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2013年6月後半 - 130629

6月30日 バターの作り方

バターの作り方

本日、親子理科実験教室の春夏コースの第二回目が京都大学理学部セミナーハウスで開かれた。講師は自称「おっちゃん」の工藤博幸先生である。参加者は小学校1年から6年までの児童39人と、その父兄である。
 
今回の実験は生クリームからバターを作るというものである。まず十分に冷やした生クリームを用意する。生クリームはスーパーで売っている。乳脂肪45パーセントぐらいのものを用意する。それとは別にペットボトルを用意する。生クリームをペットボトルに入れる。そして栓をしめて水平に激しく降る。先生によると、高校生は比較的短時間でこれをやることができるが、実験に参加したのは小学校低学年が多く、力が無いからなかなかうまくいかない。父兄も参加して、ひたすらにペットボトルを振った。振っているうちに内部はバターと水分に分離してくる。最後にバター部分から水分を追い出すために、激しく下に打ち付けるようにする。こうしてバターができあがる。最後にペットボトルを切り開いてバターを取り出す。
 
このようにしてできたバターは、塩分が含まれていないので無塩バターである。市販されているものはこれに塩分を添加したものだ。実験の後でバターをパンやクラッカーにつけて食べた。塩分がないから、味はほとんどない。後は好みで好みで塩をふれば良い。
 
なぜこんな簡単なことでバターができるのだろうか。材料の生クリームには乳脂肪の小さな塊が水の中に浮いている。乳脂肪分同士がぶつかるとそれが合体する。激しく振っているうちに乳脂肪分が大きくなっていくのだ。バターは乳脂肪の固まりである。
 
そういえばアジアの遊牧民族はバター茶というもの飲んでいる。これはお茶にバターを溶かしたものだ。

 

6月26日 退職後の仕事

 

昨日、一昨日と話題にしたヒューゴ・デ・ガリス教授の「退職後の仕事」と題するエッセイを科学の散歩道にアップした。デ・ガリス教授は中国の大学教授をしていたが、現在は退職して、自分の好きなこと、つまり純粋数学と数理物理学の研究をして、楽しく退職後の生活を送っているという。退職後には、今までの仕事とは別のキャリアーを開発すべきだと言う彼の意見、および彼の生活が明らかにされる。月の生活費が150ドル、つまり15,000円程度とは、いかに中国の生活費が安いとはいえ、慎ましい生活である。その割にはいままでに100万ドルを投じて12,500冊の本を買ったとか、また昼の2時に起きて、朝の7時に寝るという夜型生活も度肝を抜く。

私は彼のキャリアに親近感を抱くのは、私が容貌、キャリア、好みなど、少し似ているからである。私は彼よりは数年年長の、既に定年退職した神戸大学名誉教授である。今年の3月に同志社大学と甲南大学で教える仕事からも完全に退職した。しかし私も彼同様、知的なことは大好きである。現在は京都の山科にある民家を借りて、特異点庵となづけて個人的研究所にしている。現在の勉強、研究テーマも以前の本職であった宇宙物理学、数値流体力学からは少し離れて、デ・ガリス教授の本職であった人工知能の勉強をしている。

ただ彼と違う点は、彼のように夜型生活は送っていない点、それに彼ほどには健康に自信が無いことである。私の父は太平洋戦争で戦死したので、父の本来の寿命は分からない。母は今年92歳で永眠した。

私が思うには、ネットでいろいろ勉強していると、世の中、知的な面白いテーマは有り余るほどあって、面白くて仕方が無い。ただデ・ガリス教授ほどには、ひとつのことにじっくりと取り組めていない憂いはある。

 

6月25日 ヒューゴ・デ・ガリス

昨日はオーストラリアの人工知能学者デ・ガリス(Hugo de Garis)の論文について紹介しました。彼のインタビュー・ビデオはたくさんあります。彼の話は基本的にどれも同じです。YouTubeでHugo de Garisのキーワードで検索するといろいろと見つかるでしょう。結構長大なインタビューが多く、英語で語られるので、フォローするのがしんどいでしょう。

