シリーズ 東日本大震災にまつわる科学公開講演討論会 - NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん 知的人材の活用を通じて、科学技術の発展に寄与することを目的に設立されたNPO法人です。 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011.feed 2024-05-03T17:05:23+09:00 Joomla! - Open Source Content Management 東日本大震災にまつわる科学 ー 第7回公開講演討論会 2012-02-10T03:55:15+09:00 2012-02-10T03:55:15+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/470-120311.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p>テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">福島原発事故から1年を迎えて</span></strong></p> <p>日 時:2012年3月11日(日) 13時00分〜17時00分</p> <p>場 所:京都大学 理学部 セミナーハウス</p> <p style="padding-left: 30px;">【セミナーハウス地図(クリックすると地図が拡大します)】 </p> <p style="padding-left: 90px;"><img src="images/jifs/activity/workshop/seminarhouse_map.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="200" style="border-width: 0px;" /></p> <p style="padding-left: 60px;">     アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:00~15:00) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:00~13:50 「福島原発事故をもたらしたもの ― 科学リテラシーにもふれて」<br />          安斎育郎(立命館大学名誉教授)</p> <p style="padding-left: 45px;">14:00~14:50 「低線量放射線の影響と科学者の役割:福島での学習会経験から」<br />          宇野賀津子(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター研究室長)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(14:50~15:00)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:00~17:00) 司会:高橋昌一郎(国学院大学教授)</p> <p style="padding-left: 45px;">テーマ:「どのように原子力と対峙すべきか」</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:安斎育郎<br />      宇野賀津子<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)<br />      松田卓也(基礎科学研究所副所長・NPO法人あいんしゅたいん副理事長)</p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)<br />                                        <sub>(ジャパンスケプティックス)<br /></sub>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・Japan Skeptics</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p style="padding-left: 30px;">JapanSkepticsは、基礎科学研究所の松田副所長が会長をされており、『超自然現象』の批判的・科学的な研究の推進が行われています。<br />今回の「東日本震災の科学シリーズ」は、JSTの支援によるプロジェクト「科学のウソ突破作戦」と連動して行われましたが、JapanSkepticsと目的を同じくしていることもあり、震災から1年を経た日に、共催で公開講演会を開催しようと、今回計画を立てました。当研究所としては、この1年取り組んできた講演会のまとめとして位置付けたいと思っています。</p> <p style="padding-left: 30px;">科学の急速な進歩の一方で、科学の体系を根底から否定するような主張は、震災後、特に多くなっています。</p> <p style="padding-left: 30px;">「超能力、心霊現象、UFO、予言といった多様な『超常現象』がマスコミでは興味本位で取り上げられ、人々の科学的精神の形成を阻害する重要な要因の一つになっています」とJapan Skepticsの設立趣旨にあります。<br />福島事故以降、放射線の人体への影響に関しても、統計という人間が構築してきた未知のものを解き明かす方法を誤用して、恐怖だけを煽り、客観的な判断を鈍らせる風潮が強まっていることに、「あいんしゅたいん」は大変憂慮しています。<br />また、原子力エネルギーをどう見るかに関しても、科学と社会の関係とか、いったん商業ベースにのった科学の成果をいかに人類の未来に生かすかに関して、重要な課題が突きつけられています。</p> <p style="padding-left: 30px;">「私たちの先達が論理と思考を積み重ねて築いてきた科学的な認識の体系を十分修得できないまま、自然現象や社会現象についての非合理的な解釈に走り、そのことが原因となって不本意な生き方に陥るようなケースも多々起こっています。」とJapan Skepticsの設立趣旨には書かれています。<br />福島原子炉事故にまつわる問題に関して、知識人の間にも、科学的事実と価値観をごったにする傾向がしばしば見られます。『先入観や価値観にとらわれずに真実を追求する』ことが科学の守るべき大切な基本倫理と我々は考えています。自分の価値観と合わないからといって、真実を曲げると、もっと大変な事態に陥ってしまいます。<br />このことは、報道を担当するジャーナリストにも言えます。自分の価値観に従って真実を捻じ曲げて伝えると、結局、そのことは、もっと大きな被害となって私たちの生活を危うくします。自然法則を無視したり、否定したりすることは、長い目で見れば失敗につながります。</p> <p style="padding-left: 30px;">3月11日以後行なってきた「東日本震災の科学シリーズ」はこんな思いを背負って立ち上げた企画でした。来る3月11日の講演会はその締めくくりとも言うべき企画です。</p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong><strong>安斎育郎</strong>氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">立命館大学名誉教授、Japan Skeptics前会長</p> <p style="padding-left: 60px;">1940年、東京で9人兄弟の末子として生まれる。<br />1944年~1949年、福島県・二本松で生活。東京大学工学部原子力工学科を第1期生として卒、工学博士。<br />1969年に東大医学部助手、1986年、立命館大学経済学部教授、88年、国際関係学部教授。1995年より、国際平和ミュージアム館長。<br />現在、名誉館長。立命館大学名誉教授。2011年4月、安斎科学・平和事務所を開設。</p> <p style="padding-left: 60px;">日本保健物理学会、日本放射線影響学会、日本シミュレーション&ゲーミング学会、日本平和学会、日本学術会議放射線科学研究連絡委員会、同・平和問題研究連絡委員会などの役員を務める。JAPAN SKEPTICS元会長。日本科学者会議代表幹事。原水爆禁止世界大会議長。憲法9条京都の会代表世話人。</p> <p style="padding-left: 60px;">平和のための博物館国際ネットワーク・諮問委員。南京国際平和研究所・名誉所長。ベトナム政府より、文化情報事業功労者記章受章。第22回久保医療文化賞受賞。「国境なき手品師団」名誉会員。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>講演要旨</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">本講演は、福島原発事故の技術的諸問題について論じるものではない。講演者が原子力分野に関わりながら生きてきた約半世紀の軌跡を振り返りながら、なぜこのような人類史的な深刻の事態がもたらされたのかについて自省をこめて考えようとするものである。</p> <p> </p> <p><span><strong>宇野賀津子氏略歴:</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>NPO法人あいんしゅたいん常務理事・財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部 インターフェロン・生体防御研究室室長</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業。1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士。 ルイ・パストゥール医学研究センターに入職後、1990年より主任研究員。インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む<br /></span>1949年 大阪に生まれる、1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業、1973年〜1981年京都大学理学研究科修士・博士課程動物学専攻、京都大学研修員を経て、1986年京都パストゥール研究所主任研究員、1990年 同 基礎研究部、インターフェロン・生体防御研究室室長(現ルイ・パストゥール医学研究センター)、現在に至る<br />1996年 京都大学医療技術短期大学部, 現医学部・人間健康学科非常勤講師 現在に至る<br />日本インターフェロン・サイトカイン学会幹事、日本抗加齢医学会評議員、(財)日本性教育協会理事、NPO法人あいんしゅたいん常務理事</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><span><strong>講演要旨</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;">2011年3月11日の地震/津波に端を発した福島第一原発事故は、福島県を中心に、多大の放射能汚染をもたらした。また生体への影響について相反する意見が乱れ飛び、住民は何を信じて良いか不安に陥っていた。<br />事故直後に、坂東あいんしゅたいん理事長と共に、異分野横断的な研究者・学生を巻き込んだ「低線量放射線の影響の検討会」を立ち上げ議論を重ねてきた。また放射能計測、除染、免疫の専門家および医師からなるチーム(日本学術振興会 産学協力研究事業に係る説明会チーム)の一員として、福島県白河市の各行政区においての学習会に参加した。<br />私は、「低線量放射線の生物への影響と食の重要性」について、講演した。その中で、放射線障害のかなりの部分は活性酸素によることを伝え、抗酸化食の重要性、免疫機能の重要性を伝え、前向きに生きることの重要性が低線量放射線の影響克服の道である事を伝えた。その結果過度の心配は返って免疫機能低下に繋がること、野菜や果物食の重要性への理解が深まった。また、家庭でも出来る除染方法、地域の放射線量、ホットスポットの情報提供は、低線量放射線と対峙しつつ冷静に対応することの重要性への理解を深めた。その結果、地域での放射能対策についても冷静な議論が可能となったと聞いている。</p> <p style="padding-left: 30px;">このような経験をもとに、本講演会においては、科学者の役割についてこの間考えたことを、話す予定である。また、生物・医学の立場から低線量放射線の影響を検証した論文を紹介し、低線量放射線の影響についての議論が科学者と称する人の中で、何故混乱したかを分析する<span id="_marker"> 。</span></p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p>テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">福島原発事故から1年を迎えて</span></strong></p> <p>日 時:2012年3月11日(日) 13時00分〜17時00分</p> <p>場 所:京都大学 理学部 セミナーハウス</p> <p style="padding-left: 30px;">【セミナーハウス地図(クリックすると地図が拡大します)】 </p> <p style="padding-left: 90px;"><img src="images/jifs/activity/workshop/seminarhouse_map.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="200" style="border-width: 0px;" /></p> <p style="padding-left: 60px;">     アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:00~15:00) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:00~13:50 「福島原発事故をもたらしたもの ― 科学リテラシーにもふれて」<br />          安斎育郎(立命館大学名誉教授)</p> <p style="padding-left: 45px;">14:00~14:50 「低線量放射線の影響と科学者の役割:福島での学習会経験から」<br />          宇野賀津子(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター研究室長)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(14:50~15:00)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:00~17:00) 司会:高橋昌一郎(国学院大学教授)</p> <p style="padding-left: 45px;">テーマ:「どのように原子力と対峙すべきか」</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:安斎育郎<br />      宇野賀津子<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)<br />      松田卓也(基礎科学研究所副所長・NPO法人あいんしゅたいん副理事長)</p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)<br />                                        <sub>(ジャパンスケプティックス)<br /></sub>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・Japan Skeptics</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p style="padding-left: 30px;">JapanSkepticsは、基礎科学研究所の松田副所長が会長をされており、『超自然現象』の批判的・科学的な研究の推進が行われています。<br />今回の「東日本震災の科学シリーズ」は、JSTの支援によるプロジェクト「科学のウソ突破作戦」と連動して行われましたが、JapanSkepticsと目的を同じくしていることもあり、震災から1年を経た日に、共催で公開講演会を開催しようと、今回計画を立てました。当研究所としては、この1年取り組んできた講演会のまとめとして位置付けたいと思っています。</p> <p style="padding-left: 30px;">科学の急速な進歩の一方で、科学の体系を根底から否定するような主張は、震災後、特に多くなっています。</p> <p style="padding-left: 30px;">「超能力、心霊現象、UFO、予言といった多様な『超常現象』がマスコミでは興味本位で取り上げられ、人々の科学的精神の形成を阻害する重要な要因の一つになっています」とJapan Skepticsの設立趣旨にあります。<br />福島事故以降、放射線の人体への影響に関しても、統計という人間が構築してきた未知のものを解き明かす方法を誤用して、恐怖だけを煽り、客観的な判断を鈍らせる風潮が強まっていることに、「あいんしゅたいん」は大変憂慮しています。<br />また、原子力エネルギーをどう見るかに関しても、科学と社会の関係とか、いったん商業ベースにのった科学の成果をいかに人類の未来に生かすかに関して、重要な課題が突きつけられています。</p> <p style="padding-left: 30px;">「私たちの先達が論理と思考を積み重ねて築いてきた科学的な認識の体系を十分修得できないまま、自然現象や社会現象についての非合理的な解釈に走り、そのことが原因となって不本意な生き方に陥るようなケースも多々起こっています。」