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カレーライスとターメリック

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いったいなぜカレーライスの話をするのか。それはカレーにはターメリックというスパイスが入っていて、そのターメリックは健康に良いとされているからである。ターメリックはウコンという植物の地下茎を乾燥したもので、カレー粉や沢庵漬けなどの黄色のもとである。インドや中国では古くから薬として使われてきた。

ターメリックは黄色の成分であるクルクミンを含み、これが抗酸化作用、抗菌作用、解毒作用などがあるとされ、米国では健康食品になっている。インドや中国の医学でも、薬扱いされている。カレーの黄色はターメリックである。それならカレーは健康食品ではないかと考えて、私はカレーに凝った。

カレーをレストランや食堂ではなく自宅で食べるとすれば、一番手っ取り早いのは、レトルトカレーを使うことである。しかしそれでは健康食品とは言い難い。そこで自分でカレー料理を作ることにした。レトルトカレー以外で手っ取り早いのは、カレールーを使って作るカレーだ。スーパーに行くとたくさんの種類のカレールーが売られている。なんでも良いから、好みのものを買えばよい。

まず玉ねぎをみじん切りにする。それを油で炒めるのだが、オリーブ油が健康に良いので私はそれを使っている。オリーブ油もいろいろあり、健康に良いのはエクトスラ・バージン・オリーブオイルというもので、少し高い。しかしここでケチっては意味がないので、エクストラ・バージン・オリーブオイルを使おう。油であげる場合、煙が出るようではいけない。油は高温にすると酸化する。参加した油は体に良くない。その点、オリーブ油は高温にしても比較的大丈夫であるとされる。

普通は玉ねぎだけを炒めるのだが、私はニンジンやリンゴなどもみじん切りにして炒めることもある。以前から述べているように、レッド・ミートつまり赤身の肉、つまり牛肉と豚肉は必ずしも健康に良くないので、私は肉なしか、あるいは鶏肉を使う。鶏肉を使う場合はそれも炒めておく。そうして炒めた玉ねぎと鶏肉にジャガイモなどの野菜を入れて、さらにコンソメスープの素を入れて、電気圧力釜で炊く。この場合、隠し味としてケチャップ、ウスターソースなどを入れるとよいとレシピには書いてある。これは日本人の発明だろう。本式のインドカレーにはそれはない。またトマトを入れても良い。炊き上がったものに、カレールーを入れて、熱しながら溶かせば出来上がりである。

次の試みはカレールーを使わないカレーだ。というのも、出来合いのカレールーは加工食品の一種であり、添加物が気になるからだ。添加物の正体が分かっているものを使いたい。そこで次に試みたのは、カレー粉を使う方法である。日本ではカレールーが普及しているので、カレー粉単体として売られている商品の種類は少ない。カレー粉はターメリックをはじめとして、いろんなスパイスをあらかじめ混ぜたものだ。

カレールーのようにドロドロした感じを出すには、薄力粉つまり小麦粉を入れる。実はこのようにドロドロしたカレーはインドカレーではない。昔、日本のカレーの宣伝で「インド人もびっくり」というのがあったが、実際、日本のカレーをインド人がみたらびっくりするだろう。

実はこのドロドロカレーは日本が元祖ではなく、英国なのである。インドは英国の植民地であったので、インド料理の代表であるカレーが英国に持ち込まれた。船の中でも食べられるように工夫された。インド式の水っぽいカレーでは船の中では溢れるので、小麦粉を加えてドロドロにしたという。英国でも日本でもカレーは海軍の代表的な料理である。

ちなみに私が英国には2年間住んでいたことがある。英国料理はまずいことで有名である。美味しいものを食べたければ、インド料理、中華料理、イタリアンなどのレストランに行く必要がある。というわけで私は英国ではインド料理店には時々行った。

ドロドロカレーの次は、薄力粉を抜いたサラサラカレーである。日本のカレーに慣れていると、あまりカレーらしくないが、インドカレーに近いのはむしろこちらの方であろう。

そこでカレー粉自体を自分で作ることにした。これは本格的なスパイスカレーである。カレー粉はターメリックを主体として、その他に様々なスパイスを混合したものだ。それを自分で作るには、さまざまなスパイスを買いそろえる必要がある。スパイスの代表的なものは、ターメリックの他にクミン、コリアンダー、ガラムマサラ、カイエンペッパーなどがある。これらのスパイスはスーパーに行けば売っている。しかしそれらは例えば14グラムといった少量で、小さな瓶に入っていて結構割高である。

ネットで買うと業務用のものが結構安く手に入る。例えば最低でも100グラム単位である。500グラム、1キログラムといったものもある。私はターメリック、クミンシード、コリアンダー、ガラムマサラ、カイエンペッパーが各100グラム入った初心者用セットを買った。

クミンは1年生の草本であり中東からインドにかけて自生している。古代エジプトや古代ギリシャ、ローマでも使われていた由緒のあるスパイスだ。クミンの種をクミンシードといい、強い芳香がある。クミンはシードとして売っているものと、粉になったクミンパウダーがある。インド人のシェフはクミンのことをキューミンと発音していた。

コリアンダーはタイ語ではパクチーといい、一年生の草本である。日本には10世紀頃に渡来した。朝廷料理で生魚を食べるときに使われた。葉をパクチー、種子を粉にした香辛料をコリアンダーという。コリアンダーも古代エジプト、ギリシャ、ローマでも使われたので、これも由緒正しいスパイスである。

ガラムマサラは主としてインド料理で使われるミックススパイスである。シナモン、クローブ、ナツメグ、カルダモン、胡椒、クミンなどを混ぜたものである。厳密なレシピはなく、作る人によって違う。

カイエンペッパーは赤く熟した唐辛子のみを乾燥させた香辛料であり、カレーの辛味の元である。ちなみにブラックペッパーというのは、ようするに胡椒のことだ。同じペッパーといっても違う。

その他に有名なスパイスとしてはカルダモンがある。ショウガ科の多年草の種を砕いたパウダーを使う。良い香りがする。

スパイスカレーの作り方はフライパンにオリーブ油とクミンシードを入れて、炒めて熱する。そこに玉ねぎ、ニンジン、肉などを入れて炒めて、さらにターメリック、コリアンダー、クミンパウダー、ガラムマサラなどを混ぜたものを入れて、最後にカイエンペッパーを入れる。さらにジャガイモとかトマトなどの野菜を入れて煮込む。

インド料理は基本的にスパイスを多用する。味付けは基本的には塩だけである。日本料理はあまりスパイスを使わない。醤油、出しなどをつかう。日本料理の味はうまみを中心とする。ちなみに旨みは英語でもUmamiである。

まとめるとターメリックは健康に良いとして、米国では流行している。カレーの黄色はターメリックなので、カレーを食べれば健康に良いだろう。ただしそのために市販のルーは使いたくないので、さまざまなスパイスを混合して自家製のカレー粉を作ってみた。何を混ぜるか、どう混ぜるかは無限の組み合わせがあるので、スパイスカレーは奥が深く、色々やってみると面白い。

   
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