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on-line cafe “湯川博士の贈り物 4”

2021年2月よりサロン・ド・科学の眼差しの講座として始めたon-line cafe “湯川博士の贈り物” シリーズは2023年1月で通算15回を数えました。

on-line cafe “湯川博士の贈り物”
on-line cafe “続・湯川博士の贈り物”
on-line cafe “湯川博士の贈り物 3”

これまでの経験から、テーマを「SC:サイエンス編 BH:文化・平和編 JI:事件簿編」のどれかに絞って深く掘り下げるという試みを行います。
今回は、ほんの少しですが興味深い湯川像が見えてきたところで、「YD:湯川資料編」を付け加えて、湯川邸の遺品の資料について「こんな興味深いものが見つかりました」という中間報告の講座とします。

今後、これら1つ1つをさらに中身に従って取り上げることになりますが、今回はその中から以下の5回分を用意しました。

テーマは「湯川博士の残された資料と思い」

子ども向けにしては少し難解なところもありますが、ノーベル賞をもらった偉い先生が、どんな経験をされ、どんなことを考えられたかを知ることで、さらに深く知るきっかけにしていいただければと思います。

皆様のご希望に合うようにやり方を工夫して、試行錯誤しつつ今後もシリーズを続けていきますので、ご意見をおよせ下さい。
それらを参考にして、市民と科学者、そして子どもたちにも親しめる集いの場として、湯川邸オープンの日を迎えるよう、またオープン後はその交流が定着したイベントとなるようにと期待を込めて月1回のペースで続けていきます。

今回のサロンは2023年2月から6月までとなります。主に湯川家に残る遺品を点検整理いただいている方々を中心にして、資料の紹介を手掛かりに湯川邸の京大移管についてのご苦労やご感想も含めてご紹介します。

これまでのシリーズに参加された方はもちろん、初めての方も大歓迎です。皆さまのご参加をお待ちしています!!

※ 開催済みの動画ダイジェストの閲覧はこちら(参加者限定)


スピーカー: <岡田知弘>   <佐藤文隆>   <早川尚男>
     
  京都大学名誉教授
京都橘大学教授
  NPO法人あいんしゅたいん
名誉会長
  京都大学
基礎物理学研究所教授

司   会:艸場よしみ(絵本・書籍編集者)・坂東昌子(NPO法人あいんしゅたいん理事長・基礎科学研究所所長)

日   程:2月19日~6月18日(全5回)

回 数 日  程 各回テーマ 種 別 スピーカー
第1回 2月19日(日)  湯川秀樹「自己教育」論の系譜を探る
          ~『世界』創刊号の随想を手掛かりに~
YD 岡田知弘
第2回 3月19日(日)  小川秀樹の講義ノート・・・高校・大学での湯川の勉強 YD 佐藤文隆
第3回 4月16日(日)  湯川秀樹と中谷宇吉郎 ~「文人科学者」たちの交友録~ YD 岡田知弘
第4回 5月21日(日)  西田幾多郎と湯川秀樹・・・桑木彧雄・小川ノート・西田外彦 YD 佐藤文隆
第5回 6月18日(日)  窮理学から湯川へ、湯川から現代物理へ:日本の物理学の発展史 YD 早川尚男

※ SC:サイエンス編 BH:文化・平和編 JI:事件簿編 YD編:湯川資料編

時   間:15時~17時

講 座 形 式:Zoom配信によるオンラインサロン

定   員:50名

参 加 料:一 般:1講座:800円 全5回一括払:3,000円
      会 員:正会員・賛助会員・利用会員・1講座:600円 全5回一括払:2,000円
                   協力会員:1講座:700円 全5回一括払:2,500円
      日本物理学会会員:1講座:600円 全5回一括払:2,000円

  法人の会員にご入会いただくと、受講料割引を始めとする会員特典を受けることができます。詳しくは、会員特典案内のページをご覧ください。法人会員のご入会は、会員入会申込フォームのページから、必要事項をご記入の上、お申込み下さい。
  内容はそれぞれの回毎に独立していますので、ご興味のある回のみご参加いただいても支障はございません。
  参加料のお支払いは、銀行振込・クレジットカード払い(Visa・Mastercard・American Express・JCB)のいずれかを選択いただけます
支払方法については、お申込み後、当法人より送付させていただくご案内メールにてお知らせいたします。

申   込:参加申込フォームよりお申込みください

ご 注 意:お申込みに際しては、以下の点ご了承いただきますようお願いいたします

  講座の様子は撮影いたします。 撮影した映像の一部は電子教材として使用し、インターネット等の媒体を通じて公開させていただく場合があります。 公開に際しては、可能な限り肖像権に配慮した編集を行いますが、質疑応答を行うという性格上、映り込みが生じる点はご了承ください。
  本講座の映像・音声を、スクリーンショットや写真・動画、録音機器等で許可なく記録し、またそれらを第三者に共有・公開すること、さらに講座に参加するために必要なURL・パスワードを第三者に共有・公開することは固くお断りいたします。
  開催日当日、参加者様のご都合より欠席された場合、払込済参加料の返還はいたしません。参加申込いただいた場合は、この点につき認容いただいたものとみなさせていただきますので、予めご承知おきください。

