マイクロソフト・クーリエの遺産・・・iPad二画面ノートアプリ
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- 2012年6月15日(金曜)10:20に公開
- 作者: 松田卓也
マイクロソフト・クーリエ
マイクロソフト・クーリエ(Microsoft Courie)とは、マイクロソフトが2008年に発表して、結局2010年にキャンセルされたプロジェクトである。それは手帳のように使える二画面の7インチのスクリーンを向かい合わせにしたタブレット型コンピュータである。キーボードはなく、基本的にタッチスクリーンで、字は指かスタイラスペンで手書き入力をする。つまり紙の手帳をデジタル化したような物である。
デジタルであるから、紙の手帳以上の機能を備えている。クーリエのノートはジャーナルとよばれ、そこに手書きでノートが書けるだけでなく、手書きスケッチ、クーリエで撮った写真、ウェブからクリープッした図や写真を挿入することが出来る。さらにページにはキーワードをつけて、後で検索できる。クーリエがどんな物かは、ここで文章で説明するより、YouTubeで見た方が良い。
ビデオから分かるように、非常に先進的なタブレット型コンピュータで、そのハンディさと二画面あることで、もし完成していればデジタルなノートとしては、iPadより優れた物になったと思われる。その計画はなぜかキャンセルされた。タッチスクリーンに関しては、2012年の10月頃に発表されるであろうWindows 8に引き継がれている。しかしあくまでクーリエはWindows PCとは別系統であり、WordなどWindowsのアプリを使うことは出来ない。
iPadの二画面アプリ
ところがこのクーリエのコンセプトをiPadで実現するアプリが色々発表されている。iPadは一枚板であるので、それを二画面に分けることにより、クーリエの概念を再現しようと言うのである。筆者が一番先に気がついたのは、タポゼー(Tapose)である。これは元ボーイングの二人の技術者により開発された物で、クーリエの開発者も出資しているという。タポゼーの感じは次のホームページの中のビデオで分かるであろう。
ところで調べていくうちに、タポゼーよりも早く発表されたiPad用二画面ノートアプリを発見した。スリングノート(sling Note)である。この特長は計算機があること、ブラウザーが複数立ち上げることが出来ることだ。
さらに調べるとノーツプラス(notes Plus)というものも発見した。こちらはもっと年季が入っているようである。さらに7note同様、手書きをデジタルに変換する機能もある(アドオンを購入)。
Tapose, sling Note, notes Plusの利害得失
これらの3種のノートアプリをすべて買ってテストしてみたのだが、それぞれ長所と短所があり、ユーザーがどの点を最も重要と思うかによって評価は分かれるだろう。次の点に関して3つを比較してみよう。
手書き入力機能
これに関してはnote Plusが最も優れている。画面に直接に入力する方法のほかに、画面の下に拡大画面が現れて、そこに入力することが出来る。そのために小さな字を書くことが出来る。また先に述べたように、手書きにしておいて後で活字に変換できる。もっとも筆者は、これを英語の場合しかできなかった。日本語でも出来るようなのだが、方法が分からない。手書き入力に関してはsling Noteが一番書きにくい。書いた字をベクトルと認識するからのようだ。手書き機能に関しては、二画面ノートではないが、Noteshelfというノートアプリが最も優れている。
日本語入力機能
キーボードから文字を入力できるのは、どれも同じである。英語を入力する場合には、3者の基本的な差はない。しかし日本語のキーボード入力に関しては、Taposeは基本的にそれが出来ない。もっとも他のアプリで日本語入力して、それをコピーするとか、音声入力すると、どういうわけか日本語もOKなのである。ナゾだ。しかしキーボード入力できないのは致命的である。日本語の活字入力を必須と考えるユーザにとってはTaposeはNGである。
ブラウザ
どれもブラウザを備えている。そのなかでもsling Noteはブラウザを二つ同時に立ち上げられるという特長を持っている。一方note Plusのブラウザは最近導入された物で、サーチ機能がないとか、まだ初歩的である。URLをGoogleで探しておいて貼付するしかない。
録音と写真
Taposeとnote Plusは録音することかできる。講義や講演のノートを取るのなら、ついでに録音しておけば、後で参考にすることができる。またいずれもiPadで写真を撮るか、別に撮った写真を挿入することができる。講義の場合、黒板の板書やスクリーンを撮すことができるので、手書きでノートを取るのと同時に写真に撮っておいて、後で参考にすることが出来る。工夫次第である。
その他のノートアプリ
以上に紹介したノートアプリは二画面が開くアプリであった。それを利用して、ブラウザを開いて、その図や写真を取り込むのに便利である。PCではこれは問題なくできるのだが、iPadは厳密な意味でのマルチタスクが出来ないので、先の工夫が有効であったのだ。しかしiOS5は4本指のマルチゼェスチャーで左右にスワイプすることにより、アプリを切り替えられる。だからSafariなどのブラウザをノートアプリと同時に立ち上げておき、コピペすれば同じことが出来る。ただし直接にコピペするのではなく、一度保存する必要がある。
写真などをペーストできるのであれば、二画面アプリでなくても、どんなノートアプリでも良い。先に紹介したNoteshelfはその例である。これは先に述べたように手書き機能が優れている。またキーボード入力も可能である。
以前に紹介した7notesは手書き入力をして、それをデジタルに変換する機能に優れている。図を挿入することは出来るが、任意の位置には出来ない。その意味で7notesでの図挿入機能は限定的である。