2017年06月24日

放射線Q&A ー 等価線量とは

放射線Q&A ー 人体への影響 - 1. 確定的影響(非確率的影響)」からの続き

「いよいよ等価線量の登場ですね。等価線量というのはどういうものなんですか?」
「等価線量というのは、先ほど説明した弾丸の例がありますね。あれと関係します。まず、ある基準となる放射線(コバルト60から放出されるガンマ線を基準とすることが多いです)による活性酸素の生成量を1とした場合、他の放射線による活性酸素の生成量が何倍なのか?という値を表したものを放射線加重係数と呼びます(厳密には少々異なりますが、分かり易く話を簡略化しています)。」
 
「えーっと・・・。そうすると例えばアルファ線がやってきた場合、ガンマ線1発に比べてアルファ線1発がどれくらい活性酸素をたくさん作るかが問題ですね。」
「そうです、アルファ線はガンマ線に対して大変大きな弾丸なのです。ですから同じ1発でも、その威力は全然違います。」
   
「ということは放射線加重係数が大きいってことですか?」
「そうですね20ですので、桁が違ってくるのです。」
   
「そうなんですか!放射線の種類によってずいぶんその影響が違うんですね!他の放射線はどれくらい違うのでしょう?」
「よく出てくる放射線の種類の放射線加重係数の表を紹介しておきましょう。」
  <原子力教育支援情報提供サイト「あとみん」より>
blog70
「この表から、等価線量を出してみたいですね。」
「ではやってみましょう。吸収線量に放射線加重係数を掛けることによって、等価線量が出てきます。この段階で単位はグレイからシーベルトに変わります。例えば、ガンマ線やベータ線は放射線加重係数が1ですが、アルファ線は20です。ということは、毎時0.5μGyの放射線を浴びる場所に1時間いたとすると、その放射線の種類がベータ線やガンマ線だった場合

0.5μGy × 1 = 0.5μSv

ということになります。そしてアルファ線だった場合は

0.5μGy × 20 = 10μSv

ということになります。これを等価線量と呼びます。
等価線量は放射線の種類によって活性酸素がどれだけ作られ易いのかを表わしているわけだから、等価線量係数は放射線の種類によって人体が受ける影響の違いを表わしていると言えるわけです。」
   
「ということは、浴びた等価線量が大きければ大きいほど、放射線によって活性酸素が生成されることで、細胞内のDNAが傷つけられている頻度が高くなっていくわけですね。」
「まさにそういうことです。そしてDNA損傷の頻度が高くなる、つまり浴びる放射線の量が多くなればなるほど、細胞が死ぬ頻度も高くなります。それはすなわち、ある量を超えた時に、周囲の細胞分裂によって損失分を補てん出来なくなるということに繋がります。これが確定的影響に対して閾値が存在する理由です。
また、吸収線量に放射線加重係数を掛けて等価線量とすることには、他にもメリットがあります。放射線の種類如何に関わらず、浴びると考えられる線量を、加重係数を用いてそのまま足し合わせられるというメリットです。その場に居る(もしくはある程度の汚染食品を摂取する)ことによって、どれだけのダメージを受けるのかを見積もることが単一の量で出来るので、容易に防護指針を立て易くなります。つまりは防護量として簡易になり便利になる、というメリットです」


(文責:伊藤英男・廣田誠子・坂東昌子)