2017年03月29日

「あいんしゅたいん」でがんばろう 18

「事業仕分け」を機に現代の科学技術が税金で営まれているさまが多くの国民が認識することになったのはいいことであった。その国民の負託を受けてそれに取り組む者の奮発を希望したいものである。この問題については http://scienceportal.jp/ に掲載の「インタビュー」の連載欄「科学技術エンタープライズで雇用拡大を」で語っていますので、ぜひご覧ください。このインタビューを約束したときには少し長いスパンでみた科学技術の変遷についての話ということだったが、実施されたときは第二回目の「事業仕分け」の最中で話題がそっちに行ってしまったものである。

今回のブログの本題はこれまでも何回か触れた理科教育についての話題である。今ごろ教育委員会関係の人に会うと小学・中学の理科の新指導要領の移行措置で大わらわである。2011年度から本格的に変わるのだが、世論に押されて理数は前倒しで「移行措置」を順次始めるとなったのである。NPOあいんしゅたいんでも理科教育の取り組みをいろいろやっているが、その際にも、本体の学校教育での理科教育がどのように変わりつつあるかを認識しておかないと、現実に絡めない。

移行措置の内容的には色々あるがまず顕著な変化は時間増である。小学3年で現行70時間が90時間へ、4年で90が105へ、5,6年で95から105へ、である。中学では最終的に1年で現行105が105へ、2年で105が140へ、3年時で80が140へ、である。中学では実に133パーセントに増える。こうした時間増で減少するのはいわゆる総合的学習である。今度の理科の増強では実験が重視され、様々な機器が増強されるようである。

理科教育の学校教育に密着して企業活動している業界の団体に(社)日本理科教育振興協会というのがあり、そこのHPなどをのぞくと今度の理科教育強化に対応して傘下の企業が様々な実験機器などの製造販売に動き出している様子が分かる。このHPで各学校の購入用に用意しているセットが百万円コース、2百万円コースというように見積もったリストが色々掲載されている。

この文章の最後に一部をコピーしておいたがより詳しいのはHPで見てほしい。こういう値段表を見ると、このブログの第11回でふれた麻生政権末期での理科教材400億円の補正予算の話もよくわかる。実験重視と言っても全国の学校で実行するとなると巨額なお金がかかる。小中高合わせて学校の数は約4万だというから、一校で設備を百万円使えば400億円です。これは物品のお金だが、それを実行する人間の費用もかかる。年俸700万円の人を各校に一人増員するには年間2800億かかる。ちなみに、東大が一年で使う金は2000億、京大が1200億、KEK,天文台、といった研究所が300~400億です。

「事業仕分け」で何でも金がかかることを実感したが、こういう数字をみながら学校教育での理科教育も考えていく必要がある。

 小学校理科教育設備整備リスト《必須コース》        

実験器具名 整備のめやす(数)   合計
(数)
推奨品
の定価
合計
(額)
理科室 学級 グループ ペア 個人 予備
1室 1学級 4名 2名 1名  
第3学年                  
(1)物と重さ(新規)    
  物の重さ比較実験素材     10     2 2 4,500 9,000
  自動上皿はかり     5     2 2 7,600 15,200
(2)風やゴムの働き(新規)    
  送風機     5     2 2 9,800 19,600
第4学年                  
(3)電気の働き  
  光電池         40 2 2 1,700 3,400
(1)人の体のつくりと運動(新規)    
  小型人体骨格模型     5     2 2 2,600 5,200
  人体骨格模型 1           0 80,000 80,000
第5学年                  
(1)物の溶け方    
  電子てんびん     5     2 2 4,700 9,400
(2)動物の誕生  
  顕微鏡     10     2 2 36,800 73,600
第6学年                  
(4)電気の利用  
  手回し発電機       20   2 2 1,800 3,600
  蓄電実験セット       20   2 2 9,500 19,000
(1)人の体とつくりと働き    
  小型人体解剖模型     5     1 1 9,600 9,600
  人体解剖模型 1           0 98,000 98,000
(5)月と太陽  
  太陽光源装置 1           0 48,000 48,000
                    1,272,100