2018年10月21日

初めての試み 高校生セッション(ブログ その138)

まずは、BER2018 高校生スペッシャルセッション 放射線の“平熱”の感覚を身につける 大阪春の陣「放射線について話し合おう!」の記事を見てください。

実はこの高校生スペッシャルセッションは、ついこの間(2018年3月19日から3月21日まで)開かれた「放射線の生体影響に関する国際会議」BER2018 の特別セッションとして行われたものです。
高校生にもポスター発表をしてもらおうということで、Poster発表の募集を行うとともに、本会議とは別の会場でセッションをもうけて交流する機会も作ったのです。
世界一流の会議に参加した科学者たちが、専門研究者のポスターに混じって並んでいる高校生のポスターのところにもやってきて熱心に議論をする、こんな光景が繰り広げられた会場でした。
写真に写っているのはモファットがん研究センターの基礎部門で統計学出身のヘイコさんなどは、高校生の授業もやっておられるそうで、結構楽しんでおあられました。
ヘイコさんの属しておられるモファットがんセンターは病院もあるけれど基礎研究の部門のあるそうでうらやましい環境ですね。そして、国連のUNSCEAR 議長もなされたワイズさんやEuのMELODIなどの組織リーダーであるジャックさんなども楽しそうに高校生と話している写真がありますね。まさか彼らが高校生のところで一緒に議論するとは!と思いました。
私も、posterセッションでは、高校生と話して研究の基礎的な姿勢をしっかり持っていること、調査の手順がしっかりしていることを感じました。彼らが海外のオーソリティたちに説明している姿をみて、本当にいい機会をもらったな、素晴らしいなと思いました。一流の科学者たちが、こんなに一生懸命聞いてくれたのにも感激しました。みんな「この企画は素晴らしい、感激した」と絶賛してくれました。
なんて素晴らしいことでしょう。こういう取り組みは他では見られないもので、本当に連携という言葉が、ぴったりする雰囲気でした。この若者たちは、たくさんの刺激を受けたことでしょう。そして、きっとこれからも元気で活躍してくれることでしょう。楽しみです。

ところで付け足しておきますと、こんなユニークな企画ができたのも、「チーム ゆりかもめ」(リーダー角山雄一先生)の活動があったからです。
このユリカモメチームは、中心は高校生だったのですが、当あいんしゅたいんの親子理科実験教室に通っていた中学生や、まだ小学生の子供たちも参加したいという要望が出て、急遽「ジュニアゆりかもめチーム」として親子で参加することとなったのです。
なにしろ、ぎょろガイガーという計測器を貸与しては買ったもらうので、取り扱いにも注意しないといけないのですね。
でもお父さんやお母さんにも協力していただいたことは大変良かったですね。大人も子供も一緒になって、自然の日常の放射線を測るというとりくみに参加することで、大人の皆さんともネットワークができたのです。 この子供たちも、この高校生のジュニアセッションに一緒に参加しました。
私自身は、残念ながら、国際会議のほうのセッションと並行して開かれたので、高校生のこの交流会には出席できませんでしたが、あとで、いろいろと報告を聞いて、「こんなに、自分の意見を言える子供たちが、こんなに集まっていたのだ」ということがよくわかりました。ジュニアの皆さんも結構発言したと聞きました。

実は、この高校生のセッションの企画は、国際会議 放射線の生体影響に関する国際会議(BER2018))の一環として大阪大学中の島センターで行われたのです。この会議は、日本学術振興会 研究開発専門委員会「放射線の生体影響の分野横断的研究」(委員長 和田隆宏)と大阪大学核物理センター等の企画によるものです。
国際会議の主催は、学術振興会のまだ生まれたての委員会としては初めての試みでしたが、この趣旨に賛同する科学者や技術者、企業等のご支援で開催の運びとなりました。あいんしゅたいんも、JST支援事業の一環としても、この企画の一端を担ってきました。
この会議の目標は、福島TEPCO事故以後の大きなテーマである放射線の生体影響に関する知見を交換することにありますが、さらに今後重要になる放射線生物学と医療における放射線利用の橋渡しを掲げていました。
医療における放射線利用は、世界的に急速に拡大しており、今後ますます重要性が高まる分野です。欧州では医療関もつ様々な分野の科学技術者と、企業の方々との横の連携を強め、交流を深める目的で、初めてこの分野に臨んだ私どもが、多くの方々とのネットワークの中で、こぎつけた国際会議でした。

さらに、これに先立ち、3月18日国際市民フォーラム「我々は福島から何を学んだか」を開きました。
これも別途また報告が出ていますが、専門家の会議であるBER2018 国際会議に先立って、市民との対話を大切にしたいという私たちの願いが込められていました。
この会は主に、京都周辺に集まっている元気な女性研究者、そして全国に散らばっていった仲間も含めて、企画実行したものです。これについても、詳しい報告が次々出てくると思いますが、海外の講演者たちと企画者側で、メーリングリストを作って、議論を交わした経験は、初めてのことでとても貴重でした。
市民も一緒になって議論したメールの数は、1000件を超えました。英語と日本語とドイツ語の混じった議論をしたのです。これも初めてでした。
最初は尻込みしていた市民も、翻訳機能が発達した現在ですから、それで翻訳し、専門の英文学者も混じっていたので、修正してもらいながら、議論に参加しました。
おかしかったのは、日本側(こちらで)内緒と思って日本語で議論していた分も、いつの間にかワイズさんやクルカさん、ゲイルさんという海外の先生方が、翻訳機能を使って内容を理解して「この会での本当の目的は何か」などと議論を吹っかけてくるといった調子でした。こんな経験は初めてです。
今や、こういう時代なのだ、世界は狭くなったなあ、そんな思いでした。参加者からきたたくさんの質問を全部議論することができなかったのですが、みなさん「これからもメールでやり取りしましょう」ということで、ワイズさんたちは、積極的に質問に丁寧に答えてくださっています。ほんとに新しい世界が開けたような気がします。

科学者の専門会議だけでなく、市民と交流し、次世代の子供たちとも、一緒に取り組めたこと、それは多くの皆様の惜しみない協力のおかげです。これこそ、次の科学の営みの在り方につながっていく道であると、確信しました。