問い合わせ:NPO法人あいんしゅたいん事務局 TEL:075-762-1522 E-mail:secretariat [at] jein.jp

※ コロナ禍を原因とする業務の大幅縮小中のため、電話対応できない場合がございます。悪しからずご容赦ください。

主   催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん 附置機関)・物理学会京都支部

支   援:京都府地域交響プロジェクト

備   考: 本講座はZoomを使ったオンラインで実施するため、思わぬシステムトラブル・通信トラブルにより予定通りの内容をお届けできない可能性がある点につきましては、ご理解の上、ご容赦くださいますようお願いいたします

 講演概要
 
第1回 湯川秀樹「自己教育」論の系譜を探る ~『世界』創刊号の随想を手掛かりに~

湯川邸の資料を整理する中で、岩波書店の『世界』創刊号の表紙と「自己教育」というタイトルの小文が見つかりました。
この「自己教育」という言葉は、約100年前に信州の「上田自由大学」運動に深くかかわった京都帝国大学文学部卒業生の土田杏村が提起した言葉で、「社会教育」と対となって使われているものです。
湯川は、この小文で戦争を食い止められなかった「知識階級」の責任を指摘するだけに留まらず、国家によるその抑圧、そして戦後「知識階級」だけではなく、国民も社会教育を通して自己教育をしなければならず、自分の頭で考え行動する必要があると述べています。
1945年11月という執筆時点で、若き理論物理学者の湯川がなぜこのような考えを持ち執筆したのでしょうか。現代にも通底する、その意味を探ってみたいと思います。
第2回 小川秀樹の講義ノート・・・高校・大学での湯川の勉強

湯川旧居が京都大学に移管されることになり、旧居に残る遺留品の整理が行われたが、そこで湯川が京都大学理学部学生時代に受けた授業に関係した一群の史料が発見された。
これまでの湯川史料の大半は結婚後のものであり「小川」時代のものは珍しい。これまでも「小川」時代に購入し大学の研究室に置かれていた書籍はあったが、自宅に「小川」時代のものが見つかるのは初めてである。
発見されたものは「小川秀樹」と記名した10冊ほどの講義ノートとそれらに挟まれた計算用紙、学生実験レポート、受教簿、その他目的不明の成績証明書がある。
ただし、全講義のノートが残っているのではない。またノートは講師の発言の筆記のみであり、小川の反応が読み取れる書き込みはない。
この講演ではこの発見物の概要と湯川自伝『旅人』に記されている高校と大学の時期での湯川の勉強ぶりについて話す。高校の時の物理講義の英文の教科書はながく大学の研究室に置かれていた。この米国の英文教科書の演習問題を自分で解いていったときの快感を記した『旅人』の文章は小川青年の研究者への出発を彷彿させる。
第3回 湯川秀樹と中谷宇吉郎 ~「文人科学者」たちの交友録~

湯川邸には、多くの書画が遺されています。
スミ夫人との共作が多いのですが、「雪は天から送られた手紙である」という文章を残した中谷宇吉郎の絵と湯川秀樹の和歌が書かれた色紙や掛軸も複数ありました。
中谷は、寺田寅彦を師として、専門分野だけでなく、今も読まれる随筆や絵本も書いた文人でもあり、二人は「文人科学者」と言われる存在でした。この二人は、1940年の北海道帝国大学での集中講義の時から、家族ぐるみの交友を深めていきました。
しかし、1954年のビキニ事件をめぐっては、異なる発言をすることになりました。
その後、二人の関係は、どうなっていったのでしょうか。ここでは、中谷宇吉郎の家系や岩波書店・映画との関係や、まちづくりで有名な由布院の中谷健太郎とのつながりについても話してみたいと思います。
第4回 西田幾多郎と湯川秀樹・・・桑木彧雄・小川ノート・西田外彦

京都大学の誇りとして、理系では湯川秀樹、文系では西田幾多郎、がよく発信される。
西田は湯川の父小川琢治と同年齢であり、同じく京大文学部創設時に京大に赴任しており、湯川の37歳年長である。西田の「善の研究」(初版1910年)はベストセラーで多くの青年を魅了した。
湯川旧居整理で発見された講義ノートの一冊に西田『哲学概論』もあり、これの専門家による「鑑定」を紹介する。初期の西田はマッハやフェヒネル(精神物理学)などの物理学者の考えに興味を示しており物理学者桑木彧雄との交流もあった(佐藤『転換期の科学者』第10章「西田幾多郎と桑木彧雄ー「プランクのマッハ批判」の余波」、青土社、2022年)。
また、息子西田外彦に理論物理学をすすめ、湯川、朝永が京都大学物理の玉城嘉十郎研究室に入ったときには原子物理学を目指す先輩として外彦がいた。幾多郎の外彦に宛てた書簡などを紹介する。
湯川は晩年の西田を鎌倉に尋ねており、旧居には西田の扁額あったが、戦後、京都学派への「戦争協力」の批判もあり、湯川は西田には多くは語っていない。西田旧居についても触れる。
第5回 窮理学から湯川へ、湯川から現代物理へ:日本の物理学の発展史

日本の物理学が江戸時代後期から明治、大正を経てどのように発展して湯川秀樹の中間子論に辿り着いたか、また湯川が如何に中間子論の着想を得て評価されるようになったか、また湯川が基研を設置してからどのように理論物理が発展してきたかの概略を話す。
特に湯川の本講演は基研所蔵の湯川の写真をふんだんに使って、湯川の成し遂げた研究の意義が高校生に分かる様に講演する予定である。
尚、本講演は2022年10月1日に行われたIUPAP100周年記念講演会での演者講演の拡張バージョンである。
   
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