ここに示すのは、2011年にAdam A. Fordという人の行ったインタビューです。先の論文にそって、人工知性に至る道が語られています。

まずは技術的特異点に対する人々の懐疑的な捉え方を話します。人間は偉いのだから、機械などに人間の知能がまねられるはずは無いという議論、というよりは信念、信仰です。それに対してデ・ガリスはムーアの法則と、ナノテクと神経科学の融合による脳の機能の解明が、人工知性(Artilect=Artificial Intelect)を作ると主張します。

YouTubeのコメントの中に、「髪の毛をちゃんと、といておけ」というのがありました。デ・ガリスは研究者らしく、身なりをかまわない人のようです。また彼をEduot(Educated Idiot)と呼ぶものもいました。しかしその人は単なるIdiotか、もし科学者ならデ・ガリスの言う、想像力のないCD(Competent Dulard: 専門バカ)でしょう。デ・ガリスの容貌はマッド・サイエンティストを思わせます。なんとなく私と似ているようです。

人工知性が出来るかどうかはともかく、今後数十年のコンピュータと人工知能、ロボットの進歩は恐るべきものが予感され、人間の生活を根本的に変えるでしょう。

この話の続きはここです。人工知性への二つの道が語られます。工学的なアプローチと、神経科学的なアプローチです。前者はコンピュータの進歩です。後者は人間の頭脳の機能の解明です。それが分かると、知能理論という数学分野が生まれます。それにより天才と凡人の差、人間と猿の差が分かります。そこで知能を決定するパラメターを極限まで進めて、知能の強化をはかります。さらに進化工学によりパラメターをランダムに変えて、知能が増強されるかをみます。次の議論はサイボーグは無いという話です。人工知性が出来た暁は、砂粒程度のコンピュータを身につけるだけで、人間は人工知性と同じ程度の知能になるので、サイボーグと人工知性の区別がつかないという話です。

人間が機械を装着した状態をサイボーグというのなら、現在でも人間はサイボーグ化しています。しかしそれは眼鏡であったり、入れ歯であったり、義肢、義足、人工心臓程度です。頭脳を機械に入れ替えると、知能が増強されます。そして真のサイボーグになります。人の知能の1兆倍の1兆倍の能力をもつコンピュータを人間が装着すると、それは機械的な人工知性と区別がつきません。

 つぎのテーマは技術の力です。過去の産業革命と、来るべき特異点、ラダイト運動の過去と未来、ニューエイジ、スピリチュアリズム的反応、機械は意識を持てるかといったことが語られます。

 次のビデオでは世界観、大衆の知識、理神論が語られます。心についての科学的知見が明らかになり、大衆の常識となった時、世界観は変わるでしょうか。デ・ガリスがモルモン教の本拠地であるユタ州の大学にいたときの奇妙な体験を語ります。科学の教授が科学者であると同時に、敬虔なモルモン教徒であるのです。頭脳には別の引き出しがあり、互いに矛盾した考えでも同居できるようです。最後に理神論についてかたります。理神とは、キリスト教などの言う神とは違う神、スピノザ的な神です。しかしこの場合、別の宇宙の宇宙人が作った人工知性が、この宇宙を作ったと言う考えです。造物主とは、いわゆる神ではなく、別の宇宙の人工知性だと言うのです。

 

6月24日 人工知性戦争

科学の散歩道にオーストラリアの人工知能学者ヒューゴ・デ・ガリスの論文人工知性戦争・・宇宙派対地球派 人類は神のようにきわめて知的な機械を作るべきかどうかに関する激しい闘争の抄訳をアップしました。これに関してデ・ガリスは同じ題名の著作があり、また彼の同趣旨の講演やインタビューがYouTubeで見ることが出来ます。

