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世界征服計画 その5

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5.解き明かされた宇宙人の意図・・・2001年宇宙の旅

「一番分からないのは、あなたがた宇宙人がこの地球を征服、支配しようという目的です。なんのためにそうするのです。資源の獲得ですか?それとも征服欲?あるいは単なるゲーム、つまり遊びですか?そもそも、あなた方はこの地球に1万年前にやってきたと言いました。それならなぜ今なのです。なぜもっと前に征服して、征服王朝を打ち立てなかったのです?あるいは人類が文明を作る前に、地球を自分のものにしなかったのです?」

アーキテクトはうなずいて言った。

「当然の質問だ。我々の人類征服の目的は2つある。一つは我々の安全確保だ。君たちが今後、暴走的に進歩して、我々の安全を脅かすことをあらかじめ防止することだ。もう一つは、我々の倫理的、宗教的ミッションとでもいおうか。君たち人類を幼年期から脱却させて、その次の段階、超人類へ導くのだ。そのとき君たちが外部に対して平和な超人類になることは、我々の安全性の面でも重要なのだ」

僕は納得できなかった。

「あなた方の安全性というけれど、我々人類はあなた方を脅かす力など持っていません。たとえ脅かすことができても、あなた方は我々から見れば、超絶的な力を持っているでしょう。我々を打ち負かす、あるいは滅ぼすことは簡単でしょう。なにを恐れるのです?」

アーキテクトは答えた。

「君たち人類の現在の力は、確かにたいしたものではない。しかし君たちの進歩は指数関数的だ。今後数十年でカーツワイルのいう技術的特異点に達する可能性がある。そのとき君たちは超人類に脱皮する可能性がある。あるいは人類が人工知能(Artificial Intelligence=AI)に支配される可能性もある。

いずれにせよ、不確定性がある。人類がどのような超人類になるかは我々にも予想がつかない。この銀河系でサンプルが少なすぎるのだよ。君たちが現在の一部の国家のように、暴力的な乱暴な超人類になると、我々は迷惑するのだ。それを防ぐのが、我々の今回の計画の目的の一つだ。一種の保険だ。なぜ今なのか、なぜ1万年前でないのか、なぜ200年前でないのかという疑問に対する答えだ」

僕は少しは納得した。

「なるほど、なぜ今かというのは分かりました。それでも、あなた方の安全性確保という観点からは、人類を滅ぼすというオプションもあるのではないですか。あなたがたの力をもってすれば、簡単でしょうに」

アーキテクトは苦笑いして言った。

「いかにも人間的発想だ。しかし君、我々は平和な種族なのだよ。君たちと違って破壊、殺戮は好まない。なぜ我々が君を選んだか分かるかね?意識していないだろうが、現在の日本人は世界一平和な国民なんだよ。アメリカに押しつけられたという憲法第9条のせいなんだ。アメリカ人は当然のこと、ヨーロッパ人もロシア人も中国人も、もっと乱暴なメンタリティーを持っている。我々はそれは好かないのだ。知性、想像力の点だけで言うなら、君より優れた人物はいくらでもいる。しかし彼らのメンタリティーは歴史的、社会的に暴力に汚染されているのだ。だから日本人の君を選んだのだよ」

僕は納得すると同時に、僕より優れた人間がほかにたくさんいるというアーキテクトの発言に、少しがっかりした。しかしそれが事実であることは認めざるを得ない。なーるほど。日本人を狙っていたのか。僕は聞いた。

「安全性の確保と言うことですが、もう少し具体的に言うと?」

アーキテクトは答えた。

「我々の実態は惑星、衛星、小惑星に埋め混まれたというか、生えたというか、そんなコンピュータだ。人類やその後継者が宇宙進出して、それらを発見して掘り出そうとしたら、一大事になる。そのときは彼らを抹殺しなければならない。我々は暴力的手段には訴えたくないのだ。だからそうなる前に、人類を平和な種族に導こうというのだ」

「映画『2001年宇宙の旅(2001 A Space Odyssey)』と似ていますね」

「人類を教化して超人類にするという意味ではね」

「あの映画では宇宙人は人類の知能の進化を促すために、アフリカにモノリスを置き、それに触れた類人猿が進化して人類になりました。ところが宇宙人が月に400万年前に埋めたモノリスを人類が発見しました。それでフロイド博士が急遽月に派遣されます。そしてクラビウス基地で会議が開かれます。この発見は世界に対して極秘にすることに決まっています」

「真実の隠蔽は、支配にとって絶対必要なのだよ。後で詳しく説明するがね」

「アメリカは月に埋まったモノリスを発掘しました。月に宇宙人がわざと埋めたモノリスを人類が発見したことを検知した装置は、信号を木星周回軌道にあるモノリスに送りました。そこで木星探査ミッションが計画されます」

「我々なら、そんなまどろっこしいことはしないがね」

「木星に向かう宇宙船ディスカバリー号の中で、ボーマン船長と人工知能のHAL9000が死闘を繰り広げます。あの映画では、人間と人工知能の戦いで、人間はコンピュータのメモリを抜くことによって勝ちました。あんなに簡単にいくのでしょうかね?」

「それはHAL9000を作った技術者が、人工知能が人間に反抗するなど想定していなかったからだ。我々は違う。我々をなめたら、いかんぜよ」

「ところであの映画でも宇宙人は倫理的、宗教的ミッションとして、モノリスを置き、人類を超人類に導いたのですね。最後のシーンでボーマン船長が年老いて、やがて死に、そして超人類であるスターチャイルドとして再生するという難解な話ですね。映画の始めと終わりに使われたリヒアルト・シュトラウスの『ツアラトストラはかく語り』とヨハン・シュトラウスの『美しき青きドナウ』はなかなか効果的ですね」

「我々は君たちの目から見て超人類だ。いわば君たちは赤ん坊で、我々は大人だ。大人が子供を育てるのは義務だ。しかもこの銀河で知性を持つ生物は我々と君たちだけなのだよ。我々が君たちの生育に手を貸すのは当然ではないかね。人類征服というが、我々の監督、指導の下で、君たちを立派な大人に育て上げようというのが我々のミッションだ」

僕はこのアーキテクトの意外な発言に心底驚いた。この広い銀河で知性を持つのはこの宇宙人と我々だけだなんて。そんなことは、SF作家はもとより、宇宙生物学者も思っても見ないことだ。

それはそもかく、スタンリー・キューブリックの名作「2001年宇宙の旅」は必見のSF映画だ。そのオープニングの音楽、リヒアルト・シュトラウスの「ツアラトストラはかく語り」の壮大さは感動以外のなにものでもない。

<2001年 宇宙の旅>

続く

   
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