2017年03月24日

第9回:「出町柳」by 今井

はじめまして。監事をおおせつかった今井憲一です。京都大学理学研究科物理学教室に勤務しています。
専門は原子核・ハドロン物理学の実験的研究です。坂東昌子理事長とは京都大学物理学教室で同僚だった時期もあるのですが、学生時代に教えを受けて以来頭があがりません。理学研究科で高大連携や教職関係のことを担当してきたこともあるので、少しは“あいんしゅたいん”のお役にたてればと思います。

桜が見ごろになりましたね。京都には桜の名所が多いですが、私は出町柳から植物園あるいは上賀茂神社までの鴨川沿いの桜の下の散歩が好きで、時間がゆるせば毎年行きます。狭い京都ですが、川が以外にひろく開放感があっていかにも春という感じがするのです。

私はダブルハイパー原子核という通常の原子核とはまったく異なる原子核を探してきました。坂東理事長のなくなったご主人である坂東弘治さんが1980年代に予言され、命名されたラムファという陽子2個中性子2個ラムダ粒子2個からなる原子核を、9年前に発見できたことは私の研究人生のなかでも特記すべき出来事です。このダブルハイパー原子核は、原子核乾板といって写真のフィルムを厚くしたものに写っ ています。これらの“フィルム”の画像データはこの新しい原子核を探すという意味では世界で唯一のものです。このデータのなかからまだまだ新しいダブルハ イパー原子核発見の可能性があります。そこで常見俊直さんという人材をえてデータをネットで公開することにし、高等学校へも出前授業に行き、そしていまJSTの理科教育に関係した委託事業の一部として取り組んでいます。

ところで発見した事象には名前をつけています。実は“出町柳”は早くにみつけたダブルハイパー原子核候補の事象の名前なのです。論文にもかかれていますし、引用もされています。次に見つかればなんという名前をつけようかと思案していますが、なによりも高校生や一般の方が、新しい原子核を発見するということがあれば素晴らしいなと思っております。