デ・ガリスは日本にいたこともあり、その後、米国、ベルギーを経て中国のアモイ大学の教授になり、中国初の人工頭脳の作成を指導しました。現在は定年になり引退していますが、数学、物理学の博士課程クラスの勉強を続ける傍ら、著作や講演にはげんでいます。またフェムト・テクノロジーの研究をしているとも言います。彼の後任にはまた西欧人の教授を推薦して、中国が人工知性競争に遅れをとらないように、ハッパをかけています。彼は、日本は西欧人の研究者を引きつけることに失敗したと発言しています。つまり中国はそれに成功しているということです。

20世紀の世界を支配する兵器は核兵器でした。21世紀はそれがロボットとサイバー兵器です。いずれもコンピュータ、人工知能の応用です。EUは2013年にヒューマン・ブレイン・プロジェクトを開始して、頭脳と意識の解明をはかっています。究極的には人工知性を作る気なのでしょう。アメリカも負けじと、オバマ大統領は2013年の年頭教書でブレイン・アクティビティ・マップ計画を打ち上げ、EUに対抗しようとしています。ひとり日本だけが、何をしているのか見えません。

先の論文に書いてあるように人工知性の進歩は諸刃の剣です。西欧諸国と中国は、それを利用して世界の支配権を握ろうと考えているのでしょうが、暴走して人類が支配される、あるいは滅亡する可能性もあります。しかし論文に書いてあるように、その動きは止められないようです。

デ・ガリスは人工知性が作られると、その目的は新しい宇宙を作ることだと予想しています。とてつもない話ですが、それに関しては「人間原理と数学原理・・・宇宙はなぜこれほどうまくできているのか? 」を参照してください。

6月18日 MYO

筋肉の動きを読み取るジェスチャー入力アームバンドMYO

またまた面白いガジェットが発表された。MYOというジェスチャー入力デバイスだ。これは既に紹介したLeap motionと似ているのだが、Leapは箸や指などの尖った部分の運動を追うのに対してMYOはアームバンド型のセンサーを腕にはめて、筋肉の動きを読むと言う。通信はBluetoothで、OSは当面WindowsとMacだという。

<MYO - Wearable Gesture Control from Thalmic Labs

{youtube}oWu9TFJjHaM&feature=player_embedded{/youtube} 

予約注文を既に受け付けていて、$149というから、1万5千円の程度だ。さらに送料は別だと思う。会社のホームページはここ。今予約すると、来年初頭に出荷されると言う。ただ私はLeapが同じような約束をしながら、出荷が半年以上遅れている経験からして、この種の約束は、もはや信じないことにしている。

6月17日 親子理科実験教室

 

親子理科実験教室

NPO法人「あいんしゅたいん」では、親子理科実験教室と題して、小学生対象の科学教室を開催している。会場は京都大学の北部キャンパスにある理学部セミナーハウスである。3年前から行っており、好評を博している。内容は理科の実験であるが、必ずしも文部科学省の指導要領にとらわれることなく、理科好きを増やそうと言う意図のもとに、いろいろと面白い企画を考えてきた。しかし指導は小中高や科学館の先生、大学教授でも初等中等教育の専門家にお願いしている。

理事長の坂東昌子は元日本物理学会会長で、私は元日本天文学会の理事長であるので、一応は物理学の専門家を称している。しかし小学生相手の指導は大学生、大学院生の指導とは異なり、非常に難しいと実感している。正直言って、理事長も私も実験はまったくの素人である。だから小学生相手の指導は、その道の専門家にお願いするのがベストであると考えている。我々の役割は、実験教室で行う実験や、その科学の内容の検証である。その活動の中で、我々はいろんな面白いことを発見して来た。

例えば、電流について初等中等教育では電流の水流モデルというものを教えている。電流とはパイプの中を流れる水に例えられるとするモデルである。私たちはそのモデルに疑問を抱いた。このモデルは電流の性質のある側面は表すが、別の側面は表せないだけではなく、とてつもなく大きな誤解を生むことを発見した。

