研究所紹介  

   

活動  

   

情報発信  

   

あいんしゅたいんページ  

   

世界征服計画 その26

詳細

26. 日米中EUの分裂

アメリカの分裂と米帝の成立

アメリカは政府の財政状況がきわめて悪化して、非常に混乱したものになった。それはブッシュ大統領によるイラク侵略、オバマ大統領によるアフガニスタン侵略などが、高くついたからである。リーマンショックもそれに輪をかけた。そのため、アメリカ政府の債務は膨大な額になった。そこに現れたのが茶会派である。彼らはアメリカ政府が財政破綻する方が良いという主張を打ち出し、共和党もそれに乗った。そしてついにアメリカはデフォルトを宣言し、アメリカ国債はクズ同様になった。そのため日本も中国も大きな損失を被った。中国はそのまえに少し売り抜けていたのだが、アメリカのポチである日本政府はそれができずに、100兆円以上の損失を被った。

しかしアメリカも無傷ではいられない。その後のアメリカ国債は信用がないので、さすがに日本も中国もそれを買うことはなく、政府はついに公務員の給料を払えない事態に陥った。ここで様々な意見が噴出して収拾がつかなくなり、ついに2024年、アメリカ合衆国は崩壊して、3つの国に分裂した。そして内戦が始まった。後に新南北戦争と呼ばれることになる戦争である。独立当時の東部13州がアメリカ共和国を宣言して北軍を形成した。カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州とハワイはアメリカ連邦を名乗り中立を宣言した。それ以外の州がテキサスを盟主としてアメリカ帝国となり、南軍を形成した。今度は南軍が北軍に勝利した。そしてアメリカ合衆国の国防省、主な軍備、CIAなどの連邦機関、外国との条約などの大部分を引き継いだのがアメリカ帝国である。略して米帝という。米帝の首都はヒューストン、アメリカ共和国の首都はワシントン、アメリカ連邦の首都はロサンゼルスである。

米帝では、民主党(Democrats)が凋落して官主党(Bureaucrats)になり、共和党は王党(Monarchist)と名前を変えた。官主党のキャッチフレーズは「民より官へ」である。王党のキャッチフレーズは、「大統領制を廃止して、アメリカにも皇帝を」というものである。結局、王党が勝ちを制して、初代の皇帝を選挙で選ぶことになった。

初代皇帝としてはブッチュ氏とかサラ・ペイン女史が名乗りを上げた。しかし女性の政治家として著名であったクリキントン女史が最有力と思われていた。その下馬評を覆す形で、初代皇帝に選ばれたのは、それまでほとんど無名であった日系女性バラコ・オババである。日本名は御馬場薔薇子という。両親が薔薇のように美しい子という願いを込めてつけたそうだ。オババ女史は当時73歳であったので、これも異例であった。

オババ皇帝は早速組閣にとりかかり、副皇帝としてペイン女史、国務長官としてクリキントン女史、国防長官としてバッタ女史を選んだ。ペイン女史はこの中でもっとも若く美人であり、国民的人気は高かったのだが、とりえはそれだけで、頭の中は空っぽであった。副皇帝あたりにしておいて、政治的権限は与えないつもりであった。クリキントン女史はやり手で、選挙期間中オババのことを「オババ、恥を知れ」とののしったので、恨み骨髄ではあるが、ここは度量があるふりをして、要職の国務長官に任命した。いずれ何かの落ち度を見つけて、グアンタナモ刑務所に送ってやろうと密かに考えていた。バッタ女史は行政官として名を上げた人物で、能吏というタイプである。オババから見て、バッタ女史は人畜無害の存在であった。

4人はヒューストンの皇帝官邸、通称ブラックハウスに集まって今後の方針を討議した。米帝の国内方針は民主主義を廃止して、元老院に補佐された皇帝による独裁支配、外交政策としては、世界支配を継続する帝国主義的方針をとることで全員一致した。基本的方針はこの4人で討議して、その結果をオババ大統領が元老院に諮問して、たいていはそのまま承認されることになっている。元老院議員はお金持ちから選ばれた名誉職である。彼らは何がどうなろうが、自分が儲かればよいと言う単純明快な思想の持ち主ばかりである。

アメリカの、後には米帝のCIAやその他の情報機関、研究機関は、猫の爪の、目を見張る急速な発展を注意深くモニターしていた。金を作るのは、一見独立した会社である。しかし、金の流れがどうなっているかは、良く把握できないのだが、どうも一つの目的を持って、アメリカの知らないところで、何事かが進行しているように見える。まず日本にある関西科学研究所の急速な科学的進歩である。それからアジアの発展途上国の急速な発展である。船隊大和が姿を現すにつけ、その謎の行動と目的が米帝の調査機関の関心を引くところとなった。また太平洋の小規模島嶼国家に対する米帝のコントロールが効かなくなり、船隊大和となにやら秘密条約を結んでいるように思われた。特に船隊大和が軍艦などの軍備を持ち始めて、米帝と中国の警戒感は非常に高まった。