とJapan Skepticsの設立趣旨には書かれています。<br />福島原子炉事故にまつわる問題に関して、知識人の間にも、科学的事実と価値観をごったにする傾向がしばしば見られます。『先入観や価値観にとらわれずに真実を追求する』ことが科学の守るべき大切な基本倫理と我々は考えています。自分の価値観と合わないからといって、真実を曲げると、もっと大変な事態に陥ってしまいます。<br />このことは、報道を担当するジャーナリストにも言えます。自分の価値観に従って真実を捻じ曲げて伝えると、結局、そのことは、もっと大きな被害となって私たちの生活を危うくします。自然法則を無視したり、否定したりすることは、長い目で見れば失敗につながります。</p> <p style="padding-left: 30px;">3月11日以後行なってきた「東日本震災の科学シリーズ」はこんな思いを背負って立ち上げた企画でした。来る3月11日の講演会はその締めくくりとも言うべき企画です。</p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong><strong>安斎育郎</strong>氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">立命館大学名誉教授、Japan Skeptics前会長</p> <p style="padding-left: 60px;">1940年、東京で9人兄弟の末子として生まれる。<br />1944年~1949年、福島県・二本松で生活。東京大学工学部原子力工学科を第1期生として卒、工学博士。<br />1969年に東大医学部助手、1986年、立命館大学経済学部教授、88年、国際関係学部教授。1995年より、国際平和ミュージアム館長。<br />現在、名誉館長。立命館大学名誉教授。2011年4月、安斎科学・平和事務所を開設。</p> <p style="padding-left: 60px;">日本保健物理学会、日本放射線影響学会、日本シミュレーション&ゲーミング学会、日本平和学会、日本学術会議放射線科学研究連絡委員会、同・平和問題研究連絡委員会などの役員を務める。JAPAN SKEPTICS元会長。日本科学者会議代表幹事。原水爆禁止世界大会議長。憲法9条京都の会代表世話人。</p> <p style="padding-left: 60px;">平和のための博物館国際ネットワーク・諮問委員。南京国際平和研究所・名誉所長。ベトナム政府より、文化情報事業功労者記章受章。第22回久保医療文化賞受賞。「国境なき手品師団」名誉会員。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>講演要旨</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">本講演は、福島原発事故の技術的諸問題について論じるものではない。講演者が原子力分野に関わりながら生きてきた約半世紀の軌跡を振り返りながら、なぜこのような人類史的な深刻の事態がもたらされたのかについて自省をこめて考えようとするものである。</p> <p> </p> <p><span><strong>宇野賀津子氏略歴:</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>NPO法人あいんしゅたいん常務理事・財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部 インターフェロン・生体防御研究室室長</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業。1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士。 ルイ・パストゥール医学研究センターに入職後、1990年より主任研究員。インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む<br /></span>1949年 大阪に生まれる、1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業、1973年〜1981年京都大学理学研究科修士・博士課程動物学専攻、京都大学研修員を経て、1986年京都パストゥール研究所主任研究員、1990年 同 基礎研究部、インターフェロン・生体防御研究室室長(現ルイ・パストゥール医学研究センター)、現在に至る<br />1996年 京都大学医療技術短期大学部, 現医学部・人間健康学科非常勤講師 現在に至る<br />日本インターフェロン・サイトカイン学会幹事、日本抗加齢医学会評議員、(財)日本性教育協会理事、NPO法人あいんしゅたいん常務理事</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><span><strong>講演要旨</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;">2011年3月11日の地震/津波に端を発した福島第一原発事故は、福島県を中心に、多大の放射能汚染をもたらした。また生体への影響について相反する意見が乱れ飛び、住民は何を信じて良いか不安に陥っていた。<br />事故直後に、坂東あいんしゅたいん理事長と共に、異分野横断的な研究者・学生を巻き込んだ「低線量放射線の影響の検討会」を立ち上げ議論を重ねてきた。また放射能計測、除染、免疫の専門家および医師からなるチーム(日本学術振興会 産学協力研究事業に係る説明会チーム)の一員として、福島県白河市の各行政区においての学習会に参加した。<br />私は、「低線量放射線の生物への影響と食の重要性」について、講演した。その中で、放射線障害のかなりの部分は活性酸素によることを伝え、抗酸化食の重要性、免疫機能の重要性を伝え、前向きに生きることの重要性が低線量放射線の影響克服の道である事を伝えた。その結果過度の心配は返って免疫機能低下に繋がること、野菜や果物食の重要性への理解が深まった。また、家庭でも出来る除染方法、地域の放射線量、ホットスポットの情報提供は、低線量放射線と対峙しつつ冷静に対応することの重要性への理解を深めた。その結果、地域での放射能対策についても冷静な議論が可能となったと聞いている。</p> <p style="padding-left: 30px;">このような経験をもとに、本講演会においては、科学者の役割についてこの間考えたことを、話す予定である。また、生物・医学の立場から低線量放射線の影響を検証した論文を紹介し、低線量放射線の影響についての議論が科学者と称する人の中で、何故混乱したかを分析する<span id="_marker"> 。</span></p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> 東日本大震災にまつわる科学 ー 第6回公開講演討論会 2011-11-14T02:22:46+09:00 2011-11-14T02:22:46+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/469-111217.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/111217poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">再び低線量放射線の影響を考える</span></strong></p> <p>日 時:2011年12月17日(土) 13時30分〜17時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~15:00) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 「原子力の評価、のまとめ」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・NPO法人あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:50 「放射線防護のサイエンスとバリュー」<br />          丹羽太貫(京都大学名誉教授・国際放射線防護委員会委員)</p> <p style="padding-left: 45px;">14:50~15:00 「"放射線の健康影響、放射性物質の除染に関する説明班" に加わって福島での経験から」<br />          宇野賀津子(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター主任研究員)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(15:00~15:15)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:15~17:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:丹羽太貫<br />      宇野賀津子<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)</p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部<br />後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong><strong><strong>再び低線量放射線の影響を考える</strong></strong></strong></p> <p style="padding-left: 30px;">シリーズ第6回では、今年最後のシリーズとして、最初の問題提起であった「放射線はどこまで怖いか」というテーマで、およそ半年を経て、今一度現状を振り返り、未来を考える素材としたいと思います。<br />これからの長い年月をかけての防護の在り方を巡っていろいろな意見が飛び交っていますが、プロと自称される方々の中にも、国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方を理解していない、勉強不足と思われる方もおられ、古い知識のまま大声で意見を言われる場合もあり、それでなくても混乱している放射線防護の議論が、余計ややこしくなっています。そんな中、なかなか専門家のご意見をうかがう機会がない現状です。<br />今回は、国際放射線防護委員会の委員として、また放射線の生体への影響の研究、放射線防護の研究者としてもたくさんの仕事をしてこられ、国際的にも有名な丹羽先生に、直接現在の放射線の影響の評価のまとめと防護の在り方を語っていただきます。また、第1回目で講演願った宇野先生は、その後、福島への放射線計測・説明班チームに加わって、福島の方々と対話してこられました。いろいろな経験をなさった宇野先生に、報告をお願いいたしました。</p> <p style="padding-left: 30px;">物理学会誌には、「会員の声」欄に被曝線量の議論が3度ほど出ました。<br />しかし、11月号に「被ばく線量の敷居値の有無はいまだに結論の出ていない、物理学の専門領域を超えた問題であるため、本欄においての成否に直接かかわる議論はこれで打ち切りとします。」という編集委員長のコメントが出ました。科学的な議論まで打ち切りにならないよう望みたいものです。<br />そこで、再この問題にたち戻って、より深いレベルで放射線の生体への影響をデータに基づいて考える為の素材を提供したいと思います。そして、私たちは何をなすべきか、どう行動すべきか、共に考え語り合いたいと思います。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong><strong>丹羽太貫(にわおおすら)</strong>氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">京都大学名誉教授・国際放射線防護委員会(ICRP)委員</p> <p style="padding-left: 60px;">放射線生物・環境学 / 環境影響評価・環境政策 /放射線生物学 分子生物学/ 分子生物学 /京都大学 理学部(動物学卒業)スタンフォード大学大学院 博士( 生物々理学科 生物々理学)、京都大放射線生物研究センター晩発効果研究部門教授として放射線による遺伝的不安定性誘発機構や遺伝的不安定性、放射線、マウス初期胚などの研究に取り組んだ。<br />広島大原爆放射能医学研究所・放射線医学総合研究所重粒子医科学センター(千葉市)副センター長等を歴任, 政府や市民に科学への正しい理解を求めつつ、放医研には「しっかりした将来設計に 基づいて、放射線疫学の世界的な拠点になってほしい」と語る。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>概要</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">福島第1原発事故後、様々な情報が飛び交い、いったい何が正しいのか、専門家はどこまで信用できるのか、といった困惑をお持ちの方が多いと思います。なかでも、科学者に対する不信化が広がり、本当に正しい判断ができない状況が続いています。今回は、昨今の報道などから浮かび上がってきた2つの問題</p> <p style="padding-left: 30px;">1)放射線のリスクの実体(サイエンス)と、サイエンスには立脚してはいるがこれに社会通念や日常生活上の価値(バリュー)を加味して作られている防護の概念との混同から生じる問題、とりわけ緊急時における放射線防護の概念の基盤になる考え方を解説します。<br />2)実際のリスクについての巷に広がっていつ誤解をとくため、放射線の生物作用についての基本と内部被ばくの問題を論じます。</p> <p> </p> <p><span><strong>宇野賀津子氏略歴:</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター主任研究員</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業。1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士。 ルイ・パストゥール医学研究センターに入職後、1990年より主任研究員。インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む</span></p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><span><strong>概要</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>福島第1原発事故後、NPOあいんしゅたいんを中心にいろいろな分野の人と「低線量放射線検討会」を毎週続けてきました。<br />この中で、専門の違う人々の間にある放射線に対する認識の違いを痛感し、癌や免疫を専門にしている側からも情報発信をする必要を痛感しました。そして第1回の東日本震災シリーズで報告しました。これが縁となって、学術振興会からの支援を得て学術会議派遣の「放射線計測・説明チーム」に加わり、福島の方々とひざを突き合わせて話をしました。癌の生き甲斐療法や、ストレスと免疫の関係、放射線障害を克服する抗酸化食についての話をしてきました。その中で感じたこと、思ったことをご報告します。また、誤解を招いているいくつかの論文を原論文に戻って読んで、これらの結果が、人づてに伝わって、過剰なリスクと評価される様子を、紹介します。</span></p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/111217poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">再び低線量放射線の影響を考える</span></strong></p> <p>日 時:2011年12月17日(土) 13時30分〜17時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~15:00) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 「原子力の評価、のまとめ」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・NPO法人あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:50 「放射線防護のサイエンスとバリュー」<br />          丹羽太貫(京都大学名誉教授・国際放射線防護委員会委員)</p> <p style="padding-left: 45px;">14:50~15:00 「"放射線の健康影響、放射性物質の除染に関する説明班" に加わって福島での経験から」<br />          宇野賀津子(NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター主任研究員)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(15:00~15:15)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:15~17:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:丹羽太貫<br />      宇野賀津子<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)</p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部<br />後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong><strong><strong>再び低線量放射線の影響を考える</strong></strong></strong></p> <p style="padding-left: 30px;">シリーズ第6回では、今年最後のシリーズとして、最初の問題提起であった「放射線はどこまで怖いか」というテーマで、およそ半年を経て、今一度現状を振り返り、未来を考える素材としたいと思います。