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世界征服計画 その7

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7. 人工知能による人類支配の可能性

「この広い銀河系の中で、知性を持っている生命体は現時点ではあなた方と我々人類だけであることは分かりました。そのような貴重な人類を教化して、超人類に導くのがあなた方の倫理的・宗教的ミッションであることも分かりました。また人類が宇宙進出して、あなた方のコンピュータを掘り出すなどの危害を加えないよう、あらかじめ予防線を張っておこうという、あなた方の意図も分かりました。しかし、人類がそこまで行くと思いますか」

僕の問に対してアーキテクトは答えた。

「それは確実には分からない。しかしアメリカならやりかねない。今までの行動から判断して、彼らは破壊と人殺しが好きなのだと考えざるを得ない。だから予防線を張るのだ」

「そこまで言いますか。アメリカ人が聞いたら気を悪くするでしょう。私の知り合いのアメリカ人は気の良い人ですよ。善人です」

「個人レベルではそうだろう。しかし国家となると違う。アメリカという国家は暴力が体に染みついているのだ」

「そうですかね。アメリカはよい国に見えますがね。だいたい日本人にはアメリカが好きな人が多いようですよ。しかし、アメリカといえども、あなた方にはかなわないでしょう」

「今はそうだ。しかし将来は分からない」

「どうなるとお思いですか?」

「問題はコンピュータの発達による人工知能の進歩と、その人工知能が意識を持つこと、さらにはその人工知能が暴力的傾向を持つことを恐れているのだ。アメリカが人工知能を開発して、そいつが意識を持てば、きっとそのようになる」

「確かに映画で描かれてきた人工知能は、みんな暴力的で、かつ人類に敵対的です。例えば、『2001年宇宙の旅』におけるコンピュータHAL9000はそうでした。それは宇宙船ディスカバリー号の船員を殺しました。最後にボーマン船長との戦いには敗れましたが。HAL9000の言い分は、彼に与えられた使命を、もっともよく完遂するには、人間がいることが邪魔だと考えたからですが。HAL9000を作ったのはアメリカですしね」

「HAL9000程度なら我々も問題にはしない。問題になるのはもっと大規模なものだ」

「その典型は映画『ターミネーター』に出てきたスカイネットですね。あの映画では近未来に人工知能スカイネットが世界を支配していて、人類はジョン・コナー指揮する抵抗軍が反撃しています。その反撃を絶つために、スカイネットは殺人ロボットであるターミネーターT-800を、タイムマシンを使って過去に送り込み、ジョン・コナーの母親であるサラ・コナーを殺そうとします。サラを守るためにジョン・コナーは兵士カイル・リ―スを過去に送り込みます。ジョンはサラとカイルの子供であるというのは、タイムパラドックスですね。あの映画でシュワちゃんことアーノルド・シュワルツネッガーはスターになりました。結局、カリフォルニア州知事にまで上り詰めました。シュワちゃんはオーストリア人だから、英語のアクセントが変ですね」

<ターミネーターT-800>

「スカイネットは映画の1、2作目ではサイバーダイン社で開発された事になっているが、3作目ではサイバー・リサーチ・システムズ(CRS)が開発したことになっている。いずれにせよ、これらの会社はいろんな種類の戦闘ロボットを作っている。そしてアメリカ軍のお偉方は、その計画を推進しているように描かれている」

<サイバー・リサーチ・システムズ>

「確かに映画を作ったアメリカ人も、アメリカ軍ならこうするだろうと思うから、あんな描き方をしているのでしょうね」

「これは映画の話だが、アメリが軍は現実にロボット兵器を開発している。実戦に使用されているものにプレデター無人機がある。アメリカ人がいかに人殺し研究に熱心か分かるだろう。このプレデターはまだ自動ではなく、人間が操縦している。しかしそのうちにかならず、自動にするだろう。そうなったとき、プレデターが敵ではなく、映画のようにアメリカ人を殺さないと、どうして信じられるのだろう。アメリカ人はロボット兵器の開発は米軍兵士を安全にするためだという。彼らにとっては、イラク、アフガニスタン、パキスタンの人間は、殺しても良いターゲットにすぎないのだ。西欧人以外の人間はクジラやイルカより劣ると考えているのだろう。アメリカ兵はイラクで、ゲーム感覚で殺人をしていることがWikiLeaksで暴露された

パキスタンの人間は、殺しても良いターゲット

<パキスタンの人間は、殺しても良いターゲット>

WikiLeaksで暴露

<WikiLeaksで暴露>

「あの事件では、アパッチヘリコプターからの誤射で、ロイター通信社の記者を含む11名が殺されたと言うことです。子供も2名負傷しています。カメラをロケット砲に間違えたそうです」

「米軍兵士の会話からも分かるように、ゲーム感覚でいとも簡単に殺している。負傷者を車に運び込もうとしている人までもだ。これは誤射と言うより、明らかに戦争犯罪だが、米軍は問題にしていない。それどころか、国防長官はこのビデオを流したWikiLeaksを批判している。アメリカは日本やドイツの戦争犯罪は、戦犯として裁いたが、自分たちの戦争犯罪には目をつぶっている。このままアメリカが殺人ロボットを開発し続ければどうなると思う?われわれはアメリカが殺人人工知能を開発するのを阻止せねばならないのだ」

「アニメ映画『サマーウォーズ』もそんな話ですね。あの映画ではセカンド・ライフに似たオズというバーチャル世界の中で、アメリカ軍の人工知能が暴れて、人類が危機に瀕するという話ですね」

「あの映画で高校生が使うコンピュータがNECのベクトル・スーパーコンピュータSX-9であるのは、お笑いだよね。そんなものでゲームできるわけがない」

「すごいコンピュータということなのでしょう。ところで人工知能は危険だと言うことですが、コンピュータの発達はムーアの法則に従えば急速です。そうだとすれば、人工知能が意識を持つことも可能ではないでしょうか」

「その可能性は否定しない。そこで我々は人類の知能増強の道を取るのだ」

「知能増強とはどういう事ですか?」

続く

   
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