具体的に言えば、電流をパイプの中を流れる水に例えるとすれば、電流の速度は水の速度、電流のエネルギーは水の運動エネルギーになるであろう。ここで電流の速度は実験的に光速度に近いことが分かっている。 しかし電流とは電線の中を運動する電子であるので、電流の速度を電子の速度と考えると、実はこれがとんでもないことになる。

電線の中の電子の速度はドリフト速度とよび、簡単な計算から求められる。それによると典型的な値の場合、秒速1mm以下である。つまり電流は電子の流れであることは確かなのだが、電流の速度を電子の流れる速度と考えると、全くつじつまが合わないのである。

また電流のエネルギーも水流モデルに従えば、水の運動エネルギーと考えるのが妥当だが、これも全くの見当違いである。このことを我々は実験準備の議論の中で発見した。発見したと言っても、知っている人は知っているのだが、初等中等教育に携わる先生を始め、物理学の専門家といえども、多くは知らない。それに関しては、私は「電流のエネルギーは電線の外を流れる」と題して長大な解説記事を書いた。

この他にも、教科書や科学解説書には多くの間違いがあることを私は発見した。それについては、いずれ少しずつ解説して行く予定である。

6月16日 サロン・ド・科学の散歩

 

サロン・ド・科学の散歩

別に告知されているように、NPO法人「あいんしゅたいん」付置・基礎科学研究所の行事として、今月から月一度のペースで「サロン・ド・科学の散歩」と称してセミナーを行うことになった。昨年度も基礎科学研究所のコロキウムは、月一度のペースで京都大学情報メディアセンター地下にある可視化実験室(通称秘密研究所)で行われて来た。

今回はその行事を独立行政法人科学技術振興機構(通称JST)の支援により行うことになった。場所はあいんしゅたいんの新オフィスである通称「ホワイトハウス」である。この名前は理事長・坂東昌子がつけたものである。実は私は以前、Web小説「悪の秘密結社猫の爪による世界征服計画」を書いた。そのなかで私は米帝国の首都ヒューストンにある皇帝官邸をブラックハウスと名付けた。米帝の初代皇帝はバラコ・オババという日系女性で、日本名を御馬場薔薇子という。その写真として理事長の写真を拝借したのである。いかにも悪の帝王という雰囲気が漂っている良い写真であった。残念ながら、この小説はクルド人ハッカーのハックの為に消去されてしまい、まだ復活していない。このクルド人は米帝の手先ではないだろうか。

さてサロン・ド・科学であるが第一回目は6月29日(土)13:00-18:00に行う。 講師は私で「コンピュータが人類を超える日」と題して、技術的特異点の話を行う。このテーマは私の著書「2045年問題・・・コンピュータが人類を超える日」廣済堂新書、松田卓也著で展開した話の続きである。時間が許せば「史上初の量子コンピュータD-Wave」の話とか、「サイバー戦争の時代」、NSAによる大々的なスパイ活動の話もしたいと思っている。しかし5時間も私が話し続ける訳ではなく、またそんなことも出来ない。聴衆を含んだパネル討論や、懇親会も行い親睦を図ると言うのが、この企画の趣旨であるので、気軽に参加されたい。

ところで拙著であるが、東京の啓文堂という書店グループによる啓文堂新書大賞の候補にノミネートされた。10作ほどがノミネートされ、6月の1月間、啓文堂でフェアが行われ、そこで売り上げが1位になったものが選ばれると言う。なかなかうまい販売促進策であると思う。

会場のホワイトハウスは、アメリカの大統領官邸などとは大違いで、ただの民家である。場所は京都大学の本部キャンパスの東の住宅街にある。部屋は狭く、15人も入れば身動きならないははずである。従って、出来るだけ多くの人に来ていただきたいのはやまやまだが、告知にあるように、希望者は参加申し込みフォームからお申し込みいただきたい。

これも余談だが、森見登美彦の小説「太陽の塔」で、主人公が京大生狩りに追われて逃げ惑ったのは、このあたりではないかと推測される。

 

 

   
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