2017年09月24日

親子理科実験室だより その1(ブログ その33)

久しぶりにブログをアップしたら、「よんだよ」と声をかけてくださる方もありましたが、ついでに、「坂東さんのは長すぎる。もっと短く気軽に書いてほしい」といわれてしまいました。
ほんとですね。ちょっと気楽なおしゃべりにしては長すぎますね。気をつけます。

今日は、この5月から始まった「親子理科実験教室」の紹介をします。
きっかけは、SEネットという理科実験グループの川村康文先生からの「京都大学で理科実験教室ができないか」というご相談でした。とにかく一度やってみようということで、2010年2月11日、川村校長先生、松林・山下・藤原諸先生のご指導のもと、基礎物理学研究所で「子供のための科学冒険の旅 」というイベント を行いました。
初めてそこに親子で参加された京都大学理学部の中家先生が「セミナーハウスができるのでそこで開催しては?」というご提案もあって、吉川理学研究科長とご相談し、両者の共催で「親子理科実験教室」を始めることができました。
取り上げたのは、「電気、磁気というのは目に見えないので、小学校の理科でも、最も分かりにくいテーマです。小学校の授業を通じて系統的に取り組む必要があります」という山下先生のご指導を受けて、「電気磁気、電磁誘導、エネルギー」というシリーズをとりあげました。SEネットの川村先生のご助言もいただき、地元京都の松林・山下・藤原という絶好のコンビの協力のおかげで実現しました。
6月30日に第2回を終え、今度は第3回(7月25日)を迎えます。

今日は、この中で1つ、話題を提供します。電流や電磁場を「可視化」したい、これが、第1回目の取り組みの中で出てきた課題でした。
電気の流れを、水の流れにたとえる水流モデルがどこまでこのイメージを可視化できるか、それが大きな目標でした。そこで使ったのが、「ヘロンの噴水」でした。これは、エネルギー保存の例としてサイエンスクラブの加藤利三先生たちが教材として作成されたのをお借りしました。電池のつなぎ方の「直列」と「並列」をしっかりイメージできるようにしたいという目標は、これで達成できたと喜んでいました。いろいろな理科実験グループのネットワークから生まれたアイデアを組み合わせることで、新しい使い方ができる一例となりました。
しかし、本当にどこまで水流モデルが電流として解釈できるのか、大いに議論が分かれるところです。特に、「電池をつないだ瞬間(正確には、光速で伝わるのですが)に豆電球が点くのはどうしてか」という疑問がでました。
電線中の電流の速度を計算してみると、電線の抵抗や、電圧の強さによりますが、秒速がほぼ0.1 mmになるのです!
実は私自身、こんなに遅いとは知りませんでした!お恥ずかしい限りです。じゃあ、どうしてすぐに豆電球がつくのでしょう。発電所から送られる電流が、家庭まで届くのに、どれだけ時間がかかるか知れません。どう考えてもおかしいですね。
ところてんみたいなものだ、いや!それだったら、音速ぐらいで伝わるはずだ!とかいろいろ反論が出て、松田さんが猛然と議論を始め、図書館に行き教科書を調べたり、いろいろと、毎日議論が飛び交いました。この事情はまた、いつかご報告しますが、松田さんによれば、「これがきちんとわかって書いている電磁気の教科書は日本人の書いたもので2人しかいない」そうです!へえ?と思われるでしょうね。とりあえず、今日は、問題提起だけにしましょう。

最後に、山下先生の言葉を引用させていただいて次につなげていきたいと思います。

「世に多くの実験教室がありますが、それがなかなか学校理科の中身と結びつかない・・・、その理由の一つに、実験教室の素材が教材化しづらい点が挙げられます。面白いが、それっきりというものです。
例えば、3年生から6年生まで電気・磁気分野が広く配置されていますが、これらは全て『エネルギー概念』定着のための素材です。その意味では、電気と磁気の関係、また電気(エネルギー)と他のエネルギー(音、光、熱・・・)との関係を、どう教材として提示するかが「教材」という視点では欠かせませんし、「教材」として認知されるかどうかの鍵になってきます。
その意味では、第一回実験教室で坂東先生からご提案いただいた「ヘロンの噴水」モデルは、電池のしくみ(電位を生む装置)という面では、申し分ない、今後さらに発展させるべき『素材』だと思います。概念形成にプラスに働く要因を持っています。身近な素材を使っている、各家庭にもある素材だけではだめなのです。
私が、ストーリー性が大切だというのは、『素材のもつストーリー性』と、その素材の連関によって『概念形成』にどう寄与するかといった『教材同士の関連性・一貫性』という意味でのストーリー性も含んでいます。特に、新規『教材(開発)』にとっては、後者としてのストーリー性が欠かせません。
京大での実験教室は、当初から『ICT教材の提言・構築』という意味合いも持っていたように思います。
私達の提示した実験(素材)が、それぞれの児童(既に学習済みの児童、まだそうでない児童)にとって、どう有効に学習に機能するのかという観点での「振り返り」が大切かと思います。私達が提示した『教材(の種)』が、学校理科での、それぞれの単元、学習事項に、どう有効に作用するか。この評価をいかに行うか。次のステップとして、この教材に対する評価方法の探りも行わなければならないと思います。」