2017年05月27日

第69回:「ソーシャルメディアによる新しい情報発信の形」by 森祥寛

過去2回、iPadについて書いてきたが、今回はどうしようかと考えこんでしまった。
実はiPadでも書くべきタネはあるのだが・・・例えば、「ペーパーレス会議について」とか、「自炊をやってみた」とか・・・、少し目色を変えてみようと思い立った。

さて、皆さんもmixi、Facebook、USTREAM、ニコニコ動画、Twitter等の言葉を聞いたことがあるだろう。
何を今更とは言わないで欲しい。
知っている人にとっては当たり前でも、知らない人にとっては・・・ということは良くあるのだ。

先に挙げたのは、サービスの名称ではなく、サービスを提供している会社又はサイトの名称である。
サービスとしては、ブログ、ミニブログ、SNS、動画共有サービスと言うことになるだろうか。
これらを総称して、ソーシャルメディアという。

では、ソーシャルメディアのポイントは何であろうか。
端的に言えば、これまで情報を受け取るだけの、謂わばコンテンツ消費者であった者を、コンテンツ生産者にすることにある。
これは、情報発信技術が誰もが参加できる形になったこと、それを用いて情報?を発信することで、発信者同士が(意図するしないにかかわらず)相互に連携し、知識や情報を大衆化できるようになったことの2点によるところが大きい。
そう、ソーシャルメディアによって、これまではマスメディアのみが握っていた、情報発信という特権を、全てのものが持つことができるようになったのだ。

最近、私が面白いと思い、積極的にその活用を検討しているソーシャルメディアに、「USTREAM」がある。
これは、基本的にはただの動画配信サービスである。
ただし、動画配信のための各種操作及びデータの取扱いを、全てブラウザ上で行えるようにした点、Web上のサービスとした点が画期的といえる。
ユーザーが準備すべきはインターネットと、インターネットに接続可能なパソコン、カメラとマイクのみで良いのだ。

・・・こう書くとこれまでと何が違うと言われそうだが、準備すべきパソコンやカメラ、マイクは、必ずしも高価なものである必要が無いのだ。
パソコンは、今現在所持しているもの、カメラは2千円くらいで買ってきたWebカメラ。マイクも千円くらいのもの。
これで十分世界中に動画の配信ができるのである。
(ちなみに、iPhoneを持っているのであれば、それだけで配信可能である。)
動画配信のための知識は必要ない。
動画ファイルを保存しておく場所も必要ない。
それどころか撮影したい場所に、予めインターネットとパソコンとカメラとマイクがあれば、機材すら持っている必要がないのだ。
当然、その分、画像の質や編集作業の融通の効き方という点では劣ってくるが、その点を差し引いても十分な機能をもっている。
特筆すべきは、配信画面の隣にTwitterの書込と閲覧の画面があり、配信者と視聴者(複数)の間で、リアルタイムに遣り取りをしながらの配信が可能なのだ。

このTwitterとの連携によって、その場で配信内容についての感想や要望を配信者及び視聴者全員に伝えることができ、配信者はそれらを見ながら配信内容に適宜、手を加え、必要に応じて配信動画の中で返信していくていくことが可能なのだ。
これは、イメージとしては、ラジオ放送に近い。
あるラジオ番組に対してはがきやファックスで送っていた要望うや音楽のリクエストを、その番組のパーソナリティが読み上げ、それに答えていたというようなことをリアルタイムで行い、さらに実際にどんな要望や意見が来ているのかを視聴者全員で共有もできるのだ。

実はこれが・・・非常に面白い。

USTREAMの画面の向こう側で話をしている配信者。その様子を見ているだけであれば、テレビ放送を視聴しているのと何ら変わりは無い。
何もしなければ、テレビの画面が、パソコンの画面に変わっているだけということになる。
しかしここにTwitterが入り、配信動画を見ながら感想や意見、要望などを書き込んでいくと、そのあり方は大きく変わってくるのである。
Twitterに書き込まれた内容を配信者が読み上げたり、それを踏まえた上で配信内容を変えたりすることが、ただ視聴しているという状態から、配信に参加し、その配信自体を一緒に作っているという気分に変えてくれるのだ。

例えば、毎週夕方6時ごろから配信されている「ほぼ六時だよ水ピン集合」という番組がある。
※USTREAMでは、動画配信する場所を「番組」という名称のWebページ(区切り)で設け、その中で、自由に配信開始、停止を行うことができる。
これは「ファミ通DS+Wii」という月刊のゲーム雑誌の編集長 水間勇一氏(通称水ピン)が社内の自分の席から、平日の夕方6時頃から毎日、ゲームに関連することについて配信している番組である。
番組は、曜日毎にある程度のコンテンツが定まっており、それを踏まえた内容の配信をして行くのだが、詳細な台本を作っているわけではないので、内容自体は行き当たりばったりという感じである。
テレビやラジオ等の放送では許されないであろう配信が、このUSTREAMでは、それが楽しいと好意的に受け入れられているのだ。
全世界への配信だからと言って、肩肘張らずに行うことができる気軽さ、それをこの番組は端的に示しているであろう。

研究者は、論文という形で、専門家間の情報発信を第一義に行うことを求められている。
同時に研究している内容を社会に対して分かりやすく発信する必要もある。
また教育と言う観点からも、様々な情報を発信していかなくてはならないだろう。

そうしたときに、このUSTREAMは非常に強力な情報発信手段になると期待できる。
動画という情報を非常に分かりやすく伝えられる手段を、気軽に利用できるというのは大変なことである。
特に「配信の準備や手間がほとんどかからない」「パソコンの操作にあまり詳しくなくても配信ができる」といったことは、利用者の裾野を広げるのにも役にたつであろう。

今後、私自身の研究活動や教育に、どのようにUSTREAMを活用できるかを色々と考えてみたいと思っている。
面白い使い方や役にたつ利用方法が見つかった場合は、また報告させていただきたい。