2017年08月21日

「あいんしゅたいん」でがんばろう 20

BACK TO SCHOOL

週刊誌NATUREの末尾は何時も求人欄であるが、毎回、2頁のjob関係の記事がフィーチャーされている。2月18日号のこの「記事」はBACK TO SCHOOLである。前号の「記事」がpostDoc応募への成功術であったが、今回は科学者から転身する学校教師、scientists-turned-teachers、の英、独、米での話題である。どこでも良質な理科教師不足と研究者の過剰市場の問題が顕在化してきているようである。大学院やポストドックの経験を踏んだ人材の職場として学校教師を例外的でないものにしようと私は言ってるのでこの「記事」に目がとまった。

この記事は求人広告誌の「読物記事」のようなものなので雑誌を購読してなくても次のインターネットHPで読める。末尾に付けた画像も見てください。

学校教育の行政は独と米では連邦政府ではなく完全に州政府の管轄である。これは教員免許のような資格の重みと関係しているとむかし聞いた記憶もあるが、これら先進国での実情を知りたいものである。日本と似ているのは英国である。

この「記事」で日本に参考になりそうなのは英国の例である。PGCE(post graduate certificate in education)という独自の資格をもうけて、転身する際の支援をする組織と奨励金があるようだ。必ずしも研究者からの転身だけでなく一般的なケースが対象なのだが、各地にTDA(UK Training and Development Agency for Schools )が教員の資格を取る研修をする機関が出来ている。TDAはscience,technology,enginnering,mathで大学出の人から、ポストドック後の研究者、定職にあった中高年の専門家、などを対象にして、一緒に教師用の研修をする様である。ブレア政権登場当時によく言われた「結果の平等から機会の平等へ」というながれの政策なのだと思う。かつての「英国病」に悩まされた英国が、産業構造の変化に伴う職業構成比率の変動を市場にゆだね、各個人の転職のための研修機会を政府が用意するという全般的な政策の一つであるが、近年、応募者が増えているようだ。研修の間には奨励金(給与)が支給され、首尾よく教員としての就職まで結びつくと褒賞金のようなボーナスが頂けるようだ。生計費の違いがあるので金額の比較は難しいが、研修中の給与は年間で9,000ポンド、一回の褒賞金は5,000フラン。教員になると年収40,000ポンドぐらいになり、これは英国でのポストドックの年収よりはいいそうである。

日本の新政権である民主党も野党時代は盛んにブレア政権の第三の道を称賛していたし、政権獲得後の政策もそれを下敷きにしているようなところがある。職業転換の研修コースを用意するのは自公民政権でもさまざまに試みられ、そのためのAgency(独立行政法人や公益法人など)などが増え過ぎたというので民主党は一斉に整理しようとしている。たしかに、少子化で各地域の大学の縮小が余儀なくされているのだか、こういう教員資格への研修事業などはそういう大学の仕事にくり込んでいくのも一考かもしれない。