<br />これからの長い年月をかけての防護の在り方を巡っていろいろな意見が飛び交っていますが、プロと自称される方々の中にも、国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方を理解していない、勉強不足と思われる方もおられ、古い知識のまま大声で意見を言われる場合もあり、それでなくても混乱している放射線防護の議論が、余計ややこしくなっています。そんな中、なかなか専門家のご意見をうかがう機会がない現状です。<br />今回は、国際放射線防護委員会の委員として、また放射線の生体への影響の研究、放射線防護の研究者としてもたくさんの仕事をしてこられ、国際的にも有名な丹羽先生に、直接現在の放射線の影響の評価のまとめと防護の在り方を語っていただきます。また、第1回目で講演願った宇野先生は、その後、福島への放射線計測・説明班チームに加わって、福島の方々と対話してこられました。いろいろな経験をなさった宇野先生に、報告をお願いいたしました。</p> <p style="padding-left: 30px;">物理学会誌には、「会員の声」欄に被曝線量の議論が3度ほど出ました。<br />しかし、11月号に「被ばく線量の敷居値の有無はいまだに結論の出ていない、物理学の専門領域を超えた問題であるため、本欄においての成否に直接かかわる議論はこれで打ち切りとします。」という編集委員長のコメントが出ました。科学的な議論まで打ち切りにならないよう望みたいものです。<br />そこで、再この問題にたち戻って、より深いレベルで放射線の生体への影響をデータに基づいて考える為の素材を提供したいと思います。そして、私たちは何をなすべきか、どう行動すべきか、共に考え語り合いたいと思います。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong><strong>丹羽太貫(にわおおすら)</strong>氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">京都大学名誉教授・国際放射線防護委員会(ICRP)委員</p> <p style="padding-left: 60px;">放射線生物・環境学 / 環境影響評価・環境政策 /放射線生物学 分子生物学/ 分子生物学 /京都大学 理学部(動物学卒業)スタンフォード大学大学院 博士( 生物々理学科 生物々理学)、京都大放射線生物研究センター晩発効果研究部門教授として放射線による遺伝的不安定性誘発機構や遺伝的不安定性、放射線、マウス初期胚などの研究に取り組んだ。<br />広島大原爆放射能医学研究所・放射線医学総合研究所重粒子医科学センター(千葉市)副センター長等を歴任, 政府や市民に科学への正しい理解を求めつつ、放医研には「しっかりした将来設計に 基づいて、放射線疫学の世界的な拠点になってほしい」と語る。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>概要</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">福島第1原発事故後、様々な情報が飛び交い、いったい何が正しいのか、専門家はどこまで信用できるのか、といった困惑をお持ちの方が多いと思います。なかでも、科学者に対する不信化が広がり、本当に正しい判断ができない状況が続いています。今回は、昨今の報道などから浮かび上がってきた2つの問題</p> <p style="padding-left: 30px;">1)放射線のリスクの実体(サイエンス)と、サイエンスには立脚してはいるがこれに社会通念や日常生活上の価値(バリュー)を加味して作られている防護の概念との混同から生じる問題、とりわけ緊急時における放射線防護の概念の基盤になる考え方を解説します。<br />2)実際のリスクについての巷に広がっていつ誤解をとくため、放射線の生物作用についての基本と内部被ばくの問題を論じます。</p> <p> </p> <p><span><strong>宇野賀津子氏略歴:</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>NPO法人あいんしゅたいん常務理事・ルイ・パストゥール医学研究センター主任研究員</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業。1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士。 ルイ・パストゥール医学研究センターに入職後、1990年より主任研究員。インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む</span></p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><span><strong>概要</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>福島第1原発事故後、NPOあいんしゅたいんを中心にいろいろな分野の人と「低線量放射線検討会」を毎週続けてきました。<br />この中で、専門の違う人々の間にある放射線に対する認識の違いを痛感し、癌や免疫を専門にしている側からも情報発信をする必要を痛感しました。そして第1回の東日本震災シリーズで報告しました。これが縁となって、学術振興会からの支援を得て学術会議派遣の「放射線計測・説明チーム」に加わり、福島の方々とひざを突き合わせて話をしました。癌の生き甲斐療法や、ストレスと免疫の関係、放射線障害を克服する抗酸化食についての話をしてきました。その中で感じたこと、思ったことをご報告します。また、誤解を招いているいくつかの論文を原論文に戻って読んで、これらの結果が、人づてに伝わって、過剰なリスクと評価される様子を、紹介します。</span></p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> 東日本大震災にまつわる科学 ー 第5回公開講演討論会 2011-10-11T22:29:42+09:00 2011-10-11T22:29:42+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/468-111126.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/111126poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">原子力をめぐる問題と現状</span></strong></p> <p>日 時:2011年11月26日(土) 13時30分〜17時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~13:50) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 「EUのエネルギー事情、のまとめ」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:20 「福島原発日記~若手原子力研究者の視点~」<br />          真鍋雄一郎(大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻助教)</p> <p style="padding-left: 45px;">【小休憩】(14:20~14:30)</p> <p style="padding-left: 45px;">14:30~15:00 「放射線から貴方の大切な人を守る基礎知識」<br />          伊藤英男(東京大学宇宙線研究所特任助教)</p> <p style="padding-left: 45px;">15:00~16:00 「福島近辺の放射線調査に携わって」<br />          谷畑勇夫(大阪大学核物理研究センター宇宙核物理学寄附研究部門教授)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(16:00~16:10)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(16:10~17:00) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:真鍋勇一郎<br />      伊藤英男<br />      谷畑勇夫<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子</p> <p style="padding-left: 45px;">コメント:「福島の調査に関わって」 石田憲二(日本物理学会京都支部長) </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部<br />後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong><strong>原子力をめぐる問題と現状</strong></strong></p> <p style="padding-left: 30px;">シリーズ第5回では「原子力とは何だろうか」という問題提起をうけて、原子力発電のルーツを探る議論が重要になってきました。<br />今回は、実際に福島で測定を現地で行い、そこから未来予測まで遂行された大阪大学の調査グループのリーダー、谷畑先生を迎えて講演をお願いしました。<br />そのあと放射線防護の考え方を、若い研究者伊藤英男先生に解説していただき、次に原子力の歴史を若い研究者の立場から見つめなおす真鍋勇一郎先生にもご紹介をお願いしました。<br />パネル討論では、福島にも調査に行かれた石田憲二先生に日本物理学会京都支部長にもコメントを頂きます。</p> <p style="padding-left: 30px;">これらの議論を通じて、今後の放射線汚染問題や福島の今後の対策、科学者としてどこまで何ができるか、市民の皆様と情報を共有しながら、今後の方とを考えていきたいと思います。<br />原発と原爆、低線量放射線と高線量放射線の影響、安全性とコスト、基礎科学と応用科学、いろいろな概念が錯綜していますが、それらを解きほぐし、これからの日本の行く末をお互いに議論していけたらと思います。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong><strong>真鍋勇一郎</strong>氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻助教</p> <p style="padding-left: 60px;">京都大学理学部物理学科卒業後、2007年大阪大学大学院理学研究科にて「相対論的ベーテ・サルピーター方程式による2核子系の研究」で学位を取得。大阪大学大学院工学研究科 特任研究員を経て現職。</p> <p style="padding-left: 60px;">氏は、もともとは原子核理論が専門でしたが、現在は、原子力発電の未来に向けての核燃料サイクルの研究に携わっておられます。福島原発事故後、自分の専門分野でもある原子力研究の歴史を振り返り、今後の日本の原子力開発の在り方を真摯に模索している若手研究者です。<br />「原子力のエネルギー政策、安全性に関するこれまでの検証も行い。具体的には、原子力分野の立ち上げの経緯、原子力開発の手法、これまでの原子力開発技術の計画の推移と進展状況、当初考えられていた開発の必要性と現状を歴史資料から検証したいと希望している。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>概要</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">原子核物理から原子力の世界に転向した。当初は教育補助業務に従事していたが、その傍らで高速増殖炉に使用される新しいタイプの核燃料に関する研究に関わるようになった。<br />転向した当時は原子力ルネサンスと呼ばれる世界的な潮流がメディアで報じられおり、衰退しつつあった原子力業界は「復活」するとの期待が語られていた。また、高速増殖炉もんじゅも再開間近であるとされていた。だが、事故前から原子力ルネサンスは宣伝されていたほどの規模ではないことが各方面で指摘され、もんじゅも炉内中継装置の落下事故で再稼動には至らないまま、その後国の政策の変化で「休止」している。<br />2011年3月に発生した福島第1原子力発電所の事故を契機に、日本のエネルギー政策は転換期を迎えることになった。エネルギー政策は科学的な知識に基づくべきであるが、最終的には国民の意思で決定されるべきである。アカデミズムに属する人間として議論に資する客観的な材料を提供したいと考え、原子力開発の経緯を明らかにすべきであると思い至った。<br />本講演では、世界のエネルギー事情、日本の原子力開発の目的である核燃料サイクルの現状と見通しを海外での状況を交えつつ説明する。また、原子力導入初期において原子物理と原子力が「決別」した経緯についても述べる。また、原子力において最大の懸案事項である、使用済み核燃料の処理の現状や原子力の安全性についても述べる。<br />今後はこれらの問題の詳細な検証により、今後の科学・技術の進歩に関する教訓を引き出していきたい。</p> <p> </p> <p><span><strong>伊藤英男氏略歴:</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>京大学宇宙線研究所特任助教 専門:素粒子論</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>茨城大学理学部自然機能科学科卒業後、2005年茨城大学大学院理工学研究科にて「B中間子のτを含む崩壊と超対称標準模型」で学位を取得。また、博士後期課程より受託生として高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所理論部にて学び研究させて頂いた。同理論部協力研究員を経て現職。</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>氏は、素粒子論がご専門ですが、その傍ら、福島原発事故後、放射線防護に関する国際的・国内的歴史的経緯および現状分析をすすめ、国際的な放射線防護の歴史やその科学的妥当性、そして日本の放射線防護関連法令への国際放射線防護委員会基本勧告の導入経緯を、熱心に検討してこられました。</span></p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><span><strong>概要</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>3月11日の震災までは、宇宙線研究所の広報業務の傍ら、自分の専門である素粒子論の研究を行っていた。<br />しかし、福島第一原子力発電所の事故は、私の生活だけではなく、私の周りの生活にも多大な影響を及ぼし、物理屋ということで周囲から説明を求められるようになった。安易に適当なことを答えるわけにもいかず、さりとてのんびり構えている余裕も無く、出来るだけ迅速にどういう行動指針を持てば良いのかを信用のある国際機関に求め、国際放射線防護委員会の基本勧告へと辿り着く。<br /></span><span>今回の講演では、私自身は放射線防護の専門家ではないが、放射線防護の考え方を物理屋の視点を持って客観的に学びまとめたことの概略を解説させて頂くことになった。それに加えて、国内における現行の放射線防護関連法令への基本勧告の適用がどのような流れで行われているのか、そして今現在の私が感じる問題点をいくつか述べさせて頂こうと思う。このようなことに関する調査等に関しては、まだまだ始めたばかりであるので、未だ見えていない問題点等もあるかと思う。それらについて議論する機会になれば幸いである。</span></p> <p> </p> <p><strong>谷畑勇夫氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">大阪大学核物理研究センター宇宙核物理学寄附研究部門教授</p> <p style="padding-left: 60px;">1965年大阪大学理学部卒業、カリフォルニア大学ローレンスバークレー研究所研究員,東京大学原子核研究所助手・助教授、理化学研究所RIビーム研究室主任研究員等を経て、現職。<br />1976年Miller Award(カリフォルニア大学)、1989年仁科記念賞等を受賞。主な研究分野は原子核物理学。<br />著書に『講談社サイエンティフィク「大学院原子核物理」等。</p> <p style="padding-left: 60px;">谷畑先生は、宇宙の進化のある時に生まれ、その後姿を消していった原子核、今はあまり存在しない原子核を、今ある加速器を使って作り出してみせました。このおかげで、この宇宙にどんな元素がどのようにできたか、それが遡っていけるようになり、おかげで宇宙の歴史の新しい事実が見えてきたのです。<br />宇宙はどのようにして今の姿になったのか、その進化の謎を、宇宙の歴史の中で現れた今はない原子核を作ってみるとわかってくる、とても雄大で面白い研究をされているのです。著書に「宇宙核物理学入門―元素に刻まれたビッグバンの証拠」 (ブルーバックス) には、このあたりの解説もしてあるので、興味のある人はうってつけでしょう。