2017年08月19日

放射線Q&A ー 放射性元素と核種(もっと詳しく知りたい方のために)

放射線Q&A ー 放射能と放射性物質」からの続き

放射性元素では、この頃マスコミでよく聞くのは、ヨウ素とかセシウムとか、プルトニウムとか…」
「あ、それね。気を付けないといけないのは、ヨウ素というだけでは、放射性元素かどうかわからないのよ。同じ元素でも性質の違う元素を同位元素 といいます。」
「ん?今、福島の原発からの放射性物質が散らばっていて、そこにヨウ素があると言っています。それって、体の中に入ってくると危険なのではないのですか?特に、乳児とか幼児とかの成長期になる子どもには…。ちょっとヨウ素のことを例にとって説明してくれませんか。」
「ヨウ素にもいろいろあるの。原子核は陽子と中性子の集まりだっていいましたね。ヨウ素という名前は、そこに含まれている陽子の数で決まります。」
   
「そうか、そうすると、元素の名前を見て分かることは、陽子の数なのですね。」
  <ヨウ素の同位元素一覧(出典:Wikipedia)>
同位体核種 Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比 天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
108I 53 55 107.94348(39)# 36(6) ms (1)#    
109I 53 56 108.93815(11) 103(5) µs (5/2+)    
110I 53 57 109.93524(33)# 650(20) ms 1+#    
111I 53 58 110.93028(32)# 2.5(2) s (5/2+)#    
112I 53 59 111.92797(23)# 3.42(11) s      
113I 53 60 112.92364(6) 6.6(2) s 5/2+#    
114I 53 61 113.92185(32)# 2.1(2) s 1+    
114mI 265.9(5) keV 6.2(5) s (7)    
115I 53 62 114.91805(3) 1.3(2) min (5/2+)#    
116I 53 63 115.91681(10) 2.91(15) s 1+    
116mI 400(50)# keV 3.27(16) µs (7-)    
117I 53 64 116.91365(3) 2.22(4) min (5/2)+    
118I 53 65 117.913074(21) 13.7(5) min 2-    
118mI 190.1(10) keV 8.5(5) min (7-)    
119I 53 66 118.91007(3) 19.1(4) min 5/2+    
120I 53 67 119.910048(19) 81.6(2) min 2-    
120m1I 72.61(9) keV 228(15) ns (1+,2+,3+)    
120m2I 320(15) keV 53(4) min (7-)    
121I 53 68 120.907367(11) 2.12(1) h 5/2+    
121mI 2376.9(4) keV 9.0(15) µs      
122I 53 69 121.907589(6) 3.63(6) min 1+    
123I 53 70 122.905589(4) 13.2235(19) h 5/2+    
124I 53 71 123.9062099(25) 4.1760(3) d 2-    
125I 53 72 124.9046302(16) 59.400(10) d 5/2+    
126I 53 73 125.905624(4) 12.93(5) d 2-    
127I 53 74 126.904473(4) STABLE 5/2+ 1.0000  
128I 53 75 127.905809(4) 24.99(2) min 1+    
128m1I 137.850(4) keV 845(20) ns 4-    
128m2I 167.367(5) keV 175(15) ns (6)-    
129I 53 76 128.904988(3) 1.57(4)E+7 y 7/2+    
130I 53 77 129.906674(3) 12.36(1) h 5+    
130m1I 39.9525(13) keV 8.84(6) min 2+    
130m2I 69.5865(7) keV 133(7) ns (6)-    
130m3I 82.3960(19) keV 315(15) ns -    
130m4I 85.1099(10) keV 254(4) ns (6)-    
131I 53 78 130.9061246(12) 8.02070(11) d 7/2+    
132I 53 79 131.907997(6) 2.295(13) h 4+    
132mI 104(12) keV 1.387(15) h (8-)    
133I 53 80 132.907797(5) 20.8(1) h 7/2+    
133m1I 1634.174(17) keV 9(2) s (19/2-)    
133m2I 1729.160(17) keV ~170 ns (15/2-)    
134I 53 81 133.909744(9) 52.5(2) min (4)+    
134mI 316.49(22) keV 3.52(4) min (8)-    
135I 53 82 134.910048(8) 6.57(2) h 7/2+    
136I 53 83 135.91465(5) 83.4(10) s (1-)    
136mI 650(120) keV 46.9(10) s (6-)    
137I 53 84 136.917871(30) 24.13(12) s (7/2+)    
138I 53 85 137.92235(9) 6.23(3) s (2-)    
139I 53 86 138.92610(3) 2.282(10) s 7/2+#    
140I 53   139.93100(21)# 860(40) ms (3)(-#)    
141I 53 88 140.93503(21)# 430(20) ms 7/2+#    
142I 53   141.94018(43)# ~200 ms 2-#    
143I 53 90 142.94456(43)# 100# ms [>300 ns] 7/2+#    
144I 53 91 143.94999(54)# 50# ms [>300 ns] 1-#    
「そうよ。だから、ちゃんと原子核を区別するには、そこに中性子がいくつあるか、その数を知る必要があるのよ。」
   
「例えば・・表を見るとヨウ素は37種類ありますね?ええーっと・・・中性子の個数は、55個、56個、57個・・・・ワ―、91個まであるみたい!」
「だから、中性子の数も表記してヨウ素を表さないといけないの。で、普通は陽子と中性子の数を足した総数で区別するのよ。」
   
「どうしてですか。」
「それはね。このヨウ素108の質量をみてごらんなさいな。ほぼ108ですね。これは陽子や中性子の質量を1として何倍になるかという値なの。陽子も中性子も、ほぼ同じ質量なので、このヨウ素108の質量は、陽子の数53と中性子の数55を足した数108とほとんど同じになるのよ。」
   
「あ、そうか、ほんとだ。この名前の番号は、ヨウ素の体重を表しているようなものか。」
「そうなのよ。体重108のヨウ素、体重127のヨウ素ということよ。」
   
「やだなあ。わざわざ体重を書くのか。プライバシィの侵害だな!あ、この最初に書いてある数字が総数だから、質量(まあ、体重ですね)がだいたいどれくらいかを表しているのですね。例えば、ヨウ素127というのは、質量127で、陽子53個だから、中性子は74個ということかな?」
「そういうこと。それで、原子核を区別するために、核種 という言葉が出てくるのよ。この時はヨウ素という家族名だけでなく、体重も示して区別するのよ。だから、総数のことを『質量数 』ともいうのよ。これでこの原子核の性質がわかるわけです。」
   
「そうか、ヨウ素というのは化学反応では同じ性質でも、原子核の性質は全然違うものがあるのか。だから放射線のことを気にするのなら、核種で区別しておかないといけないわけですね。」
「そうそう、ちょっとみてごらん。このヨウ素127のところには、stable って書いてあるでしょう?これは、放射線を出さない原子核なのよ。」
   
「あ、そうか、ヨウ素という家族の中には、丁度釣り合いのいい安定家族の構成があるのですね。」
「そうそう、で、中性子が、増えてくると・・たいてい無理矢理に入ってくるのだけど、中でもめて、出ていけといわれるわけよ。出ていくときにすごいエネルギーを持って出ていくので、これが放射線ってわけよ。」
   
「出ていくと、その後は安定な家族構成になるのですね。原子核の中の中性子の数がいい釣り合いの核種が安定ってことですね。そうでないのは不安定で、放射線を出すというわけですか。どれが安定かどうかわかりますか?」


放射線Q&A ー 半減期って?」へ続く(文責:坂東昌子・中野享香)