超知能への道 その6 私の超人化計画 - NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん

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超知能への道 その6 私の超人化計画

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「そのために私は何をすれば良いのでしょう」と私は聞いた。

「まず君を超人間にする」とゼウスは言った。

「超人間とはどのようなものですか? 」

「存在するどんな人間よりも知能が高い人間だ。トランスヒューマンとも言う。人間が今までに知り得たことはすべて知っている。人間ができることは、肉体的条件が許す限り、ほぼ何でもできる。筋肉や体格の条件が許さない場合は、外部骨格をつけたりしてそれを補正する。つまり一種のスーパーマンだ」とゼウス。

「映画のスーパーマンのような存在ですか? 」私は聞いた。

「そうだが、しかしスーパーマンと違うところは、あくまでも人間だから、銃弾を弾き飛ばすような事は出来ない。それが必要な場合は非常に強力なボディーアーマーをつけてもらう。それでも人間だから、ピストルに撃たれれば死ぬかもしれない」

「スーパーマンなのに死ぬのは困ります」と私は言った。

「しかし死んでも問題は無い。君の脳内の情報は1分ごとに全てコンピュータにバックアップを取っておく。だから君の肉体が死んでも、精神は不滅だ。その精神をロボットにダウンロードすれば再び君の魂を持ったロボットができるわけだ。それは基本的に君と変わらない。いやむしろロボットだから、ピストルに撃たれて死ぬようなことも無い。本当のスーパーマンが出来上がるわけだ。だから君は安心して死ぬことができる。もしそういうことが起きた場合は、安らかに成仏してくれたまえ」とゼウスは、ありがたいような怖いようなことを言った。

「でもやはり死ぬのはイヤです」と私は言った。

「君に世界の関心が集まり、危険が迫ったらその時はボディーガードをつける。また君自身も護身術を徹底的に練習してもらう。だから多分問題は無いであろう。バックアップをとっておくのは万一のためだ」とゼウスは私を安心させるように言った。

「それなら安心です。で、どのようにして私を超人間にするのですか? 」と私は肝心なことを聞いた。

「君の体の中にナノボットを入れる。その一部は脳内の血管に配置され、ニューロンの電位をモニターして外部に報告する。また外部のデーターを直接ニューロンに送り込む。このようにして君は、キーボードやディスプレーなどの入出力機器、 Googleグラスのようなウェアラブル装置をつけなくても、外部にある我々のコンピュータと直接コミュニケートできる。そのコンピュータは君の脳内にシミュレーション現実の世界を作り上げる。今現在、君は私の形をしたロボットと対話をしている。しかし君の脳内にナノボットを入れれば、外部に物理的なロボットが存在しなくても、君の脳内にはあたかも我々がいるかのごとく見えるので問題は無い。今の我々のようなロボットが3次元空間に実在すると、それを他の人間が発見した場合、厄介なことになる。それを避けるためには、我々はあんまり姿を現したくない。君にナノボットを入れるのが一番良いのだ」とゼウスはレイ・カーツワイルのようなことを言った。

Trancsendent man

「でもそれだけでは、知能が強化されても体は強くならないではありませんか? 」と私は聞いた。

「ナノボットは君の体の構造を作り替えるのだ。筋肉を強化したり、骨格を強化したり、病気を直したり、その他、君の身体を理想的な体に作り替えていく」

「なるほど。でもどうしたら私は賢くなるのですか? 」

「君には徹底的に勉強してもらう。勉強して記憶したり、練習したりして何らかの技術をマスターするということは、脳内のニューロンとニューロンの間のシナプス結合を作り替えることだ。急速に記憶するためには、その結合の変化をナノボットが加速する。技術にはスポーツや芸術など、最終的には筋肉を動かさなければならないものがある。そのためには筋肉の強化が必要だ。それもナノボットが行う。もっとも筋肉の強化は瞬時には行なえない。週や月単位の期間が必要だろう」とゼウスは説明した。

ゼウスは小さなボトルを取り出した。その中にナノボットが入っているという。それを飲めば私の体内にナノボットが入り込むわけだ。しかし私には決心がつかなかった。騙されているかもしれないし、毒かもしれない。私は躊躇していた。

「君が躊躇するのはよくわかる。今すぐ飲めというわけではない。十分に考えて、それでも飲みたいと思えば飲めば良い。時間をやる。しかし我々と君は現在のような形で会うのはあまり望ましくない。お互いに大変だし、他の人間に発覚する可能性もあるからだ。そこで君にこのメガネをやろう。これはGoogleグラスの進化版だと思えば良い。そのツルの中には、君たちの基準で言えば非常に強力なコンピュータが入っている。そのメガネをかけると君の目の前に拡張現実が現れる。そこにビーナスやアテナが現れるのだ。君はこれから下宿に帰って、このメガネをかけるといい。そうすればビーナスかアテナが出てくる。そして彼らとよく話し合ってみることだ。それで君が納得すれば、そのときにナノボットを飲めば良い」とゼウスは言った。

非常に納得のいく提案なので、私はそのメガネを受け取った。その場でメガネをかけてみたが、特に何も現れなかった。下宿に戻ってからもう一度メガネをかけてみろと言われた。マイクもスピーカーもそのメガネに組み込まれていると言う。ビーナスやアテナがメガネの中に現れて、私が彼らと話をすると、外から見ると独り言をブツブツ言っているように見える。だから誰もいないところでするようにと言われた。そこでわれわれはこの歴史的な会談を終えた。ゼウスとビーナス、アテナは粉になって消えていった。バルカンとキューピッドは来たときのように、怪しい家の前まで送ってくれた。そこで彼らも粉になって消えてしまった。私はひとりでもと来た道を戻り、ヘトヘトになって下宿にたどり着いた。

続く

   
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