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>概要</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県を中心とした2200余りの地点ごとの5年後までの放射線量の移り変わりを示した電子地図を作製するため、大阪大学の研究グループを結成された。<br />この研究グループは、福島県を中心とした土壌調査を提案し文科省の調査として2200余りの地点での土壌の採取と放射能の測定を行った。この土壌採取には全国97機関409人の研究者が参加し、21機関340人の研究者がガンマ線の測定を行った。特に<sup>131</sup>I, <sup>134</sup>Cs, <sup>137</sup>Csに重点をおいたがその他の放射性物質についても測定を行った。そのサンプルをもとに、放射能の地面からの深さの分布の決定と、全汚染量の分布のマップを作成した。<br />その結果、現在では空間線量は地中にある<sup>134</sup>Cs, <sup>137</sup>Csから放出されるガンマ線で理解できることが解った。調査した­データを基に、放射性セシウムが時間とともに減少していく割合を考慮して、それぞれの地点の放射線量を5年後まで計算した。また、上空から撮影した写真を見ることが­できる「グーグルアース」のサービスと組み合わせ、雨や風、それに除染などで放射性物質が移動しなかった場合に、予想される放射線量の移り変わりを、選択した時期や地点ごとに棒グラフで示す電子地図を作った。</p> <p style="padding-left: 30px;">これらの情報は下記で見ることができる。</p> <p style="padding-left: 60px;"><a href="http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo35/siryo2-1.pdf">http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo35/siryo2-1.pdf</a><br /><a href="http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf">http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf</a><br /><a href="http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_0921.pdf">http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_0921.pdf</a></p> <p> </p> <p><strong>石田憲二氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">京都大学理学研究科教授 日本物理学会京都支部長</p> <p style="padding-left: 60px;">氏の専門は、原子の集まりが示す超電導などの現象の新しい性質を明らかにする「固体量子物性研究」です。<br />氏は、ウランを含む超伝導体の研究もしておられます。超電導の謎を解くために使っておられたウランの同位元素が、原子力発電に使われていることもあり、今回、福島に調査に出かけられたということです。同じウランといっても、いろいろなところで、研究の対象になっているのです。この機会に、支部長としてのご挨拶と同時に、当初の福島のことなど、調査に関わってのご経験をお聞きしようと思います。</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/111126poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">原子力をめぐる問題と現状</span></strong></p> <p>日 時:2011年11月26日(土) 13時30分〜17時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~13:50) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 「EUのエネルギー事情、のまとめ」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:20 「福島原発日記~若手原子力研究者の視点~」<br />          真鍋雄一郎(大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻助教)</p> <p style="padding-left: 45px;">【小休憩】(14:20~14:30)</p> <p style="padding-left: 45px;">14:30~15:00 「放射線から貴方の大切な人を守る基礎知識」<br />          伊藤英男(東京大学宇宙線研究所特任助教)</p> <p style="padding-left: 45px;">15:00~16:00 「福島近辺の放射線調査に携わって」<br />          谷畑勇夫(大阪大学核物理研究センター宇宙核物理学寄附研究部門教授)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(16:00~16:10)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(16:10~17:00) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:真鍋勇一郎<br />      伊藤英男<br />      谷畑勇夫<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子</p> <p style="padding-left: 45px;">コメント:「福島の調査に関わって」 石田憲二(日本物理学会京都支部長) </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部<br />後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong><strong>原子力をめぐる問題と現状</strong></strong></p> <p style="padding-left: 30px;">シリーズ第5回では「原子力とは何だろうか」という問題提起をうけて、原子力発電のルーツを探る議論が重要になってきました。<br />今回は、実際に福島で測定を現地で行い、そこから未来予測まで遂行された大阪大学の調査グループのリーダー、谷畑先生を迎えて講演をお願いしました。<br />そのあと放射線防護の考え方を、若い研究者伊藤英男先生に解説していただき、次に原子力の歴史を若い研究者の立場から見つめなおす真鍋勇一郎先生にもご紹介をお願いしました。<br />パネル討論では、福島にも調査に行かれた石田憲二先生に日本物理学会京都支部長にもコメントを頂きます。</p> <p style="padding-left: 30px;">これらの議論を通じて、今後の放射線汚染問題や福島の今後の対策、科学者としてどこまで何ができるか、市民の皆様と情報を共有しながら、今後の方とを考えていきたいと思います。<br />原発と原爆、低線量放射線と高線量放射線の影響、安全性とコスト、基礎科学と応用科学、いろいろな概念が錯綜していますが、それらを解きほぐし、これからの日本の行く末をお互いに議論していけたらと思います。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong><strong>真鍋勇一郎</strong>氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻助教</p> <p style="padding-left: 60px;">京都大学理学部物理学科卒業後、2007年大阪大学大学院理学研究科にて「相対論的ベーテ・サルピーター方程式による2核子系の研究」で学位を取得。大阪大学大学院工学研究科 特任研究員を経て現職。</p> <p style="padding-left: 60px;">氏は、もともとは原子核理論が専門でしたが、現在は、原子力発電の未来に向けての核燃料サイクルの研究に携わっておられます。福島原発事故後、自分の専門分野でもある原子力研究の歴史を振り返り、今後の日本の原子力開発の在り方を真摯に模索している若手研究者です。<br />「原子力のエネルギー政策、安全性に関するこれまでの検証も行い。具体的には、原子力分野の立ち上げの経緯、原子力開発の手法、これまでの原子力開発技術の計画の推移と進展状況、当初考えられていた開発の必要性と現状を歴史資料から検証したいと希望している。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>概要</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">原子核物理から原子力の世界に転向した。当初は教育補助業務に従事していたが、その傍らで高速増殖炉に使用される新しいタイプの核燃料に関する研究に関わるようになった。<br />転向した当時は原子力ルネサンスと呼ばれる世界的な潮流がメディアで報じられおり、衰退しつつあった原子力業界は「復活」するとの期待が語られていた。また、高速増殖炉もんじゅも再開間近であるとされていた。だが、事故前から原子力ルネサンスは宣伝されていたほどの規模ではないことが各方面で指摘され、もんじゅも炉内中継装置の落下事故で再稼動には至らないまま、その後国の政策の変化で「休止」している。<br />2011年3月に発生した福島第1原子力発電所の事故を契機に、日本のエネルギー政策は転換期を迎えることになった。エネルギー政策は科学的な知識に基づくべきであるが、最終的には国民の意思で決定されるべきである。アカデミズムに属する人間として議論に資する客観的な材料を提供したいと考え、原子力開発の経緯を明らかにすべきであると思い至った。<br />本講演では、世界のエネルギー事情、日本の原子力開発の目的である核燃料サイクルの現状と見通しを海外での状況を交えつつ説明する。また、原子力導入初期において原子物理と原子力が「決別」した経緯についても述べる。また、原子力において最大の懸案事項である、使用済み核燃料の処理の現状や原子力の安全性についても述べる。<br />今後はこれらの問題の詳細な検証により、今後の科学・技術の進歩に関する教訓を引き出していきたい。</p> <p> </p> <p><span><strong>伊藤英男氏略歴:</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>京大学宇宙線研究所特任助教 専門:素粒子論</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>茨城大学理学部自然機能科学科卒業後、2005年茨城大学大学院理工学研究科にて「B中間子のτを含む崩壊と超対称標準模型」で学位を取得。また、博士後期課程より受託生として高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所理論部にて学び研究させて頂いた。同理論部協力研究員を経て現職。</span></p> <p style="padding-left: 60px;"><span>氏は、素粒子論がご専門ですが、その傍ら、福島原発事故後、放射線防護に関する国際的・国内的歴史的経緯および現状分析をすすめ、国際的な放射線防護の歴史やその科学的妥当性、そして日本の放射線防護関連法令への国際放射線防護委員会基本勧告の導入経緯を、熱心に検討してこられました。</span></p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><span><strong>概要</strong></span></p> <p style="padding-left: 30px;"><span>3月11日の震災までは、宇宙線研究所の広報業務の傍ら、自分の専門である素粒子論の研究を行っていた。<br />しかし、福島第一原子力発電所の事故は、私の生活だけではなく、私の周りの生活にも多大な影響を及ぼし、物理屋ということで周囲から説明を求められるようになった。安易に適当なことを答えるわけにもいかず、さりとてのんびり構えている余裕も無く、出来るだけ迅速にどういう行動指針を持てば良いのかを信用のある国際機関に求め、国際放射線防護委員会の基本勧告へと辿り着く。<br /></span><span>今回の講演では、私自身は放射線防護の専門家ではないが、放射線防護の考え方を物理屋の視点を持って客観的に学びまとめたことの概略を解説させて頂くことになった。それに加えて、国内における現行の放射線防護関連法令への基本勧告の適用がどのような流れで行われているのか、そして今現在の私が感じる問題点をいくつか述べさせて頂こうと思う。このようなことに関する調査等に関しては、まだまだ始めたばかりであるので、未だ見えていない問題点等もあるかと思う。それらについて議論する機会になれば幸いである。</span></p> <p> </p> <p><strong>谷畑勇夫氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">大阪大学核物理研究センター宇宙核物理学寄附研究部門教授</p> <p style="padding-left: 60px;">1965年大阪大学理学部卒業、カリフォルニア大学ローレンスバークレー研究所研究員,東京大学原子核研究所助手・助教授、理化学研究所RIビーム研究室主任研究員等を経て、現職。<br />1976年Miller Award(カリフォルニア大学)、1989年仁科記念賞等を受賞。主な研究分野は原子核物理学。<br />著書に『講談社サイエンティフィク「大学院原子核物理」等。</p> <p style="padding-left: 60px;">谷畑先生は、宇宙の進化のある時に生まれ、その後姿を消していった原子核、今はあまり存在しない原子核を、今ある加速器を使って作り出してみせました。このおかげで、この宇宙にどんな元素がどのようにできたか、それが遡っていけるようになり、おかげで宇宙の歴史の新しい事実が見えてきたのです。<br />宇宙はどのようにして今の姿になったのか、その進化の謎を、宇宙の歴史の中で現れた今はない原子核を作ってみるとわかってくる、とても雄大で面白い研究をされているのです。著書に「宇宙核物理学入門―元素に刻まれたビッグバンの証拠」 (ブルーバックス) には、このあたりの解説もしてあるので、興味のある人はうってつけでしょう。</p> <p style="padding-left: 30px; text-align: center;"><strong>概要</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県を中心とした2200余りの地点ごとの5年後までの放射線量の移り変わりを示した電子地図を作製するため、大阪大学の研究グループを結成された。<br />この研究グループは、福島県を中心とした土壌調査を提案し文科省の調査として2200余りの地点での土壌の採取と放射能の測定を行った。この土壌採取には全国97機関409人の研究者が参加し、21機関340人の研究者がガンマ線の測定を行った。特に<sup>131</sup>I, <sup>134</sup>Cs, <sup>137</sup>Csに重点をおいたがその他の放射性物質についても測定を行った。そのサンプルをもとに、放射能の地面からの深さの分布の決定と、全汚染量の分布のマップを作成した。<br />その結果、現在では空間線量は地中にある<sup>134</sup>Cs, <sup>137</sup>Csから放出されるガンマ線で理解できることが解った。調査した­データを基に、放射性セシウムが時間とともに減少していく割合を考慮して、それぞれの地点の放射線量を5年後まで計算した。また、上空から撮影した写真を見ることが­できる「グーグルアース」のサービスと組み合わせ、雨や風、それに除染などで放射性物質が移動しなかった場合に、予想される放射線量の移り変わりを、選択した時期や地点ごとに棒グラフで示す電子地図を作った。</p> <p style="padding-left: 30px;">これらの情報は下記で見ることができる。</p> <p style="padding-left: 60px;"><a href="http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo35/siryo2-1.pdf">http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo35/siryo2-1.pdf</a><br /><a href="http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf">http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf</a><br /><a href="http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_0921.pdf">http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_0921.pdf</a></p> <p> </p> <p><strong>石田憲二氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">京都大学理学研究科教授 日本物理学会京都支部長</p> <p style="padding-left: 60px;">氏の専門は、原子の集まりが示す超電導などの現象の新しい性質を明らかにする「固体量子物性研究」です。<br />氏は、ウランを含む超伝導体の研究もしておられます。