日本の政治状況

日本の政治状況はアメリカのそれに影響を受ける。やはり民主党が凋落して官主党になった。自由民主党も不自由官主党と党名を変更した。首相は毎年ころころ変わるので、だれも今年の首相が誰か思い出せないほどである。ひどい場合は3ヶ月で変わった。順不同で言えば、歴代の首相としては林、大泉、不幸田、綿生、鷹山、雁、野口、山江田、後原、枝豆、大沢などがいるが全部は思い出せない。

なぜこんなにコロコロ首相が替わるのかと言えば、一つの理由はマスメディアとくに新聞にある。新聞界も分裂、統合、倒産、改名、新規誕生とさまざまあり、最終的には毎朝、押売、日本不経済、産廃新聞が4大紙を形作っていた。週刊誌では週刊古代、週刊ポテト、週刊初潮、週刊文臭が4大週刊誌であった。これらのメディアは首相を選ぶときになると、特定の人物をそろって推薦する。国民はそれにつられて、その人物が世論調査の第一位になる。そうしてその人物が首相になるやいなや、マスメディアは彼の悪口を言いふらし、今度は引きずり下ろしにかかる。その悪口たるや、漢字を読み間違えた、高いバーに通った、外国人から金をもらった、とくに罪にはならないが金を集めているらしい、なんか怪しい、あまり虫が好かない、何でもいいのである。マスメディアも商売だから、新聞が売れなければ金にならない。それにはニュースが必要だ。スキャンダルが一番だし国民受けする。スキャンダルがない場合は作り出す。検察と一体になって、ありもしない罪を作り出す。そうしておいて、後で検察批判をすることもある。ようするにニュースになれば何でもいいのだ。首相がころころ変わるのもニュースになるのである。しかしその一方で、首相がころころ変わるのは外国の信用をなくすのでいかがなものかという社説も載せる。マスメディアは正義なんかではない。空気を作り出すのである。日本の社会は空気で動いているのである。だから諸外国からの評判はきわめて悪い。こうして日本はGDPや一人あたりGDPを確実に減少させながら、衰退していった。2010年までは世界第2位のGDPを誇っていたのだが、2011年に中国に抜かれ、そして今では8位にまで後退している。

そこに目をつけたのがゼウスである。ゼウスは猫の爪が自由に活動するためには、日本の権力が弱いほどよい。そこで日本の分裂を画策した。関西には関西科学研究所とIT産業をおいたが、それ以外の投資は北海道、東北に集中した。北海道には造船業、宇宙産業を置いた。それらは雇用はほとんどないのだが、税金は地方に落ちる。従って地方自治体は争って猫の爪の投資を誘致した。もちろん猫の爪とは我々の呼び名であり、外から見ると実態はよく分からない色んな資本の集合である。

福島原発市

一番、目を引いたのは福島第一原発を中心として半径30km圏を買い取った資本が出たことである。正確には円形ではなく、放射能汚染が強い北西方向に伸びた領域である。買い取ったのは香港の資本である。もっとも彼らは猫の爪のアバターであるのだが、そのことは誰も知らない。香港資本は先の領域の住人に対して一人あたり平均1千万円で、土地家屋の権利を買いたいと申し出た。猫の爪は学者、メディア、ネットを通して放射能の危険性を十分にあおっていたので、多くの住民はそれに乗った。先祖の土地にどうしても執着する住民には、買い取った後で、安く賃貸するので、住むことも、通うこともかまわないことを保証した。

また東電に対しては、福島第一原発を全部買い取り、1号から4号までの原子炉の廃炉作業を無償で行うこと、さらに無傷の5号と6号の原子炉を1基あたり100億円で買うことを提案した。つまり200億円出すので、福島原発を売れという提案である。これは東電にとっても、政府にとっても願ってもない提案であった。ただし、廃炉の能力に関して疑問が呈されたので、それには関西科学研究所が開発した装置を使用して、デモンストレーションで示した。

装置にはいろいろあるが、ひとつは人型ロボットである。これはもっとも危険な部分の作業を受け持つ。身長は50cm程度から5m程度の大型のものまである。小型は狭いところに潜り込むのに役立ち、大型は重量物の運搬に使う。本来は重機関銃のような大型火器を持たせるのが目的で開発されたのだが、身長の高い大型は敵の標的になりやすく、兵器としての価値は実は低い。しかし重量物の運搬にはもってこいである。

