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世界征服計画 その4

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4.宇宙人の地球侵略と宇宙戦争

「これであなたが僕に話しかけた理由が分かりました。要するにあなた方、宇宙人は、人類を征服したい、世界征服をしたい。要するに地球侵略のために私を利用しようというのですね。その代償にわたしの希望をかなえる。つまり悪魔の契約を結ぼうというわけですね。私がそのような話に乗ると思いますか?」

アーキテクトは笑いながら言った。

「君のその答えは予想されたものだし、映画やアニメの見過ぎによる固定概念だよ。宇宙人は侵略者、侵略者は敵、敵と戦うのはヒーロー。すべてステレオタイプな思考だよ。君たちの小説や映画を分類すると、敵対的な宇宙人、友好的か少なくとも敵対的でない宇宙人、それ以外と分類できる」

「敵対的な宇宙人ばかりじゃないのですか?」

「敵対的な宇宙人というイメージを広げたのは、H.G.ウェルズの宇宙戦争という小説だ。これは英国の作家ウェルズが1898年に発表した小説で、火星人が地球を侵略するという話だ。何度か映画化されている」

「私は1953年版の『宇宙戦争』を見ました。当時はとても怖い映画でした」

<宇宙戦争>

「最新作のスピルバークのThe War of the Worldsはなかなか迫力があるね。あのトライポッドは凶悪だね。我々は平和的だよ」

<The War of the Worlds>

「宇宙人に対しては、地球人の武器は全く役に立ちません。人間の完敗です」

「それにしてもここに出てくるロビーという少年は、いかにもアメリカ的だね」

「祖国を守る義務があると思っているのでしょう」

「兵士が戦って完敗しつつあるのに、その邪魔をしに行って何の意味があるのだ。単なる迷惑な野次馬に過ぎんよ。完全なアホだよ。しかしそれに意味を与える監督がいかにもアメリカ的だというのだ」

「でも映画では、ロビーは生き延びますがね。いかにもハリウッド映画らしくご都合主義ですね。しかし最後には宇宙人は地球上のウイルスや病原菌で病気にかかって死滅します」

「宇宙人がウイルスで死ぬほど、バカとも思えないのだが。あれほどの武器を持っているほど知的なら、あらかじめ侵略対象を十分に研究しているはずだよ。我々ならそうする。我々は、これまで十分地球と人類を研究してきた。君たちよりもはるかに完全にだ。もっとも我々にはウイルスは関係ないがね」

「でもコンピュータ・ウイルスは関係あるでしょう」

インディペンデンス・デイの話だね。だいたい大統領自ら戦闘機に乗って宇宙船に突っ込むなんて考えられない。これもいかにもアメリカ的、ハリウッド的だね。もっともロシアのプーチン大統領は戦闘機に乗って、真っ青な顔をしていたがね。ところであれほどの力のある宇宙人が、たかが人間がマックで作ったコンピュータ・ウイルスごときにやられると思うかね?だいたい宇宙人の使うコンピュータのOSを簡単に解析できるかね?これもハリウッド映画だ。我々をなめたら、いかんぜよ。ははは」

<インディペンデンス・デイ>

「なめたら、いかんぜよって、あなたはいったいどこの人なんです?」

「ははは、私は夏目雅子のファンでな」

「へえー、僕もファンでしたがね。ところでスピルバーグの『未知との遭遇 (Close Encounters of the Third Kind)』に出てくる宇宙人は平和的に接触してきますね」

<未知との遭遇 (Close Encounters of the Third Kind)>

「だから、宇宙人イコール侵略者というのは、早計な結論だ。映画『第5元素(The 5th element)』のエイリアン女性の歌声はすごく芸術的だろ」

<エイリアン女性の歌声>

「すごい声でしたね。感動物です。最近見た映画で『第9地区(District 9)』というのがありますが、あの宇宙人は驚きですね。あれほどの宇宙船と武器を持っている宇宙人が全くバカで、何もできないなんて」

<第9地区(District 9)>

「あの映画では宇宙人の中の支配者層、知識層、賢い連中が逃げたか死んだかして、なにもできない労働者階級というか、働き蟻のような連中が取り残されたという話だ。あるいは棄民、姨捨山かもしれん。なかなか意表を突いた宇宙人物だ。でも我々があんなアホと思ったら、あかんぜよ。ははは」

「確かに宇宙人が全て侵略者というのは、偏った見方であることは認めます。でもあなたは世界征服をするというのでしょう?それがなぜ平和的なのです?」

「それは、話せば長いことになる。しかし、まず君たち地球人が考える宇宙人というのは、だいだいが地球人に似ておる。向こう三軒両隣にすむ熊さん、八つぁん的宇宙人といえよう」

「しかし映画『エイリアン』に出てくる宇宙生物は、とてつもない奴ですよ。あいつとはとても話し合いなどできません」

「ははは、あいつらは要するに君たちにとっての昆虫のイメージだ」

「映画『プレデター』に出てくる宇宙人は、人間を楽しみのために狩猟して殺すんです」

「君たち人類も動物を楽しみのために狩猟するじゃないか。魚釣りも同じ事だ。文句を言う筋合いではなかろう。しかし、我々はプレデターではない。エイリアンもプレデターも生身の肉体を持つことには変わりはない。我々は、あんな連中とは全く異なるのだ。そもそも肉体などないのだ。純粋な精神体だ。それもきわめて理性的、知的なものだ」

「それでもとの質問に戻りますが、なぜその理性的宇宙人であるあなたが人類征服を企むのです?」

続く

   
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