超電導の謎を解くために使っておられたウランの同位元素が、原子力発電に使われていることもあり、今回、福島に調査に出かけられたということです。同じウランといっても、いろいろなところで、研究の対象になっているのです。この機会に、支部長としてのご挨拶と同時に、当初の福島のことなど、調査に関わってのご経験をお聞きしようと思います。</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> 東日本大震災にまつわる科学 ー 第4回公開講演討論会 2011-09-29T21:12:13+09:00 2011-09-29T21:12:13+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/467-111023.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/111023poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">EUのエネルギー事情</span></strong></p> <p>日 時:2011年10月23日(日) 13時30分〜16時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~14:50) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 「原子力とはなんだろうか、のまとめ」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:50 「「EUのエネルギー事情」<br />          竹濱朝美(立命館大学教授)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(14:50~15:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:30~16:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:竹濱朝美<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子 </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部<br />後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <p><a href="http://www.yukawa.kyoto-u.ac.jp/contents/seminar/detail.php?SNUM=51253" target="_blank">京都大学基礎物理学研究所ホームページ</a>にも情報が掲載されておりますのでご覧ください。</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong><strong>EUのエネルギー事情</strong></strong></p> <p style="padding-left: 30px;">シリーズ第3回では「原子力とは何だろうか」という問題提起を中心に、議論を行いました。<br />原子力開発の歴史をふりかえると、科学者たちが未来のエネルギーと期待していた筈の次世代エネルギー原子力が、原子兵器として最初に開発されたことが、人類にとっていかに不幸だったかを考えさせられます。<br />第2次世界大戦が終わり、1953 年、に米国大統領アイゼンハワーは、国連で「アトムズ・フォー・ピース」と演説し、原子力の平和利用へとかじを切り替えたかに見えました。日本は、その中でも、広島長崎、そしてビキニと3度の被曝を経験した特殊な国であり、原子力発電の導入に対しても学術会議をはじめとして、さまざまな議論が展開されました。当初から、日本での導入に当たっては、「戦争の道具にしない」ことを明確にしてとりくんできたのでした。当初から「トイレなきマンション」と言われたように廃棄物問題、そして安全性、等が問題になっていました。<br />福島事故以後、「原子力なしでやっていけるのか」という議論が盛んになってきました。ヨーロッパではドイツやイタリアが脱原発を決めました。</p> <p style="padding-left: 30px;">福島事故を経験した今、原子力以外のエネルギー源がどれほど期待できるのか、問題になっています。<br />単に、エネルギーがどれくらい必要か、発電の問題だけでなく、配電。売電のシステムの問題もあります。竹濱先生は、ヨーロッパ、特にドイツの電力事情について何度も現地で調査され、現状を検討されています。日本のこれからを考えるのに、ぜひとも参考にしたいものです。</p> <p style="padding-left: 30px;">このシリーズでは、正しい判断ができるための材料を提供し、できるだけ客観的に現状を理解する場にしたいと考えています。単に結論だけを繰り返すのではなく、今後の日本のあるべき姿は何かを、ご一緒に考えていきましょう。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>竹濱朝美氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">立命館大学産業社会学部 教授</p> <p style="padding-left: 60px;">1988年 立命館大学社会学研究科 博士課程後期課程修了、社会学博士<br />1988年 日本学術振興会 特別研究員<br />1989年 立命館大学産業社会学部 助教授<br />2004年 University of Sussex,School of Law, Politics and Sociology 客員研究員<br />2005年 立命館大学産業社会学部 教授<br />現在に至る</p> <p style="padding-left: 60px;">専門分野:環境教育論、環境社会学、環境政策論<br />気候ネットワーク会員、自然エネルギー市民の会会員、おかやまエネルギーの未来を考える会会員など、市民による自然エネルギー推進の活動に取り組む。<br />EU,特にドイツの送配電システムについて、現地調査を重ね正確な状況をお持ちである。</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/111023poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">EUのエネルギー事情</span></strong></p> <p>日 時:2011年10月23日(日) 13時30分〜16時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~14:50) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 「原子力とはなんだろうか、のまとめ」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:50 「「EUのエネルギー事情」<br />          竹濱朝美(立命館大学教授)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(14:50~15:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:30~16:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:竹濱朝美<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子 </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>共 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)・日本物理学会京都支部<br />後 援:京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <p><a href="http://www.yukawa.kyoto-u.ac.jp/contents/seminar/detail.php?SNUM=51253" target="_blank">京都大学基礎物理学研究所ホームページ</a>にも情報が掲載されておりますのでご覧ください。</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong><strong>EUのエネルギー事情</strong></strong></p> <p style="padding-left: 30px;">シリーズ第3回では「原子力とは何だろうか」という問題提起を中心に、議論を行いました。<br />原子力開発の歴史をふりかえると、科学者たちが未来のエネルギーと期待していた筈の次世代エネルギー原子力が、原子兵器として最初に開発されたことが、人類にとっていかに不幸だったかを考えさせられます。<br />第2次世界大戦が終わり、1953 年、に米国大統領アイゼンハワーは、国連で「アトムズ・フォー・ピース」と演説し、原子力の平和利用へとかじを切り替えたかに見えました。日本は、その中でも、広島長崎、そしてビキニと3度の被曝を経験した特殊な国であり、原子力発電の導入に対しても学術会議をはじめとして、さまざまな議論が展開されました。当初から、日本での導入に当たっては、「戦争の道具にしない」ことを明確にしてとりくんできたのでした。当初から「トイレなきマンション」と言われたように廃棄物問題、そして安全性、等が問題になっていました。<br />福島事故以後、「原子力なしでやっていけるのか」という議論が盛んになってきました。ヨーロッパではドイツやイタリアが脱原発を決めました。</p> <p style="padding-left: 30px;">福島事故を経験した今、原子力以外のエネルギー源がどれほど期待できるのか、問題になっています。<br />単に、エネルギーがどれくらい必要か、発電の問題だけでなく、配電。売電のシステムの問題もあります。竹濱先生は、ヨーロッパ、特にドイツの電力事情について何度も現地で調査され、現状を検討されています。日本のこれからを考えるのに、ぜひとも参考にしたいものです。</p> <p style="padding-left: 30px;">このシリーズでは、正しい判断ができるための材料を提供し、できるだけ客観的に現状を理解する場にしたいと考えています。単に結論だけを繰り返すのではなく、今後の日本のあるべき姿は何かを、ご一緒に考えていきましょう。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>竹濱朝美氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">立命館大学産業社会学部 教授</p> <p style="padding-left: 60px;">1988年 立命館大学社会学研究科 博士課程後期課程修了、社会学博士<br />1988年 日本学術振興会 特別研究員<br />1989年 立命館大学産業社会学部 助教授<br />2004年 University of Sussex,School of Law, Politics and Sociology 客員研究員<br />2005年 立命館大学産業社会学部 教授<br />現在に至る</p> <p style="padding-left: 60px;">専門分野:環境教育論、環境社会学、環境政策論<br />気候ネットワーク会員、自然エネルギー市民の会会員、おかやまエネルギーの未来を考える会会員など、市民による自然エネルギー推進の活動に取り組む。<br />EU,特にドイツの送配電システムについて、現地調査を重ね正確な状況をお持ちである。</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> 東日本大震災にまつわる科学 ー 第3回公開講演討論会 2011-08-22T17:24:19+09:00 2011-08-22T17:24:19+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/466-110911.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/110911poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">原子力とはなんだろうか</span></strong></p> <p>日 時:2011年9月11日(日) 13時30分〜16時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    <span style="color: #ff0000;">※ 前回とは開催場所が異なりますのでご注意ください</span></p> <p><span style="color: #ff0000;">  </span>  アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~14:50) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 開催挨拶「第2回のまとめならびに原子力に対する誤解」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:50 「原子力とはなんだろうか」<br />          井上信(京都大学名誉教授・元原子炉実験所長)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(14:50~15:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:30~16:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:井上信<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長) </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>主 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)<br />後 援:日本物理学会京都支部・京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー</p> <p><a href="http://www.yukawa.kyoto-u.ac.jp/contents/seminar/detail.php?SNUM=51237" target="_blank">京都大学基礎物理学研究所ホームページ</a>にも情報が掲載されておりますのでご覧ください。</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong>原子力とはなんだろうか</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">原子力の「安全神話」などというものは実はないと分かっていたであろう原子力のプロである推進派も反原発派も、原発事故で実際に「安全神話」が崩壊した今、「自分たちはいったい何だったのだろうか」と意気消沈しているように見える。<br />一方この機会にメディアにドッと露出してきた「専門家」の中には専門でないことにまで怪しい専門知識をふりまいて人々に混乱を与え、誰を信用して良いか分からない一般の人々は安全・危険の座標軸から安心・不安の座標軸の上に乗せられている。<br />こうなると科学よりも神の世界になりかねない。原子力政策の正義は一つではないであろうが、原子力のプロではないもののプロ達とも接してきた演者が、これまでの原子力と今後について考えるヒントを提供する。</p> <p style="padding-left: 30px;">原子力の利用、狭い意味では核分裂エネルギーの利用は、原爆という兵器利用で始まるという不幸な出発をした。米国でも日本でも科学者は核兵器開発に動員された。<br />日本では戦後原子力を始めるに当たり平和利用に限り、核エネルギーの利用と放射線の利用が二本柱とされた。原子力発電に関しては、自動車など他の「文明の利器」では当然とされるリスクという概念はタブー視されて「絶対安全」が標榜された。神など信じてない技術者が神話の世界に陥る危険がはじめから用意されていたともいえる。<br />実際には未熟な技術段階であったにもかかわらず、政治的に急いで外国メーカーに丸投げの輸入路線が採られた。ある原子炉技術者は格納容器から水素ガスが漏れるということは考えてなかったと言っている。</p> <p style="padding-left: 30px;">原子力の関係者は今後の行動の判断基準を人々が自分たちに何を期待しているかに置くべきであるが、最重点にすべき2点は原子力システムの安全と使用済燃料の処分という不安に応えることであるように見受けられる。原子力に対するバッシングのために専門の科学技術者が逃げ出してしまうと大変なことになる。意気消沈している場合ではない。このような革新的技術の基礎研究を推進するとともにその研究的雰囲気の中で若い人材を育て続けることが重要である。そのような研究例のいくつかを紹介する。