2017年11月24日

放射線Q&A ー 放射線被ばくの影響・・・グレイ・シーベルト 受ける方 - 今何が問題か? ヨウ素・ストロンチウム・セシウム

放射線Q&A ー 放射能の強さ・・・ベクレル 投げる方」からの続き

放射線を浴びたときにどのような量で測るのか

「内部被ばくの計算が色々なところで出ているのですが、公的機関で発表されているものも含めてマチマチですね。いったいどれを信用すればいいのかみんな困っています。」
「私は、次の原則で判断することにしています。その基準は
  1.国際機関が発行しているものを信用する
  2.信用出来る科学者が書いている専門書を信用する
です。
ブログ等に書かれているものは、例え書いている人が自称放射線被ばく医療のプロであっても信用しないことにしました。ブルーバックス等の本も裏を取らずに信用するのは危険と判断しました。」

 

「そうですね。今のような混乱を起こしているときは、その方針は正しいですよね。でも、次々と新しいことが分かってくるような分野では、ちょっと前に正しいと思っていたことも、訂正が必要になってくるのではないでしょうか?例えば、信頼できるものの一つはICRPの基本勧告で、色々なところで基準の引き合いに出されていますが、1990年勧告と2007年勧告と2つあるようです。これらは年代もだいぶずれていますし、ずいぶん違っているのではないでしょうか?」
「それが、もう一つの重要なことです。ですので、過去の勧告はどうしても歴史的な経緯を明確にするとき以外は使うべきではありません。数値だけではなく、考え方も変わっていますので、基本勧告の最新版である2007年の勧告を参考にすべきです。」
   
「ということは、基本的には2007年以前に発行された本は、鵜呑みしてはいけないということでしょうか?」
「そうです。ずいぶん更新されていますからね。」
   
「わかりました。それでは一つずつ、お伺いしていくことにしますのでよろしくお願いします。」

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放射線Q&A ー 放射能の強さ・・・ベクレル 投げる方」からの続き

放射線を浴びたときにどのような量で測るのか

「内部被ばくの計算が色々なところで出ているのですが、公的機関で発表されているものも含めてマチマチですね。いったいどれを信用すればいいのかみんな困っています。」
「私は、次の原則で判断することにしています。その基準は
  1.国際機関が発行しているものを信用する
  2.信用出来る科学者が書いている専門書を信用する
です。
ブログ等に書かれているものは、例え書いている人が自称放射線被ばく医療のプロであっても信用しないことにしました。ブルーバックス等の本も裏を取らずに信用するのは危険と判断しました。」

 

「そうですね。今のような混乱を起こしているときは、その方針は正しいですよね。でも、次々と新しいことが分かってくるような分野では、ちょっと前に正しいと思っていたことも、訂正が必要になってくるのではないでしょうか?例えば、信頼できるものの一つはICRPの基本勧告で、色々なところで基準の引き合いに出されていますが、1990年勧告と2007年勧告と2つあるようです。これらは年代もだいぶずれていますし、ずいぶん違っているのではないでしょうか?」
「それが、もう一つの重要なことです。ですので、過去の勧告はどうしても歴史的な経緯を明確にするとき以外は使うべきではありません。数値だけではなく、考え方も変わっていますので、基本勧告の最新版である2007年の勧告を参考にすべきです。」
   
「ということは、基本的には2007年以前に発行された本は、鵜呑みしてはいけないということでしょうか?」
「そうです。ずいぶん更新されていますからね。」
   
「わかりました。それでは一つずつ、お伺いしていくことにしますのでよろしくお願いします。」

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吸収線量 グレイ

吸収線量 グレイ

「それでは、よろしくお願いします。まず、実効線量と等価線量がどのように違うかから説明してもらえますか?」
「その前に、(主観が排除されているという意味で)もっと物理的にきちんと定められた量、すなわち、吸収線量から説明しましょう。これは「グレイ(Gy)」という単位を用いて表されます。吸収線量は、物質(人体含む)にどれだけの量の放射線が吸収されたかを表す量です。」
   
