2017年03月30日

「今起こっていることを、わかりやすく伝える!」情報発信チーム立ち上げと、異分野関係者のミキシングによる効果

地震、津波、原発事故とつづく、想定外とも言える事態に、心休まる日がない。関西にいて、これらの影響を直接は受けていない私のところでも、研
究試薬の入手が遅れ、今月中に終わる予定だった、実験やデータ整理の手が止まっている。実のところは、連日のテレビで映し出される被災地や原発のニュースに目を奪われたり、直接の被害のまっただ中にある人達に、今、自分に何が出来るかを考えたりして、手が止まっているようである。

ささやかながら、今、しているのは、私の関連しているメイリングリストに、出来るだけ信頼度の高い情報を流そうとしている。あいんしゅたいん、女
性研究者、高校の同窓生、等、今多少とも信頼度の高い情報が得られるという立場で出来ることの一つかと思っている。もう一つは、坂東さんと「今起こっていることを、わかりやすく伝える!」情報発信チームを、呼びかけ立ち上げたことである。第1回の作業部会には6人があつまり、メールで協力してくれる人も含めて、十数人のチームが出来て、動きつつある。第一段として、3月28日に有用情報リストと、「放射線の影響」:理解を深めるためにを、ホームページにアップした。評価は色々あり、改善の余地もあるが、今は順次、わかりやすいスライドを作って出していくことが重要と考えている。問題点があれば、走りながら改善すればいい!と思っている。

この資料作成の過程で気がついたことがある。放射線障害のスライドを作っていたとき、私の周辺(生物系、特に医療関係者が多い)は、放射線障害な
んて(原発の中は別として)、タバコの方がずっと大きいよ、それに癌の放射線治療では10グレイ位照射することもあるしという。そこで、リスク評価としてタバコのリスクと対比することにした。ところが、まず、坂東さん(素粒子)と松田さん(宇宙物理)に理解をしてもらうのに時間がかかった。二人は何故、放射線とタバコが一緒なのだと言う。医学の世界では当たり前のように書かれている「活性酸素」が出るからと言っても中々理解してもらえない。こちらも突き詰めて聞かれると、言葉もしどろもどろとなる。なんとか、幾つかの資料を読んでもらって理解してもらった。最近はがんも、動脈硬化も、加齢の影響も活性酸素(ラジカル)の影響と医学の周辺では当たり前の様に言われているが、物理の世界では、当たり前ではないと初めて知った。

また、放射線の影響のところで、私は、低容量の放射線の直接的影響より、心配して鬱状態になったり、パニックになって免疫機能が低下したりする方がよっぽど影響が大きいと思っていると思っていた。これについても、松田さんは何故という。そこで、笑いと免疫機能についての実験や、化粧療法をしたときの経験を話した。更には、昔、私が京大でネズミの世話をしていたときに、ネズミのケージに入っていた蛇に出くわした話までした。「ジー」、とわたしの顔をみている、おなかがぽこっと膨れてとぐろをまいている蛇と目があったときは、本当にひやっーとした。私はインターフェロン産生能という、感染した時に出てくる生理活性物質を作る免疫力を長年にわたって測定しているが、
その最低値は、この蛇に出くわした1時間後に測定した値で、この25年間その時の値は破られていない話までした。実際私は多くのヒトの免疫機能を測ってきたが、自然免疫機構(非特的免疫機構)あるいは初期免疫と言われている部分は、常に私たちの身体を色々な感染や、発癌から守っているシステムであるが、以外と加齢の影響はすくなく、一方、ストレスなどの影響を受けやすいのである。慢性的なストレスがつづくと、免疫機能の低下をもたらし、感染症にもかかりやすくなるし、がんの発症リスクも高くなるのである。

ということで、異分野の専門家達との交流は、これまで、自分たちの世界では当たり前のように思って、幾つかの講演会で話をしてきたが、実は、話の半分も伝わっていたのではないかと、反省したしだいである。分野違いの皆様の、意見を聞きながら、わかりやすい資料をと、考える今日この頃である。