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>井上信(いのうえまこと)氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">京都大学名誉教授 理学博士(専門分野:原子核物理学、加速器物理学)</p> <p style="padding-left: 60px;">1962年京都大学理学部物理学科卒業<br />1965年大阪大学理学部助手<br />1971年大阪大学核物理研究センター助教授<br />1985年京都大学化学研究所教授<br />1999年京都大学原子炉実験所教授・所長(2003年定年退職)</p> <p style="padding-left: 60px;">この間、加速器による原子核反応の実験的研究および京大タンデム加速器、核物理研究センターAVFサイクロトロン、京大化研イオン線形加速器などの設計建設を行った</p> <p style="padding-left: 60px;">現在 立命館大学SRセンター顧問、福井大学客員教授、文科省「量子ビーム基盤技術開発プログラム」プログラムディレクターなど</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/110911poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<strong><span style="text-decoration: underline;">原子力とはなんだろうか</span></strong></p> <p>日 時:2011年9月11日(日) 13時30分〜16時30分</p> <p>場 所:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール<br />    <span style="color: #ff0000;">※ 前回とは開催場所が異なりますのでご注意ください</span></p> <p><span style="color: #ff0000;">  </span>  アクセスマップは <a href="http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm" target="_blank">こちら</a></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~14:50) 司会:坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:50 開催挨拶「第2回のまとめならびに原子力に対する誤解」<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:50~14:50 「原子力とはなんだろうか」<br />          井上信(京都大学名誉教授・元原子炉実験所長)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(14:50~15:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:30~16:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:井上信<br />      佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長) </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>主 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)<br />後 援:日本物理学会京都支部・京都大学基礎物理学研究所・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー</p> <p><a href="http://www.yukawa.kyoto-u.ac.jp/contents/seminar/detail.php?SNUM=51237" target="_blank">京都大学基礎物理学研究所ホームページ</a>にも情報が掲載されておりますのでご覧ください。</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong>原子力とはなんだろうか</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">原子力の「安全神話」などというものは実はないと分かっていたであろう原子力のプロである推進派も反原発派も、原発事故で実際に「安全神話」が崩壊した今、「自分たちはいったい何だったのだろうか」と意気消沈しているように見える。<br />一方この機会にメディアにドッと露出してきた「専門家」の中には専門でないことにまで怪しい専門知識をふりまいて人々に混乱を与え、誰を信用して良いか分からない一般の人々は安全・危険の座標軸から安心・不安の座標軸の上に乗せられている。<br />こうなると科学よりも神の世界になりかねない。原子力政策の正義は一つではないであろうが、原子力のプロではないもののプロ達とも接してきた演者が、これまでの原子力と今後について考えるヒントを提供する。</p> <p style="padding-left: 30px;">原子力の利用、狭い意味では核分裂エネルギーの利用は、原爆という兵器利用で始まるという不幸な出発をした。米国でも日本でも科学者は核兵器開発に動員された。<br />日本では戦後原子力を始めるに当たり平和利用に限り、核エネルギーの利用と放射線の利用が二本柱とされた。原子力発電に関しては、自動車など他の「文明の利器」では当然とされるリスクという概念はタブー視されて「絶対安全」が標榜された。神など信じてない技術者が神話の世界に陥る危険がはじめから用意されていたともいえる。<br />実際には未熟な技術段階であったにもかかわらず、政治的に急いで外国メーカーに丸投げの輸入路線が採られた。ある原子炉技術者は格納容器から水素ガスが漏れるということは考えてなかったと言っている。</p> <p style="padding-left: 30px;">原子力の関係者は今後の行動の判断基準を人々が自分たちに何を期待しているかに置くべきであるが、最重点にすべき2点は原子力システムの安全と使用済燃料の処分という不安に応えることであるように見受けられる。原子力に対するバッシングのために専門の科学技術者が逃げ出してしまうと大変なことになる。意気消沈している場合ではない。このような革新的技術の基礎研究を推進するとともにその研究的雰囲気の中で若い人材を育て続けることが重要である。そのような研究例のいくつかを紹介する。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>井上信(いのうえまこと)氏<strong>略歴</strong>:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">京都大学名誉教授 理学博士(専門分野:原子核物理学、加速器物理学)</p> <p style="padding-left: 60px;">1962年京都大学理学部物理学科卒業<br />1965年大阪大学理学部助手<br />1971年大阪大学核物理研究センター助教授<br />1985年京都大学化学研究所教授<br />1999年京都大学原子炉実験所教授・所長(2003年定年退職)</p> <p style="padding-left: 60px;">この間、加速器による原子核反応の実験的研究および京大タンデム加速器、核物理研究センターAVFサイクロトロン、京大化研イオン線形加速器などの設計建設を行った</p> <p style="padding-left: 60px;">現在 立命館大学SRセンター顧問、福井大学客員教授、文科省「量子ビーム基盤技術開発プログラム」プログラムディレクターなど</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> 東日本大震災にまつわる科学 ー 第2回公開講演討論会 2011-07-08T06:43:28+09:00 2011-07-08T06:43:28+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/465-110807.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/110807poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<span style="text-decoration: underline;"><strong>地震国日本のこれから ~2011年東北地方太平洋沖地震の近畿地方への影響は~</strong></span></p> <p>日 時:2011年8月7日(日) 13時30分〜16時30分</p> <p>場 所:京都大学理学部セミナーハウス</p> <p style="padding-left: 60px;"><img src="images/jifs/activity/workshop/seminarhouse_map.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="200" style="border-width: 0px;" /></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~15:10)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:40 開催挨拶<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:40~15:10 「東北地方太平洋沖地震は東海・東南海・南海大地震を誘発するか?」<br />          竹本修三(基礎科学研究所主管・京都大学名誉教授 固体地球物理学・測地学)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(15:10~15:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:30~16:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      竹本修三<br />      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長) </p> <p> </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>主 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)<br />後 援:日本物理学会京都支部・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=ご挨拶}</p> <p>2011年3月11日の、東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)は、海側の太平洋プレートが陸域プレートに押し寄せて起こりました。その後、余震がまだ続いています。今、沢山の疑問があります。</p> <p>1)この地震、そして津波は、本当に「想定外」だったのでしょうか?<br />2)東北地方太平洋沖地震は東海・東南海・南海大地震を誘発するのでしょうか?<br />3)近畿地方の活断層がいつ活動するか、学問レベルで予測できるのでしょうか?<br />4)若狭湾の原発に事故が起これば、どうなるのでしょうか?</p> <p>このシリーズでは、正しい判断ができるための材料を提供し、できるだけ客観的に現状を理解する場にしたいと考えています。どなたでも遠慮なくご参加下さい。そして、質問や議論をして、理解を深めましょう。</p> <p style="text-align: right;">あいんしゅたいん情報発信グループ</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong>1)東北・関東大震災は東海・東南海・南海大震災を誘発するか?</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)は、海側の太平洋プレートが陸域プレートに押し寄せて起こった。東海・東南海・南海巨大地震はフィリピン海プレートが陸域プレートに押し寄せて起こる。両者は共に海溝型地震であるが別物である。<br />しかし、500km×200kmという広範な領域の地殻ひずみが一度に開放されたため、周辺の地殻ひずみ場も影響を受ける。3月12日03時59分に長野県北部でM=6.7、3月15日22時31分に静岡県東部でM=6.4の内陸地震が起こった。静岡県東部地震は富士山の真下であり、富士山のほか、箱根山、焼岳などの火山周辺でも地震活動が活発になった。<br />2004年のスマトラ沖大地震の後、数カ月たってからインドネシアの火山活動が活発化したことがあり、今後も周辺の地殻活動を注意深く見守ることが必要である。東海・東南海・南海地域もまったく無関係とは言いきれない。<br />今回の東北地方太平洋沖地震のモデルケースと言われている869年の貞観地震(M≒8.3)の18年後の887年に南海トラフ沿いの巨大地震(M 8.0~8.5)が起こり、五畿・七道では京都で民家・官舎の倒潰多く、圧死多数。津波が沿岸を襲い、溺死多数。とくに摂津で津波の被害が大きかったという(理科年表)。</p> <p><strong>2)東南海・南海地震の津波・液状化の影響</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の震災では津波の被害が甚大であった。もし、大阪湾に10mを超える津波が押し寄せてくると、標高が10mほどしかない伏見区、宇治市、久御山町にまたがる巨椋池干拓地のあたりまで、津波の被害を心配しなければならないかも知れない。講演会場である理学部セミナーハウスは標高60mだから、ここまで津波が押し寄せることはないであろう。<br />津波よりも深刻なのは、液状化の影響である。桂川、宇治川、木津川の三川合流部などの柔らかい砂層が厚みをもって堆積している地域は、海溝型地震や内陸の直下型地震で震度6以上の揺れに見舞われると液状化の被害を受けると考えられる。淀をはじめ、池、沼などの水に関係する地名をもつ地域は、もともと河川敷や沼沢地を埋め立てたところが多いので要注意である。</p> <p><strong>3)近畿地方の直下型地震</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">地殻を構成する岩石は、ひずみの蓄積が10<sup>-4</sup>程度、すなわち、1.0000mの長さの石柱を両端から押していって0.9999mまで縮むと破壊してしまう。<br />最近100年間(1996年4月~1999年12月)の地殻変動図(国土地理院)によれば、近畿地方は年間10<sup>-7</sup>の割合でほぼ東西方向に縮んでいる。この割合でひずみが溜まると1000年で(10<sup>-7</sup>×10<sup>3</sup>=)10<sup>-4</sup>のひずみに達する。従って近畿地方の同じ場所で岩石破壊(地震)が起こる繰り返し間隔はざっと1000年のオーダー。<br />近畿地方の活断層トレンチ調査の結果によれば、直下型の内陸地震と結びつく活断層は、1000~10000年の間隔で活動を繰り返している。この繰り返し間隔から、最近500年以内に動いた活断層が今後100年以内に動く可能性は低いと考えられる。<br />これらを除いて、京都府南部に影響を及ぼす要注意の活断層としては、花折断層帯南部、京都西山断層帯、奈良盆地東縁断層帯などがある。いずれかの断層系が動けば京都市でも多大の被害が生じるであろうが、これらの活断層がいつ活動するかは現在の学問レベルで予測できない。<br />ただ、今回の2011年東北地方太平洋沖地震(M=9.0)の際に、震源域では地殻が東方に約30m移動した。この地震の影響は近畿地方にも及んでいる。近畿地方は東西から押されて年間10<sup>-7</sup>の割合で縮んでいたものが、今回の地震で東に引っ張られて東西に伸びた。これにより、近畿地方のひずみの蓄積が少し解消されたことになる。<br />いずれやってくる直下型地震に備えて、各自耐震対策を真剣に考えなくてはならないが、若干の時間的余裕を与えられたような気がする。</p> <p><strong>4)地震と原発</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の大震災で津波の被害とともに福島第一原子力発電所の事故が大きな社会不安を生んだ。<br />日本政府は福島第一原発から30km以内を規制地域に指定したが、アメリカ合衆国政府は、自国民に福島第一原発から50マイル(80km)以内から退去するよう指示した。<br />関西地域では若狭湾に原子力発電所が集中しているが、関西電力の大飯・高浜原子力発電所から半径80kmの円を描けば京都市はすっぽりこの範囲に入ってしまう。もちろん近畿の水がめである琵琶湖もこのなかに入る。若狭湾の原発に事故が起これば、大変なことになる。<br />われられは、市民として電力会社の危機管理体制がどうなっているかを知る必要がある。<br />このほか、東京で7名の死者が出ているが、このうち2名は、江東区の金属加工会社工場で地震の揺れで化学薬品トリクロロエチレンを含んだガスが充満し、吸い込んだ男性従業員2人が亡くなったという。このような化学薬品が身近な町工場で何気なく使われているとすると、その管理がどうなっているかということをもっと気にしなければならないだろう。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>竹本修三(Takemoto Shuzo)氏</strong><strong>略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">1942年埼玉県秩父市生まれ。京都大学理学部卒。理学博士。京大防災研究所助手、京大理学部助教授、京大大学院理学研究科教授を経て、2006年に定年退官。その後、(財)国際高等研究所フェロー・招聘研究員を経て、2011年 4月よりNPO法人知的人材ネットワークあいんしゅたいん附置機関基礎科学研究所研究主管。専門は、固体地球物理学・測地学。