2011年12月17日開催 第6回公開講演討論会報告
12月17日(土)に「シリーズ東日本震災にまつわる科学一第6回公開講演討論会」が、京都大学基礎物理学研究所パナソニック国際交流ホールにおいて開催されました。
今回の公開講演討論会では、まず松田卓也副所長(NPO法人あいんしゅたいん副理事長・神戸大学名誉教授)が前回の公開講演討論会「原子力をめぐる問題と現状」に関して、簡単なまとめを行いました。
その内容は、真鍋雄一郎氏(大阪大学助教)による「福島原発日記~若手研究者の視点」と、伊藤英男氏(東京大学助教)による「放射線から貴方の大切な人を守る基礎知識」に関してで、真鍋氏は日本には原子炉の過酷事故の専門家が少なく、世の「専門家」が必ずしも真の意味での専門家ではないことを指摘されたこと、また伊藤氏はネットでは国際放射線防護委員会に対する誤解が蔓延しており、たとえば内部被爆を考慮していないとするウソが流布している事情を指摘されたことでした。
ついで、丹羽太貫京都大学名誉教授(国際放射線防護委員)が低線量放射線の人体への影響に関して、詳細な科学的データを元に話されました。
最近の科学的知見によれば、低線量放射線の人体への影響は、たとえば物理学者が想像するような単純なものではなく、生物は幾重もの防護機構で守られていること、しかしこれはサイエンスの話であり、原子炉をどうするかはバリューの問題であり、それがごっちゃになっているのが最近の日本の問題であることを指摘されました。またテレビや国会で証言をした「専門家」が、知識が古く、勉強をしていないので、正確な知識を元に話しているわけではないことも指摘されました。
次に宇野賀津子氏(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パスツール医学研究センター主任研究員)が、学術振興会の活動の一環として、福島県の白河市に行き、同氏の話を聞いた住民が、非常に安心して帰られたという逸話を話されました。
今回はさらに、京都大学の1回生の3人(杉野氏、伊藤氏、間浦氏)が、坂東・宇野を中心とした「低線量放射線検討会」で4月以降、毎週一度の勉強会を続けてきた成果(テーマは低線量放射線の人体への影響、風力発電、太陽光発電について)を発表しました。
休憩を挟んで行われたパネル討論では、司会松田、パネリスト丹羽、宇野、坂東昌子所長(NPO法人あいんしゅたいん理事長)で、会場からの意見も含めて白熱した議論が戦わされました。
<丹羽太貫氏> <宇野賀津子氏>
<会場の様子>