2024年04月24日

新春ご挨拶(ブログ その144)

みなさま。新しい年をどのようにお迎えになったでしょうか。

私も、温かな日差しに包まれて、ゆったりと、たまっていた論文を読むことができました。

放射線の生体影響という新しい分野新しい分野を2011年から研究し始めて、ほとんど習ったこともない生物分野、しかも高校の時の知識はDNAも習わない時代でしたから、まだまだなれない昨年から本格的にかかわった医療関係の論文では、薬の名前なども含めて略語が多く、単語に悩まされっぱなしで集中して読むには耐えられず、ニューイヤーウィンフィルコンサートも全部鑑賞しました。

今年はベートウベン生誕250年ということで、重い感じであまり新春には似合わないと思っていましたが、ベートウベンの曲もありました。軽い曲もあるのですね。誕生日は「1770年12月16日ごろ」とあります。実は私も12月16日なので、昔からうれしく思っていたのですが、この度、久しぶりに見直したら、「ごろ」ということで、怪しそうですね。まあ、誰かと同じ誕生日って別に珍しくもないのですが・・・。一昨年「誕生日のパラドックス」というおもしろ算数教室を若者たちがやってくれたことがありましたが、40人程度の子供たちで同じ誕生日の組がどれくらいあるかというのを当てるような面白い取り組みでした。
この時「それでは1000までの中で好きな数字を考えてください」と言って、どれくらい同じ数を考えた組があるか調べてみると、思ったよりはるかにたくさんありました。
この時、中学校の仲よし組が、「何でかな?」、「きっと2桁の方が思いつきやすかったからではないか」というような議論を始めました。確率計算を超えて心理状態にまで食い込んだ子供たちにびっくりです。草場君(D3)が早速、確率を計算してグラフ化してくれたのも面白かったです。算数教室は、子供たちの好奇心を一歩進めて数値で表す訓練になるので、ぜひまたやってみたいです。

話がそれましたが、あいかわらず毎日を忙しく暮らした1年でした。特に昨年、印象に残ったことを1つずつご紹介します。

今日はその1つ、この3年間、科学技術振興機構のプロジェクトに採択された「市民と科学者の放射線ネットワーク」(CAS放射線ネット)の取り組みの中で経験した素晴らしい体験を皆さんと共有したいと思います。

残念ながら、3年間続けてきた活動は、終わり、青く等も含めて発展した形の提案をしたのですが、今回は不採択となりました。
資金のないままどうしようかと思っていましたが、市民と科学者のネットワークという、日本中探しても珍しいユニークな取組です。というのは、放射線の危険派と安全派が分かれてなかなか議論しない中で、お互いに事実と向き合い、市民と科学者が一緒になって、地道に検討し、粘り強くみんなで続けている議論の芽をつぶさないでおこうと、科学技術振興機構(JST)の企画は終わったのですが、ネット上での議論だけは続けておりました。
でも、顔を合わすこともないままで、だんだん先細りになっており、何とか続けたいと、どうしたものかと思っておりました。

ところがです! なんと! ここで、すごいことが起こっていました。
福島二本松の田口さんから問題提起のあった「トリチウム水問題」が引き続いて、ネット上の議論の指導役だった、河本・土田、それに山崎さんが、引き続き熱心に調べて議論してくださっていたことを、なんと、夏の終わりに知りました。ほんとに感激しました。
こうした地道な努力が積み重ねられていたことは、この市民と科学者のネットワークが、まさに生きている証拠でした。

不採択となったあとも、市民と科学者のネットワークという珍しいユニークな組織が。ちゃんと生きていたのです!
放射線の生体への影響については、危険派と安全派が分かれてなかなか議論しない中で、お互いに事実と向き合い、市民と科学者が一緒になって、地道に続けている議論の芽をつぶさないでおこうという思いは。こうして企画は終わっても、ネット上での議論なら、ボランティアで活動してくださる河本さん、土田さんたちを中心にして、何とか細々と手もやっていける、そういう思いが強くなりました。

そういう中で、山崎さんから「一度まとめを兼ねて福島に行ってみないか」という提案があり、それが実現したのです。そして、昨年11月、4人で福島を訪問したのです。
これについては別途報告することとしますが、福島の方々の思いの一端を身にしみて感じ、本当に訪問して良かったという気持ちです。

訪問後も、何度もやり取りをしてようやく、土田さんたちを中心にして、まとめが出来上がりました。
まだ問題が全部解決したわけではありませんが、やっと、そのまとめをCASネットのサイトに報告できました。いったん、サイトの後ろに隠れていたCAS放射線ネットは、こうして、JST企画が済んでも旗を降ろさず、わがホームページのど真ん中に置いております。

この中に新しく「トリチウム水問題」のコーナーができました。ご覧いただければ嬉しいです。皆さんのご意見をお待ちしております。