<br />その間、国内においては日本学術会議測地学研究連絡委員会委員長、日本測地学会会長、地震予知連絡会委員、 国立天文台運営協議員・運営会議委員など、国外においては、国際測地学協会(IAG)第Ⅴ委員会(地球潮汐委員会)委員長、国際重力局(BGI)理事、国際地球潮汐センター(ICET)理事などを歴任。<br />著書にはレーザホログラフィと地震予知 (共立出版, 1987)、LASER HOLOGRAPHY IN GEOPHYSICS(編・著)(Ellis Horwood Ltd. Chichester, UK,1989)、京都大学講義「偏見・差別・人権」を問い直す(編・著)(京都大学学術出版会,2007)などがある。</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/110807poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<span style="text-decoration: underline;"><strong>地震国日本のこれから ~2011年東北地方太平洋沖地震の近畿地方への影響は~</strong></span></p> <p>日 時:2011年8月7日(日) 13時30分〜16時30分</p> <p>場 所:京都大学理学部セミナーハウス</p> <p style="padding-left: 60px;"><img src="images/jifs/activity/workshop/seminarhouse_map.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="200" style="border-width: 0px;" /></p> <p>プログラム:</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】(13:30~15:10)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:40 開催挨拶<br />          松田卓也(基礎科学研究所副所長・あいんしゅたいん副理事長)</p> <p style="padding-left: 45px;">13:40~15:10 「東北地方太平洋沖地震は東海・東南海・南海大地震を誘発するか?」<br />          竹本修三(基礎科学研究所主管・京都大学名誉教授 固体地球物理学・測地学)</p> <p style="padding-left: 30px;">【休憩】(15:10~15:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論及び質疑・応答】(15:30~16:30) 司会:松田卓也</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト:佐藤文隆(NPO法人あいんしゅたいん名誉会長)<br />      竹本修三<br />      坂東昌子(基礎科学研究所所長・NPO法人あいんしゅたいん理事長) </p> <p> </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>主 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)<br />後 援:日本物理学会京都支部・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=ご挨拶}</p> <p>2011年3月11日の、東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)は、海側の太平洋プレートが陸域プレートに押し寄せて起こりました。その後、余震がまだ続いています。今、沢山の疑問があります。</p> <p>1)この地震、そして津波は、本当に「想定外」だったのでしょうか?<br />2)東北地方太平洋沖地震は東海・東南海・南海大地震を誘発するのでしょうか?<br />3)近畿地方の活断層がいつ活動するか、学問レベルで予測できるのでしょうか?<br />4)若狭湾の原発に事故が起これば、どうなるのでしょうか?</p> <p>このシリーズでは、正しい判断ができるための材料を提供し、できるだけ客観的に現状を理解する場にしたいと考えています。どなたでも遠慮なくご参加下さい。そして、質問や議論をして、理解を深めましょう。</p> <p style="text-align: right;">あいんしゅたいん情報発信グループ</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong>1)東北・関東大震災は東海・東南海・南海大震災を誘発するか?</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)は、海側の太平洋プレートが陸域プレートに押し寄せて起こった。東海・東南海・南海巨大地震はフィリピン海プレートが陸域プレートに押し寄せて起こる。両者は共に海溝型地震であるが別物である。<br />しかし、500km×200kmという広範な領域の地殻ひずみが一度に開放されたため、周辺の地殻ひずみ場も影響を受ける。3月12日03時59分に長野県北部でM=6.7、3月15日22時31分に静岡県東部でM=6.4の内陸地震が起こった。静岡県東部地震は富士山の真下であり、富士山のほか、箱根山、焼岳などの火山周辺でも地震活動が活発になった。<br />2004年のスマトラ沖大地震の後、数カ月たってからインドネシアの火山活動が活発化したことがあり、今後も周辺の地殻活動を注意深く見守ることが必要である。東海・東南海・南海地域もまったく無関係とは言いきれない。<br />今回の東北地方太平洋沖地震のモデルケースと言われている869年の貞観地震(M≒8.3)の18年後の887年に南海トラフ沿いの巨大地震(M 8.0~8.5)が起こり、五畿・七道では京都で民家・官舎の倒潰多く、圧死多数。津波が沿岸を襲い、溺死多数。とくに摂津で津波の被害が大きかったという(理科年表)。</p> <p><strong>2)東南海・南海地震の津波・液状化の影響</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の震災では津波の被害が甚大であった。もし、大阪湾に10mを超える津波が押し寄せてくると、標高が10mほどしかない伏見区、宇治市、久御山町にまたがる巨椋池干拓地のあたりまで、津波の被害を心配しなければならないかも知れない。講演会場である理学部セミナーハウスは標高60mだから、ここまで津波が押し寄せることはないであろう。<br />津波よりも深刻なのは、液状化の影響である。桂川、宇治川、木津川の三川合流部などの柔らかい砂層が厚みをもって堆積している地域は、海溝型地震や内陸の直下型地震で震度6以上の揺れに見舞われると液状化の被害を受けると考えられる。淀をはじめ、池、沼などの水に関係する地名をもつ地域は、もともと河川敷や沼沢地を埋め立てたところが多いので要注意である。</p> <p><strong>3)近畿地方の直下型地震</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">地殻を構成する岩石は、ひずみの蓄積が10<sup>-4</sup>程度、すなわち、1.0000mの長さの石柱を両端から押していって0.9999mまで縮むと破壊してしまう。<br />最近100年間(1996年4月~1999年12月)の地殻変動図(国土地理院)によれば、近畿地方は年間10<sup>-7</sup>の割合でほぼ東西方向に縮んでいる。この割合でひずみが溜まると1000年で(10<sup>-7</sup>×10<sup>3</sup>=)10<sup>-4</sup>のひずみに達する。従って近畿地方の同じ場所で岩石破壊(地震)が起こる繰り返し間隔はざっと1000年のオーダー。<br />近畿地方の活断層トレンチ調査の結果によれば、直下型の内陸地震と結びつく活断層は、1000~10000年の間隔で活動を繰り返している。この繰り返し間隔から、最近500年以内に動いた活断層が今後100年以内に動く可能性は低いと考えられる。<br />これらを除いて、京都府南部に影響を及ぼす要注意の活断層としては、花折断層帯南部、京都西山断層帯、奈良盆地東縁断層帯などがある。いずれかの断層系が動けば京都市でも多大の被害が生じるであろうが、これらの活断層がいつ活動するかは現在の学問レベルで予測できない。<br />ただ、今回の2011年東北地方太平洋沖地震(M=9.0)の際に、震源域では地殻が東方に約30m移動した。この地震の影響は近畿地方にも及んでいる。近畿地方は東西から押されて年間10<sup>-7</sup>の割合で縮んでいたものが、今回の地震で東に引っ張られて東西に伸びた。これにより、近畿地方のひずみの蓄積が少し解消されたことになる。<br />いずれやってくる直下型地震に備えて、各自耐震対策を真剣に考えなくてはならないが、若干の時間的余裕を与えられたような気がする。</p> <p><strong>4)地震と原発</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">今回の大震災で津波の被害とともに福島第一原子力発電所の事故が大きな社会不安を生んだ。<br />日本政府は福島第一原発から30km以内を規制地域に指定したが、アメリカ合衆国政府は、自国民に福島第一原発から50マイル(80km)以内から退去するよう指示した。<br />関西地域では若狭湾に原子力発電所が集中しているが、関西電力の大飯・高浜原子力発電所から半径80kmの円を描けば京都市はすっぽりこの範囲に入ってしまう。もちろん近畿の水がめである琵琶湖もこのなかに入る。若狭湾の原発に事故が起これば、大変なことになる。<br />われられは、市民として電力会社の危機管理体制がどうなっているかを知る必要がある。<br />このほか、東京で7名の死者が出ているが、このうち2名は、江東区の金属加工会社工場で地震の揺れで化学薬品トリクロロエチレンを含んだガスが充満し、吸い込んだ男性従業員2人が亡くなったという。このような化学薬品が身近な町工場で何気なく使われているとすると、その管理がどうなっているかということをもっと気にしなければならないだろう。</p> <p style="padding-left: 30px;"> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>竹本修三(Takemoto Shuzo)氏</strong><strong>略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">1942年埼玉県秩父市生まれ。京都大学理学部卒。理学博士。京大防災研究所助手、京大理学部助教授、京大大学院理学研究科教授を経て、2006年に定年退官。その後、(財)国際高等研究所フェロー・招聘研究員を経て、2011年 4月よりNPO法人知的人材ネットワークあいんしゅたいん附置機関基礎科学研究所研究主管。専門は、固体地球物理学・測地学。<br />その間、国内においては日本学術会議測地学研究連絡委員会委員長、日本測地学会会長、地震予知連絡会委員、 国立天文台運営協議員・運営会議委員など、国外においては、国際測地学協会(IAG)第Ⅴ委員会(地球潮汐委員会)委員長、国際重力局(BGI)理事、国際地球潮汐センター(ICET)理事などを歴任。<br />著書にはレーザホログラフィと地震予知 (共立出版, 1987)、LASER HOLOGRAPHY IN GEOPHYSICS(編・著)(Ellis Horwood Ltd. Chichester, UK,1989)、京都大学講義「偏見・差別・人権」を問い直す(編・著)(京都大学学術出版会,2007)などがある。</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> 東日本大震災にまつわる科学 ー 第1回公開講演討論会 2011-06-06T20:28:11+09:00 2011-06-06T20:28:11+09:00 https://jein.jp/jifs/workshop/lecture01-2011/461-110703.html JEin事務局 <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/110703poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<span style="text-decoration: underline;">放射線はどれくらい怖いか ~低線量放射線の生物への作用を検証する~</span></p> <p>日 時:2011年7月3日(日) 13時30分〜16時30分<br />場 所:京都大学理学部セミナーハウス</p> <p style="padding-left: 60px;"><img src="images/jifs/activity/workshop/seminarhouse_map.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="200" style="border-width: 0px;" /></p> <p>プログラム:<span id="_marker"> </span></p> <p style="padding-left: 15px;"><strong>公開討論会</strong>(13:30~16:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:35 はじめに 司会:松田卓也<br />13:35~13:50 挨拶「科学のウソを突破するために」 坂東昌子<br />13:50~14:50 「放射線と生命の関わり」 内海博司<br />14:50~15:20 「がんの科学最前線:がんリスク軽減のための免疫の役割」 宇野賀津子</p> <p style="padding-left: 30px;">【コーヒーブレイク】(15:20~15:40)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論】(15:40~16:30) 司会:坂東昌子</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト 内海博司・宇野賀津子・佐藤文隆・松田卓也</p> <p style="padding-left: 15px;">基礎科学研究所開所記念懇親会(17:00~19:00)</p> <p style="padding-left: 30px;">受講者、講師を囲んでの討論会・意見交換・今後の活動の展望についての話し合いなどを行います(※ 飲み物と軽食をご用意します) </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>主 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)<br />後 援:日本物理学会京都支部・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <p>※ <span style="text-decoration: underline;">本講演会は、NPO法人あいんしゅたいんの京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)入居に伴う、基礎科学研究所開設記念行事を兼ねております。</span></p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=ご挨拶}</p> <p style="text-align: center;">2011年3月11日、東日本大震災の試練を受けました。中でも、原子炉事故をめぐって、放射能、食料汚染、さらにはエネルギーの将来に対して、さまざまな情報が飛び交っています。今こそ、正確で科学的なデータをもとにして、一人ひとりがしっかりと判断することが必要です。このシリーズの目的は「科学のウソ突破作戦」を目的に、しっかりと科学リテラシィを身につけた判断ができる自覚的な方々のネットワークを作っていきたいと希望しています。これは、わが国ばかりでなく人類の大きな課題でもあり、情報を共有し検討しあって正しい判断ができるための公開講演会を企画したものです。このシリーズの最初として、まず、「放射線の影響」を取り上げました。この問題は、専門家の中でもかなり意見の相違がありますが、しっかり現状を理解することから始めるべきだと考えます。</p> <p>放射線の影響として、高線量をあびた場合に起こる明らかな健康障害が起こる(非確率的影響)ことはほぼ共通に認識されています。しかし、もっと少ない放射線を浴びたときの影響については、かなり時間がたって現れる(晩発性)症状、あるいは、「がん貧乏くじ」にあたる確率が増える(確率的影響)障害については、今、議論がどこまで本当かどこまでわかっているのか、はっきりしないまま、いろいろなところで論じられています。なかでも、遺伝情報を担っているDNAの鎖を破壊(DNA切断)するために起こる様々な障害が、子どもや弱い人に現れる場合がいろいろ論じられています。</p> <p>講演は、その中でも、最も深刻といわれるDNAの2重鎖切断によるがん発生の評価と修復機能について、この道では最新の研究成果をお持ちの内海先生にお願いしました。引き続き、がんリスクに対する免疫の働きについての実践で豊富な経験をお持ちの宇野先生に補足説明をお願いしています。</p> <p>この企画では、あいんしゅたいんが中心に検討してきた最新の情報と突き合わせて、若いものもシニアなメンバーも市民も一緒になって議論できる機会をつくり、むやみに怖がらず、安易に軽視しないために、ご一緒に、放射線の正しい知識を持つための材料を提供していきたいと考えています。ことです。</p> <p>どなたでもご遠慮なく参加し、質問や議論をしていただければとねがっています。なお、引き続き、「地震・津波」(8月7日予定)「エネルギーの将来」(未定)等も取り上げていくつもりです。