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東日本大震災にまつわる科学 ー 第6回公開講演討論会

テーマ:再び低線量放射線の影響を考える

日 時:2011年12月17日(土) 13時30分〜17時30分

場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール
    アクセスマップは こちら

プログラム:

【第1部 講演】(13:30~15:00) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)

13:30~13:50 「原子力の評価、のまとめ」
          松田卓也(基礎科学研究所副所長・NPO法人あいんしゅたいん副理事長)

13:50~14:50 「放射線防護のサイエンスとバリュー」
          丹羽太貫(京都大学名誉教授・国際放射線防護委員会委員)

14:50~15:00 「"放射線の健康影響、放射性物質の除染に関する説明班" に加わって福島での経験から」
          宇野賀津子(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター主任研究員)

【休憩】(15:00~15:15)

【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:15~17:30) 司会:松田卓也

パネリスト:丹羽太貫
      宇野賀津子
      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)

申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)

共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部
後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都

再び低線量放射線の影響を考える

シリーズ第6回では、今年最後のシリーズとして、最初の問題提起であった「放射線はどこまで怖いか」というテーマで、およそ半年を経て、今一度現状を振り返り、未来を考える素材としたいと思います。
これからの長い年月をかけての防護の在り方を巡っていろいろな意見が飛び交っていますが、プロと自称される方々の中にも、国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方を理解していない、勉強不足と思われる方もおられ、古い知識のまま大声で意見を言われる場合もあり、それでなくても混乱している放射線防護の議論が、余計ややこしくなっています。そんな中、なかなか専門家のご意見をうかがう機会がない現状です。
今回は、国際放射線防護委員会の委員として、また放射線の生体への影響の研究、放射線防護の研究者としてもたくさんの仕事をしてこられ、国際的にも有名な丹羽先生に、直接現在の放射線の影響の評価のまとめと防護の在り方を語っていただきます。また、第1回目で講演願った宇野先生は、その後、福島への放射線計測・説明班チームに加わって、福島の方々と対話してこられました。いろいろな経験をなさった宇野先生に、報告をお願いいたしました。

物理学会誌には、「会員の声」欄に被曝線量の議論が3度ほど出ました。
しかし、11月号に「被ばく線量の敷居値の有無はいまだに結論の出ていない、物理学の専門領域を超えた問題であるため、本欄においての成否に直接かかわる議論はこれで打ち切りとします。」という編集委員長のコメントが出ました。科学的な議論まで打ち切りにならないよう望みたいものです。
そこで、再この問題にたち戻って、より深いレベルで放射線の生体への影響をデータに基づいて考える為の素材を提供したいと思います。そして、私たちは何をなすべきか、どう行動すべきか、共に考え語り合いたいと思います。

 

講演者紹介

丹羽太貫(にわおおすら)略歴

京都大学名誉教授・国際放射線防護委員会(ICRP)委員

放射線生物・環境学 / 環境影響評価・環境政策 /放射線生物学 分子生物学/ 分子生物学 /京都大学 理学部(動物学卒業)スタンフォード大学大学院 博士( 生物々理学科 生物々理学)、京都大放射線生物研究センター晩発効果研究部門教授として放射線による遺伝的不安定性誘発機構や遺伝的不安定性、放射線、マウス初期胚などの研究に取り組んだ。
広島大原爆放射能医学研究所・放射線医学総合研究所重粒子医科学センター(千葉市)副センター長等を歴任, 政府や市民に科学への正しい理解を求めつつ、放医研には「しっかりした将来設計に 基づいて、放射線疫学の世界的な拠点になってほしい」と語る。

概要

福島第1原発事故後、様々な情報が飛び交い、いったい何が正しいのか、専門家はどこまで信用できるのか、といった困惑をお持ちの方が多いと思います。なかでも、科学者に対する不信化が広がり、本当に正しい判断ができない状況が続いています。今回は、昨今の報道などから浮かび上がってきた2つの問題

1)放射線のリスクの実体(サイエンス)と、サイエンスには立脚してはいるがこれに社会通念や日常生活上の価値(バリュー)を加味して作られている防護の概念との混同から生じる問題、とりわけ緊急時における放射線防護の概念の基盤になる考え方を解説します。
2)実際のリスクについての巷に広がっていつ誤解をとくため、放射線の生物作用についての基本と内部被ばくの問題を論じます。

 

宇野賀津子氏略歴:

NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター主任研究員

1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業。1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士。 ルイ・パストゥール医学研究センターに入職後、1990年より主任研究員。インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む

概要

福島第1原発事故後、NPOあいんしゅたいんを中心にいろいろな分野の人と「低線量放射線検討会」を毎週続けてきました。
この中で、専門の違う人々の間にある放射線に対する認識の違いを痛感し、癌や免疫を専門にしている側からも情報発信をする必要を痛感しました。そして第1回の東日本震災シリーズで報告しました。これが縁となって、学術振興会からの支援を得て学術会議派遣の「放射線計測・説明チーム」に加わり、福島の方々とひざを突き合わせて話をしました。癌の生き甲斐療法や、ストレスと免疫の関係、放射線障害を克服する抗酸化食についての話をしてきました。その中で感じたこと、思ったことをご報告します。また、誤解を招いているいくつかの論文を原論文に戻って読んで、これらの結果が、人づてに伝わって、過剰なリスクと評価される様子を、紹介します。

   
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