だ、とか、いろいろと話が出ました。それと、今の物理教育の中身も何が本当に必要な力か、ということをもっと検討しなければいけないなあという話が出て、やはりフェルミ推定のような訓練が必要だという話になりました。
フェルミ推定と統計の基礎的な概念、何をもって客観的なデータとなりうるのか、といった感覚が身に付く訓練が必要だということです。

ですので、私は、佐藤さんのご意見「コンテスト」をやるのに大賛成です。皆さん、考えてみませんか?そのうち「あいんしゅたいん賞」などというのが、お目見えするかもしれませんよ。
お楽しみに。 

ちなみに、私の愛知大学のゼミの中で、でてきたフェルミ推定の問題の例は、

  • もし、1学年100人規模の小学校で、教科書をリユースして1年間、みんながお古の教科書を使えば、どれだけの予算が節約できるか?
  • 名古屋市では、「レジ袋いいです」運動を呼び掛けている。あるスーパーでは、「70%の買い物客がレジ袋を断っている」というが、それはお金に換算するといくらか?スーパーは、そのお金を消費者に還元したか? 

なんていうのを調べて、環境コンテストに出場して、「発想が面白い」ということで「優秀賞」などを獲得したりしています。

ポスドクが今何人ぐらいいると推定されるか。そのうち、どれくらいポスドクを、どの分野に配置できそうか、などという、フェルミ推定がしっかりできていれれば、ポスドク1万人計画の評価ができたはずですね。
予測して、チェックし、間違いを正して、一般に通用する法則を見つけていく、これこそ、私たちがこれまで知恵を絞って培ってきた「科学の心」なのですね。どなたか、推定してみてほしいなあ。ポスドクの方々の宿題ですねえ。(あ、もちろん、私どもは、真剣にこういう推定をしていますよ) 

今日は、佐藤さんのブログに刺激されて、短いけどコメントをしてみました。