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新型コロナとうがい

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ポビドンヨードつまりイソジンでうがいすることは、新型コロナの予防と軽度の患者の治療に役に立つという外国の科学論文を3篇紹介する。

大阪府の吉村知事が2020年8月4日に緊急記者会見して、ポピドンヨードのうがい薬を使うことでコロナに打ち勝てるのではないかといい、それが大きな話題になったことを覚えているだろうか。大きな話題になったという意味は、ポビドンヨードの具体的な製品であるイソジンが薬局から売り切れたことである。また吉村知事は記者会見後にさまざまな人やメディアから徹底的に叩かれた。叩かれた理由は、その発表のもとになった研究の不十分さとかいろいろある。しかし政治的な動機もあるのではないかという気もした。吉村知事は維新の会という政党に属していて、それを快く思わないグループもいるようだ。

私は大阪府に住んでいるわけでもないし、吉村知事も維新の会もよく知らないし、この問題に特にあまり関心もなかった。しかしそこまで叩かれるのかという気もしていた。というのも自分自身としては、外出後に緑茶か水でうがいすることにしている。うがいは何らかの効果はあると思っていた。もっともイソジンは使っていない。

ところで私は英米のお医者さんのコロナに関する解説動画を3種類見ている。米国のシュワルツ博士、英国のキャンベル博士の解説に関しては何度か取り上げた。米国に住むインド人のお医者さんでビーン博士という人がいる。この人もコロナ関係の解説をたくさんアップしている。好感が持てるのは、ビーン博士の話には必ず科学的根拠となる論文の文献が挙げられていることだ。2020年10月22日の「コロナウイルスを不活性化するうがい」と題する番組はとても興味深かった。結論をはっきり言えばポビドンヨードはコロナウイルス対策に役に立つというのだ。それを証拠付ける論文を3編紹介していたからだ。つまり日本の一部の専門家や識者が、ポピドンヨードはコロナ対策に役に立つどころか、むしろ有害だとして徹底的に吉村知事を叩いていたが、それに反証する科学論文があるというのだ。

その論文は1編が実際に患者を使ったマレーシアの研究である。これら実際の患者を使った研究をイン・ビボという。もう1編は新型コロナウイルスに対するさまざまなうがい薬の効果に関するドイツの実験的研究である。実験室の研究をイン・ビトロという。最後は新型コロナでないコロナウイルスに対するさまざまなうがい薬のイン・ビトロ研究である。

最初の実際の人間を使った研究が面白いのでまずそれを紹介する。20人の新型コロナ感染症にかかった初期症状の患者を使う。被験者を5人ごとの4つのグループに分ける。第1 グループはポピドンヨード10ミリリットルで毎日3回30秒うがいすることを7日間続ける。第2のグループはエッセンシャルオイル20ミリリットルで毎日3回7日間うがいする。第3グループは水道水100ミリリットルで毎日3回7日間うがいする。第4グループは対称群で何もしない。ちなみにエッセンシャルオイルの製品名はリステリンである。

調べた項目は5種類ある。1)ウイルスが6日目にいなくなったかどうか。2)12日目にPCR検査が陰性になったかどうか。3)重症になったか。4)異常な放射線医学所見があるか。5)異常なCRPなどの検査項目があるか。この中で最初の2項目、つまりウイルスがいなくなったかというのと、PCR検査が陰性になったかが興味ある。というのも3, 4, 5の項目が示すように病気が悪化した患者はだれもいなかったからだ。きっと被験者は元気な若者だったのだろう。

まずウイルスが6日目にいなくなったかどうかのテストでは、ポビドンヨードを使った被験者は全員、つまり100%有効であった。エッセンシャルオイルを使った被験者は5人中4人つまり80%有効であった。水道水は5人中1人、つまり20%有効であった。対称群は5人中0人、つまりウイルスは消えなかった。

12日目にPCR検査が陰性になったのは、ポビドンヨードグループは100%、エッセンシャルオイルグループは80%、水道水グループは40%、対称群は20%であった。被験者の数は少ないとはいえ、見事な結果である。つまりポビドンヨードは100%効くのだ。エッセンシャルオイルつまりリステリンも80%効く。水道水でのうがいは、治療のためにはあまり役に立たない。あまりに劇的な結果なので感動してしまった。

