2017年05月28日

放射線Q&A ー 放射能と放射性物質

放射線Q&A ー 放射線ってなあに?」からの続き

「あ、この記事には『放射能とは、この光を出す能力 のこと。二つの言語を混同しないよう・・・』と書いてありましたよ。」
「そこは間違ってないわね。放射線を出す性質を持つ元素のことを、放射性元素 というのよ。放射能元素といってもいいかもね。だから、放射線のことを放射能という人がいるけど、本当は正しくないのよ。」
「じゃあ放射線障害とか放射線治療とかいうんですね?」
「英語では、放射のことをradiationというのよ。放射線を出す元素を最初に発見したのがレントゲンやキュリー夫妻なのよ。放射線を出す元素、ラジウムやポロニウムを発見したのね。キュリー夫人の祖国ポーランドへの愛国心からポロニウムと名付けたのよ。」
   
「ラジウムは放射線を出す元素という意味か!で、放射性元素ってどんなものですか?」
「戦後、全国の研究者に『ラジオ受信可能な要素があれば即刻報告するように』という通達が来たことがあるそうよ。みんな何のことかわからず首をひねっていたところ、誰かが英語に直して『radioactive element』だとわかって、なんだということになったんだって。放射性元素と訳すべきだったわけね。」
   
「え?原爆の被害を受けた日本の文部省の役人がそんなことわからなかったの?いくらお役人さんは文系が多いからと言ってちょっと情けない話だなあ。」
「まとめましょう。放射性物質と放射線とはぜんぜん意味が違います。放射性物質は放射線を出す物質のこと。放射性物質の原子核が壊れて放射線が出てくるのよ。」
   
「放射線はすごい速さでぶっ飛んでくるヘリウム核や電子で、光の仲間もあるんですよね!」
「良くできました。例えば、太陽も放射性物質を含んでいるけど、太陽から飛んでくる光にも、太陽風の中にも、紫外線をはじめとして、たくさん放射線があるのよ。それに太陽だけでなく、私たちの住んでいる銀河系の中には、超新星の残骸など、いろいろな粒子が加速されて飛んでいるのです(宇宙線)。太陽からの放射線も太陽活動が盛んになると、たくさん来るのよ。それで、今では宇宙天気予報もあります。空気で遮られない分だけ、放射線は上空の方が多いから、いつも飛行機に乗る人は気を付けなきゃいけないのよ。」
   
「えー?!僕たちは普段から放射線を浴びてるってこと?」
「そうよ。普段から自然に浴びる放射線にはいくつかあって、空気や大地や食べ物なんかからも浴びているのよ。でもとても少ない量だから問題はないの。」
   
「そうだったんだ。放射線っていうと、何だかもっと怖いものだと思っていました。ウイルスや細菌みたいに、どんどん増えて・・・」
「放射性物質は放射線を出すけど、放射性元素が増殖するわけではないわ。そこが、ウイルスや細菌とはちがうところです。生きているわけではないからね。放射線を出すと、それだけ放射線を出す原子核がなくなるので、放射性物質はどんどん勢いがなくなってくるのです。」


放射性元素と核種(もっと詳しく知りたい方のために)」へ続く(文責:坂東昌子・中野享香)