もうひとつはガンダムを小さくしたようなパワードスーツである。外見はスターウオーズの帝国兵のようであるが、内部に人間が入る。人間の筋肉の動きを察知して、その通りに動く。外見は宇宙服のようなもので、空気は濾過するが、それができないほど放射線か強いところでは、酸素ボンベを背負う。宇宙服と違うところは、筋力が強化されていて、少しの力で強力な力となることだ。大きさは人間の身長大のものと、もっと大型のものがある。

エネルギーは外部電源か電池を使う型とガソリンエンジンを使う型がある。外部電源の場合はコードを引きずるので、あまり複雑な場所には入っていけない。電池を使う場合は、力は弱いし、時々は充電しなければならない欠点がある。ガソリンエンジンの場合は、力が強く、どこにでも入っていけるが、水中はダメであるし、やかましい。このパワードスーツは、実は猫の爪が密かに戦闘用に開発したものであり、外部は防弾用の装甲になっている。これらのパワードスーツは工事用にも十分に役に立つのである。それを廃炉作業に使用したのだ。原子炉建屋を一回り大きな仮設の建屋で覆い、そのなかでロボットとパワードスーツが作業する様子がテレビで放映され、多くの国民がそれを注視した。

原子炉の髙線量、低線量の廃棄物は原子炉建屋などから運び出し、地域の周辺部に大きな穴を掘り、埋めた。さらにその上に小山を築いた。汚染地域の土もすべて引き受けた。つまり地域周辺を放射能汚染物の山で囲んだのである。香港資本はこうして原子炉を片付けると同時に、購入した地域の最外周には万里の長城のような壁を設置した。入り口は何カ所かあるのだが、そこには「放射線汚染地域、自己責任でお入り下さい」と書いた巨大な看板を設置して、放射線のマークとどくろのマークを描いた。放射能の脅威は十分に宣伝してあるので、何も知らない人々は、びびって入ってこない。警察も入ってこない。そのためその地域一帯は、一種の治外法権地帯になってしまった。

香港資本はさらに原子炉の近くに巨大な分譲地を作った。一辺4kmもの正方形の地域を碁盤の目のように道路で分割して、その最外周には、北大路、南大路、東大路、西大路を置き、その間に1条から10条までの道路を置いた。つまり平安京か平城京のような作りである。そしてそれぞれのブロックを売りに出した。もっともそこを買おうとする日本人はいないのは当然だ。そこに住んだのは猫の爪のアバターたちや、猫の爪の息のかかった外国人である。中国人が圧倒的に多かった。猫の爪はそこに多国籍企業の本社をたくさん置いた。

そこは後に福島原発市として、人口100万人の大都会になるのである。町には巨大な卒塔婆を思わす奇妙なビルにあふれていた。町中で聞く言葉のほとんどは、アニメ「攻殻機動隊」「イノセンス」の描く未来都市のように、中国語であった。町で毎年行われる大祭は、中国の祭りそのままであった。日本全体が節電で暗く沈んでいる中、福島原発市は有り余る電力を用いて、煌々と輝いていた。そこをたまたま訪れた日本人は、暗い東京との対比に驚くのである。

<町で毎年行われる大祭>

猫の爪は買い取った領域内にたくさんの工場を造った。ロボット、パワードスーツ、アンドロイド、ガイノイドを作るルックス・ソルス社の工場もそこにあった。ミラノの聖堂を思わす巨大な本社は、福島原発市にあった。多くの工場は無人で自動化されていた。それらの無人工場は雇用の役には立たないのだが、福島県に膨大な固定資産税という形で財政的な寄与をした。福島県はその金で、県民を雇うことができるのだ。福島県と福島県民は福島原発市には立ち入らないが、その恩恵は十分に受けていた。

日本分裂・北部同盟の成立

ゼウスのアバターは東北と北海道の知事と住民達に日本からの独立を示唆した。このままでは、税金のかなりの部分が、何もしてくれない中央政府に取られてしまう。独立すれば、税金は全部、その地方に落ちるのですよと。本来なら、日本からの独立などとんでもない話なのだが、日本政府の福島県を含む東北地方に対する冷たさ、中央政府の政治の混乱に嫌気がさしていた、地方の知事や住民達は食指を動かした。いきなり独立はどうかというから、道州制を強力に進める政治キャンペーンを張った。しかし一部の住民は、独立だと騒ぎ立てた。猫の爪はそれをあおった。

