2017年06月22日

新米新聞記者、天野さんの記事! 研究資金をめぐって(ブログ その134)

実をいうと、私にはパグウォッシュ会議(第61回世界大会 2015年11月1~5日 長崎)の分科会での議論以後、ずっと気になっている動きがありました。
それは科学の軍事利用についての日本の動きです。防衛省が2015年から新たな制度で防衛装備品などの軍事関係の開発につながる基礎研究に対して、科学者に資金を提供するというシステムを立ち上げたのでした。
戦後、科学者たちは戦争に協力したことを悔やんで、学術会議で「軍事目的のための科学研究は行わない」という決議をしました。
防衛省がこうした資金を提供するというのです。研究費の予算が減らされ、日常の科学研究にも苦しい状況が続いている中、こうした動きをどう私たちは考えたらいいのでしょうか。

科学の成果がどのように使われるかは、「これは軍事研究だ」とか「これは人類の福祉のためだ」と分けられるものではありません。
科学的知見には、そういう使い方の先々によってはプラスにもなりマイナスにもなるわけです。こうした科学研究基金は、「デュアルユース」といわれますが、実際に科学の成果をどう使うかは、それを人々がどのように使うかという問題を抜きにしては語れないのです。

詳しい議論はまたの機会にして、本題に入ります。
このような現状を見つめた科学研究の資金の問題と軍事利用について、天野彩さん(当時、朝日新聞横浜総局記者)が、記事を書かれました。
天野さんは京都大学大学院生の頃、このあいんしゅたいんの企画している親子理科実験教室に参加され、子どもたちと一緒に楽しんだり、子どもたちに自分の研究のお話を解説したりと活発に議論し、いろいろと共に楽しんだ仲間でした。
昨年(2016年)4月に朝日新聞社に就職され、忙しい日々の中でも、よく私どもの行事にも関心を持っていただいている「同窓会?」の一員でもあります。
そして今も京都に来られると、立ち寄ってくださり、仲間が集まって議論する時間を過ごすメンバーの1人です。

記事をまとめるにあたって。「小沼さんを紹介してほしい」というメールをいただきました。

天野さん

頑張っていますね。原稿楽しみにしています。

小沼さんのご意見も分かるのですが、若い人たちから「小沼さんのように定年後の人は何とでもいえるでしょうが、お金がなかったら研究できないのをどうすればいいのか考えないと研究者をやめることになる」という意見が出てきますね。軍事研究という概念もなかなか難しいです。どこまでが軍事研究なのか。

先日(2017年3月)に開かれた日本物理学会春の大会でも、この件について討論会がありましたが、いろいろと考えさせられました。確かに、今回採択されているテーマは普通にどこを見ても戦争に利用されるかという特別のテーマではありませんね。
ただ、アメリカのようになし崩し的に軍からのお金を使わないと何もできなくなる前に、警告は発しないと大変なことになるのですが・・・。悩ましいところです。どういう風にまとめているのか楽しみにしています。

坂東昌子

それに対して、 

坂東先生

おっしゃるとおり、最終回の問題はとても難しいと思います。

個人的には、科学者の倫理観だけの問題ではなく、社会全体でどんな仕組みを作るのがいいのか、もっと広く議論していかなくてはいけないと思っています。記事がひとつの足がかりとなれば、こんなに嬉しいことはありません。

そんなわけで、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

天野彩

とお返事がきました。

彼女の記事は、3回連続で、以下のページにアップされています。

企画特集1【どうする?研究費】

(上)基礎研究 大隅教授の憂い

(中)自作のゆるキャラで稼ぐ

(下)軍事転用 チェック必要

それにしても、たった1年でこういう風にまとめることができるようになるのですね。その成長ぶりに感銘を受けました。
あいんしゅたいんに集った若者たちがどんどん成長している姿を見ると、ほんとに心強いです!