「えーっと・・・ ふつう人や物に放射線があたると、放射線というのは勢いが強い(エネルギーが大きい)から、内部に侵入してきますよね。でもどこまでも貫通していくわけではないですよね?」
「その通りです。鉄砲の弾を物質に向かって撃った場合を考えてみてください。
弾は物質の中で周りと擦れて、少しずつ遅くなっていきます。物体の厚さが十分に厚いと貫通せずに止まりますよね。その時、弾が持っていた勢いは(エネルギー)、弾が通ってきた道のりに沿って、ちょっとずつ物質中に撒き散らされます。通った箇所が摩擦熱で熱くなるのは、エネルギーが熱という形で物質中に撒き散らされた証拠なのです。放射線も同様だったりします。
そして実は、放射線が物質や人間の中を通っていく時にどの程度影響を与えるかは、物質中にどのくらいのエネルギーが巻き散らされるかで決まることが分かっています。
1kgあたりの物質(人間も含めて)中を放射線が通った時に、どれくらいのエネルギーが撒き散らされたかを表している数値の単位がグレイなのです。グレイという単位は、ジュール/キログラム(J/kg)の別名で、1グレイは物質1kgあたりに1ジュールのエネルギーを撒き散らした場合と覚えてください。
ちなみに、1ジュールは標準大気圧(1気圧)で20°Cの水1グラムを約0.24°C上昇させることが出来るエネルギーに相当します。」

人体への影響

人体への影響

「なるほど。物質中にエネルギーがどれだけ撒き散らされたかで、大体影響がどれくらいなのかはわかりそうですね。そうすると、放射線を物質に照射しても人間に照射しても、撒き散らされたエネルギーが同じなら吸収線量は同じ数値になりますよね?」
「そういうことです。人体に入ろうと、物質の中に入ろうと、放射線はあたりにエネルギーを撒き散らして、それによってその周りが影響を受けるわけです。ただ、その影響の受け方は、物質の場合と人体の場合とでは違います。」
   
「人体の場合はどういうことが起こるのでしょうか?」
「はい、人間の体の中は、鉄などの他の固形物質とは異なり、主に水で構成されています。だから、人間に放射線が当たるということは、水に放射線があたる、と考えていい。水の中を放射線が通過すると、撒き散らされたエネルギーが周りの水分子を活性化します。
どういうことかというと、放射線によって水分子が引きちぎられて、原子(水分子は3つの原子が集まって出来ています)の周りを回っている電子が剥ぎ取られたりぶっ飛んだりするのです。これを「電離」といいます。
このときに人体(というか生体)にとって特有の問題が起こります。水の電離した箇所は化学反応を起こしやすくなってしまうので、生体にとって最も重要なDNAの鎖を切断してしまうのです(DNAも原子の集まりで、一種の巨大分子です。電離した部分を持つ水分子の破片は、剥ぎ取られて足りなくなった電子を、近くにあるDNA分子から奪ってしまってこのようなことが起こります)。」
   
「そうすると、人間とか動物の場合は、どのくらい電離を引き起こすのかが問題になるのでしょうか?」
「そうですね。生体へのほとんどの影響は、電離作用によってDNAの切断が起こることが原因です。そしてその問題を起こす活性化された水分子は、よく色々なところで名前を聞く「活性酸素」だったりします。」
   
「活性酸素が原因なんですか?放射線はもっと直接的にDNAを切断するから怖いのかと思っていました。」
「医学の分野では、活性酸素(もっと学術的な言葉を使うと、フリーラジカル)と呼ばれています。活性酸素とはつまり、酸素が「他の物質にアタックして化学反応を起こしやすい活発な状態」であることです。酸素はそもそも、とても化学反応を起こしやすい元素です。そのような性質を持っている酸素をうまく利用したのが動物なんですね。
まあ、この話はまた別にすることにして、ここでは、低い放射線量での被曝の影響の話をしましょう。放射線損傷の中で最も重要なのは、ゲノムDNA の「二重鎖切断」だということをお話します。DNAは二重鎖と呼ばれる構造を持っています。二本の鎖が、らせん状により合わさって、太い一本の紐になっているんですね。そう、こよりを二本持ってきて、左に捻って一本にまとめた感じです。二本の鎖は同じ情報を持っていて、一方がもう一方の鋳型になっているような関係です。「二重鎖切断」とは二本の鎖が二本とも切断されてしまうことを言います。このように切断されると、まるで暗号が書かれた紙が破られて、どこがつながっていたのか分からない状態になり、きちんと元に戻せなくなります。そうなるとそのDNAから生命の設計図が読み取れなくなってしまいます。
二本の鎖のうち一本だけ切断されたものは「一重鎖切断」、英語でSSB(Single strand break)と呼びます。両方とも切断されるのが「二重鎖切断」で、DSB(Double strand break)といいます。どちらの場合が起こっても、人体は修復機能を持っているので、修復しようとします。特にSSBはまだ片方の情報がしっかりあるので、これを鋳型にしてほとんど100%修復されてしまいます。しかし、DSBの場合は、情報のお手本がなくなってしまった状態ので、ちょっと厄介です。場合によって修復しきれずは異常な設計図になってしまうこともあります。」
   
