研究所紹介  

   

活動  

   

情報発信  

   

あいんしゅたいんページ  

   

フレイル、サルコペニア、ロコモ

詳細

フレイル、サルコペニア、ロコモ、どれも聞いたことのない名前ではないだろうか。もしご存知の方がおられれば、それはかなりの物知りといえよう。どれも私のような老人に関係した言葉である。

フレイルとは英語のフレイルティを日本語化した言葉であり、直訳では虚弱とか衰弱という意味である。サルコペニアとは筋肉量の減少と筋力低下のことである。ロコモとはロコモーティブ・シンドロームのことで運動器症候群、つまり立つ、歩く、座るといった運動機能が低下した状態である。だからフレイルもサルコペニアもロコモも老人に関連した概念である。

まずはフレイルのもう少し詳しい定義から始めよう。フレイルの定義として1 体重減少、2 疲労感、3 活動量の低下、4 歩行速度の低下、5 筋力の低下がある。この5項目のうち3個以上当てはまる場合をフレイルと定義して、それが1-2個の場合はプレフレイル、つまりフレイルの前段階とする。

私自身で言えば体重が減少して、BMIが一時18.5を切ったことがあるのでプレフレイルと言える。しかし特に疲労感はないし、活動的だと思う。歩行速度は若者並みだから、まずは問題ないだろう。歩行速度に関して言えば、歩いていて若者を追い抜かすことに生きがいを感じている。

サルコペニアはもっと具体的な概念だ。ちなみにサルコは筋肉でペニアは減少という意味だ。1989年にアメリカで提案された比較的新しい概念である。

サルコペニアの詳しい定義は次のようなものだ。「進行性で全身性に認める筋肉量の減少と筋力低下であり、身体機能障害や生活の質の低下、死のリスクを伴う」というものだ。具体的には握力が衰えてペットボトルの栓が開けなくなる、歩くスピートが遅くなり信号が青の間に横断歩道を渡りきれない、杖や手すりが必要になるなどである。

サルコペニアになる1番の原因は加齢、つまり年をとることだが、そのほか病気が原因の場合もある。サルコペニアの診断の基準は歩く速さと握力である。握力を測るのは握力計が必要だから簡単には測定できない。日本でのサルコペニアの簡易基準としては、1 65歳以上、2 歩行速度が秒速1メートル未満、3 BMIが18.5 未満というものがある。私は後期高齢者だから65歳ははるかに越している。またBMIは18.5を切ったことがある。その意味でサルコペニア寸前だ。

私のBMIに関しては、現在ではできるだけ食べて太って、BMIを増やそうとしている。私にとっては痩せることは簡単だが、太ることが難しい。世の中には痩せる方法の話は多いが、太る話はあまりない。あったとすれば、筋トレでムキムキになる話が多い。私は別にムキムキになるつもりはない。

歩行速度に関してしは、秒速1メートルということは、時速では3.6キロメートルである。私は大体時速6キロメートルは出ていると思うし、早足で歩けば秒速8キロメートルは出せると思う。その意味ではまだ大丈夫だろう。

サルコペニアになる理由だが、まずは加齢、つまり年をとることだ。そのほかカウチポテトなどのように、活動をしないこと、病気、栄養不足などがある。若い人なら病気や怪我で一時的に寝たきりになって筋肉量が落ちてサルコペニアになっても、回復が早いから、元の生活に戻ればサルコペニアは解消する。しかし老人の場合は、回復が難しい。

老人がサルコペニアになると、転倒しやすくなり、介護状態になるリスクが増える。実際に老人が寝たきりになるのは、転倒が多い。要介護になる原因の一位は脳卒中、二位は衰弱、三位が転倒である。一年間の転倒発生率は12%だという。

なぜ老人がサルコペニアになりやすいか。筋肉量は筋タンパクの合成と分解で維持されている。だから筋タンパクの分解が合成を上回ると筋肉量は減少する。人は30歳を超えると、その傾向が現れる。

そこでサルコペニアにならないためには、まず食事である。筋肉を作るのはタンパク質だから、年寄りはタンパク質の摂取が重要だ。具体的には一食あたり薄切り肉なら1-3枚、卵なら1個、豆腐なら1/2丁、魚なら切り身一切れといった程度のものを毎回とることだ。

さらに骨折して寝たきりにならないためには、骨を強くしなければならない。そのためにはカルシウムとビタミンDの摂取が重要だ。カルシウムは牛乳など、ビタミンDは太陽に当たることで補充できる。さらにビタミンKも必要で、納豆にはビタミンKが多く含まれている。

サルコペニアの防止には運動も重要である。ここでは歩行のような有酸素運動よりは、筋トレが有効だ。別にジムに行かなくても、スクワットなどで十分である。

ともかく、フレイル、サルコペニアを防ぐことは、少子高齢化の日本にとって、今後の医療費の増大などの社会的負担を減少させるために必須であろう。 

   
© NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん (JEin). All Rights Reserved