2024年12月06日

性差の科学(ブログ その17)

当法人の常務理事である宇野賀津子さんから、2009年の8月9日に行われるシンポジウムの情報が提供されたので、急きょですが続けざまに、ブログを書き加えることにしました。以下はその説明です。

女性研究者の会は、京都お京都大学女性支援室とで連携して、2007年から、「性差の科学」研究会を連続して開いてきました。この後、京都大学では性差の科学に関連するポケットゼミなどが開設され、取り組まれています。

そもそも「性差の科学」研究会は、愛知大学の研究助成金を得て、1897年には研究会を開いております。これは、「性差の科学」という著書が発刊された契機に、本格始動したものでした。

それから現在まで、いわゆるジェンダー研究が、社会人文科学系の問題として提起されている問題を、自然科学、特に生命科学の最近の進展を踏まえて、事実に基づいた科学的手法を視野に入れて見直そうという意図でした。 詳しくは、こちら をご覧ください。

その後、愛知大学の学内共同研究助成金を得て、「女性研究者のリーダーシップ研究会」という形で、さらに問題を深く追求することができました。この研究会と連携して、始まったのが、京都大学女性支援センターとの共同企画で、このユニークな研究会も、回を重ねて8回目を迎えたということです。

女性研究者支援活動は、「支援」ということが中心になっています。「子育て支援」「「研究者としての復帰支援」さらには、今年度から「女性研究者養成システム改革加速」事業が、京都大学の他、いくつかの大学が進行しています。これらの取り組みは、遅れていた日本の男女共同参画という国際的なうねりのなかで、世界情勢に追いつこうという意図も含めて、日本の中でも活発に企画された新しい動きです。

しかし、現在の世の中、博士をもった知的人材であるはずのポスドクといわれる若い方々(といっても40歳を超えている状況です)が、職を得られず、男性でも非正規雇用が増えている現在、これらの状況をも視野に入れた取り組みが必要になっています。いろいろな分野の学会での男女共同参画の動きも、ポスドク問題を抜きにしては語れないのです。

例えば、日本応用物理学会では、2001年7月に設立した男女共同参画委員会を、人材育成・男女共同参画委員会と名称を改めました。「この名称には、男女同権運動のような女性対男性という構図ではなく、男女双方が充実して生きられ能力を発揮できるような社会を協力して築き上げるという意味がこめられています。大きな社会的影響力を持つ応用物理学会において活動を行うことで、男女共同参画の推進を通じて学会の活性化、ひいては社会の活性化に寄与したいと考えています。」と書かれています

こういう状況も踏まえて、今一度、「女性研究者が知的人材として活用される意義」を一層深める必要があると考えています。こうした活動は、なかなか、蓄積がないとできないものです。京都ならではの、この新しい企画が、ここ2年、蓄積されてきているということが、他の活動と異なる京都の取り組みと言えるでしょう。

この連続研究会は、2007年、1月に第1回が開かれて以来、持続的に開かれています。今までの研究会の内容は、以下のようです。

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OECDのPISA調査結果に見られる性差

松下佳代先生(京都大学)
2 脳の性差 功刀由起子先生(愛知大学)
3 空間認知の性差 竹内謙彰先生(立命館大学)
4 雌の戦略、雄の戦略:動物行動学の観点から 日高敏隆先生(京都大学名誉教授)
5 脳の二つの性、セックスとジェンダー 田中冨久子先生(国際医療福祉大学)
6 女性の生涯の性と健康 大川玲子先生(千葉医療センター)

これらの活動は詳しくは、京都大学女性支援センターの活動報告に詳しく紹介されています。そのほかにも、シンポジウムというもっと大きな企画も行われています。そのシンポジウムで、私自身、このテーマの意義を訴えています。それは、2007年に開かれたシンポジウム「性差科学の最前線」報告書(ここでは、長谷川真理子さん、大隅典子さんのご講演が主体でした。その記録も見みれます)にありますが、このテーマを始める意味について説明させていただきました。 

この日は、この講演会の後懇談会も行いましたが、まだそのあとで、長谷川さんを交えて、稲葉さん、宇野さんなど、夜遅くまで議論に花が咲いたことを思い出します。 

残念ながら、自然科学的に視点からの性差の議論は、なかなか、科学研究補助金に申請しても、少数派で採択されず、今までは、何度も出したのですが、結局、愛知大学の学内共同研究助成金で活動資金を得てきました。愛知大学にはこの点では、とても助けていただいたと思います。そして、京都大学の女性研究者支援センターにもご理解を得たことで、この研究会は、ここまで到達できたのだと思います。この際、愛知大学にも、お礼を述べておきたいと思います。 

しかし、これはまだ出発点にすぎません。当たり前ですが、男性は女性の敵ではありません。本当に男女共同参画が、社会に何をもたらすか、得に知的人材である女性研究者たちが、学術の世界に参画して、何を変えられるか、それを、これから、見据えていきたいと思います。

ぜひとも、ダイアモンドの研究会にお越しくださるようお待ちしています。

ダイアモンドの研究会の意義については、宇野さんが、また、紹介いただけると思います。乞う ご期待!