2017年11月25日

 

2017年第3回定期勉強会報告

1.概 要

日  時:2017年8月27日(日) 13:00~17:10
場  所:京都大学理学研究科セミナーハウス
話題提供:小出重幸(日本科学技術ジャーナリスト会議理事・前会長)
     伊藤早苗(福島南相馬避難者) 
     谷畑勇夫(大阪大学核物理センター教授)
話  題:市民と科学者学習会 ・・線量の測定で分かること・・

2.議事録

挨拶:田中貴浩(京都大学理学部教授、日本物理学会京都支部長) 

今回の会の経緯について報告いただいた。特に今回物理学会の共催許可が出なかったことについて、時間的問題もあったこと、今後はもっと早くから準備する旨の話があった。

講演1 「世界に広がる線量測定市民運動」 小出重幸(日本科学技術ジャーナリスト会議理事・前会長)
小出氏は、ジャーナリストの立場から3.11以降の混乱、特に、地域コミュニティの崩壊と、科学への信頼の失墜をあげられた。そしてSpeediの公開の遅れや、放射線の健康影響において科学的説明のない決定が、混乱を助長したことを指摘した。また安定ヨウ素剤を配布した三春町の取り組みを例に、玄侑和尚中心とした取り組み例を示しながら、Safecastを紹介、自分たちで測ること、次世代を育てる目的など、説明いただいた。また、最悪想定でも30km避難で十分とした英国の例を示して、科学顧問の役割と必要性を強調された。

エンターテインメント:紙芝居 福島の民話、安達ヶ原の鬼婆 および福島の昔話 足長手長 伊藤早苗(福島南相馬避難者)、坂本宗謙(紙芝居助手)
いつもながら、伊藤さんのお話は迫力満点、鬼婆の話には皆、背筋がゾクゾクとし、ここで終わったら、夜眠れない!の声も、その次の足長手長でちょっとホットした感じでした。

講演2 「福島事故後の放射線計測に関わって」 谷畑勇夫(大阪大学核物理センター教授)
土壌放射線量調査の目的、梅雨に入る前に測定を終える必要があるとの思いから、3月15日から、阪大中心になされた活動について紹介があった。6月になってやっと本格調査が出来たこと、97機関、409人の科学者が参加されたとの紹介。測定法に於いても、基礎的な検討がなされ、80km圏内では2kmx2kmメッシュで各5サンプル採取、その根拠、ばらつきの範囲などのデータが示された。また深さ5cmとした根拠も紹介された。
航空機観測との関連も示され、それぞれの特性を説明いただいた。坦々とした発表に、科学者としてのスタンス、研究者として正確な測定への努力と大変さを思いました。今回関係機関の調整に苦労したことから、有事の際に身軽に動ける体制の必要性を強調された。

今回の講演会で感じたのは、科学的データでもって話をすすめ、理解を得るという姿勢が、小出氏にも谷畑氏にも貫かれていたことである。派手なジェスチャーもなく、坦々と事実関係を紹介する中で、たかだか土の採取とは言いながらも解決すべき問題点がたくさんあること。たとえば採取する場所の誤差の問題や個人毎の採取法の誤差を最小化するための努力など、問題点をどう解決し、どの程度を誤差の範囲とするかなどは、聴衆にも参考となったのではとおもいました。ある一つのポイントを測って、公表されているより高い低いもそう簡単には言えないこと、2kmx2kmの範囲でも2倍程度の違いがあって当たり前で時は10倍というのもあったとのこと、基礎データをどれだけもって語っているか、改めて大事だとおもいました。
全体の参加者は28名、アンケートも今回の講演会には、18人中とても満足、まあまあ満足が大半を占め、普通は3名であった。

(文責:宇野賀津子)

 

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