2017年07月24日

第55回:「サイエンスニュース裏話」by 青山

「びっぐば~~~ん,びっぐばー~~~♪」と,どこか遠い所から歌声が聞こえてくる.歌そのものはサイエンスニュースの「ビバ!フィジクス」だが,とてもうまいとは言えない男の声だ,確かにはて,ここはどこだろうか?

ねむけ眼で辺りを見回すと,ここはいつもの整骨院.脛骨を痛めて首をひねると肩から背中に痛みが走るので,しばらく通ってきている.ベッドに横たわって電気治療の途中に眠ってしまったようだ.唄っているのは柔道出身で筋骨隆々の院長.これから厳してよく効くマッサージが始まる.

院長
「アッキーさん,電気が結構きつくかかっていたのに寝てましたね.お疲れですか?」

「うん,いつものようにね(泣).それより,『ビバ!フィジクス』を見てくれたんですね.」
院長
「ええ,『びっぐば~~~ん♪』てね.」

「あはは,分かった,分かった.恥ずかしいからもういいって.あ,でも恥ずかしいのは歌詞だけ(笑)で,作曲とperformance, graphics はピカ一だけど.」

院長
「あの,第50回放送(http://sciencenews.jp/index50.html)のイタリアの人や藤原さんの経済物理学の話は頷けましたね.まさに代表的エージェントなんてナンセンスだと,私も思います.」

「おお,よく言ってくれましたね.そう聞いて安心しましたよ.」
院長「私のところのような小さな整骨院から超巨大企業まで,実に多様な経済主体で,この国の経済が構成されていることはよ~~く,私には分かってます.ですから,国の経済の動向をごく少ない変数を持つ代表主体で表すのはダメなんて,言われなくても当然のことですよ.」

「そうそう.『事件は会議室で起こっているのではない』だっけ?その通りですよね~.」
院長
「物理屋さんが経済学の人と一緒になって,多種多様な経済主体の統計物理学をするっていうのは,有望ですね.がんがん進めてください.」

「ええ,がんがん.あ,そこイタターーー(痛泣)!」
院長
「はいはい,我慢して.このところをよくほぐしておくと,早く良くなりますから.」

「うう~~~~.」(痛くて声も出ず.)

院長
「あのマウロさんと言いましたっけ?車イスで大変そうですね.」

「ぜーぜー...(ちょっと一息ついて).ああ,そうそうそう.京都での宿泊も,藤原さんが随分調べたのだけど,サイエンスニュースにあるホテル日航プリンセス京都しかまともに車イスに対応してくれなかったんですよ.」
院長
「そうなんですか?京都には外資系も含めて数多く立派なホテルがあるのに.」

「車イス利用者が使えるバスルームが問題でね.このプリンセスホテルはバスルームのドアが外せるし,風呂場にはスノコを敷き詰めて,手で這ってバスタブに出入りできるようにできます.私が藤原さんと下見に行ったときにもわざわざそれを設置して丁寧に説明してくれましたよ.実に行きとどいていました.それに比べて,JRの対応はひどくてね.彼には東大や日銀で講演してもらったんだけど,東京との往復にはわざわざ飛行機を利用したくらいです.」
院長
「オープニングでは車に乗ってましたよね?」

「ええ,あれは車イス対応のリフトが付いた私のミニバンですよ.役に立ちました.マウロさんは体格がいいのでちょっと狭すぎましたけど.」
院長
「そうですね,あのシーンでyは窮屈そうに首を曲げてしゃべっていましたね.」

「ああ,あれは学問の話ではなく,実はオペラ談義をしていたんです.今度彼の所,イタリアのアンコーナという街なんですけど,そこに行ったときに彼に地元のオペラハウスに連れて行ってもらうことになりました.いつの日のことか分からないけど.(遠い目)」
院長
「いいですね~.では今日はこのくらいにしましょう.十分揉んだので,じきに首もよくなるでしょう.アッキーさんは厳しい毎日のようだけど,また時間を見つけて来てください.」

「ありがとう.ではまた」