2017年03月27日

第61回:「デジタル教科書導入の動きと大学におけるICT教育」by 鈴木

ipadの発売を契機に、電子出版ブームが始まりそうです。

教育分野でも、小中高の教育で電子教材の活用を図ろうと政府の方も考えてきています。昨年12月には、原口総務大臣から協働型教育改革として、「デジタル教科書を全ての小中学校全生徒に配備(2015年)」、「フューチャースクールの全国展開を完了(2020年)」が発表されました(関連記事)。

もしも予定通り進むとすると、小学校700万名、中学校300万名合わせて1000万名の生徒がデジタル教科書を持つことになります。フューチャースクールとは、教育現場で使われるデジタル教材やナレッジデータベースを「教育クラウド」を介して全国に提供することにより、ICT機器を活用して、お互いが教え合い、学び合う「協働教育」構想です。

今年度の総務省予算で、「ICTによる教育改革(協働教育システムの実現)を推進するため、フューチャースクール推進事業を、文部科学省と連携して実施」するとして10億円が新規に盛り込まれています。また、文部科学省では、4月22日、第一回の「学校教育の情報化に関する懇談会」を開催しました。本懇談会での懇談事項としては、
(1)授業におけるICTの活用について(デジタル教科書・教材、情報端末・デジタル機器、学校・教員等の在り方を含む)
(2)ICTを活用した校務支援について
(3)ICTの活用に関する教員へのサポート等についてなどが対象となっています。

また、政府のIT戦略本部も、2010年3月19日新IT戦略「新たな情報通信技術戦略の骨子(案)」を公表し、その中でもデジタル教科書について触れています。民間でも、政府の動きに呼応して、「デジタル教科書協議会」が発足しています。

これらの構想が、どのくらい現実化するかは、大学でのICT教育へのこれまでの10年間ほどの歩みを見ても簡単ではないことがわかります。デジタル教科書を作成し配布をすることは、政府が予算的措置を取り、民間が協力すれば可能でしょう。子供たちも、すぐに慣れて取り組めるでしょう。
一番問題は、現場の教員が使いこなせるまでには、相当時間がかかるという点です。意識改革と技術の習得の両面で大変な努力が必要だと思えます。

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校現場ではいまだにそうなっていないという遅れた状況でした。ICTを活用した教育の効果的な進め方の研究をもっと進めるとともに、それらの研究成果を現場の教員に届け、現場で活用していけるようにするには、政府民間を含めた全国的な取り組みが必要だと思います。 
しかし、構想通り、小中で本格的にデジタル教科書が採用されたら、8年後には、ICT教育が常識となっている子供たちが大学に入学してきます。大学へのICT教育の導入も待ったなしではないでしょうか?