2020年12月04日

理科実験教室 petit の経験・・・天から降ってくる放射線(ブログ その150)

8月23日、第3回理科実験教室petit(2日目)を開催しました。お盆をまたぐ行事ということもあって人数は少なかったのですが、参加していただいた受講生の皆様ありがとうございました。

理科実験教室petitは、これで7月から2か月の間に4回行うことができました。まだまだ慣れないオンライン教室で、いろいろ行き届かないことが多く、これからも創意工夫しながら改善する必要があると感じています。
受講して下さった方々も、またこれから受講したいと思っておられる方々も、ぜひ、ご要望やご意見をお寄せくださいね。

今回は連続2回の「日常の放射線を測ってみよう」というお話で、1日目は地上から出てくる放射線を見る、そして2日目は宇宙から降ってくる放射線を見るということでした。1日目はチリについた放射性元素(ラドンなど)を地下室などから集めてみるというものでした。

2日目の天からの放射線は集めてみるわけではないので、やってくるのを待つしかありません。ですから、捕まえるのはさらに難しいですが、角山先生は、自作の大きな霧箱を運び込んで、たくさんドライアイスを持ち込んでの大奮闘の実験でした。
角山先生は何とか霧箱の中に「放射線の痕跡」を見てもらおうといろいろ工夫をされたのですが、静電気が発生しにくい夏ということもあり、大変だったと思います。それに、なかなか成功しないので、角山先生はかんかんになって何とか成功させようと、汗だくで取り組まれていました。
そして、確かに実地に現場にいた3人の受講生は、「あ、みえた!」と大喜びだったのですが、Zoomで細かい放射線の痕跡は見えないこともあって、遠隔の方々には申し訳なかったです。みんな見ているだけで加わってはやれないと、どうしても退屈した時間が出てきます。私はZoom、オンラインで見ている皆さんの様子をうかがっていて、このことを見てとてもハラハラしました。

でも、面白かったのは、かんかんになってやめないで続ける角山先生の姿でした。研究ってうまくいかないことの方が多いのですが、決してあきらめず続けることがとても大切なのです。だから、こうして粘り強く取り組むというのが、本当の研究しているときの姿なのです。それを見せてもらったように思います。
ただ、今回は目の前で見るのとは違うので、画面で見ているとその雰囲気がなかなか伝わりません。そこがとても残念でした。こうした雰囲気もなかなか伝わりにくいでしょうね。

ところで、実は、どうしても気になったことがあって、早くブログを書かねばと思いました。というのは、私が最後にちょっとお話したことについてです。実は、その時に間違ったことを言ったので、どうしても訂正しておかねばと思っています。

それは宇宙線の発見のお話です。天から降ってくる放射線を最初に見つけたのは、オールトリアのヘス、1912年のことでした。この人が、気球に乗って、上空に行って測ったのですよ、と言いましたね。ここまでは本当なのです。そしてこの発見に至るまで、いくつもの失敗を繰り返したことも事実です。何度も失敗して初めて発見があることをよく知ってほしいと思ったのです。

ところが、1つ違っていたことを言いました。それは、ヘスは上空に行けば放射線が増えると思って、それを確かめいたような言い方をしました。でもこれは間違っていました。ヘスは放射線が点からも降ってきているとは思ってわけではありませんでした。後で、すぐ「あれ?どうだっけ?」と思って調べなおして確かめました。

ヘスを含めて、あの当時わかっていたのは、地中に放射性物質があって、身の回りに飛び交っている放射線があるということはわかっていたのです。またこれが、空気中にあるイオンの原因だとわかっていました。もっと地上から離れて、上に行けば放射線は少なくなるから、イオンも少なくなるだろうという予想だったのです。
そういう予測のもとに、ヘスは気球にのって確かめたいと思ったのです。すごい命がけの冒険でかなりの上空まで行ってみました。そしたらなんと!上に行くほど、イオンがたくさんあるのです。つまり、放射線が多くなることがわかったのです。

え?それって、実は上から降ってきているのでは、ということになったのです。こうして、放射線は宇宙から降ってくることが確かめられたのです。これがヘスの冒険の結果でした。 

そうなのです!あるだろうと思って気球に乗ったのではなくて、行ってみたら予想と逆だったのです。ヘスも、どんなに驚いたことでしょうね。そう考えるととても愉快です。

科学者は、予測を立てて実験したり測ったりしますが、時には予測が大きく外れるってこともあるのです。それが、すごい発見につながることもあるのですよ。これがワクワクドキドキの面白いことなのですね。

というわけで、ヘスの冒険のお話、ちょっと付け加えておきます。詳しくは、例えばこちらを見てください。

それから、皆さんの質問、素晴らしかったです!

質問:「高いところの方が、たくさん放射線がつかまりますか?」→宇宙放射線はそのほうが多いということを確かめてみるのは面白いですね。

質問:「落ちているほこりで放射線が見えますか?」→先生は「集めたほこりを30分か1時間ぐらいたつと、消えてしまうことがある」と言われましたね。

「静電気でイオンを取らないといけないのはなぜですか」という質問がありました。実はこれはとても重要な質問です。
ヘスが気球で調べたのは、空気中のイオンについて調べたかったのですね。摩擦で(静)電気を起こしてためておこうとしても、しばらくたつとその電気はなってしまいますね。空気中に逃げていくのですね。

こうしたお話は、雷ができる話ともつながっているのですよ。イオンと放射線の関係はヘスの時代まで謎だらけだったのですね。

それから、もう1つ「運転中の原子力発電所の原子炉の数は?」という質問がありました。これも正確にはこのサイトを見てください。

2020年7月22日には、

● 稼働中の炉:9基 内停止中5基(※)
● 原子炉設置変更許可がなされた炉:7基
● 新規制基準への適合性審査中の炉:11基
● 適合性審査未申請の炉:9基
● 廃炉を決定した炉:24基

これから原子力発電をどのように使うか、今とても大きな問題になっています。こうした問題、特にエネルギーの問題にもいつか皆さんと取り組んでみたいですね。