人工知能(AI)と経済 - NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん

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人工知能(AI)と経済

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今後数十年でシンギュラリティに突入する。そのとき経済はどうなるのか。我々の暮らしはどうなるのか。とくに日本はどうなるのか。

これまでの人類の経済史を概観して、未来を予測する 

人類は約1万年前に農業を発明して、それまでの狩猟採集生活から農耕生活に入った。それによりほとんどの人々は農民になった。農産物は保存できるので富の蓄積が始まり、王様のような権力者が生まれた。農業時代における生産の重要な要素は農民と土地である。これらをたくさん持った王様や国が豊かなのである。

19世紀にヨーロッパで始まった産業革命により、工業が始まり多くの農民は工場労働者になった。それにより資本家が生まれた。資本主義で重要な要素は労働者と資本である。工業によって消費財だけではなく生産機械も作れるので、経済成長が始まり、人々は平均的には豊かになった。資本主義経済では生産財を持っている資本家、つまり金持ちがとくに豊かになった。

産業革命に乗ったのは西欧と日本だけであった。農業時代の大国であった中国とインドは産業革命に乗り遅れて、発展途上国に転落し、西欧と日本の帝国主義に蹂躙された。これを第一の大分岐と呼ぶ。

なぜ日本が産業革命に乗り、中国が乗り遅れたか。それは当時の指導層の考え方の差にあった。日本では幕末に黒船がやってきて、当時の志士たちは欧米の圧倒的な力を知り、このままでは日本はダメになると知って、開国して明治維新を実行して、文明開化に勤めた。

いっぽう中国の指導層は自国の力を過信したために、西欧の文物の導入を怠り、結果的には日本に遅れを取った。日清戦争に敗れて台湾をとられ、日中戦争で日本に侵略された。

シンギュラリティ革命は産業革命同様、世界を新たな先進国と発展途上国に分断する。シンギュラリティに成功した先進国と、乗り損ねた発展途上国に分岐する。これを駒沢大学の井上智弘さんは第二の大分岐と呼ぶ。第一の大分岐のときと同様に、シンギュラリティ革命に乗れずに先進国になりそこねた国は、発展途上国となり先進国に収奪されるであろう。

シンギュラリティ革命で重要なのは、もはや一般の労働者ではない。資本と頭脳である。私はこれを頭脳資本主義と呼びたい。

第一の大分岐のときの失敗を中国では百年国恥という。現在の中国の指導層はその反省があるので、必死で科学技術の導入と、それに対する投資に勤めている。一方、日本の指導層も国民も過去の栄光に対する慢心があり、このままでは、シンギュラリティ革命に乗り損ねるのではないかと私は恐れている。

これからの世界で重要なのは資本と優秀な頭脳である。頭脳資本主義の時代に突入するのだ。その意味で天才は国の将来にとってきわめて重要なのである。天才を大切にしない国に明るい未来はない。

ノーベル経済賞受賞のスティグリッツ教授がかつて「世界には先進国と発展途上国と日本とアルゼンチンしかない」といった。その意味は、日本は唯一、発展途上国から先進国入りを果たし、アルゼンチンは20世紀のはじめに先進国から発展途上国に転落したからである。今後、日本は過去のアルゼンチンのようになるのだろうか。日本の指導層と国民の慢心が心配である。

   
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