2017年05月01日

教員免許更新講習会を経験しました!(ブログ その4)

佐藤さんが、教員免許更新講習について書いておられたので一言私も書きます。

愛知大学の田子先生からの依頼を受け、文系の大学ですが、自然科学系の講習会を1つ引き受けました。ちょうど、e-learningの教材作りもやっており、講習会がどんな形で、うまく機能するかも含めて、先生方のお顔を見ながら授業をしてみると色々分ることがあるかも知れない。そう思ったからです。実際には、佐藤文隆さん、坂東、それに愛知大学で非常勤講師をしていただいている谷口正明さんと3人で分担しました。日程は、2008年暮れの12月21日(坂東担当)、23日(佐藤担当)、25日(谷口担当)でまる3日間でした

シラバスを作る段階では、「素粒子とか宇宙」とかいった単語は避けて、できるだけ身近な科学、日常の生活と結びついた題材を取り上げようという方針でした。身の丈ということからみると、グーンと小さな小さな世界である素粒子、逆にグーンと大きなスケールの宇宙、そういう話は夢とロマンはあっても、親しみがわかないので、毛嫌いされるからなあ、とそんな話をして、やっぱり素粒子とか宇宙とかやめようね、と決めたのでした。

ところがノーベル賞が素粒子分野の、南部陽一郎先生・小林誠さん・益川敏英さんという、日本のかたがたに与えられてから、急に「対称性」なんていう話がポピュラーになり、一般にいきわたりました。丁度、小柴昌俊先生が、ニュートリノでノーベル賞をいただかれたとき、ニュートリノという言葉が、皆に親しみを持って語られるようになったのと一緒です。

あの当時は、2004年でしたか、自然科学の概論の講義、「現代科学の諸問題」の時間に、学生が、「先生、次の時間ニュートリノの解説をしてください」と新聞記事の切抜きをもってきたのを覚えています。そのなかで、ニュートリノはお化けみたい、とか、透明人間だね、とかいう半のがあり、その上、「ニュートリノには天然ニュートリノと人工ニュートリノがあるんですか」なんていわれて、面白かったことを覚えています。あのときこのことを思い出しました。

そんなわけで、今回も、急遽、話の内容を変更し、佐藤さんと私は、「ノーベル賞こぼれ話」という1コマをいれました。私の方は、「素粒子と対称性」をできるだけわかりやすく紹介するための、人によるシミュレーション実験なども持ち込みました。

佐藤さんは「素粒子と宇宙」という話を易しく紹介するということになりました。

こういう導入の後、ノーベル賞受賞者3人の逸話をもいれて、さらに、まわりの素粒子論や宇宙論の研究者のお仕事ぶりや、研究室の様子なども紹介したりしました。私は、湯川秀樹先生や林忠四郎先生がリーダーをなさっていた研究者のコミュニティが、「老いも若きも、皆、学問の上では対等平等で、自由に議論できる研究室」であったことなども紹介しました。

こられた先生方の感想には、「講習会でこんな話しが聞けるとは思わなかった」などと喜んでもらえ多様な気がしますが、くわしい分析は又の機会にご紹介することとしたいと思います。また、参加された先生の中には、大学院を出られた方などもおられ、名古屋大学の雰囲気を良く知っている先生もおられて、けっこう鋭い質問や専門的な考察などもでてきて、とても面白かったです。

逆に専門外の先生からも色々な面白いコメントや質問が出ました。例えば、私は地球環境を説明するのに、「地球のエネルギーと物質の収支簿」の話をしました。IPCCにしてもその他の温暖化の解説にしても、ややこしい矢印がいっぱい描いてある図をよく出すのですが、それで、結局どういう理屈なのかあまり分らないのです。それで、「簡単な収支簿を作るのが大切」「こまかいことより概算することが重要」という話をしました。そして、あの有名な物理学者フェルミが授業で使っているという「フェルミ推定」の考え方を説明しました。実はこれ、佐藤さんが科学教育若手研究会で紹介されて、私はそれが大変気に入ったので、その後大学の授業でもフェルミ推定の話は、必ずするようにしています。そして、今回も、地球のエネルギー収支簿を説明したわけです。そのとk、英語担当の先生が「このフェルミ推定は英語を教えるとき出てきていたので大変親しみを覚えました」といってくださいました。

学ぶことの多い経験でした。また、授業の間の時間が少なくて、十分先生方と議論できずに注ぎの授業が始まるので、忙しい思いをしました。そこで、谷口さんが、先生方に、ネットを通じて授業内容のスライドを公開することを提案され、さっそく、みなさんにIDを割り振って、ネット配信の労をとってくださいました。それを通じて、授業資料を公開したり、議論ができるような仕組みを作ってくださったのです。 これを通じて1回きりの授業で終わらず、講習会を通じて学校の先生方とネットワークができればいいな、などと夢を膨らませています。「あいんしゅたいん」の若手参与である前さんが、わざわざ参加してくださり、ビデオも谷口さんと2人でとってくださいました。そのほかに、保田理事が愛知大学の注文を受けてビデオ撮影をしてくださいました。来年始まる講習会に向けていい経験になりました。