「じゃあDSBが起これば、異常な設計図に従って増殖する細胞が出てきて、それが人体に様々な影響を与えるということですか。」
「ところが、DSBに対しても、人体は結構な修復能力を持っていることが、ここ20年ぐらいの間にずいぶん分かってきました。このお話は、2011年7月3日に行われた講演会(「放射線は怖いか」 注:この報告は、近いうちにホームページに掲載予定です)の主なテーマでした。」
   
「分かりました。とにかく、放射線を受けたときに人体が受ける影響は、放射線が体内に与えるエネルギーからくること、この数値の単位がグレイだということですね。そして、その受けたエネルギーが、体の中で電離作用として働き、そこにできた活性酸素がDNAの鎖を切断すると遺伝情報が狂ってくるのだ、ということですね?」
「そうです。ここまでは、放射線が人体へ与えたエネルギーの総量にのみ関係する話ですから、これに関しては、あいまいさはありません。放射線被ばくに関して、科学的に極めてよく理解されている部分です。問題は、受けたDNA損傷によってどの程度の有害な影響が人体に出るのか、ということです。そこで登場するのが等価線量や実効線量という概念なのです。しかし、等価線量や実効線量への変換がまたややこしいわけです。」

今何が問題か? ヨウ素・ストロンチウム・セシウム

今何が問題か? ヨウ素・ストロンチウム・セシウム

「本論に入る前に、やっぱり、どういう被害を受けるかを少し整理しておきたいのですが。例えばヨウ素131の場合だと、物理的半減期が短いので原発事故の初期に被ばくした時だけが、被害が大きいのですよね(物理的半減期が8日なので、ヨウ素131は2ヶ月もすればほとんど無くなっている)?そして摂取してしまったヨウ素131は、体内で甲状腺に集まりやすいから、全身均一的に被ばくするというよりは部分的な被ばくになるのですよね?」
「まさにその通りです。ですので、どのような量で考えて防護のための基準値を決めるかは、どういう放射性物質を問題にしているかで違ってくるのです。例えばヨウ素131の場合は、部分的な被ばくを起こすので制限値は部分的に放射線を浴びたことと同じ効果を持っているのでそれに応じた線量を使う方がいいのです。つまり、等価線量で与える方が適当だと考えられています。」
   
「でも、体の中に放射性物質が入った時にどれくらいのダメージを受けるかは、体全体に浴びた場合の線量、つまり実効線量とかで言って貰った方が想像がつきます。なんだかまだすっきりしないですが、どういう放射性物質の時に実効線量を使うのか、どういうときは等価線量を使うのか、を知るには、どの核種がどういう放射線の影響を与えるのか、それをまず知る必要があるのでしょうか?」
「そうですね。では、たとえばヨウ素131の場合は、甲状腺以外には溜まらないで、甲状腺に集まろうとします。それは、甲状腺が成長ホルモンを作る際、材料としてヨウ素を必要とするからです。そして、成長のさなかにある子どもの場合はたくさんの成長ホルモンが必要です。つまり子どもの甲状腺は、たくさんのヨウ素を必要としているわけです。しかし、人体はヨウ素が放射性であるか否かを区別することはありません。放射線を出すものであろうとなかろうと、人体にとってはどちらも「ヨウ素」なのです。」
   
「それで子供には、ヨウ素131が危険だということですね。実際、チェルノブイリでも、甲状腺がんの発症は明らかな放射線障害として確認されていますよね。やっぱりヨウ素131は注意した方がいいですね。」
「それはそうなのですが、十分にヨウ素が取り込まれていると、ヨウ素131が入って来ても「材料が十分足りています」というわけで、甲状腺に取り込まれずに体内から排泄物として出ていってしまうのです。」
   
