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幸福とは何か・・・世界幸福度ランキング

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幸福とは主観的な概念である。
しかし政府の目的が国民を幸せにすることだとしたら、なんらかの手法でそれを測定しなければならない。幸福度を数値化できるとしたら、それと他の色んな指標との関連を調べて、政策を決めることができるからである。

真っ先に考えられるのは人々に質問することである。たとえば、「あなたは幸せですか?幸福度を1-4の数値で答えて下さい」と言ったアンケートをするのが一つの手であろう。
もう一つは客観的な指標、例えば平均所得、平均寿命、犯罪率などの社会的データを持ってくることであろう。あるいはこれらのミックスも考えられる。

幸福度の研究は世界的に非常に多くなされている。また世界的な調査も様々行われている。その結果は必ずしも、完全には一致しない。
しかしそこに共通した特徴も見えてくる。結論を先に言えば、デンマークなどの北欧諸国がもっとも幸せな国に入る。幸せでない国は、予想通り貧困にあえぐアフリカ諸国、それに旧ソ連圏、東欧圏の国々である。

我々に関心のある日本はどうかというと、これはいずれの調査でも中国、韓国とともに中位に属する。これらの国の、世界的レベルで見た経済的成功度を考えると、これらの国の人々は、相対的に幸せでないといえる。
特に日本は、平均所得、平均寿命、犯罪率などで考えると世界トップレベルであるのだが、どういうわけか幸福度は薄い。逆に中南米の国々の人たちは相対的に幸福である。心の持ちようということになるのであろうか。

まずはロッテルダムにあるエラスムス大学のベンホーフェン教授が、世界幸福度データベースで調べて、幸福度世界トップ10を上げている。
その国と得点を記すと

1. デンマーク(8.2)
2. スイス(8.1)
3. オーストリア(8.0)
4. アイスランド(7.8)
5. フィンランド(7.7)
6. オーストラリア(7.7)
7. スエーデン(7.7)
8. カナダ(7.6)
9. グアテマラ(7.6)
10. ルクセンブルク(7.6)

である。他の主要国は、

17. アメリカ(7.4)
22. 英国(7.1)
39. フランス(6.5)
44. 中国(6.3)
45. インド(6.3)
46. 日本(6.3)

である。

英国のレスター大学のホワイト博士は世界の178カ国の8万人の人々の調査から次のようなランキングを発表している。
1 デンマーク、2 スイス、3 オーストリア、4 アイスランド、5 バハマ、23 米国、41 英国、90 日本、178ブルンジ。博士はアジアの国々、特に中国82位、日本90位、インドが125位とかなり低いことに驚いている。

フォーブスは2005-2009年の世界155カ国のギャラップ世界調査に基づいて次のような記事を書いている。
1 デンマーク、2 フィンランド、3ノルウエー、4 スエーデン、オランダ、6 コスタ・リカ、ニュージーランド、8 カナダ、イスラエル、オーストラリア、スイス。
他の主要国では14 米国、オーストリア、17 英国、33 ドイツ、44 フランス、56 韓国、73 ロシア、81日本、香港、シンガポール、125 中国、155 トーゴである。

ミシガン大学の世界価値サーベイは20年以上にわたって、世界各国の幸福度を調査している。そこでは二つの尺度が用いられている。
第1は「色んな事を考慮して、あなたの幸福度を1-4で答えて下さい」第2の尺度は「色んな事を考慮して、あなたは人生にどのくらい満足していますか。1-10で答えて下さい。
第1の尺度では幸福度のランキングは1 ナイジェリア、2 メキシコ、3 ベネズエラ、4 エル・サルバドル、5 プエルトリコと意表を突く結果となる。
第2の尺度では1 プエルトリコ、2 メキシコ、3 デンマーク、4 コロンビア、5 アイルランド、6 アイスランド、7 北アイルランド、8 スイス、9 オランダ、10 カナダとなる。その他の主要国は11オーストリア、14 ルクセンブルク、15米国、18 スエーデン、19 ナイジェリア、20 ノルウエー、22 フィンランド、24 ドイツ、25 フランス、39 日本、45 中国、47 韓国、65 インド、76 ロシア、78 ウクライナ、79 ジンバブエとなる。下位には旧ソ連圏の国がひしめいている。

このように調査結果は一意的ではない。
しかし最初に述べたように、トレンドは見て取れる。北欧とかスイスなどヨーロッパの小国の国民の幸福度は高い。一方、貧困にあえぐアフリカ諸国や旧ソ連圏の人々の幸福度は低い。これらは理解できる。
しかし驚くべき事は、日本、韓国、中国といった国の人々の幸福度が、所得、医療、教育などの客観的な尺度が示すほどには、幸福ではないことである。

それでは幸福度を決める要素は何であろうか。
当然考えられるのは、所得、医療、平均寿命、教育、社会保障、雇用や老後の安全性、などが考えられる。北欧が多くのランキングで高位に来ているのは、そのためであろう。デンマークの消費税は25%であり、税金負担は80%にも達する。それでも人々は幸福なのである。増税が不幸を招くという論理は従って根拠がない。

この点で謎なのが、日本と韓国である。
彼らは上記の社会的尺度でいえば、幸せであるはずだ。それにもかかわらず、なぜ人々はそんなに自分を不幸だと考えるのであろうか。
ある論文の考察では、韓国では社会の競争、たとえば受験競争が激しくて、それがストレスとなり幸福でないのではないかと分析している。それなら日本も該当する。競争を激化させる小泉・竹中的規制緩和政策は人々を不幸にする政策であろう。

一方、ラテンアメリカの国々の人々が、所得などから見て予想されるよりは、相対的に幸福であるのは、楽天的な国民性によるものであろう。病は気からというが、幸福も気からという側面を無視することはできない。

   
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