時の首相は幸か不幸か、山口県つまり長州出身の不安倍首相であった。不安倍首相は東北地方の独立騒動に対して、警視庁機動隊を送り弾圧した。地方の警察は信用できなかったからだ。それにたいして会津若松を中心とする県民が反発を示した。そして戊申の復讐を叫んで、警視庁機動隊と激しい衝突を繰り広げた。それを見た東北県民は福島県民に同情して、義勇隊を送った。騒ぎはますます大きくなり、北海道民も日本からの独立に傾いていった。福島県の警官の一部は、巡査抜刀隊を組織して、警視庁機動隊と対峙した。もっとも巡査抜刀隊とは、1877年の西南戦争の折に、田原坂で活躍した巡査抜刀隊をまねたもので、実際に刀を持っているわけではない。西南戦争時の巡査抜刀隊は会津出身の士族や、新撰組出身者などもいて、薩摩の士族と、田原坂で激しい白兵戦を行った。そのときの戦闘で、会津出身の巡査は「戊申の復讐」を叫んで、13人を切ったという。田原坂の戦いが西南戦争の帰趨を決めた。警視庁機動隊と会津県民、義勇隊、巡査抜刀隊は会津若松の鶴ヶ丘城の麓で激しく衝突した。会津の子供達まで白虎隊を組織して抵抗した。これが世に言う東北戦争の端緒である。

そこでついに不安倍首相は自衛隊の出動を命じた。東北戦争は西南戦争のほぼ150年後に起きた。北海道には最精鋭の自衛隊が配置されている。この部隊に治安出動を命じたのだが、ゼウスのアバターがこのときを予期して10年以上も前から、自衛隊に浸透していたのだ。そして北海道の自衛隊は不安倍首相の治安出動の命令を拒否したのだ。こうして今回の東北戦争では、政府は敗北した。もっとも死者は0であったのだが。

東北と北海道は日本から独立して北部同盟を結成した。北部同盟の首都は札幌に決められた。北部同盟と日本は互いに独立国であるが、国境管理は緩やかで、それ以前と同様に自由に行き来できた。違いは、北海道、東北で得られた税金はすべて北部同盟の金庫に入ると言うことだ。今や北海道、東北は猫の爪の諸企業の本社や工場があり、税収は豊かで繁栄した。

中国の分裂

日米の分裂騒ぎを見て中国の国民も騒ぎ出した。2015年頃までは中国も順調な発展を遂げた。しかしその中でも矛盾は広がっていった。沿海部の発展と、それ以外の地域の格差は大きくなっていった。地方政府の幹部の腐敗は、秦漢の時代からの中国に特有の現象である。地方の住民は地方幹部の腐敗に激しく抗議して、争乱状態が無数に起きたが、中央政府はそれらを断固として弾圧していた。それでも中国が経済的発展を遂げている間は、アメとムチで人民の不満を押さえつけることに何とか成功していたのだが、2015年頃から中国は長期のスタグフレーションに陥った。それは日本の1990年からの長期停滞と基本的に同じ構造である。中国も一人っ子政策のために、2015年を境として、労働力人口が減少に転じたのも理由であろう。そのためアメとムチのアメの部分が不足するようになった。地方住民の反乱は、ネットの発達とも相まって、中央政府がコントロールできないところまで大きくなった。そしてついに、中国を三分する内戦に発展した。最終的には、昔の三国時代を思わす魏、呉、蜀が成立した。またチベットやウイグルも独立を果たした。政治的に一番有力なのは魏であるが、経済的に有力なのは呉である。蜀は内陸部なので、相変わらず貧しい。

EUの分裂

EUは2010年のギリシャ経済危機から始まり、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの南欧諸国、アイルランドなどが経済危機に陥った。それを独仏それに英国などの欧州の大国が支えていたのだが、独仏英の経済不況ともあいまって国民の不満がたまり、EUからの離脱を主張する政党が力を増してきた。ギリシャなどの被援助国もユーロに加盟していなければ、通貨の切り下げで何とかしのげたのにという思いもあり、ユーロからの離脱を主張する政党が力を増してきた。

またEU内での旧共産圏諸国と西欧の生活レベルの違いから、旧共産圏からの西への労働者の移住という形で、独仏英の労働者との利害衝突が大きくなった。さらにそれにもまして重要なのは、アフリカなどからの移民が爆発的に増えて、それもEUの労働者の職を奪い、犯罪の増加も相まって、移民排斥を言う右翼政党が力を増してきた。あれやこれやの矛盾が爆発したのが、やはり2024年である。そしてついにEUは解体され元の個別の国になり、ユーロも廃止された。

このようにして、世界は大分裂の時代に入ったのである。その中を猫の爪は、外部から見れば、不気味な発展・成長を遂げていた。これに不信感を抱いたのは、米帝のCIAだけではないのだが、行動に移したのは米帝である。

続く

   
© NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん (JEin). All Rights Reserved