</p> <p style="text-align: right;">あいんしゅたいん情報発信グループ(宇野賀津子・坂東昌子)</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong>内海博司「放射線と生命の関わり」</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">エネルギーの高い放射線(X線やγ線などを電離放射線という)は、ガン治療、X線写真、殺菌など、人類に無くてはならない存在ではあるが、生命を担う遺伝子DNAに働き、色々な悪さをするだけに、その最悪の状況である原爆やチェルノブイル、福島原発を思い浮かべて、強い恐怖を感じるのが一般的である。放射線は一般に電磁波とよばれ、よりエネルギーの低い紫外線、可視光、赤外線、電波(非電離放射線)なども含まれている。</p> <p style="padding-left: 30px;">30数億年前、現在より数千倍も強かった太陽からの「紫外線」は、生命誕生にも寄与したと考えられているが、生命を傷つけ、破壊する「諸刃の刃」でもあった。植物が誕生して初めて地球上に出現した「酸素」は「オゾン層」を形成し紫外線量を軽減したが、この反応性に富む酸素は新たな生命の脅威となった。宇宙から降り注ぐ電離放射線も生命には脅威であったが、地球が強い磁場を持ち、「バンアレン帯」が形成されると、宇宙からの電離放射線(宇宙線)の脅威も激減した。この電離放射線や紫外線や酸素の脅威は、「DNA傷害」として現れ、それらを修復し、耐える能力を獲得した「したたかな生命体」だけが、現在も生き続けている。</p> <p style="padding-left: 30px;">これら能力は、環境中の種々の化学物質が作るDNA傷害も治すだけに、この能力のほんの少しのほころびも癌や老化につながる。このような「放射線」や「酸素」と、ヒトをも含めた「生命」との関わりについてお話をする。</p> <p style="padding-left: 30px;">特に、ヒトの放射線影響については、広島長崎の尊い被ばく者のデータが基礎になっている。そこで何がどこまで分かったのか、最近のスリーマイル島、チェルノブイル、福島原発などについても概観する。LNT仮説はあくまでも防護の最適化のための道具であり、ごく低線量放射線被ばく状況での集団線量に用いるのは、国連科学委員会とICRPの両方が厳しく禁じている。</p> <p><strong>宇野賀津子「がんの科学最前線:がんリスク軽減のための免疫学最前線」</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">低線量放射線の生体への影響は、晩発効果といわれるもので、数年から数十年先にがんのリスクがあがる可能性が指摘されている。放射線で遺伝子が傷つき、その修復が出来きれなかったとしても、細胞が臨床的がんになるには、ながい道のりがある。遺伝子の修復機構とがん化に至る最近の知見を紹介し、生体のがん化を抑制する何段階もの防御機構について紹介する。また、たとえ、変異した細胞が出現したとしても、がん細胞除去に働く免疫機構について紹介する。さらにはその免疫活性を上昇させ、がんのリスクを低下させる免疫細胞の活性化法について紹介する。</p> <p> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>内海博司(うつみひろし)氏</strong><strong>略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">1941年生まれ。京都大学理学部卒。理学博士。京大医学部助手、京大放射線生物研究センター助教授、京大原子炉実験所教授(京大大学院理学研究科及び医学研究科教授)を経て、2004年に停年退官。</p> <p style="padding-left: 30px;">その間、米国アルゴンヌ国立研究所に留学、コロラド州立大学客員教授などを歴任。専門は、放射線生物学/放射線基礎医学。 2004年「放射線影響功績賞」、2005年「日本放射線影響学会論文賞」、2009年「国際癌治療増感研究会菅原賞」受賞。現在、京都大学名誉教授、(財)京都「国際学生の家」理事長、NPOさきがけ技術振興会 理事長、(公財)体質研究会 主任研究員、「いのちの科学」プロジェクト主査、(財)基督教イーストアジアミッション理事、社会福祉法人 京都国際福祉センター 理事など。</p> <p><strong>宇野賀津子氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業<br />1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士<br />1986年京都パストゥール研究所(現 ルイ・パストゥール医学研究センター)に入職後、1990年より現職。京都大学医学部・人間健康学科非常勤講師(1996年〜)。現在日本インターフェロン・サイトカイン学会幹事(1996年〜)、(財)日本性教育協会理事(1996年〜 )、日本抗加齢医学会評議員を務める(2003年〜 )。神戸大学男女共同参画推進室メンター(2008年〜)</p> <p style="padding-left: 30px;">インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む。</p> <p style="padding-left: 30px;">著書には、『理系の女の生き方ガイド』(ブルーバックス)・『サイトカインハンティング:先頭を駆け抜けた日本人研究者達』(日本インターフェロン・サイトカイン学会 京大出版会編著他)・『性教育・性科学事典』編著(小学館)、訳書『女性とは何か』(人文書院)等</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div> <div class="feed-description"><p><img src="images/jifs/activity/workshop/110703poster.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="300" style="float: right; border-width: 0px;" />テーマ:<span style="text-decoration: underline;">放射線はどれくらい怖いか ~低線量放射線の生物への作用を検証する~</span></p> <p>日 時:2011年7月3日(日) 13時30分〜16時30分<br />場 所:京都大学理学部セミナーハウス</p> <p style="padding-left: 60px;"><img src="images/jifs/activity/workshop/seminarhouse_map.jpg" border="0" title="クリックすると拡大画像でご覧いただけます" width="200" style="border-width: 0px;" /></p> <p>プログラム:<span id="_marker"> </span></p> <p style="padding-left: 15px;"><strong>公開討論会</strong>(13:30~16:30)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第1部 講演】</p> <p style="padding-left: 45px;">13:30~13:35 はじめに 司会:松田卓也<br />13:35~13:50 挨拶「科学のウソを突破するために」 坂東昌子<br />13:50~14:50 「放射線と生命の関わり」 内海博司<br />14:50~15:20 「がんの科学最前線:がんリスク軽減のための免疫の役割」 宇野賀津子</p> <p style="padding-left: 30px;">【コーヒーブレイク】(15:20~15:40)</p> <p style="padding-left: 30px;">【第2部 パネル討論】(15:40~16:30) 司会:坂東昌子</p> <p style="padding-left: 45px;">パネリスト 内海博司・宇野賀津子・佐藤文隆・松田卓也</p> <p style="padding-left: 15px;">基礎科学研究所開所記念懇親会(17:00~19:00)</p> <p style="padding-left: 30px;">受講者、講師を囲んでの討論会・意見交換・今後の活動の展望についての話し合いなどを行います(※ 飲み物と軽食をご用意します) </p> <p>申 込:申込不要(どなたでもご参加いただけます)</p> <p>主 催:基礎科学研究所(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん附置機関)<br />後 援:日本物理学会京都支部・京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー・科学カフェ京都</p> <p>※ <span style="text-decoration: underline;">本講演会は、NPO法人あいんしゅたいんの京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)入居に伴う、基礎科学研究所開設記念行事を兼ねております。</span></p> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=ご挨拶}</p> <p style="text-align: center;">2011年3月11日、東日本大震災の試練を受けました。中でも、原子炉事故をめぐって、放射能、食料汚染、さらにはエネルギーの将来に対して、さまざまな情報が飛び交っています。今こそ、正確で科学的なデータをもとにして、一人ひとりがしっかりと判断することが必要です。このシリーズの目的は「科学のウソ突破作戦」を目的に、しっかりと科学リテラシィを身につけた判断ができる自覚的な方々のネットワークを作っていきたいと希望しています。これは、わが国ばかりでなく人類の大きな課題でもあり、情報を共有し検討しあって正しい判断ができるための公開講演会を企画したものです。このシリーズの最初として、まず、「放射線の影響」を取り上げました。この問題は、専門家の中でもかなり意見の相違がありますが、しっかり現状を理解することから始めるべきだと考えます。</p> <p>放射線の影響として、高線量をあびた場合に起こる明らかな健康障害が起こる(非確率的影響)ことはほぼ共通に認識されています。しかし、もっと少ない放射線を浴びたときの影響については、かなり時間がたって現れる(晩発性)症状、あるいは、「がん貧乏くじ」にあたる確率が増える(確率的影響)障害については、今、議論がどこまで本当かどこまでわかっているのか、はっきりしないまま、いろいろなところで論じられています。なかでも、遺伝情報を担っているDNAの鎖を破壊(DNA切断)するために起こる様々な障害が、子どもや弱い人に現れる場合がいろいろ論じられています。</p> <p>講演は、その中でも、最も深刻といわれるDNAの2重鎖切断によるがん発生の評価と修復機能について、この道では最新の研究成果をお持ちの内海先生にお願いしました。引き続き、がんリスクに対する免疫の働きについての実践で豊富な経験をお持ちの宇野先生に補足説明をお願いしています。</p> <p>この企画では、あいんしゅたいんが中心に検討してきた最新の情報と突き合わせて、若いものもシニアなメンバーも市民も一緒になって議論できる機会をつくり、むやみに怖がらず、安易に軽視しないために、ご一緒に、放射線の正しい知識を持つための材料を提供していきたいと考えています。ことです。</p> <p>どなたでもご遠慮なく参加し、質問や議論をしていただければとねがっています。なお、引き続き、「地震・津波」(8月7日予定)「エネルギーの将来」(未定)等も取り上げていくつもりです。</p> <p style="text-align: right;">あいんしゅたいん情報発信グループ(宇野賀津子・坂東昌子)</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table> <table style="width: 95%;" border="0" align="center"> <tbody> <tr> <td> <p>{slide=講演概要}</p> <p><strong>内海博司「放射線と生命の関わり」</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">エネルギーの高い放射線(X線やγ線などを電離放射線という)は、ガン治療、X線写真、殺菌など、人類に無くてはならない存在ではあるが、生命を担う遺伝子DNAに働き、色々な悪さをするだけに、その最悪の状況である原爆やチェルノブイル、福島原発を思い浮かべて、強い恐怖を感じるのが一般的である。放射線は一般に電磁波とよばれ、よりエネルギーの低い紫外線、可視光、赤外線、電波(非電離放射線)なども含まれている。</p> <p style="padding-left: 30px;">30数億年前、現在より数千倍も強かった太陽からの「紫外線」は、生命誕生にも寄与したと考えられているが、生命を傷つけ、破壊する「諸刃の刃」でもあった。植物が誕生して初めて地球上に出現した「酸素」は「オゾン層」を形成し紫外線量を軽減したが、この反応性に富む酸素は新たな生命の脅威となった。宇宙から降り注ぐ電離放射線も生命には脅威であったが、地球が強い磁場を持ち、「バンアレン帯」が形成されると、宇宙からの電離放射線(宇宙線)の脅威も激減した。この電離放射線や紫外線や酸素の脅威は、「DNA傷害」として現れ、それらを修復し、耐える能力を獲得した「したたかな生命体」だけが、現在も生き続けている。</p> <p style="padding-left: 30px;">これら能力は、環境中の種々の化学物質が作るDNA傷害も治すだけに、この能力のほんの少しのほころびも癌や老化につながる。このような「放射線」や「酸素」と、ヒトをも含めた「生命」との関わりについてお話をする。</p> <p style="padding-left: 30px;">特に、ヒトの放射線影響については、広島長崎の尊い被ばく者のデータが基礎になっている。そこで何がどこまで分かったのか、最近のスリーマイル島、チェルノブイル、福島原発などについても概観する。LNT仮説はあくまでも防護の最適化のための道具であり、ごく低線量放射線被ばく状況での集団線量に用いるのは、国連科学委員会とICRPの両方が厳しく禁じている。</p> <p><strong>宇野賀津子「がんの科学最前線:がんリスク軽減のための免疫学最前線」</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">低線量放射線の生体への影響は、晩発効果といわれるもので、数年から数十年先にがんのリスクがあがる可能性が指摘されている。放射線で遺伝子が傷つき、その修復が出来きれなかったとしても、細胞が臨床的がんになるには、ながい道のりがある。遺伝子の修復機構とがん化に至る最近の知見を紹介し、生体のがん化を抑制する何段階もの防御機構について紹介する。また、たとえ、変異した細胞が出現したとしても、がん細胞除去に働く免疫機構について紹介する。さらにはその免疫活性を上昇させ、がんのリスクを低下させる免疫細胞の活性化法について紹介する。</p> <p> </p> <p style="text-align: center;"><strong>講演者紹介</strong></p> <p><strong>内海博司(うつみひろし)氏</strong><strong>略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">1941年生まれ。京都大学理学部卒。理学博士。京大医学部助手、京大放射線生物研究センター助教授、京大原子炉実験所教授(京大大学院理学研究科及び医学研究科教授)を経て、2004年に停年退官。</p> <p style="padding-left: 30px;">その間、米国アルゴンヌ国立研究所に留学、コロラド州立大学客員教授などを歴任。専門は、放射線生物学/放射線基礎医学。 2004年「放射線影響功績賞」、2005年「日本放射線影響学会論文賞」、2009年「国際癌治療増感研究会菅原賞」受賞。現在、京都大学名誉教授、(財)京都「国際学生の家」理事長、NPOさきがけ技術振興会 理事長、(公財)体質研究会 主任研究員、「いのちの科学」プロジェクト主査、(財)基督教イーストアジアミッション理事、社会福祉法人 京都国際福祉センター 理事など。</p> <p><strong>宇野賀津子氏略歴:</strong></p> <p style="padding-left: 30px;">1972年大阪市立大学理学部生物学科卒業<br />1981年京都大学理学研究科(博士課程動物学専攻)単位取得退学、理学博士<br />1986年京都パストゥール研究所(現 ルイ・パストゥール医学研究センター)に入職後、1990年より現職。京都大学医学部・人間健康学科非常勤講師(1996年〜)。現在日本インターフェロン・サイトカイン学会幹事(1996年〜)、(財)日本性教育協会理事(1996年〜 )、日本抗加齢医学会評議員を務める(2003年〜 )。神戸大学男女共同参画推進室メンター(2008年〜)</p> <p style="padding-left: 30px;">インターフェロンシステム、癌免疫療法、免疫機能と病気との関連の研究を進めると共に、性差・女性のライフサイクルの研究や女性研究者支援活動にも取り組む。</p> <p style="padding-left: 30px;">著書には、『理系の女の生き方ガイド』(ブルーバックス)・『サイトカインハンティング:先頭を駆け抜けた日本人研究者達』(日本インターフェロン・サイトカイン学会 京大出版会編著他)・『性教育・性科学事典』編著(小学館)、訳書『女性とは何か』(人文書院)等</p> <p>{/slide}</p> </td> </tr> </tbody> </table></div>