2017年03月24日

第27回:「法則探偵あいんしゅたいん」by 保田

今、僕のお気に入りのテレビ番組のひとつが、NHK BSで放映されている「名曲探偵アマデウス」です。

誰もが知っているクラシックの名曲を取り上げ、時に音楽理論から、時に歴史背景から、時に心理面から、名曲の裏に隠された「秘密」を多面的に明らかにしていく番組です。素晴らしい調査・脚本と解説者のおかげで、毎回あっと言う間の45分です。

先日のホルストの「惑星」の回では、木星の冒頭部分の解説が印象的でした。

複数のストリングス・パートが重なりあって響きあうこの有名な冒頭部を聴けば、誰もが宇宙の壮大さ、神秘さを感じると思います。(うろ覚えの方は、例えば この演奏をお聞きください!)

こんな複雑で緻密な音楽をどうやって創ったのだろう?ホルストの神業だ!と長らく僕も思っていました。

しかし、この一見(一聴?)複雑に思える冒頭部、各楽器パートに分解すれば「ラドレ」「ミソラ」をひたすら繰り返す、たった2つのシンプルな旋律からできているのだそうです。

もちろん少し仕掛けがあって、各パートの開始が半小節ずつずれている。これによって、毎回音の組み合わせが変わり、あの「複雑で緻密」「壮大で神秘的」な響きが生まれている、と言うことです。

パート1A             ラドレラドレラドレラドレ……
パート1B         ミソラミソラミソラミソラミソラミ……
パート2A     ラドレラドレラドレラドレラドレラドレラド……
パート2B ミソラミソラミソラミソラミソラミソラミソラミソラ……


このような解説の後に、あらためて木星の冒頭部を聴くと、同じ音楽がより深く、より明瞭に感じられ、音楽がさらに好きになっていきます。それはとても心地良い体験です。
これが、また次もこの番組を見ようと思ってしまう「秘密」なのでしょう。

科学や理科も、この「名曲探偵アマデウス」のように伝えることができたらなあ、と思います。

教科書に載っている現象や数式や法則を表面的に教えるだけではなく、その裏に隠された「秘密」を明らかにする… それは何からできているのか、何が新しかったのか、なぜそこにたどりついたのか、どこがすごいのか等を、科学、歴史、人物など多面的に見ることで、より深い理解につながり、またその先を知りたくなるのではないでしょうか。

理解することでより科学が好きになる心地よい体験を、少しでも多くの人に味わってほしいものです。

映像を作っている身として、そんな「科学の伝道師」のような作品を、いつか作りたいものです。

番組タイトルは「法則探偵あいんしゅたいん」なんて、どうでしょう?主演は坂東昌子さん、出演はあいんしゅたいんの会員で…!?

NPO法人・知的人材ネットワークあいんしゅたいん理事、 株式会社ズームス(XOOMS)代表 保田充彦


【ホルスト「惑星」第4曲「木星」冒頭部の楽譜】