第二の論文は「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2に対する色んな種類のうがい薬のウイルスに対する有効性」という題のドイツの研究である。実験室で新型コロナに侵された細胞のサンプルにさまざまなうがい薬を投与して効果を見るという実験的研究だ。使ったうがい薬は8種類である。結果は8種類のうち3種類に大きな効果があった。それはデクアリニム、ポビドンヨード、リステリンである。デクアリニムは消毒剤だそうだが私はよく知らない。ポビドンヨードとリステリンは先程のマレーシアの研究でも有効とされたものだ。つまりこれらは効くのだ。

この論文の著者は、これらが新型コロナウイルス感染症を治療するというよりは、うがいと鼻うがいをして口と鼻孔を消毒することで、他人にウイルスをうつすことを防止できるのではないかと考えている。新型コロナが感染するのは、感染者がくしゃみをしたり、話したり、歌ったりするときに、口や鼻からウイルスが撒き散らされることで生じる。だから口内と鼻腔内のウイルスを殺せば、人に感染させにくくなるわけだ。

第3の論文は「人間コロナウイルスの感染と伝播を低下させる」と題した米国の論文だ。この研究は新型コロナウイルスではなく、普通の風邪のコロナウイルスを使っている。新型コロナウイルスで実験するのは、厳重に防護された実験室が必要で、それには高い費用がかかるから、より安全なコロナウイルスを使ったのだ。それでも新型コロナも普通のコロナも、その表面構造は共通だ。消毒剤はその表面を破壊するので、普通の風邪のコロナウイルスに有効なら、新型コロウイルスにも有効だと考えられる。この研究では米国のドラッグストアで簡単に買えるうがい薬を色々試した。その製品の名前を言っても、米国のものだからその多くの名前を私は知らないし、皆さんも知らないだろう。リステリンとジョンソン・アンド・ジョンソンのベビー・シャンプーという名前はわかる。

まず鼻うがいだがベビー・シャンプーは99.9%から99.99%有効だという。もっとも私は鼻うがいはしたことがないし、したくもないが。口のうがいに関してはポビドンヨードもリステリンも99.99%有効である。リステリンに関しては複数の製品名が挙げられている。

というわけでビーン博士は、外出した後はポビドンヨードつまりイソジンかリステリンで30秒ほどうがいをするのは良いことだとしている。また鼻うがいの仕方も紹介されていた。でも私はできない。

ただしポビドンヨードに関する注意事項として、ヨード系なので甲状腺異常のある人は使用に注意すべきだ。またポビドンヨードはウイルスだけでなく、口内にいる常在菌も全部殺してしまうので、それはむしろ良くないとする意見もある。だからコロナ対策に特化すべきであるかもしれない。

さてビーン博士の動画を見て、またそこで紹介されている論文や米国のニュースを読んで、うがい薬とくにポビドンヨードとリステリンは新型コロナの予防と、さらには軽度の患者の治療にすら有効であることを知って驚いたということだ。驚いたのは、大阪府の吉村知事がポビドンヨードの有効性に関する記者会見をしたが、それがのちにメディアや専門家と称する人たちから、科学的根拠がないと徹底的に叩いたことを知っていたからだ。

つまり言えることは、メディアとかそれに登場する自称専門家や評論家のいうことは、結構あてにならないという教訓である。実はそのことはマスクとかビダミンDなどに関しても言える。コロナ騒ぎの初期に、マスクには何の効果もないといった専門家や自称専門家は結構いた。WHOという専門家中の専門家ですら一般人はマスクをするなとまで言ったのだ。その意見はのちになって少しづつ軌道修正されて、現在ではどこの国もマスクを積極的に推奨している。マスクに関しては欧米で結構な数の人がコロナで死んでしまった後で、WHOは軌道修正したのだから、これらの死者に対する多大な責任があると思う。マスクに関してはまた別に取り上げたい。

ポビドンヨードつまりイソジンあるいはリステリンでうがいをすることは新型コロナの予防、さらには治療に役に立つという科学論文を3篇紹介した。メディアに登場する専門家のいうことは結構あてにならない。 

   
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