「あ、それで、放射線障害予防のために、あらかじめヨウ素を含んだ薬とか、わかめのようなヨウ素をたくさん含んだ食物を採っておくといいわけですね。」
「はい、実は日本では海産物をよく食べるので、ヨウ素不足の人はあまりいません。しかし、大陸にある地方ではヨウ素不足になる地方もあるので、食塩の中にヨウ素剤を混ぜたりしなければならない場合があります。」
   
「そうすると、日本人は原発事故の際にヨウ素剤を飲む必要はないのでしょうか?」
「そう思います。そもそもヨウ素剤は安易に飲むと、副作用等の弊害があります。ですから、服用する際はお医者さんの指示通りに服用した方がいいでしょう。」
   
「なるほどそうですか。まあヨウ素131は半減期が8日ですから、初期にヨウ素131で内部被ばくされた方を除いてもうあまり問題にならないわけですよね。次はセシウム137とストロンチウム90ですが・・・。まず、ストロンチウムはどうなのですか?半減期が長いものが、これから問題になりますよね?」
「そういうことです。ストロンチウム90は、半減期が29年です。これは水に溶けやすいので、海水や地下水などを通して私たちに影響を及ぼす可能性があります。ところでビキニ水爆実験で、日本の漁船が被害を受けたのは知っていますね?」
   
「ああ、あれはたしか1954年3月1日ですね。日本中大騒ぎになりました。第五福竜丸がビキニ環礁で行われた水爆実験で、船体に落ちてきた放射性物質を含んだ灰などの降下物を直接浴びたのでしたね。あれは「死の灰」って呼ばれていました。」
「原水爆実験は、1945年から約半世紀の間行われていたものの1つでした。全部で2000回以上も行われたそうです。水素爆弾は広島や長崎の原爆に比べて、火薬にして1000キロトンという規模ですから、広島の15キロトン規模や、長崎の15キロトン規模のおよそ100倍の威力ということになります。」
   
「「チェルノブイリ原発事故では広島型原爆の約400発分にあたる」という話を聞きましたが、そうすると、チェルノブイリ事故は、水爆1個分に当たるということでしょうか?」
「原爆は空中で爆発するのに対して原子炉事故は地上の囲いの中で起こっているわけですし、原爆は燃料全てを一瞬で燃やしつくしてしまうのに対して原子炉事故は燃料を全て燃やしつくすようなことにはなりませんから、単純には比較出来ませんが、周囲をどのくらい破壊するのかを火薬の量に焼き直して比較した場合の規模という意味ではそうなりますね。話を元に戻しますが、ビキニ水爆実験では、色々な放射能を帯びた灰が海水に降り注いで混じりました。そこで、比較的水に溶けやすく物理的半減期も長いストロンチウム90が一番心配されたわけです。」
   
「でも海は広いので、広がって薄まる気がするのですが、違いますか?」
「はい、最初はそう言われていました。しかし、海水には流れがあります。流れに沿って線量の高いところが出てくるのです。これは空気の中に飛び散った時も同じです。風向きの様子で、思わぬ遠いところに線量の高いところが出てきているでしょう?」
   
「そうか、「水に流したらそれでいい」とは言えないのですね。」
「それを最初にきちんと調査したのは、日本の科学者でした。その上、ストロンチウム90はプランクトン→小魚→魚の骨、というように取り込まれることがあることが分かったのです。」
   
「どうして骨なんですか?」
それは、ストロンチウム90は化学的な性質がカルシウムに似ているので、魚類の骨に溜まりやすいからです。
   
「それで、今回の事故の後も、原発の沖合の魚に含まれるストロンチウム90を検査しているのですね。」
「そういうことですね。最初当局は、魚類についてセシウム137がたまる筋肉の部分を検査していたのですが、骨も検査しないといけないことになったわけです。」
   
「ということは、セシウム137は筋肉に取り込まれるのでしょうか?」
「そういうことですね。セシウム137は、今、牛肉などで問題になっています。セシウム137は筋肉に取り込まれるので、セシウム137を含んだ食物を食べると、体中全身に行き渡ります。これが、特定のところ(甲状腺)に取り込まれるヨウ素131とは性格が違うところです。」
   
「あ、なるほど、そうすると、ちょっと違う勘定をして基準値を決めた方がいいということになりそうですね…。」
「やっと、シーベルトにも色々と違った勘定をした方がいいということが分かってきましたね。」

