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東日本大震災にまつわる科学 ー 第7回公開講演討論会

テーマ:福島原発事故から1年を迎えて

日 時:2012年3月11日(日) 13時00分〜17時00分

場 所:京都大学 理学部 セミナーハウス

【セミナーハウス地図(クリックすると地図が拡大します)】 

     アクセスマップは こちら

プログラム:

【第1部 講演】(13:00~15:00) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)

13:00~13:50 「福島原発事故をもたらしたもの ― 科学リテラシーにもふれて」
          安斎育郎(立命館大学名誉教授)

14:00~14:50 「低線量放射線の影響と科学者の役割:福島での学習会経験から」
          宇野賀津子(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター研究室長)

【休憩】(14:50~15:00)

【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:00~17:00) 司会:高橋昌一郎(国学院大学教授)

テーマ:「どのように原子力と対峙すべきか」

パネリスト:安斎育郎
      宇野賀津子
      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)
      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)
      松田卓也(基礎科学研究所副所長・NPO法人あいんしゅたいん副理事長)

申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)
                                        (ジャパンスケプティックス)
共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・Japan Skeptics

JapanSkepticsは、基礎科学研究所の松田副所長が会長をされており、『超自然現象』の批判的・科学的な研究の推進が行われています。
今回の「東日本震災の科学シリーズ」は、JSTの支援によるプロジェクト「科学のウソ突破作戦」と連動して行われましたが、JapanSkepticsと目的を同じくしていることもあり、震災から1年を経た日に、共催で公開講演会を開催しようと、今回計画を立てました。当研究所としては、この1年取り組んできた講演会のまとめとして位置付けたいと思っています。

科学の急速な進歩の一方で、科学の体系を根底から否定するような主張は、震災後、特に多くなっています。

「超能力、心霊現象、UFO、予言といった多様な『超常現象』がマスコミでは興味本位で取り上げられ、人々の科学的精神の形成を阻害する重要な要因の一つになっています」とJapan Skepticsの設立趣旨にあります。
福島事故以降、放射線の人体への影響に関しても、統計という人間が構築してきた未知のものを解き明かす方法を誤用して、恐怖だけを煽り、客観的な判断を鈍らせる風潮が強まっていることに、「あいんしゅたいん」は大変憂慮しています。
また、原子力エネルギーをどう見るかに関しても、科学と社会の関係とか、いったん商業ベースにのった科学の成果をいかに人類の未来に生かすかに関して、重要な課題が突きつけられています。

「私たちの先達が論理と思考を積み重ねて築いてきた科学的な認識の体系を十分修得できないまま、自然現象や社会現象についての非合理的な解釈に走り、そのことが原因となって不本意な生き方に陥るようなケースも多々起こっています。」とJapan Skepticsの設立趣旨には書かれています。
福島原子炉事故にまつわる問題に関して、知識人の間にも、科学的事実と価値観をごったにする傾向がしばしば見られます。『先入観や価値観にとらわれずに真実を追求する』ことが科学の守るべき大切な基本倫理と我々は考えています。自分の価値観と合わないからといって、真実を曲げると、もっと大変な事態に陥ってしまいます。
このことは、報道を担当するジャーナリストにも言えます。自分の価値観に従って真実を捻じ曲げて伝えると、結局、そのことは、もっと大きな被害となって私たちの生活を危うくします。自然法則を無視したり、否定したりすることは、長い目で見れば失敗につながります。

3月11日以後行なってきた「東日本震災の科学シリーズ」はこんな思いを背負って立ち上げた企画でした。来る3月11日の講演会はその締めくくりとも言うべき企画です。

講演者紹介

安斎育郎略歴

立命館大学名誉教授、Japan Skeptics前会長

1940年、東京で9人兄弟の末子として生まれる。
1944年~1949年、福島県・二本松で生活。東京大学工学部原子力工学科を第1期生として卒、工学博士。
1969年に東大医学部助手、1986年、立命館大学経済学部教授、88年、国際関係学部教授。1995年より、国際平和ミュージアム館長。
現在、名誉館長。立命館大学名誉教授。2011年4月、安斎科学・平和事務所を開設。

日本保健物理学会、日本放射線影響学会、日本シミュレーション&ゲーミング学会、日本平和学会、日本学術会議放射線科学研究連絡委員会、同・平和問題研究連絡委員会などの役員を務める。JAPAN SKEPTICS元会長。日本科学者会議代表幹事。原水爆禁止世界大会議長。憲法9条京都の会代表世話人。

平和のための博物館国際ネットワーク・諮問委員。南京国際平和研究所・名誉所長。ベトナム政府より、文化情報事業功労者記章受章。第22回久保医療文化賞受賞。「国境なき手品師団」名誉会員。

講演要旨

本講演は、福島原発事故の技術的諸問題について論じるものではない。講演者が原子力分野に関わりながら生きてきた約半世紀の軌跡を振り返りながら、なぜこのような人類史的な深刻の事態がもたらされたのかについて自省をこめて考えようとするものである。

 

宇野賀津子氏略歴:

NPO法人あいんしゅたいん常務理事・財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部 インターフェロン・生体防御研究室室長

1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業。1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士。 ルイ・パストゥール医学研究センターに入職後、1990年より主任研究員。インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む
1949年 大阪に生まれる、1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業、1973年〜1981年京都大学理学研究科修士・博士課程動物学専攻、京都大学研修員を経て、1986年京都パストゥール研究所主任研究員、1990年 同 基礎研究部、インターフェロン・生体防御研究室室長(現ルイ・パストゥール医学研究センター)、現在に至る
1996年 京都大学医療技術短期大学部, 現医学部・人間健康学科非常勤講師 現在に至る
日本インターフェロン・サイトカイン学会幹事、日本抗加齢医学会評議員、(財)日本性教育協会理事、NPO法人あいんしゅたいん常務理事

講演要旨

2011年3月11日の地震/津波に端を発した福島第一原発事故は、福島県を中心に、多大の放射能汚染をもたらした。また生体への影響について相反する意見が乱れ飛び、住民は何を信じて良いか不安に陥っていた。
事故直後に、坂東あいんしゅたいん理事長と共に、異分野横断的な研究者・学生を巻き込んだ「低線量放射線の影響の検討会」を立ち上げ議論を重ねてきた。また放射能計測、除染、免疫の専門家および医師からなるチーム(日本学術振興会 産学協力研究事業に係る説明会チーム)の一員として、福島県白河市の各行政区においての学習会に参加した。
私は、「低線量放射線の生物への影響と食の重要性」について、講演した。その中で、放射線障害のかなりの部分は活性酸素によることを伝え、抗酸化食の重要性、免疫機能の重要性を伝え、前向きに生きることの重要性が低線量放射線の影響克服の道である事を伝えた。その結果過度の心配は返って免疫機能低下に繋がること、野菜や果物食の重要性への理解が深まった。また、家庭でも出来る除染方法、地域の放射線量、ホットスポットの情報提供は、低線量放射線と対峙しつつ冷静に対応することの重要性への理解を深めた。その結果、地域での放射能対策についても冷静な議論が可能となったと聞いている。

このような経験をもとに、本講演会においては、科学者の役割についてこの間考えたことを、話す予定である。また、生物・医学の立場から低線量放射線の影響を検証した論文を紹介し、低線量放射線の影響についての議論が科学者と称する人の中で、何故混乱したかを分析する

   
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