もっと知りたい人のために(原子炉から何が出てくるか)

もっと知りたい人のために(原子炉から何が出てくるか)

「ではいよいよ、実効線量とか等価線量の決め方を問題にすることになるのですが、その前に1つだけ質問です。今、原子炉から出てくる放射性元素は、ヨウ素131.ストロンチウム90、セシウム137の3つだけ考えたのですが、他には出てこないのでしょうか?」
「なるほど、気になりますね。ウラン2235が分裂して出てくる原子核(核分裂生成物)というのは、235個の陽子と中性子の集まったお団子が分裂したものだと考えれば分かりやすいです。」
   
「そうする、半分ずつに割れたとすると117個とか118個に割れるような気がするのですが…。」

「それが不思議なことに大体90~100個のお団子と130~140個ぐらいのお団子に分かれるのです。ちょうど仲のいい数のお団子を作るのです。お団子が固く結び付いて団結しているのがこのくらい数だってことですね。」

blog65

   
「えーっと・・。95たす135だと、全部で230個ぐらいですねえ。ちょっと少なめだなあ…。」
「あ、後はパラパラと小さなお団子ができるし、中性子も3つぐらいでてきます。この中性子が次のウラン235に当たって連鎖反応を起こすって話は前にしましたね。」
   
「で結局、どんな核種が出てくるのでしょうか?」
「具体的には表を見てください。」

 <ウラン235の核分裂による主な核分裂生成物(Wikipediaより引用)

生成物 収 率 半減期 特  記
セシウム133 6.79% 安定 一部は中性子捕獲により半減期約2年のセシウム134になる
ヨウ素135 6.33% 6.57h 崩壊で生成するキセノン135は原子炉でもっとも主要な毒物質で10-50%が中性子獲得によりキセノン136になり、残りは半減期9.14hでセシウム135になる
ジルコニウム93 6.30% 1.53My  
セシウム137 6.09% 30.17y  
テクネチウム99 6.05% 211ky  
ストロンチウム90 5.75% 28.9y  
ヨウ素131 2.83% 8.02d  
プロメチウム147 2.27% 2.62y  
サマリウム149 1.09% 安定 主要な毒物質のひとつ
ヨウ素129 0.66% 15.7My  

 

「えーと!ここに書いてある収率というのはどういう意味ですか?」
「これは、ウラン235が分裂した時のどんな核種が生成されるか、その割合を示したものです。どれくらいの割合でいろいろな補物質が出てくるかですね。」
   
「あ、そうすると一番多いのはセシウム133ですか?これは安定と書いてありますが?」
「そうですね。安定と書いてあるのは、ほかのものに変わらないってことですから、放射線も出さないということです。」
   
「そうか、そうすると…次はヨウ素135ですが…。」
「これは6時間ぐらい経つと崩壊してどんどん減っていくので、3月11日から3ヶ月以上も経った今はほとんどなくなっています。」
   
「じゃあジルコニウム93はどうですか?」
「これは半減期がミリオン年、ミリオンは100万ですから、100万年以上かからないと崩壊分が半分にならない、言い換えたらほぼ安定に近いってことです。」
   
「じゃあ、半減期が長くても短くても、問題にならないってことですね?」
「そういうことです。だからちょうど中途半端な半減期であるセシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131などがここ10年間の間に問題になってくるということです。だって人間の寿命より長くかからないと放射線が出てこない核種は人間にとっては安定な核種だと思ってもいいですからね。やっと放射線が出る頃には、人間は死んでしまっているわけですから。
ここでもうひとつ注意すべきことは、この中でヨウ素131は半減期8日ですから、これもだいぶ無くなっています。事故直後から20日ぐらいが最も心配すべき時期でした。」
   
「あの…そういう意味ではヨウ素131がたくさん入っていた牛乳や野菜は、今はもう無いってことですか?」
「そうですよ。すでに、放射線を出して安定な核種に変わっています。ただ、何日も置いておくとほかのばい菌が繁殖するからそちらのほうが心配ですけどね。」
   
「なるほど、それで今はストロンチウム90とセシウム137が問題になっているのですね。」

 
放射線Q&A ー 等価線量も実効線量も物理量ではない・・・グレイからシーベルトへ」へ続く (文責:坂東昌子・伊藤英男・廣田誠子)